バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【バカテスト・生物】
単細胞生物の例を答えなさい。

姫路 瑞希の答え
『アメーバ』

蒼介「正解だ。特に言うことは無い」

吉井 明久の答え
『坂本 雄二』

坂本 雄二の答え
『吉井 明久』

徹「相変わらずだね君達は(まあ僕もこの問題は源太って答えたんだけど)」

蒼介「ちなみに源太はこの問題は徹だと答えたようだぞ」
(源太の答案を見ながら)

徹「あんのチンピラがぁあああ!ふざけやがってぇえええ!」

蒼介「お前も人のこと言えないだろうが馬鹿者」(徹の答案を見ながら)



第二巻終了

学園長「始めますじゃないよバカタレ。なんだいこの状況は?」

 

周囲のスーツを着た人間を見回してから、綾倉先生の隣に座っている藤堂カヲル学園長は不機嫌そうに告げる。

それに同意するように、学園長の隣に座っている栗色のオールバックの、聖杯に青龍の刺繍が胸元に施されたスーツを着た、少々いかつい顔つきの中年男性はうんうんと頷く。

 

綾倉「はて? 学園長と桐谷社長は何かご不満でも?」

 

いかにもわざとらしく首を傾げる腹黒糸目栗毛眼鏡と属性のバーゲンセール状態の学年主任。

桐谷と呼ばれた男は溜め息を吐いた後、ジロリと他の三人を見回してから再び綾倉先生の方を向き、重々しく口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桐谷「なぜ、私以外の企業のトップは今回の重要な会議にもかかわらず揃って欠席しておるのだ?」

 

そう、この会議に出席した企業のトップは桐谷 蓮(キリタニ レン)一名のみであり、その他は三企業とも代理の人間だったのだ。

 

綾倉「ふむ、言われてみればそうですね。一応理由も聞いておきましょうか。では、鳳婦人は何か知っていますか?」

 

綾倉は隣にいる藍色のセミロングの、剣に朱雀の刺繍が施されたスーツを着ている女性に事情を聞く。

 

この女性は蒼介の母であり秀介の夫である鳳 藍華(オオトリ アイカ)。蒼介は父親似なので顔立ちに面影はあまりないが、こちらもかなり整った顔立ちをしている。

ちなみに料亭『赤羽』の経営者兼料理長であり、蒼介や姫路の料理の師匠でもある。

 

藍華「会長はどうやらここに来るまでの道のりを間違えたようで、現在なぜか青森にいるそうです…」

 

やや疲れたように藍華が事情を説明すると、綾倉先生を覗いた全員が呆れたように溜め息を吐く。

 

桐谷「…………また、かね?」

藍華「また、です…………」

学園長「あんの天然ボケは…………いい加減秘書でもつけとくよう、後で言っといてくれるかい?」

藍華「承りました。後できつく言っておきます」

 

それぞれの様子を見るに、どうやら常習犯らしい。天性の方向音痴、ここに極まる。

 

綾倉「あっはっはっはっは、あの人は相変わらずですねぇ……では、橘社長はどうしてですか?」

 

綾倉は秀介がいつも通りであることを確認した後、藍華の隣に座っている金髪の青年に話を振る。この青年が着ているスーツには、金剛石に白虎の刺繍が施されている。

 

彼は“橘”の次期跡取りであり飛鳥の兄、橘 光輝(タチバナ コウキ)。現在イギリスのケンブリッジ大学に留学しているのだが、父親の代理としてわざわざ来日してきたらしい。

 

光輝「…………『激辛! お汁粉スパゲティ』の開発に忙しいから代わりに出ておいて欲しい、と父に言われこの会議に出席致しました」

桐谷「なんだその理由は!?」

 

光輝が心底申し訳なさそうに説明すると、あまりに納得できそうにない理由に思わず声を荒げてしまう桐谷社長。

 

桐谷「……奴が常日頃“新しいもの”とやらの開発に余念が無いことは知っている……だが! 重要な会議をさぼっていい理由にはならんだろう!

大体なんだその商品!? 甘いのか辛いのか和風か洋風かハッキリしたまえよ!」

光輝「……仰る通りですね。父に代わって謝罪いたします、誠に申し訳ございませんでした」

 

そう言って深々と頭を下げる光輝。こちらも妹同様礼節を重んじる性格のようだ。

 

桐谷「……いや、君を責めるつもりはない。こちらこそ取り乱してすまなかった」

 

光輝の真摯な態度に溜飲が下がったらしく、桐谷社長も謝罪する。

 

学園長「この件はあのバカタレに問い詰めるからあんたが気に病む必要は無いさね」

桐谷「その通り、悪いのは全部あの馬鹿だ」

 

しかし橘社長の愚行を許したわけでは無いようだ。学園長もかなりキレているらしく、額に青筋が浮き出ている。

 

桐谷「……………それはそうと、御門社長はなぜ出席してないんだ? 桐生君」

 

今日一番不機嫌な声で隣の桐生と呼ばれた、眼鏡がトレードマークの茶髪ロングストレートの女性に話しかける。

ちなみにこの女性が着ているスーツには三つ葉に玄武の刺繍が施されている。

桐生と呼ばれたこの女性は肩身が狭そうにしながらおずおずと口を開いた。

 

 

 

桐生「…あの~……その~……えぇっとですね……先程、『めんどくさいからサボる』と私の携帯にメールが……」

 

 

ブチィイイイ!×2

 

 

 

 

消え入りそうな桐生の声を聞き、しばらくの間沈黙が続いたが、突如何かが切れる音が二回ほど聞こえたような気がした。

その音とともに、どす黒いオーラを身に纏った桐谷社長と学園長の二人が席から立ち上がり、息を力強く吸い込んだ後、可能な限りシャウトした。

 

 

 

 

「「あん、の、クソガキがぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼓膜をぶち破りかねない大音響が生徒会室を縦横無尽に暴れ回った後、なんとか二人は冷静さを取り戻した。

ちなみに生徒会室は完全防音のため外にこの雑音は漏れていない。その分、内部に物凄く反響したのだが。

 

学園長「……まぁ、あのクソジャリをブチ殺すのはまたの機会にするとしようかね」

桐谷「……そうだな…………もうやだあいつ等……なんで世界的企業のトップが揃いも揃ってあんなんなの……」

 

やはり冷静になっただけで学園長の怒りは消えていないらしい。一方で、自分と同格の三人が色々とアレな人ばかりな状況に、桐谷社長の心が折れかけている。

 

綾倉「気を取り直して、では今回のテーマは昨日行われた清涼祭、そして10月に行われる例の祭典についてです」

桐生「……わかった。話を進めてくれ」

 

しかし、いざ議題に入るとそれぞれが真剣な顔つきに戻る。さすご企業のトップ及びその代理、プロ意識が伺える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾倉「―以上で今回の会議は終了です。お疲れさまでした」

 

綾倉先生がそう告げると、桐谷社長、光輝、藍華、学園長は予定が詰まっていると言わんばかりに慌ただしく生徒会室から出ていった。綾倉先生も生徒会室の鍵をテーブルに置いてさっさと出ていってじった。

一人生徒会室に残った御門エンタープライズの代役・桐生 舞(キリュウ マイ)はハイライトの消えた眼でおもむろに携帯を取り出した。

 

桐生「…………あんのボケェエエエ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は17時前、吉井 明久はへとへとになりながら帰宅していた。

 

明久「あぁ疲れた~……高校生にもなってあそこまで鬼ごっこで楽しめるの、和真達ぐらいだよね……」

 

本日特に予定も無かったので、明久は『アクティブ』のメンツと鬼ごっこをしていた。その際和真に執拗に追いかけ回され、明久は体力を0にまですり減らしてしまいましたとさ。

全力で走ればなんとか逃げ切れるレベルのスピードで追いかけじわじわといたぶってくる和真は、ごっこではなく“鬼”そのものであった。

 

明久「 ……それにしても何で姫路さんは昨日のこと忘れているはずなのに僕の呼び方は変わってたんだろう? ……まぁいいか、っと……河原かぁ………………あっ!?」

 

そうこうしている内に家の近くにある河原まで来ていた明久は、見覚えのある人がベンチに腰かけ缶のコーンポタージュを飲みながら一服していたので、その人に近づいていった。

 

明久「おっちゃん、久しぶり!」

おっちゃん「んあ? ……よう少年、相変わらずアホ面だなぁお前さん」

明久「出会い頭に罵倒された!? しかもこんな小汚いおっちゃんに!」

おっちゃん「相変わらず遠慮が無いな、お前さんも」

 

やれやれと首を振ったあと後、缶の残りを一気に飲み干した。ちなみにおっちゃんの周りには空になったコンポタの缶が数個散らばっていた。

 

明久「……というかなんでこの時期にコンポタ?」

おっちゃん「『つめた~い』に決まっているだろうが馬鹿め」

明久「そういう問題!?」

 

いやはや、相も変わらずフリーダムなおっちゃんである。周りの人間を無差別に振り回す性格は、どことなく和真に通ずるものがある。

 

明久「……一昨日はありがとうございました」

おっちゃん「あん? ……あー、あれか。俺は頼まれてやっただけだからお礼はk…綾倉にでも…………いや、あのボケに言うくらいならやっぱ俺に言え、ひれ伏せ崇め奉れ」

明久「いやどっち!?そもそも 流石にそこまではしないから! 」

おっちゃん「冗談だ……1割くらいは」

明久「残りの九割は!?」

 

その後もいくつか話をした後、明久は自分の家に帰っていった。

 

御門「……以前見たときよりマシな面構えになったな、吉井の弟」

 

感慨深く呟いた後、煙草が切れたのでいつものように自販機に向かう。しかし小銭を入れる前にポケットから着信音が鳴り響いた。おっちゃんは軽く舌打ちしてから、もう片方のポケットから耳栓を取り出して両耳につけた後、携帯の通話ボタンを押した。

 

おっちゃん「はいもしm―」

『どこほっつき歩いてやがんだゴルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』

 

河原全体を凄まじい爆音が暴れ回る。、その辺にいた鳩は皆空に羽ばたいていき、河の魚はばしゃばしゃと音をたてて散り散りになっていった。

 

おっちゃん「ぎゃあぎゃあうるせぇな、近所迷惑考えろキュウリ」

『桐生だボケェェェ! つぅかテメェは少しは私の迷惑を考えろ、しばき回すぞおんどれぇぇぇぇ!』

おっちゃん「そうカッカすんなよ、綺麗で瑞々しくて緑色の肌が荒れちまうぞ?」

『だからキュウリじゃないって言ってるでしょうが!

……いいですか! あなたはもう少し御自身の立場と言うものを―』

おっちゃん「あーうぜぇ(ピッ)」

 

前と同じように強引に通話を切り、これまた同じように電源を落とす。

 

おっちゃん「ったく……俺にあんな会議出る気があるとでも思ってんのかねぇ、舞の奴は」

 

あまりにも身勝手なことを呟いた後、おっちゃんは煙草を購入してそのまま一服した。すると、

 

 

ピリリリリリリリリリリリリリリリ

 

 

持っているもう一つの携帯から着信音が鳴り響いた。

おっちゃんは急に苦虫を噛み潰したような表情になり、鬱陶しそうに通話ボタンを押した。

 

おっちゃん「…………なんか用かコラ」

『いきなり随分喧嘩腰ですね、御門 空雅(ミカド クウガ)社長。いやはや、私も嫌われたものだ』

おっちゃん「御託はいらねーよ。今度はどんな厄介ごと押しつけるつもりだ」

『ふむ、それもそうですね。実は―』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『―では頼みましたよ、御門社長』

おっちゃん「二度とかけてくんじゃねー」ピッ

 

内容を聞き終えると、おっちゃんは乱暴に通話を切った。

二本目の煙草に火を着けながら呟く。

 

御門「はたしてテメーの思い通りに進むかねぇ……腹黒糸目野郎」

 

 

 

 

 




雑談コーナー・その2

蒼介「第二巻も無事終了したな」

和真「今回は召喚大会にリアルファイトと、バトル三昧だったな」

蒼介「ほとんどお前がやりたい放題やっていただけだがな。特に召喚大会は撃墜数がなんと11体と、徹の存在意義が疑問視されるほどだしな」

和真「といっても明久には負けちまったし、梓先輩は徹のサポート込みでなんとか相討ちにできただけだけどな」

蒼介「あの先輩が参加するなら私も出て良かったのでは? ……まぁいいか。カズマ、そろそろゲストを呼んでくれ」

和真「あいよ! じゃあ今回はチンピラ帰国子女の五十嵐 源太を呼んだぜ!」

源太「……その紹介にも文句を挟みてぇがとりあえずそれは置いておく。俺様はテメェ等(と作者)に言いてぇことがある」

蒼介「? 何か不満な点でもあるのか?」





源太「なんでこの巻俺様の出番オールカットなんだよ!? おかしいだろオイ!」

和真「あぁ、やっぱそれか。まぁドンマイー」

源太「なにその投げやりすぎる慰め!? さてはテメェ心の中でどうでもいいとか思ってるな!? 」

和真「まぁそうだけど」

源太「少しは躊躇えよ! ……というかわざわざ原作ではAクラスに行くシーンをわざわざBクラスにチェンジしたのになんで俺様が出ねぇんだよ!?」

和真「いやお前その顔で接客なんてしてみろ、子ども泣くぞ?」

源太「人の顔をなまはげみてぇに言うんじゃねぇよ!
……まぁ百歩譲ってクラスの出し物に参加できねぇのは良いとしてもよ、召喚大会で出してくれてもいいじゃねぇか……金田一とか原作ではモブ同然の奴出すくらいならよぉ……」

和真「いやいや、だってお前ぼっちだから相方いねぇじゃん」

源太「ぼっち言うな!」

蒼介「余計な補足かもしれんが、『アクティブ』のメンバー以外の絡みが根本くらいしか無いな」

源太「本当に余計な補足だよチクショオオオ!
……ん? だったら『アクティブ』の誰かと組めば-」

和真「だから無理なんだって。優子や愛子と組ますわけにはいかねぇし、ソウスケが参加すれば俺達詰むし、徹は俺とペアだし……」

源太「それェェェェェ! 俺がツッコミたいのはそこ! なんであのクソチビがテメェの相棒ポジなんだよ!? あいつ前巻でも割と出番あったんだからそこは俺様でも良かっただろ! 断固納得できねぇ! なんだこの格差は!? 」

和真「いや、だってお前の点数……英語以外基本的にカスじゃねぇか」

源太「カス!?」

蒼介「設定では英語以外はCクラス上位程度だな。そこまで酷いこともないがカズマの相棒としては少しばかり見劣りする点数ではある」

和真「今お前と組んで出場したとしてシュミレートしたが、一回戦の愛子・佐藤ペア(数学)に負けてはいおしまい、だな」

源太「orz」

和真「まあそう落ち込みなさんな、お前の本格的な出番は三巻だからな」

源太「そうかそうか! だよなー俺様がこのまま出番も無く消えていくはずねぇもんな!」

和真・蒼介(単純過ぎる……)


和真「まぁ正直源太の今後なんざどうだっていいんでこの話は捨て置いて、読者発案番外編を発表するぜ」

源太「おいテメェどういうことだ!? 今なんつった!?」

和真「うるさい黙れ話の腰折るなこの悪党面両腕千切られてぇのかドブネズミみてぇなカラーリングしやがって……さて、今回採用されたのは~」

源太「なにこの投げやりかつ毒のある対応……俺様何かした?」

蒼介「諦めろ。カズマは興味の無いことは物凄く雑に処理する悪癖がある」

和真「怪盗キッドさんの『女装コンテスト』だ!」

源太「随分無難なチョイスだな。……あ? 確かもう一つ案があったような…」

和真「あー、“蒼龍”さんの案についてだが……」

蒼介「とりあえずストーリーは組み上げたのだが、話の展開に必要不可欠なキャラがまだ登場してないので、この案は先送りとなった」

和真「……つーことで“蒼龍”さんすまねぇ! ボツになったわけじゃねぇから気長に待っててくれ!」



源太「……とまあ今回はこんなところか?」

蒼介「そうだな。次回からは番外編三つ挟んだ後、3.5巻に突入する」

和真「番外編一発目は大人気につき続編決定した『伝説の勇者ユージの冒険』だ!」

蒼介「この話は作者もお気に入りだからか、本編と並列で連載しようと魔が差したこともあるらしい」

源太「確実に投稿ペース落ちんじゃねぇか……」

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