バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

6 / 219
今さらですがこの作品は原作の試召戦争のシステムを少し変更していますので注意して下さい。

“読者層が似ている作品”になぜか姫路・島田アンチの作品ばかりが並んでました。解せぬ…


作戦会議

 

和真はひとまず飲み物を買いに購買に寄った後、明久達がいる屋上に足を運んだ。春風とともに訪れた陽光を肌で感じ、和真は無性にサッカーでもやりたくなり、試召戦争の後サッカー部に殴り込むことにする。参加できそうなメンバーでフォーメーションを考えているうちに屋上に到着した。

 

雄二「明久。宣戦布告はしてきたな?」

明久「一応今日の午後に開戦予定と告げて来たけど」

島田「それじゃ、先にお昼ご飯ってことね?」

雄二「そうなるな。明久、今日の昼ぐらいはまともな物を食べろよ?」

明久「そう思うならパンでもおごってくれると嬉しいんだけど」

姫路「えっ?吉井君ってお昼食べない人なんですか?」

 

明久達のやりとりを聞いた姫路が心配そうに訪ねる。朝ごはんならともかく、“昼食べない人間”なぞカテゴリー化するほどいない。ましてやそんな学生は明久のみだ。

 

明久「いや、一応食べてるよ」

雄二「……あれは食べていると言えるのか?」

明久「……何が言いたいのさ」

雄二「いや、お前の主食って……水と塩だろう?」

明久「なんて失礼な!僕を馬鹿にするにも程がある!きちんと砂糖だって食べているさ!」

姫路「あの、吉井君。水と塩と砂糖って、食べるとは言いませんよ……」

秀吉「舐める、が正解じゃろうな」

翔子「…吉井、苦労してる」

 

心なしか皆の目が妙に優しい。どちらかと言えばいつも彼らにぞんざいに扱われている明久であるが、今回に限ってはそのいたわるようなまなざしは余計に明久のハートを抉った。

 

和真「おーい明久、ほらよ」

 

Fクラス劇場を一通り楽しんだ後、和真は明久に飲み物のついでに買ってきた物を投げ渡す。

いでに買ってきた物を投げ渡す。

 

明久「わっ!もうなにさいきなり……こ、これは!カツサンド!」

和真「戦争中お腹が空き過ぎて倒れた、とかになったらギャグだろ?それやるからしっかりエネルギー補給しとけ」

 

笑いながらついでに飲み物(野菜ジュース)も投げ渡す。

 

明久「か……和真、ありがとう!僕は猛烈に感動しているよ!」

 

高校生にもなってカツサンドと野菜ジュースでここまで感動できるとは、なんともお手軽である…

 

雄二「相変わらずなんだかんだで他人に甘いな、お前は。飯代まで遊びに使い込むこいつが悪いんだからほっといてもいいのによ」

和真「別にいいだろ?こいつが我慢できるとは思えねぇし。自制心をどこか遠くに投げ捨ててきたようなバカだしな、こいつ」

明久「和真、先ほどとはうってかわって殺意が沸いてきたんだけど、一発殴ってもいいよね?」

和真「じゃあそれ返せ」

明久「申し訳ございません閣下」

 

“胃袋を握る”

相手を最も平和的に支配する方法の一つである。流れるように土下座する明久、哀れ。

 

姫路「あの、良かったら私がお弁当作ってきましょうか?」

 

明久「え?」

姫路がおずおずと声をかけ、明久は一瞬フリーズする。

 

明久「本当にいいの?二日連続で昼に塩と砂糖以外のものを

食べられるなんて、そんな贅沢許されていいの?」

和真「スラム街じゃねぇんだからよ……」

姫路「はい。明日のお昼で良ければ」

雄二「良かったじゃないか明久。手作り弁当だぞ?」

翔子「……雄二が望むなら今度私も作る」

雄二「それは構わないが怪しい薬とかは入れるなよ?」

翔子「………………………………………………

…………………………

………………………

…………………

………………

……わかった」

雄二「なんだ今の長い間は!?」

 

脳内で我々には想像もつかないような凄まじい葛藤でもあったのだろう。

 

島田「……ふーん。瑞希って随分優しいんだね。吉井“だけ”に作ってくるなんて」

 

露骨とも言える姫路の積極的なアピールにこれまたわかりやすすぎる焼き餅を焼く島田。「面白くありません」と顔に書いてある。

 

和真(これに気づかない明久も明久だよな。今もカロリー摂取のチャンスが失われる可能性に焦って島田のほう全く見てねぇし、やれやれ)

姫路「あ、いえ!その、皆さんにも……」

雄二「俺達にも?いいのか?」

姫路「はい。嫌じゃなかったら」

秀吉「それは楽しみじゃのう」

ムッツリーニ「…………(コクコク)」

翔子「……じゃあお言葉に甘えて」

和真「まあ期待しておく」

島田「……お手並み拝見ね」

 

本人も含めて八人分ともなると、かなりの重労働になる。それにもかかわらず姫路は嫌そうな顔一つせず笑顔で頷いた。

 

姫路「わかりました。それじゃ、皆に作って来ますね」

和真(なるほど、明久が惚れんのもなんとなくわかるな)

明久「姫路さん、今だから言うけど、僕、初めて会う前からキミのこと好き」

雄二「おい明久。今振られると弁当の話はなくなるぞ」

明久「……にしたいと思ってました」

和真「いやおかしいだろ!?どう誤魔化そうとしたらそうなる!?」

秀吉「それではただの変態じゃぞ…」

雄二「お前たまに俺の想像を越えた人間になるな」

明久「だって……お弁当が……」

和真「普通ならもうこの時点で距離を置かれてるぞ……」

 

告白と痴漢願望宣言、どちらがドン引きされるのかは悩む余地がない。まあ当の姫路はなんのことかわかってないのか、?マークを頭に浮かべているだけなのだが。

 

雄二「さて、話がかなり逸れたな。試召戦争に戻ろう」

秀吉「雄二。気になっていたんじゃが、どうしてDクラスなんじゃ?段階を踏んでいくならEクラスじゃろうし、勝負に出るならAクラスじゃろう?」

姫路「そういえば、確かにそうですね」

雄二「まあな、当然考えあってのことだ」

 

秀吉達の疑問を聞き雄二が作戦を説明し始める。

 

雄二「色々と理由はあるが、Eクラスを攻めない理由は戦うまでもない相手だからだ。明久、お前の周りにいる面子をよく見てみろ」

明久「え?えーっと…………美少女が三人と馬鹿が二人とムッツリが一人、戦闘狂が一人いるね」

雄二「誰が美少女だと!?」

明久「ええっ!?雄二が美少女に反応するの!?」

ムッツリーニ「…………(ポッ)」

明久「ムッツリーニまで!?どうしよう、僕だけじゃツッコミ切れない!」

和真「くだらねーことしてんじゃねーよ……話の腰折れちまったじゃねーか」

 

呆れ気味に言う戦闘狂。本来の和真はその物騒な評価に違わず専ら周りを振り回す台風のような存在なのだが、クラスメイトのあまりのバカさ加減に今のところ常識人枠に当てはまりつつある。

 

雄二「わりぃわりぃ。ま、要するにだ。姫路、和真、翔子がいるんだ。正面からやってもEクラスには勝てる。全く意味のない戦いだ。だがDクラスとなると正面からだと確実に勝てるとは言えない」

明久「だったら最初から目標のAクラスに挑もうよ」

雄二「初陣だからな。派手にやって今後の景気づけにしたいだろ?それに、さっき廊下で話したときに言いかけた打倒Aクラスの作戦に必要なプロセスなんだよ」

和真(流石にいきなりAクラスに突っ込むなんてバカなことはしねぇよな。さて、果たしてこいつはどんな作戦でAクラスに挑もうとしてんのかねぇ)

 

和真は雄二のとっておきの策略がいったい何なのか楽しそうに熟考していると、姫路が珍しく大きな声で話を切り出す。

 

姫路「あ、あの!」

雄二「ん?どうした姫路」

姫路「えっと、その。さっき言いかけた、て……吉井君と坂本君は、廊下で試召戦争について話し合ってたんですか?」

雄二「ああ、それか。それはついさっき、姫路のためにって明久に相談されて-」

明久「それはそうと!」

 

ナイスインターセプトpart3。雄二が言いかけた話の内容を姫路に知られることは、年頃の高校生にとっては苦行に等しい。

 

明久「さっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味がないよ」

雄二「負けるわけないさ。お前らが協力してくれるなら必ず勝てる」

 

勝利を確信していると言わんばかりの自信に満ちた笑顔で雄二は言う。

 

雄二「いいか、お前ら。ウチのクラスは……最強だ」

 

根拠のない言葉なのに、何故かその気になってくる。雄二の言葉にはそんな力があった。

 

島田「いいわね。面白そうじゃない!」

秀吉「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの!」

ムッツリーニ「……(グッ)」

明久「僕達は絶対に勝つ!」

姫路「が、頑張りますっ!」

翔子「…雄二は私が守ってみせる!」

和真「なら俺は勝利の道を切り開いてやるよ。

俺達の命運、お前に預けるぜ!」

 

雄二「……そうか!それじゃ、作戦を説明をするぞ!」

 

 

 

 

〈文月学園におけるクラス設備の奪取・奪還および召喚戦争のルール〉

 

一、原則としてクラス対抗戦とする。各科目担当教師の立ち会いにより試験召喚システムが起動し、召喚が可能となる。

二、召喚獣は各人一体のみ所有。この召喚獣は、該当科目において最も近い時期に受けたテストの点数と去年の二学期の心理テスト力の結果によるタイプによって『攻撃力・機動力・防御力』が決定される。(例・攻撃重視なら攻撃力が伸びやすく防御力と機動力が少し伸びにくい)

三、召喚獣が消耗するとその割合に応じて点数も減算され、戦死に至ると0点となり、その戦争を行っている間は補習室にて補習を受講する義務を負う。

四、召喚獣はとどめを刺されて戦死しない限りは、テストを受け直して点数を補充することで何度でも回復可能である。

五、相手が召喚獣を呼び出したにも関わらず召喚を行わなかった場合は戦闘放棄と見なし、戦死者同様に補習室にて戦争終了まで補習を受ける。

六、召喚可能範囲は、担当教師の周囲半径10メートル程度(個人差あり)。

七、戦闘は召喚獣同士で行うこと。召喚者自身の参加は反則行為として処罰の対象となる。

八、戦争の勝敗は、クラス代表の敗北をもってのみ決定される。この勝敗に対し、教師が認めた勝負である限り、経緯や手段は不問とする。あくまでもテストの点数を用いた「戦争」であるという点を常に意識すること。

 




ようやく次回から試召戦争が始まります。
予定ではここまででBクラス戦前まで進めるつもりだったのに、まだDクラス戦すら始まってません。
スケジュールは計画的にしないといけませんね……
では。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。