バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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守那さんの守那さんの守那さんによる一人舞台です。


幕間『人類最強』

七星獣(セブン・スター)』……ラプラスのクローンであるアバターが独自に開発した七体の自律型召喚獣である。以前この学園で起きた自律型召喚獣事件の際に投入された七体は、実のところあくまで暫定(プロトタイプ)でしかない。しかしその七体ですら(相性が良過ぎた宮阪を除けば)単独で撃破できたのは蒼介のみと、恐るべき戦闘能力を秘めている。当然ながら並の召喚獣ではまるで歯が立たず、ましてや人間では勝ち負け以前に勝負という形すら成立しない。

 

 

 

 

 

 

 

何が言いたいのかというと、この理屈に則るならば………………柊守那はもはや人ではない。

 

守那「ウォォラァァアアアッ!

 

ドゴォォォォォオオオオオオオンッ!!!

 

人知を越えた速度で放たれた守那の拳はワイバーンの懐に突き刺さり、ワイバーンは遥か後方に吹き飛ばされ校舎の壁に激突し崩れ落ちる。守那は手を休めることなく追撃のため接近しようとしたが、ワイバーンはすかさず起き上がり向かってくる守那に火を吹いた。熱こそ持たないものの物理干渉するワイバーンの炎は、校舎の壁程度ならば容易く消し飛ばせるほどの威力を持つ。

しかし守那はこの殺意全開な炎を…

 

守那「温いわぁっ!

 

バシュウゥゥッ!

 

真っ向から拳で消し飛ばした。本能ではなく予めプログラムされた回路に従って活動するワイバーンは、あまりに非現実的な状況を目の当たりにして思考停止する。その隙に守那は十全に距離を詰め…

 

守那「くたばれぇぇえええぇええっ!

 

ドゴゴゴゴゴゴゴォォォオオオオオンッッッ!!!

 

片方の手でワイバーンの首を掴みつつ、もう片方の手で怒濤のラッシュを浴びせる。守那の拳がワイバーンに突き刺さるたびに、アサルトライフルすら弾き返す強度を持つワイバーンの皮膚が見る見る内にひしゃげていき、あっという間に点数を全て削り取ってしまった。

 

《総合科目》

『??? Wivern 戦死』

 

 

守那「…っ!

 

ワイバーンを仕留めた守那は、間髪入れずに斬り込んできたグラディウスの剣を拳で弾き返す。かつて蒼介を戦死一歩手前まで追い込んだ実績は伊達ではなく、その後も高速で移動しつつ反撃する隙を与えることなく多角的な剣撃で守那を追い込む。

 

守那(フハハハ、やはりこやつが抜きん出て強いようだな……さて、そろそろ強引にでも反撃を……っ!?正気かこやつら!?)

 

クイックシルバが銀の雨を、リッパーが無数のナイフを放つ。まさに剣林弾雨と呼ぶべきそれらは守那と激突しているグラディウスごと、守那を消し飛ばすべく襲いかかる。

アドラメレクやベルゼビュートのような特別製はともかく、通常の自律型召喚獣はまともな知性を持たず、自らの闘争本能にのみ従って行動する。そんな彼らに仲間意識なんて上等な価値観は存在せず、敵を倒すチャンスであるなら味方を巻き込むことなど躊躇しないのだ。

グラディウスは盾を構え防御するも流石に多少の手傷を追ってしまう。悠々とかわした守那は、その光景を目の当たりにして小さくない苛つきを感じた。

 

守那「 …………気に入らんな。戦友を平気で巻き込む戦い方、手柄を横からかっさらおうという腐った根性。そして何よりも気に入らんのは……

ワシの闘いの横槍をしたことだ!お望み通り惨たらしく引き裂いてやろうじゃないか!

 

常軌を逸した震脚により生じた爆発のような衝撃音が階全体に響くと同時に、守那は十メートル以上離れていた筈のリッパーに肉薄し鉄拳を喰らわせる。遥か後方へ吹き飛ばされながらもリッパーは自身の体中からナイフの雨を発射するが、御門は回避はおろか防御もせず一直線にリッパーへ急接近し両手で捕縛する。

 

守那「ウォォォオオオオオッッッ!!!

 

雄叫びと共に筋肉が膨れ上がり、体に刺さったナイフが全てへし折れ弾け飛ぶ。げに恐ろしきは“気炎万丈”状態の守那の生命力か、ナイフが刺さっていた筈の体には既に傷の一つすら痕跡が残っていない。

守那はそのまま力に任せてリッパーを左右に引っ張る。リッパーも体からノコギリサイズの刃を出して守那の腕を斬り落とそうとするが、頑強なガントレットに阻まれ逆に刃の方がへし折れる。

 

守那「ゥォォオオオォォォォオオオオオオラァッッッ!!!

 

ブチブチブチブチィィィッッッ!!!

 

守那はそのままリッパーを力任せに引きちぎった。文月学園の召喚獣は点数が0にならない限り一切欠損しないよう綾倉先生にプログラミングされているが、どうやら自律型召喚獣はそうではなかったようだ。

 

 

《総合科目》

『??? Ripper 戦死』

 

 

宣言通りリッパーを八つ裂きにした守那にグラディウスは背後から斬りかかるが、和真と同じく“気炎万丈”状態の守那は視界に頼らずとも敵と定めた相手の位置を把握できるため、すぐさま反応してガントレットで剣を受け止める。

 

守那「慌てるな、貴様は後回しだ!

 

そしてその剣を掴んでグラディウスごと遠くへぶん投げる。グラディウスは空中で立て直し綺麗に着地したためダメージは負わなかったが、その隙に守那はクイックシルバへと接近する。

 

守那「次は貴様だスライム野郎!

 

クイックシルバは先ほどのように自らの体を次々と切り離し固めて弾丸のように投擲するが、やはり意にも介さず前進する。

 

守那「こんなチャチな攻撃避けるのは容易いが……当たったところでどうということはないなぁ!

 

そしてそのままクイックシルバの体に拳を突き刺す。当然クイックシルバは液体のため守那の拳は貫通し大したダメージにはならない。しかし守那はそんなことなど折り込み済み。七星獣の性能は綾倉先生を介して守那達にも伝えられているのだから。故にクイックシルバがどのような方法で打倒されたのかも伝わっている。

 

守那「焼け死ね雑魚が!

 

装着されたガントレットが急激に発火し、クイックシルバに燃え移る。逃れようともがくも守那から逃げ切れる筈もなく、クイックシルバは点数がゼロになるまで炙られ続けた。

 

 

《総合科目》

『??? Quiksilver 戦死』

 

 

これで残りは一体。しかしクイックシルバを倒すことに執心して隙だらけな守那を、フリーになったグラディウスが指をくわえて見ているわけもない。守那は再び背後から近づく『敵』を感知していたものの、クイックシルバを倒すことを優先し放置した。その結果、グラディウスの剣が守那の背中に突き刺さる。

 

守那「うぐっ……!

 

咄嗟に致命傷こそ避けたものの、終始余裕だった守那の表情が初めて苦痛に歪む。振り返り反撃に転じようとするもグラディウスは剣を引き抜きつつ守那から離れ、十分に距離を取ってから剣を構え直し守那に対峙する。守那は刺された箇所の治癒力を促進し傷を癒着させつつ、和真にもしっかり遺伝した凶悪な笑みをグラディウスに向ける。

 

守那「待たせて悪かったな……これで心置きなく貴様をブチのめせるってもんよ!

 

両者は同時に相手に向かって接近し、お互いを滅ぼさんと激烈なまでの攻撃を繰り出していくが、戦局は徐々に守那に傾いていく。

 

守那「ハッハァ!どうしたどうしたぁ!?

 

グラディウスは鋭い斬撃を以て守那の肉体を切り裂いていくが、先ほどの無防備な状態ならともかく頑強さを最大限に底上げした守那の致命傷には至らない。一方守那の拳は何発か盾に阻まれながらも、着実にグラディウスの点数を削り取っていく。それに加え切り裂いた側から生物としておかしいレベルの速度で傷が塞がっていくのだからいよいよ手に終えない。

 

 

《総合科目》

『??? Gradius  5214点』

 

 

と、このように戦局を優勢に進めながらも、実際のところはギリギリの綱渡りだったりする。“鳳”技術開発長が試験召喚システムを研究、応用して開発した『召喚機(サモン・デバイス)』にも、試験召喚システム故の制約からは逃れられることはできない。守那はグラディウスを追い込みながらガントレットに表示された数字を目で確認し、顔をしかめる。

 

 

《総合科目》

『??? 柊守那 521点』

 

 

守那(チィ、もう半分以下か……宗一を信用してないわけではないが、この後に備えて早く仕留めにゃならんな………幾ばくか名残惜しいが、やむを得ん!)

 

意を決した守那は攻撃を一旦中断し、待ちの姿勢に入る。プログラムされたパターンで行動するグラディウスはその不自然な動作を警戒することなく、守那の体を斜め方向から斬りかかる。剣が左肩を抉り想像を絶する激痛が守那に襲いかかったその瞬間-

 

ガシィッッッ!!!

 

守那の左手が剣を掴みその場所で固定する。グラディウスはどうにか剣を引き抜こうとするも、守那の掴む力が強過ぎてまるでびくともしない。

 

守那「ッッッ!!!……フハハ、もう足掻いてもむだだ……歯ぁ食いしばりな……!

 

常人なら失神しかねない激痛に苛まれながらも、守那は笑みを浮かべながら右拳を構え、全てのエネルギーを一点に集約させる。もし仮にグラディウスに心があれば得物を捨ててでも逃れようとしただろう。だがグラディウスの戦闘パターンに剣を使わない闘い方はプロミングされていない。剣を守那から引き剥がせない以上、グラディウスはその塲から身動き一つとれないのだ。

 

守那「覚悟はいいか?それでは喰らうがい、ワシの最終奥義……

 

 

 

 

メテオブロォォォッッッ!!!

 

ドギャァァァァァアアアァァアアアアアアアァァァァアアアアアアアアンッッッ!!!!!

 

名前の由来は隕石のごとき破壊力という意味なのか、それとも喰らった相手が隕石のように遥か彼方まで吹き飛ばされるからなのか……結果としてグラディウスは守那の究極の右ストレートにより跳ね飛ばされ、校舎の壁に叩きつけられるもその部分を跡形もなく消し飛ばし、そのまま召喚フィールドの壁に激突し肉塊となった。

 

 

《総合科目》

『??? Gradius  戦死』

 

 

守那「…………痛……っ!流石に多少は梃子るせてくれたな………………………………………………………………………………よし、解除(キャストオフ)

 

肩口の傷が癒やしてから、守那は召喚機と“気炎万丈”を解除しつつ、壁にできた大穴や守那の脚力のせいで穴だらけになった床を一瞥して嘆息する。

 

守那「多少は気を付けていたが、結局あちこち派手にぶっ壊れちまったな……まあいいか、必要経費だ。それよりも早く救援に向かわねばな」

 

 

 




召喚機についての詳しい説明は次回の前書きでやりますが、ざっくり言うと試験召喚獣を人間が扱う武器に改造したものです。

今回召喚機を用いて特別に開発された自律型召喚獣四体をフルボッコにしましたが、素の守那さんがどれくらい強いかと言うと……

西村先生の強さを10とした場合、

明久……3.5
ムッツリーニ……4
雄二……4.5
空雅……6
蒼介……6.5
空雅(武装)……8
蒼介(木刀)……8.5
和真……9
召喚獣(原作明久の召喚獣)……9
蒼介(明鏡止水)……11
秀介(明鏡止水)……11.5
守那……12
和真(気炎万丈)……15
守那(気炎万丈)……18

これぐらいです。
1違えば明確な実力差があり、2違えばほぼ100%勝ち目無しです。


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