次の()に適語を入れ、ことわざを完成させなさい
塵も積もれば()
柊 和真の答え
(山となる)
蒼介「正解だ。特に言うことは無い」
島田 美波の答え
(大和成る)
徹「随分大層な物が出来上がったね」
木下 秀吉の答え
(邪魔になる)
蒼介「…………確かにそうだが……」
吉井 明久の答え
(DUSKINに依頼)
徹「業者呼んでんじゃねぇよ馬鹿」
《日本史》
『Fクラス 吉井 明久 102点
VS
Fクラス 柊 和真 146点』
点数をAクラスレベルにまで昇華させた明久の召喚獣は以前までのような貧弱なスペックではない。
明久に比べれば操作技術が未熟な和真では、あのような巨大な槍で闘えば隙を突かれて敗北する可能性は決して低くない。
和真は先日の佐伯梓との闘いで、自分がまだ槍を十全に扱えていないことを自覚していた。
故に、躊躇無くへし折った。和真は一見大雑把に見えて、相手の勝てる要素を念入りに潰していく慎重さを備えているのである。
和真「オラァァァ!」
先手必勝とばかりに、〈和真〉は高速で接近しながら短くなった槍を片手で横に薙ぐ。
明久「そんな単純な攻撃なんか……!」
直線的としか言いようがない雑な攻めだが速度は申し分ない。おそらくは大半の二年生相手には通じるだろう。しかし操作技術、特に敵の攻撃を回避することに長けた明久からすれば児戯に等しく、〈明久〉は余裕綽々としゃがんでそれをかわし、
和真「甘ぇよ!」
明久「ぐっ……!?」
もう片方の拳を喰らって吹き飛ばされた。
《日本史》
『Fクラス 吉井 明久 79点
VS
Fクラス 柊 和真 146点』
まともに喰らったのにもかかわらず、〈明久〉にはほとんどダメージが無い。〈明久〉は〈徹〉のような防御を重視したスペックというわけではではなく、これにはちゃんとしたからくりがある。
拳を喰らう直前に〈明久〉は即座に木刀でガードし、さらに先程和真がしたように自分から後ろに飛ぶことで勢いを軽減したのである。この僅かな時間の間にそれだけの芸当ができるのは、生徒では明久、梓、高城ぐらいであろう。
逆にそれだけのことをしてなおダメージを喰らってしまうほど、〈和真〉の攻撃力は凄まじいということなのだが。
和真「休んでる暇は無ぇぞオラァ!」
本気になった和真に守りや様子見、搦め手などの回りくどい選択肢は無い。〈和真〉は一瞬で距離を詰め、容赦なく槍を振り下ろす。
明久(それなら受け流せば…)
さっきと同じように、〈明久〉は木刀を使って槍の力を受け流した。そして同じように槍は地面に激突した。
そして〈明久〉は、〈和真〉の手刀を頭に喰らい転倒した。
明久(痛ぅっ…!? や、やばい!)
和真「とどめだ!」
そのまま〈和真〉は倒れた〈明久〉に蹴りをお見舞いしようとして、
明久「負けるかぁあああああああ!」
和真「なっ!? このっ……!」
転倒した状態の〈明久〉に足払いされて同じくすっ転んだ。そして先に体勢を立て直した〈明久〉は即座に〈和真〉から離れる。〈和真〉は倒れたまま追い討ちに槍を横に薙いだが、間一髪のところで回避できた。もし明久が距離をとることではなく攻撃を選択していれば、まず間違いなくここで終わっていただろう。
《日本史》
『Fクラス 吉井 明久 18点
VS
Fクラス 柊 和真 135点』
しかし明久の点数はもう風前の灯火であった。この点数ではかすっただけで絶命するだろう。
和真「ちょこまか逃げてくれたが、次でシメーみてぇだな……じゃあいくぜ、往生しやがれ!」
〈和真〉は槍を構え止め、〈明久〉にとどめを差すために接近する。
明久(く……このままじゃ………
こうなったら最後の賭けにでるしかない!)「うぉおおおおおおおお!」
和真「ハッ、血迷ったか明久! パワーでこの俺に勝てるとでも?」
〈明久〉は、接近してきた〈和真〉を木刀で薙ぎ払おうとした。それに対して〈和真〉も槍で迎え撃つように薙ぎ払う。
木刀と槍がぶつかり合う。極限まで破壊に特化した〈和真〉に真っ向勝負など愚策中の愚策、それらは当然拮抗するはずもなく〈和真〉の槍が木刀をへし折った。
それだけでは終わらず、そのまま延長線上にいる〈明久〉を粉砕する
ことなく槍は空を切った。
和真「…んなっ!? どこいきやがっ-」
明久「今だぁぁぁぁぁ!」
〈明久〉は後ろから和真の召喚獣の槍を握りしめている腕をありったけの力でぶん殴った。
一部始終を解説するならば、〈明久〉は木刀を薙ぎ払うと同時に獲物から手を離し、そしてすぐさま後ろに回ったのだ。和真が相手の武器ごと破壊するつもりでなかったら、例えばもし避けてから反撃しようとしていたらTHE ENDの危ない賭けだった。もしそうなっていたら〈明久〉は丸腰のまま潰されていただろう。
そして全力のパンチを喰らった〈和真〉は、ダメージで思わず武器を取り落としてしまう。そしてその隙を逃すほど明久は間抜けではない。
明久「喰らぇええええええ!」
〈明久〉はもう一度丸腰の〈和真〉をぶん殴った。今度は顔面にクリーンヒットし、〈和真〉は後方へ勢いよくぶっ飛ばされる。
和真「チィ……!」
《日本史》
『Fクラス 吉井 明久 18点
VS
Fクラス 柊 和真 48点』
やはり直撃の瞬間後ろに飛ぶことでダメージを軽減するが
、和真の召喚獣もデッドラインに入った。
どちらの召喚獣もあと一撃喰らえば戦死してしまうだろう。
和真「……まさかお前がここまでやるたぁな。だが……」
明久「和真こそ、やっぱり強いね。でも……」
和真・明久「「勝つのは俺(僕)だ!」」
そして二人の召喚獣は拳を握りしめ、お互いに向かって走り出した。
和真・明久「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
ズガァァァァァァァアアアン!
轟音と共に、二体の全力の拳はお互いの顔面に突き刺さり、そのまま二体とも崩れ落ちた。ついでに凄まじいフィードバックを受けた明久本体も。
《日本史》
『Fクラス 吉井 明久 戦死
VS
Fクラス 柊 和真 戦死』
徹「……相討ち?」
雄二「おい審判、こういう場合どうなるんだ?」
『えーっと……両者ともに先頭不能となった場合、どちらが先に戦死したかコンピューターを使って確認します』
審議の先生がそう言ったあと、大型ディスプレイに結果が表示された。それを見た司会の人が勝鬨を挙げる。
『勝者……
坂本・吉井ペア!』
ワァアアアアアアアアアアアアアアアア
特設ステージ全体に大音量の爆音が響き渡った。
下馬評の覆しほど大衆をエキサイトさせるものもそうそうないだろう。
和真「……負けちまったか。悪いな徹、散々付き合わせちまったってのに」
徹「君の強引さは今に始まったことではないだろう? ま、僕もそれなりに楽しめたし特に文句は無いよ」
和真「……男のツンデレなんざきしょいだけだぞ」
徹「張り倒すぞテメェ!」
ぎゃーぎゃー騒いでいる徹をスルーして、和真は自分を打ち負かした相手に近づく。
和真「あらら……こいつ気を失ってら」
ダンプカーの衝突に匹敵する雄二の召喚獣よりもさらに重い一撃をまともに喰らったのだ、無理も無いだろう。
和真「馬鹿正直に突っこんできやがって。ちょっと考えればもっとスマートな方法があっただろーが。大体俺がフェイントとか混ぜたりしたらどうするつもりだったんだよ」
そう呆れるように呟いた後、和真はしゃがみこむ。
和真「完敗だ。お前の覚悟、見せてもらったぜ」
どこか満足したようにそう言った後、和真は特設ステージから出ていった。
この様子だと、腕輪のデモンストレーションは明久が目を覚ますまでおあずけのようだ。
玉野「カズナちゃんと吉井君が急接近…………………………………………………………イケる!」
飛鳥「玉野さんちょっと黙ってて、色々とぶち壊しだから」
何でこの子の隣に座ったのだろう、と飛鳥は観客席で半ば後悔の念に駆られた後、隣にいる蒼介に向き直る。
飛鳥「この試合、どう思う?」
蒼介「……最後のクロスカウンターの直前、カズマの召喚獣の拳がほんの一瞬止まったな」
飛鳥「もしかしてと思ったけど、やっぱり? この試合、和真が勝ってもメリットが少ないしね」
優勝商品である『白銀の腕輪』は、どちらの腕輪にしても試召戦争においてアドバンテージになる。
AクラスにリベンジしようとしてるFクラスにとっては、そのアドバンテージの半分をAクラスである徹に持っていかれることはあまり喜ばしくない。
蒼介「とはいえ、ラストのあれ以外は確実に本気で潰しにそうとしていた。あいつはあくまで自分が楽しむことを第一に優先したようだ」
飛鳥「まあ、それが和真らしいんじゃない」
蒼介「そうだな、実にあいつらしい」
そう言って二人は目覚めのキスだのなんだの痛々しい妄想に浸かっている玉野を捨て置いて、Aクラスに戻っていった。
勝者・明久ァァァァァァァァァァ!
流石原作主人公、勝つところはきっちり勝ちます(最後和真がガチで殴っていたら召喚獣のスピード差で撃沈していたでしょうけど)
今回和真君が用いた片手殺法には弱点が二つあります。一つは元々の槍だとリーチが長すぎて二撃目の拳が届かないこと。二つ目は武器を落としやすいこと。
特に二つ目は痛いです。
佐伯 梓と再戦したときこの戦法を使えば、即座にトンファーで武器をはたき落とされた挙げ句、丸腰のままボコられまくります。