バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【バカテスト・英語】
次の文を英訳しなさい。

法廷は彼に有罪判決を下した

五十嵐 源太の答え
『The court judged him guilty.』

蒼介「正解だ。英訳は英語の問題の中でも頭ひとつ抜けて難しいのだが、流石は帰国子女だな」


坂本 雄二の答え
『The court judged Muttulini guilty.』

和真「将来的にそうなるかもしれんがテストで遊ぶんじゃねぇよ」



牙をむく槍使い

文月学園のグラウンドの隣に設置されたテニスコートで、二人の男子生徒がテニスをしていた。

柊和真と鳳蒼介。

どちらも二年生で最も有名であろう生徒の二人だ。

 

蒼介「それで、例のごろつき共に動きは無かったのか? ()()閏年高校の不良達がやられっぱなしで引き下がるとは思えないんだが」

 

蒼介はネットにつめてきた和真の裏をかき、トップスピンロブを放つ。それに対して和真は信じられないようなスピードでボールに追い着き、強烈なフラットショットで返球する。

 

和真「だよな。遅かれ早かれ仲間増やして報復に来るだろうぜ。俺としてはさっさと沈めたいから、早いうちに来やがれって思うんだがよ」

 

蒼介はラケットの角度を調節し、和真のパワーショットの威力を受け流し、ネット際に落とすようにドロップボレーを放った。

 

蒼介「まあ今はそのことを気にしても仕方がない。……それはそうとカズマ、召喚大会は楽しめたか?」

 

それを読んでいたかのように、和真は速攻で再びネットまでつめてきて、フルパワーでボレーを放った。

 

和真「かなり楽しめたぜ。綾倉先生にバレないようにトーナメント表いじってもらった甲斐があったってもんよ」

 

蒼介は球威に押されながらもなんとか返球に成功。しかし和真はお構い無しに第二波をお見舞いする。

 

蒼介「……生徒会長として一言言いたいところだが、まあいい。その召喚大会も決勝戦、しかも相手は同じクラスの二人。……聞くまでもないが、お前はどうするつもりだ?」

 

蒼介はボールの威力を殺しながら、再びトップスピンロブを放つ。このトップスピンロブは先程の相手の裏をかくためのものではなく、苦し紛れの一手に過ぎない。

 

和真「んなもん決まってる……ぜっ!」

蒼介「ッ……!」

 

和真は凄まじい跳躍力でロブ気味のボールにラケットを届かせ、そのまま蒼介の後ろのコートにスマッシュを叩き込む。

それに対して蒼介は和真に匹敵するスピードでボールに追い付いたが、威力を受け流しきれずに弾かれてしまった。

 

和真「俺は俺のやりたいようにやるだけさ、いつだってな。 6-3(シックスゲームス トゥスリー)で俺の勝ち♪」

蒼介「……お前らしいな。……これで3連敗か」

 

 

 

中林「なんでアンタ達そんな超人的なバトルしながら悠長に会話できるのよ……」

 

女子テニス部次期キャプテンの疑問に答える者は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「さてと。行こうか雄二、和真」

雄二「そうだな。島田、俺達は抜けるが大丈夫か?」

美波「大丈夫じゃなくても行かないとダメでしょうが。決勝戦なんだからね?」

 

店の手伝いその他諸々をしているうちに、決勝戦の時間になった。その他諸々の内容については後日語ることにする。

 

姫路「後で私たちも応援に行きますね」

葉月「お兄ちゃん達。ファイトです!」

秀吉「どちらも頑張るのじゃぞ!」

ムッツリーニ「………厨房は任せた」

翔子「……雄二、頑張って」

 

クラスメイトからの熱い激励。一人全くぶれない人がいるのだがいつものことなので和真は特に気にしていない。

 

明久「あはは、真剣に闘うわけじゃないんだからそんなオーバーな……」

和真「…………」

雄二「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「ほほぅ。ずいぶんと観客が多いな」

明久「流石は決勝戦だね」

 

会場を前に明久は、闘う気もないのに緊張しているような様子であった。

 

「吉井君と坂本くん。入場が始まりますので急いでください」 

 

明久達の姿を見つけた係員の先生が手招きをしている。こうして係員をわざわざ配置しているあたり、決勝戦は今までの試合とは扱いが違うらしい。

 

『さて皆様。長らくお待たせ致しました! これより試験召喚システムによる召喚大会の決勝戦を行います!

では、出場選手の入場です!』

 

「さ、入場してください」

 

先生に促され、明久と雄二は軽く頷き合ってから、観衆の前に歩み出ていった。

 

『二年Fクラス所属・坂本 雄二君と、同じくFクラス所属・吉井 明久君です! 皆様拍手でお出迎え下さい』

 

盛大な拍手と共に入場する明久と雄二。

 

『そして対する選手は、二年Fクラス所属・柊和真君と、二年Aクラス所属・大門徹君です! 皆様、こちらも拍手でお出迎え下さい!』

 

先程よりもずっと大きな拍手を受けながら、和真と徹の二人は明久達の前にやってきた。この辺はまあ、今までの試合からの期待度の差であろう。

 

『なんと、決勝に進出した四名のうち三人が、二年生の最下級であるFクラスの生徒です。 これはFクラスが最下級という認識を改める必要があるかもしれません』

 

雄二(あの司会、嬉しいことを言ってくれるな)

明久(だね。姫路さんのお父さんに好印象になるね)

和真(まあ総合的にはバカなのは間違いねぇがな)

明久(シッ!)

 

その後司会が観客に試験召喚システムの説明を一通りする。あくまでこの大会はPRが目的なのでこういうところを欠かしてはいけないのである。

 

『それでは試合に入りましょう! 選手の皆さん、どうぞ!』

 

説明も終わり、審判役の先生が明久達の前に立つ。

 

「「「「試獣召喚(サモン)!」」」」

 

掛け声を上げ、それぞれの召喚獣が出現した。

明久達の召喚は木刀orメリケンサック+特効服と、和真達の召喚獣に比べて装備が貧相なのはご愛嬌。

 

 

《日本史》

『Fクラス 坂本 雄二 337点

Fクラス 吉井 明久 241点

VS

Fクラス 柊 和真 322点

Aクラス 大門 徹 281点』

 

 

『それでは、召喚大会決勝戦、開始!』

 

それぞれの点数がディスプレイに表示されるのを確認すると、司会の人は戦いの引き金を引いた。

 

和真「以前と比べて随分と上がったな。Aクラス並の成績じゃねぇか」

明久「この1ヶ月和真と雄二に散々教えてもらったからね。まあこの教科以外は変わってないけどね」

徹「なるほど、それで坂本の点数も伸びてるわけだね」

雄二「明久の家に入り浸ってたお陰で、翔子にあらぬ疑いをかけられたりしたがな……」

 

明久はAクラスとの試召戦争後、謎のおっちゃんのアドバイスを受け、ひたすら日本史をとりくんでいたのである。ちなみに和真はともかく雄二は普通なら明久を助けたりなどしないのだが、雄二はAクラスへのリベンジを狙っているので協力した。

 

明久「和真こそどうしたのさ、その点数。前は400点じゃ無かった?」

和真「まぁハンデとしちゃこのくらいだろ?」

明久「え?それってどういう-」

 

 

 

 

和真「こういう意味だよ!」

明久「えっ-」

 

明久の台詞が言い終わらないうちに、〈和真〉は槍を構えて襲いかかった。 

 

明久「うわぁ!?」

 

突然の反応に面食らうも〈明久〉は体を大きく捻ることで必殺の威力を持った〈和真〉の槍を間一髪でかわす。

 

雄二「やっぱりそうかよ!」

明久「やっぱりって、どういうこと雄二!?」

雄二「こいつらは、ハナからわざと負けるつもりなんざねぇってことだよ!」

明久「えぇ!?」

 

全く予想してなかった事実に明久は困惑する。

無理もない、この試合は姫路の転校がかかった大事な試合なのだから。

 

徹「そこまでわかってるなら話は早い! 君の相手は僕だよ!」

雄二「ぐっ……!」

 

〈徹〉はガントレットで〈雄二〉をぶん殴る。なんとかメリケンサックで防御したためダメージは無いが、ガードが甘かったのか勢いは殺しきれず〈雄二〉吹っ飛ばされる。

 

徹「逃がすか!」

 

ぶっ飛んだ〈雄二〉を徹は召喚獣とともに追っていく。放っておけばろくに指示も出せずに戦死すると判断した雄二は苦肉の決断をする。

 

雄二「明久! 和真はお前がどうにかしろ!」

 

この場の戦局を明久に託し、雄二は徹を追っていった。しかしこちらの戦場を任された明久は、未だ目の前の現実を許容できないでいた。

 

明久「なに考えてるのさ和真!? 僕達がこの試合に勝たないとどうなるのかわかってるの!?」

和真「知ったこっちゃねぇな。お前の言いたぇことはそれだけか?

 

 

 

 

ならさっさと死ね」

 

和真は一片の慈悲すらない冷たい目で明久を一瞥してから、〈和真〉は必殺の槍で〈明久〉に襲いかかった。

 




和真君暴走!
一体どうしてしまったのか!? そして、果たして明久に勝ち目はあるのか?
徹「これ完全に僕達が悪役の構図だよね」
和真「ラスボスと言えラスボスと」

では。

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