バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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やっと三巻が終わった……!

次からはしばらくオリジナル展開になります。


第三巻終了

「「「「「割にあわねぇーっっ!!」」」」」 

 

鉄人「ぐっ…………!」

 

百人以上の男子生徒が絞り出した絶叫で、気絶していた鉄人が目を覚ます。すぐさま状況把握のため辺りを見回すと、何故か気絶しているDクラスの清水がいた。そしてもう一人……柊和真が鉄人の近くに腰を下ろし、好奇の目で眺めていた。

 

和真「よう、目が覚めたかよ西村センセ」

鉄人「……柊か」

和真「怪我してんだろ?手ぇ貸してやるよ」

 

鉄人が目を覚ましたのを確認すると、和真は立ち上がって鉄人に手を差しのべるものの、鉄人はその手をとることを無視して(表面上は)平然と立ち上がる。

 

鉄人「高橋先生に何を聞いたのか知らんが、いらん気を回すな。お前に心配されるほど深刻なものではない」

和真「やれやれ……アンタも頑固者だな。腰痛めたんなら素直に点数を補給して召喚獣で迎え撃てばいいものを」

鉄人「言ったはずたぞ柊、我々教師はお前達生徒を真っ正面から受け止めると。一度生身で闘うと決めた以上、おいそれと変更するわけにはいかん」

和真「それが頑固だって言ってんだよ……」

 

鉄人の不器用な心がけに和真が呆れるように溜め息をついていると、男子生徒達が真っ白に脱色されて戻ってきた。生気の抜けた表情でトボトボと部屋に戻っていく様子は、リストラの憂き目にあったサラリーマンのようであった。

 

和真「西村センセ、あいつらがあんな状態になった原因について詳しく」

鉄人「……実を言うとだな、お前達が起こした度重なる覗き騒ぎが原因で、入浴をしようとする女子生徒が一人もいなくてな。そしてたまたま学園長が視察に来ていてな、この時間帯に女子生徒が誰も入らないことを知って-」

和真「あ、もういい。あのばーさんのことだ、大浴場を独り占めしようと思って入ってたんだろ。それで、ちょうど覗きを行った明久達とバッティングして、結果あのザマか」

鉄人「俺としても流石にあんまりなので、出来れば止めてやりたかったのだがな……」

 

理想郷を求めて死力を尽くした勇者達に与えられた報酬は、醜悪なババァの裸体。鬼教師で有名な鉄人でさえも思わず同情する内容だった。

 

和真(まあ、当初の目的は果たしたみてぇだな)

 

倒れている清水を一瞥しながら、和真は自分の推測が正しかったことを確認する。ここで清水の所業を鉄人にバラしても良いのだが、和真は当事者の明久達に判断を任せることにする。

 

和真「しかし、あのばーさんが覗きに参加した奴を一人一人リストアップしていくなんてまどろっこしいことするとは思えねーし、この分だと合宿に参加した男子は皆仲良く停学だな。ソウスケの奴怒るだろーなー」

鉄人「自業自得だバカタレ。覗きなんてバカな真似をした代償として、甘んじて受け入れることだな」

和真「はいはい。まあちょうどまとまった時間が欲しいと思ってたところだ。ソウスケへの対抗手段に考えてた切り札は二つとも使っちまったみてぇだし……こうなったらもう覚悟決めるしかねぇな」

鉄人「停学期間中は大量の課題が出されるだろうがお前なら問題は無いとして……覚悟?お前は停学中に何をするつもりだ?」

和真「そりゃ勉強だよ、西村センセ。実を言うと俺は今度の期末テストである目標を立ててるんだ」

鉄人「……なんだ?言ってみろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和真「とりあえず当面の目標は……現在翔子が着いている学年次席の座を奪い取ることだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―処分通知―

 

鳳蒼介を除く文月学園第二学年全男子生徒149名

上記らの者たち全員を、1週間の停学処分とする

 

文月学園学園長 藤堂カヲル

 

 

 

ついムラッときてやった。

今は心の底から後悔している

 

~とある生徒の反省文より抜粋~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二年男子達が仲良く停学処分を下されている頃、蒼介と秀介

の二人は“桐谷”の総本山に滞在していた。

 

通称『桐谷サイバーシティ』。

北海道の広大な土地をまとめ買いし、自然保護団体の抗議を完全無視して大規模な開発を行い誕生した、東京ドーム300個分に及ぶ大規模な最先端都市。

その中央に位置する最先端技術の粋を結集して生み出された桐谷の居城、『バベルタワー』。

その最上階の社長室で、文月学園のスポンサー、四大企業の重役たちによる会議が、数日にかけて行われていた。

 

綾倉「では、プロジェクトの予定日は体育祭の後に行う予定ということで。

続いての議題ですが、先日文月学園に襲撃を仕掛けてきた閏年高校の生徒約百名についてですが……」

 

文月学園の代表として会議を進行していた綾倉先生が、やや深刻そうな顔で(糸目のままだが)報告をする。

閏年高校と言えば清涼祭のときに教頭の竹原と組んで色々とやらかしてくれたものの、最終的に和真たちにぶちのめされた不良共のことである。四大企業は文月学園の生徒が暴力事件を起こしたと醜聞が出回ることを危惧し、秘密裏に回収し口封じを兼ねた人格強制プログラムを施していた。色々と問題のある対応だが命が惜しければ追求しない方が良いだろう。

 

綾倉「……全員忽然と姿を消しました」

桐谷「……どういうことだね橘社長?これは君の監督不行届ではないかね?」

 

桐谷社長は対面に座っている金髪の男に苦言を催す。

金剛石に白虎のマークの入ったゴーグルを着けて、我関せずとばかりに何やらごてごてした機械を組み立てていた男、飛鳥の父親、橘大悟(タチバナ ダイゴ)は製作を一時中断し、桐谷社長に視線を移す。

 

大悟「そんなこと言っても全員ふわっと消えてしまったんだからしょうがないだろうそれにどうでもよかったんで大して警備もつけてなかったし第一そんな過去のことどうでもいい俺が求めるのは常に革新的なアイデアに基づく新しいものだやはり手垢が付いたものよりもさらっぴんの方がいいと俺は常々-」

桐谷「わかったわかった!そこら辺でもう良い!」

 

うんざりしたと言う表情で桐谷社長は会話を強引に打ち切る。放っておけばこの自称革新主義者は留まることなく喋り続けるであろう。嫌味の一つでも言おうと魔が差したことを今更後悔する桐谷社長。

 

御門「さっきから気になってたんだがよ橘、お前今度は何作ってんの?」

大悟「よくぞ聞いてくれたな御門社長これは名付けて真なる全自動炊飯器だ米を炊くのみならず研ぐことすら自動で行ってくれる優れものだただしまだ致命的欠点があるため商品化はできないがなその致命的な欠点とは通常の炊飯器の軽く10倍の電力を消費してしまうことで-」

桐谷「こいつに話題を振るなぁあああ!」

 

再び壊れたテープレコーダーのように延々と早口で喋り続ける大悟にイライラが限界が来たのか、元凶である死んだ目をしただらしない格好の男、御門空雅を睨めつける。

この男、大事な会議だと言うのにお構いなしによれよれのスーツで参加して気だるげに喫煙しまくっており、彼の机の周りにはコンポタの空き缶が散乱している。同席している秘書の桐生舞が死ぬほど申し訳なさそうにしてようがまるで気にしたそぶりを見せない。

 

桐谷「…………御門社長、君はこの会議がいかに重要なものか理解しているのかね?」

御門「理解してるわけねーだろ、誰が好き好んでこんなとこ来たがるんだよ……。キュウリが来週の俺の残業肩代わりするっつうからわざわざ来てやっただけで-」

舞「(スパーンッ!)もうあなた黙ってなさい!すみません御門社長!この人常識とかマナーとかそういう類いのものが色々と抜け落ちてるんです!」

桐谷「……相変わらず苦労しているようだな君は」

蒼介(初めて会議に出席したが……本当にこの人達が日本を左右する企業のトップなのか……!?)

 

御門と大悟のあまりの社会不適合者ぶりに、さしもの蒼介も困惑を隠せないでいた。秀介は慣れているのか、口許に扇子を当ててニコニコしている。

 

蒼介(それにしても、閏年高校の生徒100人全員が消息不明か……あの事件、及び人格矯正プログラムについて知っているのは一部の人間だけであることを念頭に置くと……

文月学園の関係者、もしくはこの中の誰かが、

良からぬことを企んでいる……!)

 

蒼介のそんな懸念とは裏腹に、会議はぐだぐだのまま進んでお開きになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐谷「ふう……」

 

長きに渡る会議で疲弊しきった桐谷社長は、デスクに座ったまま一息つく。

 

桐谷「……“ファントム”」

 

桐谷社長の呟きとともに、邪悪な笑みを浮かべた仮面を装着し、黒いロングコートを着た不気味な人物が社長室に入室する。

 

桐谷「……例の計画に抜かりは無いな」

『ご心配なく。近日中に文月学園へ侵入する手筈は整っています故』

 

ファントムと呼ばれた人物は、ボイスチェンジャーごしに不吉なことを言い放った。

 

桐谷「………………ならば良い。」

 

 

 

 

 

 

 




雑談コーナー・その3

蒼介「第三巻が無事終了したな」

和真「第二巻が終了したのが2015年の1月か……。ずいぶん時間が空いちまったな」

蒼介「読者も何人か離れていっただろうな。離れず待ち続けてくれた読者、そして催促してくれた“ラピュタ”さんには本当に感謝している」

和真「さて今回のゲストは、二巻で小暮先輩に惨敗した大門徹君でーっす♪」

徹「事実だけどいちいち人の傷口ほじくり返さないでくれるかな?」

和真「それにしても今回お前らの出番全然なかったなぁ」

徹「二巻であれだけ出番貰ったんだし、その代償と考えているよ」

蒼介「私も次話から忙しくなるので、大して気にしていないな」

和真「そういや次回からのオリジナル展開からは、俺達男子勢が停学処分喰らってる間の話だってな」

徹「見方によっては鳳のハーレムに見えるが読者の皆、その手の展開には期待するな」

蒼介「鳳を継ぐ者として、爛れた恋愛をするつもりなどない」

和真「この通りガッチガチの堅物だから」

蒼介「そろそろ時間だな。差し支えなければ、これからも読んでくれると嬉しい」

和真「じゃあな~」









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