バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【召喚機】 
“鳳財閥”の技術開発長が試験召喚システムを研究し開発した、召喚獣と同様テストの点数により威力が上下する兵器。喚び出すキーワードは武装(アームズ)、消すキーワードは解除(キャストオフ)。既存の兵器とは比較にならない破壊力を秘めているが、

・あくまでも召喚獣の亜種のため、召喚フィールド内でしか使えない。
・テストの点に左右されるため威力が安定しない。
・一つ開発するのに数億の費用が必要
・どれだけ強力な武装でも扱う者は生身のため、遠距離から爆撃されたりしたら割とあっさり死ぬ(守那は例外)。

などの理由から既存の兵器にとって代わられることは確実に無い欠陥武器。というかある程度召喚獣の操作に慣れているなら、自律型との闘いには絶対にそっちを使った方がいいというガッカリ性能である。


 
(お知らせ)
創作意欲の低下を改善すべく、リハビリがてら『カクヨム』というサイトで投稿を始めました。詳しくは活動報告に記載しています。



幕間『シェイプシフター』

守那が七星獣達を蹂躙している頃…

 

 

《総合科目》

『学年主任 高橋洋子  4055点

 補習担当 西村宗一  3821点

VS

 ???  Belzébuth 17308点』  

 

 

ベル「おいおいおい……こんなもんかよ?随分とがっかりさせてくれるな

鉄人「ぐっ……おのれ…!」

高橋「ここまで……差があるとは……!」

 

屋上での闘いは一方的に追い込まれてしまっていた。今日のような決戦に備えて生徒用の召喚獣を用意し、並の召喚獣なら雑草感覚で粉砕できるランクアップ腕輪能力を駆使して立ち向かっているというのに、あれよあれよと開いていく点数差。誤解無きよう釘を刺しておくが、ベルゼビュートはここまで能力らしい能力を使用していない。点差が開いた原因は特殊な能力の差などではなく、ただただ圧倒的な自力の差である。

 

鉄人「くっ……『プラズマオーラ』!」

 

 

《総合科目》

『学年主任 高橋洋子  4055点

 補習担当 西村宗一  1821点

VS

 ???  Belzébuth 17308点』 

 

 

鉄人は2000点を消費しランクアップ能力を再起動させると、エメラルドグリーンのオーラがバチバチと音を立てながら〈鉄人〉の身体を覆う。

 

鉄人「ハァッ!」

 

そしてオーラを収束しベルゼビュートに向かって放つ。

彼の召喚獣に備わった能力は蒼介と同じオーラ系。しかし防御寄りの『インビンシブル・オーラ』と違い、『プラズマオーラ』は敵の攻撃から召喚獣を守ってくれたりはしない。かといって『レーザー・ウィング』のような圧倒的な大火力を秘めているわけでもない。この能力最大の強みはプラズマオーラでダメージを与えた召喚獣を、ほんの一時的にだが行動を停止させられることだ。相手の動きを封じたところに隙の大きい分破壊力抜群の大槌を叩き込む、オーソドックス故に穴の少ない堅実な戦術パターンが〈鉄人〉の強みなのだが…

 

ベル「ちゃんと当てなきゃ意味無い無い!

鉄人「っ……速すぎる……!」

 

ベルゼビュートは翼をはためかせ大空に飛翔し、〈鉄人〉の放ったレーザーを悠々と回避する。プラズマオーラを命中させられらたのは初見の一回こっきりで、その後はベルゼビュートの高速飛行でことごとくかわされている。

 

ベル「オイオイ悔しがってる場合かー?そんな風にのんびりしてちゃ、また射程圏内に入っちまうぜ?

鉄人「っ!?しま-」

ベル「遅いんだよ!

 

目にも止まらぬスピードであっという間に背後に回り込み、〈鉄人〉に向かって大鎌を振り下ろすベルゼビュート。残りたった1800点で直撃しようものなら即死を免れないであろうこの攻撃は、突如出現した半透明な円形の障壁に阻まれる。

高橋「間一髪……!」

 

これぞ高橋先生の防御特化ランクアップ能力……『アイギス』。火力は皆無だがその防御能力は蒼介の『インビンシブル・オーラ』を凌駕し、和真の最大火力ですら真っ向からぶち破るのは不可能な鉄壁の守り。

 

ベル「ナイスアシスト。……と言いてーところだが1/6を止めていい気になられても、なぁっ!

高橋「っ……『アイギス』!」

 

すかさず両斜め方向から大鎌を振り下ろすも、〈高橋〉は障壁をそれぞれの方向に展開して受け止める。

 

ベル(ふーん、出せる障壁は一つじゃねーのか……たがこの手の能力には一度に出せる数に限りがある筈だ)

 

続いて右サイドから大鎌で薙ぐも、やはり障壁を展開されて止められてしまう。しかし高橋先生の表情には微塵も余裕が見られない。

 

ベル(そしてアイツの切羽詰まった面からして……俺の六連撃を完封することは無理。となると…)

高橋(っ!これは……!)

 

畳み掛けるように左サイドからも攻めるもやはり障壁に止められる。しかし高橋先生はその攻撃にほとんど力がこもっていないことに気づく。

 

ベル「こいつでラストだ!防げるもんなら防いでみやがれ!

 

ベルゼビュートの狙いはただ一つ。回数制限を五回と予測し五回目を捨て、最後の一振りに全力を振り絞ること。その読みはズバリ的中、高橋先生は六枚目の障壁を展開することはできず、下方向から〈鉄人〉に向かって迫る大鎌には対処できない。

 

 

 

 

 

 

ベル(…………いや違うっ!?この女追い詰められたような面して、俺を罠に嵌めやがった!)

高橋(これで私の役目は終わり……あとは頼みましたよ西村先生!)

鉄人「うぉぉぉおおおおおっ!」

 

しかしながら、高橋先生の真の狙いは時間稼ぎであった。ベルゼビュートが『アイギス』に阻まれている内に〈鉄人〉は迎撃体勢に入り、プラズマオーラを纏わせたミョルニルを大鎌に向かってフルスイングする。激突すれば大鎌を伝ってベルゼビュートに誘電し、ベルゼビュートをショートさせるであろう決死の一撃だ。

 

ベル「っ……!

 

そのことを瞬時に察知したベルゼビュートは咄嗟に後方に跳び避けるが、それを読んでいた〈鉄人〉はミョルニルを構え直しながら前進する。

 

鉄人(瞬時に俺の狙いを見抜き、ギリギリのタイミングでかわしたことは称賛に値する。だがそこまで強引な回避は、決定的な隙を晒す……体勢の崩れたその状態で、俺の追撃は避けられまい!)

 

そして射程圏まで距離を詰め、ベルゼビュートを打ち倒すべくミョルニルを大きく振りかぶり、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《総合科目》

『学年主任 高橋洋子  4055点

 補習担当 西村宗一  戦死

VS

 ???  Belzébuth 17308点』 

 

 

鉄人「ガハァッッ!?……な…に……?」

高橋「に、西村先生!?」

ベルゼビュート「惜しかったな……だが残念、ゲームオーバーだ

 

〈鉄人〉は戦死し、本人も吐血しその場に倒れる。

逆転の強打を喰らわせようと〈鉄人〉がミョルニルを振りかぶったその直後、ベルゼビュートの翼が無数の槍に変形し、ミョルニルを振り下ろす間も無く〈鉄人〉の体を貫いた。

 

ベル「お前もなぁっ!

高橋「っ!?」

 

無数の槍はそのまま〈高橋〉に向かって一斉に伸びて、上下左右前後を取り囲んだ。〈高橋〉は『アイギス』を展開して身を守るも、たった五つの盾で百の槍を防ぎきれる筈もなく、圧倒的な物量差の前に敢えなく〈高橋〉も潰されやはり本人も吐血しその場に倒れ伏した。

 

 

《総合科目》

『学年主任 高橋洋子  戦死

 補習担当 西村宗一  戦死

VS

 ???  Belzébuth 17308点』 

 

 

槍となった翼を元の状態に再変形させつつ、倒れ伏したままの鉄人に歩み寄る。

 

ベルゼビュート「特別サービスだ、説明くらいはしてやるよ。固有能力『シェイプシフター』により、俺は肉体を自由自在に変質させることができる。さっきみたいに翼を武器にしたり、

 

元通りの翼になった直後にベルゼビュートの背中から二本の腕が生え、

 

ベルゼビュート「腕を生やしたり、

 

掌部分を膨脹させ大鎌へと変形させて切り離し、てのひらを再構成し大鎌を握り締める。

 

ベルゼビュート「その気になれば武器も無限に創造できたりと、便利な力だろ?…………あ?

鉄人「……ぐっ……カハッ……!」

 

死力を振り絞って立ち上がろうとするも、内蔵に大きなダメージを受けたらしく鉄人は身動き一つ取れないでいる。そんな様子を一瞥し、ベルゼビュートはくつくつと笑みを漏らす。

 

ベル「あ、そっかそっかー。言ってなかったよなワリーワリー。俺の展開した召喚フィールドはちょっとした特別製でね、召喚獣が戦死した直後にフィードバックがまとめて襲いかかるのさ。……さてと、どうやら動けねーようだし……お前らもうここで死んどくか?

ダゴン「…………その辺にしときな、ベル」

 

とどめを刺そうと鉄人に歩み寄るベルゼビュートを、それまで静観していた紫苑が止めに入る。最後のお楽しみを邪魔されたベルゼビュートは不満そうに紫苑を睨む。

 

ベル「んだよダゴン?今一番良いところだろうが。それとも何だ?長いことなまっちょろい学生生活を送ってる内に、こいつらに情でも移ったか?

紫苑「こいつらは生かしとけってのがラプラスの指示だよ。大方いつもの遊び癖だろうがね」

ベル「……またかよ、ったく。…………ハァー……わかったわかった、わかりましたよっと ̄Д ̄ =3 」

フィールドを解除しつつがっくりと肩を落とすベルゼビュートに、紫苑は彼にとっての吉報を伝える。

 

紫苑「まあそう気を落としさんな。ファントムの奴は無事アンタの器となる女を本拠地に連れ帰ったそうだ-」

ベル「なぬ!?本当か!?……やーれやれ、時間稼ぎなんて趣味じゃねぇことした甲斐があったぜ( ≧∀≦)ノ」

鉄人(時間、稼ぎ……だと……?

くそっ、やられた……!?こいつらの狙いはもっと別の何かだったのか……!)

 

自分達がしくじったことを痛感させられた鉄人をよそに、ダゴンは携帯を操作してアバターとコンタクトを取る。

そんな中、ベルゼビュートは向き直り、不自然なまでにご機嫌そうな表情を鉄人に向ける。

 

ベル「テメーら命拾いしたな。そして今の俺は最高に気分が良い。敢闘賞ってわけじゃねーけど、もう必要の無いこの肉体は返してやるよ( ゚∀゚)」

 

彼の言葉が言い終わると同時に、二体の召喚獣は白い光に包まれ、その場には倒れ伏す鉄人と高橋先生、そして宮阪桃里だけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャッ!

 

 

守那「…………チッ、遅かったか。やはり校舎の被害を度外視してでも瞬殺してかけつけるべきだったか?……まあ、こうして宮阪桃里だけは取り返せただけ良しとするか。

それにしても、ワシらが接触する前の奴等の会話。あ………………あの嬢ちゃんが、鳳紫音か」

 

 

 




次回からついにラプラスの悪魔編です。




【レッドガントレット&レッドソルレット】
召喚機試作品第1号。柊守那専用の召喚機(手甲&足甲型)。両手両足の運動能力を爆発的に上昇させる。また発火能力も備えている。その力は完全に人智を越えたものであり、さらに本編の守那は校舎の損傷を抑えるようある程度手加減をしていたため、まだ力の底は見せていない。
破壊力が絶大ゆえに反動や負担もまた絶大で、10mの建物から飛び降りて無傷で着地できるくらい頑丈でなければ使いこなせないという超欠陥品。

試験召喚システムを介したものなので当然テストを受ける必要があり、獲得した点数が高いほど長時間召喚していられる(召喚中は常に点数が減り続ける。発火能力を使えば大幅に減る)。ちなみに守那の総合点は1200点前後(英語と国語だけAクラス並で他はFクラス並)とお世辞にも高くない。

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