バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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れ、煉獄さぁぁあああん!(号泣)

最近私の中でジャンプの『鬼滅の刃』が半端なく熱いです。上弦の鬼マジでヤバい……。


頂上決戦!西村宗一VS柊和真

「「うぉぉぉおおおおお!!」」

 

ドギャァァァアアァァァン!!!

 

和真と鉄人の拳が真っ正面からぶつかり合い、生じた轟音によって周りにいる生徒は勿論、建物全体までもが震え上がった。

どちらも人間とは思えないほどの膂力だが、それでも腕力に関しては鉄人に分がある。それに加え、和真が178㎝/75㎏に対し鉄人は189㎝/97kgと、流石にサイズに差がありすぎたため、最初の激突は鉄人が制した。後ろ方向に吹っ飛ばされるも、和真は持ち前の運動神経を駆使して難なく着地する。真っ向から打ち破られたものの、痛そうに拳をさすっているところ以外にダメージらしいダメージは負っていない。

 

和真「いってぇ……。わかっちゃいたがなんつう馬鹿力だよ……。力負けしたのなんざこの前のクソ親父との喧嘩以来だぜ」

鉄人「割と最近じゃないか。そして俺とて思ってもみなかったぞ。教え子相手に本気でかからねば敗北しかねないと思う日が来るとはな!」

 

鉄人はその巨体からは想像もつかないようなスピードで和真に詰め寄り、必殺の拳を突き出す。パワーもスピードも明久や雄二を相手にしているときとはまるで比べ物にならないが、和真はそれに臆することなく頭を回転させる。

 

和真(もう一度拳で応戦?先程の二の舞だ。真っ正面から受け止める?論外。体格差的に考えて、一発でもまともに入ったら勝負は決まると見て良い。となると、)

 

 

 

バシィィィッ!

 

鉄人「む!」

和真(側面からぶっ叩いて捌くしかねぇな!)

 

向かっていくる攻撃にタイミングを合わせ、和真は鉄人の拳を手刀ではたき落とした。腕力で勝ってようが側面から衝撃を加えられては、直線的な攻撃は意外と脆いのだ。

 

鉄人「ふんっ!」

 

すかさず鉄人が反対の手で追撃する。

 

和真「ハァッ!」

 

バシィィィッ!

 

しかし同じようにはたき落とされる。

 

鉄人「うぉぉぉおおお!」

和真「おらぁぁあああ!」

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドォォォッ!

 

 

鉄人は様々な角度から攻撃を繰り出すものの、和真はそれら全てを捌ききる。相手の猛攻全てに対応し的確に防御する。和真のような並外れた反射神経があってこそ初めて成立する芸当である。

 

鉄人(なるほど、素晴らしい反応速度だ。だが、これならどうだ!)

和真「むっ!?」

 

突如鉄人は和真に向かって不自然なほど大振りの攻撃を繰り出そうとする。和真はそのあまりに隙だらけなその攻撃に気をとられてしまい、視線がその攻撃に集中する。

 

鉄人(かかったな!)

 

勿論それは視線を誘導するためのフェイク。 

鉄人はすぐさま和真の視界の外から反対側の拳で殴りかかる。和真からは完全に盲点となる一撃だ。

いくら超人的な反射神経を持ってようが、見えなければ反応することもできない。

鉄人の拳はそのまま和真の体に突き刺さり、威力に耐えきれず和真はその場に崩れ落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシィッ!

 

鉄人「なっ!?」

 

そう、本来ならそうなっているはずだった。しかし現実には、和真が死角からの鉄人の腕を掴むという、有り得ない光景が広がっていた。

 

和真「ここだァッ!」

鉄人「(ドゴォッ)ぐっ!?」

 

会心の攻撃を予想外にも防がれ、流石に鉄人にも隙ができた瞬間、和真はすかさず反撃の蹴りを鉄人に叩き込む。先程の和真ほどではないが、鉄人の巨体が後方に吹き飛んだ。

 

和真「西村センセともあろう者がまんまと油断してくれたな」

鉄人「柊お前……死角からの俺の攻撃をどうやって察知した?俺の拳は見えなかったはずだ」

和真「ああ見えちゃいねぇよ。ネタばらしをすれば、ただの勘だ。だが極限までに集中したときの俺の勘に、察知できない攻撃は無ぇ。奇策や小細工で撃ち取れるほど、俺は甘くねぇんだよ!」

 

和真には並外れた反射神経の他にもう一つ、天性の直感が備わっている。決して理屈では説明できないが、和真は自分の身に降りかかるありとあらゆる危険を即座に察知、対処することができる。そのため、和真に暗殺や謀殺の類いは一切通用しない。それと同様に、いかに鉄人がフェイントを織り混ぜたところで和真に拳が届くことは無いのである。

 

和真「さあ来いよ西村センセ!この程度で終わるアンタじゃねぇはずだ!」

鉄人「ふっ、面白い……ならば余計な小細工など必要ない、真っ向からいかせてもらおう!」

 

再び和真に接近し鍛え上げられた拳で再び猛攻を仕掛ける鉄人と、それら全てを紙一重で防ぎきる和真。 

そのまま二人応酬が続くが、鉄人の攻撃が一度も当たらないのに対し、隙が生じるたびに和真の拳が鉄人に命中していく。

 

『すげぇ……。あの鉄人が押されているだと……』

『柊ってあそこまで強かったのか!』

明久「すごいよ和真!そのまま憎き鉄人をぶちのめすんだ!」

 

一見和真有利な状況に明久を含むFクラス男子達が活気を取り戻すが、和真の内心は正直穏やかではなかった。

 

和真(クソが……。何発か当てられることは当てられるが所詮防御に集中した状態での半端な攻撃、そこらの三下ならともかくこの耐久オバケはこんなもん何万発いれても倒せねぇよな。しかし防御への集中を疎かにすれば攻撃を喰らっちまってゲームオーバーだ。かといってこのままじゃ俺の体力が先に尽きるよなぁ……)

 

どれだけ凄い反射神経だろうが第六感じみた直感を持っていようが、和真も人の子である以上体力に限界はある。そして両者の体力を比較すると、先にこちら側がガス欠してしまうことが和真にはわかっていた。 

状況は一見和真が優勢に見えるが実際はその逆。お互い決定打が無く膠着状態に入っていて、その状態が続けば敗北するという、和真が追い詰められているのが現状だ。

すると、ロクな打開策が思い付かずに焦る和真の心情を察したのか、鉄人が猛攻を止めて和真を見据え、ある提案をする。

 

鉄人「なあ柊、このまま拮抗した状態でダラダラと時間を浪費するのは、お互いにとってもメリットがないと思わないか?」

和真「まあ、そっスね」

鉄人「そこで、一つ賭けをしないか?」

 

鉄人の提案に和真は眉を潜める。

このままこちらのスタミナが切れるのを待っていればノーリスクで勝つことが出来るなど、鉄人はすでに理解しているはずだ。それを投げ出してまでもしなければならない賭けとはいったいなんなんだ?

 

和真「……なんの賭けっすか?」

鉄人「今から俺がお前の渾身の一撃を回避も防御もせずに受け止める。もし俺が耐えきれたら、お前も俺の攻撃を避けるな」

 

突然の提案に周りの生徒がざわつく。

彼等の目には和真が鉄人を追い詰めているように見えているため、こんな提案には乗るメリットがまるで無いように思えるのだから無理はない。

 

『ふざけんじゃねぇーぞ鉄人』

『追い詰められたからって自分に有利な賭け持ち出しやがって、それでも教師か!』

明久「そうだよ和真!こんな不公平な賭けに乗る必要は全く無-」

和真「受けようじゃねぇか」

明久「……和真!?どうしてさ!?」

 

わけがわからないといった様子の明久の方に向き直り、和真が呆れたような表情で説明する。

 

和真「あのなぁ……。相手はあの西村センセだぞ?あの程度の攻撃どんだけ喰らわせても意味ねぇんだよ」

『『『確かに』』』

明久「言われてみれば、そうかもしれない……」

 

Fクラス男子一同の心が一つになる。

 

和真「助走つけてもいいんすよね?」

鉄人「隙にしろ」

 

和真は腕組みをして仁王立ちした鉄人に背を向け、ある程度の距離を取ってから再び向き合う。

 

和真「ああ、一応言っておきます」

鉄人「なんだ?」

和真「条件無視してカウンター仕掛てきても、俺は別に恨まねっすよ?」

 

和真の挑発的な言葉を聞いた鉄人は一瞬間を置いて、それから口を大きく開けて豪快に笑った。

 

鉄人「バカを言うな柊。いいか?」

 

和真に指を突き付けて、鉄人ははっきりと告げる。

 

鉄人「俺達教師は、お前たちに模範を示すべき存在だ。それなのに、向かってくる生徒を正面から受け止めもせずに、何を教えられるというんだ?」

 

そう言われた明久を含むFクラス一同は少し言葉を失ったようだった。

この教師が常日頃から体罰を行っているにもかかわらず、なぜ皆が教育委員会に訴えたりしないのかが明久達には少しだけ理解できた。そして、期待していた返答を聞けた和真はいつもの不敵な笑みを浮かべ、鉄人に向けて全力疾走した。

 

和真「そうか……。アンタが俺の担任で本当に良かったぜ!なら俺も遠慮はしねぇ!

 

この一撃に、俺の全てを賭ける!」

鉄人「来るが良い、柊!」

和真「西村センセ!アンタの土手っ腹抉ってやるぜ!走れ稲妻!」

 

射程距離に入った和真は目の前の敵を粉砕すべく、右足を振り上げ、シュート態勢に入る。鉄人はそれを見ても回避も防御もせず、腕を組みただただ仁王立ちしたままでいる。

 

和真「ライトニングタイガァァァアアア!!!」

 

ズガァァァァァァアアァァァン!!!

 

鉄人「ガハァッ!?」

 

コンクリート程度なら容易くぶち破れるような恐ろしい蹴りが鉄人に突き刺さる。

鉄人の口から胃液のようなものが飛び散る。

人を蹴ったときに出る音とは思えない稲妻のような轟音が、最初の衝突と同じように廊下全体に拡散する。

 

和真(手応えありだ!流石の西村センセでも-)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾクッ

 

和真(!?…………。……クソッ……)

 

天性の直感が和真の脳裏にいち早く危険信号を放つ。

 

瞬時に和真はこの後どうなるかを理解する。

 

理解したところで、和真には最早どうすることもできない。避けることは、許されない。

 

 

 

 

 

 

ガシィッ

 

西村「……うぉおおおおおおおおおお!!!」

和真(……ここまで、だな……)

 

ダァァァァァァアアアアアアン!

 

和真「かっ……は……っ!?」

 

鉄人は和真の渾身の蹴りを耐えきり、返す刀で和真の腕を掴み、完璧な一本背負いで勝負を決めた。受け身を取ったため怪我は見当たらないが、体内の空気を全て失ったかのように苦しむ和真。流石に相当なダメージを負ったのか、鉄人はふらつきながらも毅然とした表情を作り、倒れたまま起き上がれないでいる和真を真っ直ぐに見据え、静かに言い放った。

 

鉄人「……俺の………………勝ちだ……っ!」

 

 

 

 

 




蒼介「接戦だったが、惜しくも敗れたなカズマ」

綾倉「流石の和真君でも公式チート相手では厳しかったようですね」

和真「まあなそうだな。悔しいが、現段階の俺では勝つことは不可能と言って良い。負けないだけならどうとでもなるんだがな」 

徹「勝てはしないけど負けないことはできる?どういうことだい?」

和真「スピードも身軽さも俺の方が上だから、全力で逃走すれば西村センセでは追いつけない。少々気に入らねぇ戦法だがな」

綾倉「それにしても、和真君は高スペックの割に意外と黒星が多いですね」

蒼介「さらっと流しているが召喚獣もまた戦死したな」

和真「密かに気にしてることを……」



【ミニコント】
テーマ:落とし穴

明久「な、何でこんなところに落とし穴が!?というか深いな!?3メートルくらいあるよ!」

和真「(ヒョコ)俺が明久のために掘った落とし穴だ」

明久「和真!?何でこんなことを!?」

和真「明久、穴があったら入りたいってことわざはな、身を隠したいほど恥ずかしいって意味なんだ」

明久「へぇーそうなんだ。……だから!?」

和真「明久はほら、恥の多い人生だろ?」

明久「何て失礼なっ!?」
















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