・和真君が本編よりずっとやりたい放題です
・今回蒼介君はナレーションに徹します
・雄二はずっとツッコミです。オールウェイズツッコミです。エンドレスツッコミです。エターナルツッコミです。
ここはモンスリー王国
人々は平和に暮らし、大地は豊かな緑に覆われ空には鳥が舞い、穏やかな風が綿雲を運んでいた
だがある日、空に闇が滲み、大地に邪悪な影を落とした
大魔王カヲルシフェルが永き眠りから目覚めたのだ!
次々に魔物を生みだし、人々を襲い殺戮の限りを尽くした
この世界は暗黒の時代を重ね、いつしかこう呼ばれるようになった……
“モンスター・ワールド”
残された人々は脅え、泣き叫び、己が生を呪った
だが、そこに一人の勇者が立ち上がった
希望の光を剣に宿し、三人の仲間を連れた勇者一行は、カヲルシフェルを倒すべく今日もカオール城に向けて旅立った!
ユージ(勇者)「……なあお前ら……ちょっといいか?」
カズマ(プロゴルファー)「あん? どうした?」
ショーコ(マッチ売りの少女)「……まだ町を出て10分も経ってない」
アキヒサ(ピザ屋)「何か忘れ物? 今ならまだ間に合うけど」
ユージ「明らかに常識っつう概念を忘れてるよなこのパーティー。本当に今ならまだ間に合うのか?」
カズマ「要領得ねぇな、もったいぶらずにさっさと言えや」
ユージ「じゃあ遠慮無く言わせて貰うが……
お前等のジョブおかし過ぎるだろ!」
アキヒサ「えぇ!? またその話!?」
ショーコ「……ユージ、いい加減しつこい」
ユージ「いやいやいやいやいやいやいやいや!
前回はツッコミ疲れて思わず流してしまったが明らかにおかしいだろうが! プロゴルファーにマッチ売りの少女にピザ屋? それでどうやって闘えって言うんだよ!?」
アキヒサ「そんなこと言ったって前回職業変えまくったせいでもうお金が無いよ?」
カズマ「つーわけだ、とにもかくにもまず金を工面しねぇとな」
ユージ(チィ……まさか冒険開始する前に所持金が無くなるとはな……仕方ねぇ、ここはモンスターを倒してコツコツ稼ぐか。まあまだ序盤だし、俺一人でもどうにかなるだろ)
チャララ~ン♪
カズマ「おっ、モンスター出現の合図だな」
ユージ「その効果音、実際にあんのな……最初だし、どうせスライムとかだろ-」
【ジェノサイドサイクロプスの群れがあらわれた! ▼】
颯爽と出現したのは五体のまさに『モンスター』と呼ぶべき、ライトノベルの世界観とはまるで合わないアメコミに出てきそうな化け物ども。
三メートルほどの筋骨隆々の肉体に、返り血が付着して所々錆びた棍棒を片手に持ち、血走った一つ目でユージ達を睨んでいる。
「「「「「アゥウウウーッ! コ……コロス……コロシテヤルゾォォォォォォォォ!」」」」」
ユージ「なんでだァァァァァァァァァ!!!」
勇者ユージの全力のシャウトが戦場にこだました。
カズマ「出やがったなモンスター! (五番アイアンを構える)」
ユージ「待てェェェェェ! お願いだからちょっと待てェェェ! おかしいだろ!? なんであんな中ボスみたいな奴が団体で襲ってくるんだよ!?」
カズマ「戦闘中にそんなチンタラ説明してる暇あるわけねぇだろ! 四の五の言わず行けコラ!(ドゴォオオオ!)」
ユージ「ごふぁっ!?」
カズマの理不尽で不条理な蹴りを喰らって、ユージは敵のすぐ近くまでぶっ飛ぶ。
【カズマのキック! かいしんのいちげき!ユージに46のダメージ ! ▼】
カズマ「あ、いけね」
ユージ(2/48)「「いけね」じゃねぇよ「いけね」じゃああああああ! どうすんだよオイ!? 敵と戦う前にもう瀕死じゃねぇか!?」
カズマ「負けるな雄二ー。ほらお前あの、『勇者の力』的なもんでなんとかしろー」
ユージ「なにそのアバウト過ぎる助言!? あと俺のこと瀕死にしておいてなんでそんなふてぶてしいのお前!? 」
カズマ「あーそういうのもういいからさっさとやれよ」
ユージ「チクショウこのサディスト最悪だ! お前後で覚えてろろよぉおおおおお!」
半ば自棄になりながらも、勇者ユージは剣を構えサイクロプスの一体に斬りかかった。
A「シネェエエエエエ!」
ユージ「もうヤケクソだゴルァアアアアア!」
ズバァアアアアアアアアアアン
【ユージのまものぎり! ジェノサイドサイクロプスAに18のダメージ! ジェノサイドサイクロプスAをたおした! ▼】
ジェノサイドサイクロプスはユージの剣によってまるで豆腐のように真っ二つにされた。
ユージ「…………………………………………あれ?
(予想以上に弱かったァァァァァァァァァァ!
なんだあの見かけ倒し!? 内心びびってた俺がバカみたいじゃねえか! )」
『【まもの図鑑】ジェノサイドサイクロプス(HP15)……とても屈強に見える肉体を誇る見かけ倒しの究極形。その強そうな見た目と裏腹に、村娘でも頑張ればなんとかなるレベル。ちなみに手に持っている棍棒の血は単なる絵の具である。ベンチプレスはまさかの50㎏』
カズマ「…っつうわけだ。序盤にそんな強い奴出るわけねぇだろ」
ユージ「お前絶対わざと黙ってただろ! ……まあいい、あれなら俺一人でもなんとかなるな。 よし、お前らは危ないから下がって-」
カズマ「オイオイ、なに寝惚けたこといってんだよ。俺達はチームだぜ? なぁショーコ、お前の力を見せてやれ」
ショーコ「……わかった」
【ショーコはジェノサイドサイクロプスBに近づいていった ▼】
ユージ「おい危ねーぞ!? いくら雑魚敵とはいえ職業『マッチ売りの少女』でどうにかなるわけ-」
ショーコ「……無限の火器製(アンリミテッド・ブレイズワークス)」
ブォオオオオオオオオオオ
【ショーコのかえんほうしゃ! ジェノサイドサイクロプスBに56のダメージ! ジェノサイドサイクロプスは倒れた! ▼】
ショーコはどこからともなく取り出したガスバーナーでサイクロプスを火炙りにした。
ユージ「いや待てェェェェェ!? おかしい! 俺に知っているマッチ売りの少女はそんな物騒な物常備していない!」
ショーコ「……私はガスバーナーに限らず、古今東西ありとあらゆる火器を創造することができる」
ユージ「うんお前もう職業名改名しろ、放火魔とかに」
ショーコ「……いくらユージでも言って良いことと悪いことがある(ジャコッ)」←ガスバーナーを向ける
ユージ(瀕死)「待て! 落ち着け! 今はそんな場合じゃない! 俺が悪かった! 命だけは!」
カズマ「ショーコ、ストップ。次の町まで棺桶引きずっていくのは流石にめんどい」
ショーコ「……わかった」
ユージ「おいカズマ、助けてくれたことには礼を言うがお前俺のこと1ミリも心配してねぇだろ」
カズマ「? 当たり前だろ?」
カズマがショーコを止めた理由は紛れもなく純度100%自分の都合のみを考慮してである。
CDE「ウガァアアアアア!」
カズマ「-っと、まだ戦闘中だったな!
アキヒサァ!次はお前の力を見せてやれ!」
アキヒサ「オーケィ!」←ピザを手のひらに乗せる
ユージ(それでどうやって戦うんだよ!? ……いや、もしかするとこいつもショーコみたく隠し玉が……?)
アキヒサ「さぁいく(ドゴォォォ!)ずぅぶらぁぁ!?」
【ジェノサイドサイクロプスCのこうげき!アキヒサに6のダメージ ! ▼】
C「イマシネェ!」ドカバキドゴォ
D「スグシネェ!」ドカバキバァン
E「ホネマデクダケロォ!」ドカバキグチャ
アキヒサ「ちょ…!? やめっ!? 待って!? ストッ……ひでぶっ!?」
【ジェノサイドサイクロプスCのこうげき!アキヒサに6のダメージ! ジェノサイドサイクロプスDのこうげき! アキヒサに6のダメージ! ジェノ(ry ▼】
アキヒサ「」チーン
【アキヒサはしんだ! ▼】
ユージ「ああ、やっぱりか。うっすら予想はしてたけどやっぱりこうなるか。どこの世界だろうとアキヒサはアキヒサか、糞の役にも立たねぇ」
カズマ「多分読者の大半もこの展開予想できただろうな」
仲間が死んだのにもかかわらずこの冷めきった対応
世界が変わっても人間関係は変わらないらしい
カズマ「……んじゃ、そろそろ終わらせてくるわ」スタスタ
そう言って五番アイアンを構えてモンスター達に近づいて行くカズマ
カズマ「くたばれぇえええええ!(ドゴァァァァァァアアアァァァン!!!)」
CDE「!!?」
【カズマのなぎはらい! かいしんのいちげき! サイクロプスCに82のダメージ! サイクロプスDに96のダメージ! サイクロプスEに101のダメージ! まものはぜんめつした! いちどうはけいけんちをもらった! ▼】
カズマのゴルフクラブがクリティカルヒットし、ジェノサイドサイクロプス達はみんな仲良く星になった。
カズマ「よーし、いっちょあがりィ! (アイコンタクトでショーコに合図する)」
ショーコ「……パパラパーパーラーパッパパー ♪(FFのファンファーレ風)」
ユージ「色々とツッコみたいところはあるがとりあえず…………そんなんあるなら最初からやれよ!」
カズマ「まーいいじゃんいいじゃん! ともかく初戦闘も切り抜けたことだし冒険を再開すんぞ! ユージ、あれ運べ」↓
アキヒサ(棺桶)「返事がない。ただのバカのようだ」
ユージ「いやなんで俺なんだよ!? お前がもたもたしてるからこうなったんだからお前が運べよ!」
カズマ「俺箸より重いもん持てないしー」
ユージ「じゃあそのこれ見よがしに担いでる五番アイアンはなんなんだよ!? ったく…………あれ?」
ショーコ「……ユージ、どうしたの?」
ユージ「モンスター倒したのになんでお金落とさないんだ?」
カズマ「はぁ? あんな害獣どもがそんな文明のシステム取り入れているわけねーだろ」
ユージ「いやなんでだよ!? だったらお金どうすんだよ!? このバカの蘇生とか武器の調達とか宿の確保とかは!」
カズマ「金は地道に稼ぐもんだろ。アキヒサはピザのバイト、ショーコはマッチ売り、俺はカツアゲ」
ユージ「お前はゴルフだろ!?」
カズマ「冗談だ。それよりお前もなんか働けよ、一人だけ楽しようったってそうはいかねぇ」
ユージ「どう考えても俺が一番しんどいポジションなんだが……それに仕事っつったって俺勇者だぜ? 魔物退治が本業なのになにやればいいんだよ?」
カズマ「あーやだやだ、『魔物を退治することが俺の使命だから仕事なんぞ探している暇はねぇ』ってかぁ? やれやれ、これだから穀潰しは…」
ユージ(いつかこの勇者の剣でぶった斬ってやる)
カズマ「まあ安心しろ、お前のバイト先はもう俺が決めておいた。すぐ近くだから今から行くぞー」
ユージ「なぜだろうな? 嫌な予感しかしないんだが」
ゲンタ「働け働け(ピシピシッ!)」
ユージ「痛っ……痛ぁっ!?」
ユージはカズマにとある施設に強引に連れて行かれた後、現在進行形でコワモテの監視員に無知で背中を打たれ、自分と同じくらいの大きさの立方体の石を延々と運ばされていた
カズマ「頑張れー、ゴールはすぐそこだぞー(モグモグ)」
ショーコ「……ユージ、頑張って(モキュモキュ)」
カズマとショーコはドーナツを頬張りつつユージについていく
ユージ「いやこれなんのバイトォォォォォ!?」
勇者一行の旅はまだまだ続く
以上です。
この回が一番書いてて楽しいな。
(プチ)キャラ紹介
・ユージ(レベル5・HP48)
ジョブ…勇者
スキル…ツッコミ(あらゆるボケにツッコむ)、勇者の力(詳細不明)
主人公にして苦労人。この世界観ではツッコミは彼一人のみなので、全てのボケを処理する運命を背負わされた悲しき戦士。今日も胃薬片手に抜け毛を気にしながらユージはモンスターやボケを次々と捌いていく。
・カズマ(レベル5・HP300)
ジョブ…プロゴルファー
スキル…スーパークリティカル(攻撃が全て会心の一撃になる)
ユージのストレスの原因その1。
世界観が割と世紀末なため、本編とは比較にならないほどやりたい放題している。誰がどう見てもぶっ壊れのスキルとステータスをしており、その戦闘能力は勇者一行の中でも突出している。ただ非常に気まぐれなため、真面目に戦闘することはあんまりない。
・ショーコ(レベル5・HP40)
ジョブ…マッチ売りの少女
スキル…無限の火器製(火に関係した器具ならどんな物でも創造できる)
ユージのストレスの原因その2。
職業はマッチ売りの少女だが原型はまるで残っていない。
ユージへ好意を寄せているのは本編と同様だがマンネリ化を避けるため割と淡白な間柄に修正された。カズマに匹敵するチートスキルを持っているが武器の性能上一つ一つしか使えないためいっぱい創造してもあんまり意味無い。
余談だが彼女の職業がマッチ売りの少女なのは、作者が『マッチ売りの翔子』なんてクソ寒いダジャレを思いついたことが原因。
アキヒサ(レベル1・HP20)
ジョブ…ピザ屋
スキル…バカ(バカである)
言わずと知れたバカテスの主人公。
ただ、上記のステータス然り真っ先に殉職したこと然り、
この世界での彼の扱いは決して良くない。
カッコいい明久などいなかった。
ちなみに強さ比較は現在、
カズマ>>>>>>>>>>ショーコ>>>>>ユージ>>>《越えられない壁》>>>アキヒサ
だったりする。
アキヒサに恨みはこれといって無い。
だから生きろ。