バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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台風による停電の影響で投稿が遅れてしまい申し訳ありません。……でもこれ私のせいじゃないですよね?充電ができない状況で二次創作小説の投稿なんてやってる暇なんてないし……24時間体制で復旧に取り組んでいた関○電力の方々にあれこれ文句つけるなんてアレ過ぎるし……かといって台風のせいにしても、自然災害に責任転嫁ってそれはそれでどうなの?って思わなくも-

和真「長いわ!」




準決勝③『水嶺流VS水嶺流』

準決勝第二試合、鳳蒼介VS綾倉詩織。この闘いに勝った方がいち早く決勝へ勝ち上がった和真の対戦相手となる。

既にフィールド内に入場している二人は、お互いを見据えながら黙々と準備をしていく。

 

優子「代表の試合が始まるわね……ねぇ飛鳥」

飛鳥「ん?何?」

優子「代表が扱ってる剣術って、確か門外不出じゃ無かったかしら?」

飛鳥「……うん、間違いなく門外不出なはずよ。水嶺流剣術はその比類なき殺傷力を危険視した蒼介の祖先が、鳳家の者以外の者には決して伝授してはならないって掟を定めたそうよ。鳳家は完全な一枚岩とは言えない部分も多々あれど、この掟は破ろうとする者はいないって以前蒼介が言っていたわ」 

優子「ふぅん……じゃあ、なんで綾倉さんは代表と同じような技を扱ってるの?」   

 

剣術をかじっているわけではないが、秀吉の姉だけあってかなりの洞察力を持つ優子は、綾倉詩織が蒼介とおなじく水嶺流を扱っていることを遠目からでも見抜いていた。

 

飛鳥「えっと……それはわたしにもわか-」   

?「へぇ……その話、少し興味があるねぇ。ここは一つ、根掘り葉掘り聞かせてもらおうかな」

飛鳥「……誰ですか?流石に礼儀知らずじゃ…な…い…」

 

盗み聞きされていた上に急に話に割ってこられたことに、飛鳥は若干不機嫌になりながら声のした方に振り向き、艶やかな黒髪が特徴的な男性を視界に入れた途端急に固まった。

それもその筈、声の主は蒼介の父親にして世界的大財閥“鳳”のトップ……鳳秀介だったからだ。

 

優子「……?どうしたの飛鳥?」

飛鳥「………鳳会長、何故ここに……?」

優子「鳳会長…ってこ、この人が代表の……!?」

秀介「相変わらず他人行儀だねぇ飛鳥君。君は蒼介の婚約者なんだからさ、気軽に“お義父さん”と呼んでくれても構わないんだよ?」

飛鳥「できるわけがないでしょう……!貴方はもう少しご自分の立場を……いや今はそれよりも、何故貴方がここにいるのですか?貴方は確かアンティクア・バーブーダにいた筈では?」

秀介「迷子になったという旨のメールを藍華さんに送った後、すぐに友人が最新製超音速ステルス機に乗って迎えに来てくれてね、ついさっき帰ってこれたんだよ。……丁度トーナメントも大詰めだし、良かった良かっ-」

飛鳥「良かった良かったじゃありませんよ!?貴方のせいでこの大会の運営側がどれだけ苦労したと-」

秀介「それで蒼介の対戦相手の子、よりにもよって水嶺流を扱うんだってねぇ?」

飛鳥「……(ピキピキピキィッ…!)」

優子(あ、飛鳥がここまで冷静さを失うの初めて見たかも……)

 

秀介のいっそ清々しいまでの自由奔放勝手気儘な振る舞いにこめかみをひくつかせる飛鳥。自身の判断が数えきれない人の人生を左右するほどの大企業の社長ともなると、これぐらいふてぶてしくないと務まらないのだろうか。

 

飛鳥(落ち着け、落ち着くのよ私……世界的大企業のトップ相手にこれ以上の糾弾は、橘大悟の娘とはいえ一学生の私に許されることではない。それにその役目は藍華さんが請け負ってくれるでしょうし、この人がまたふらふらと何処かに行かないよう見張っておくことは当然として、今私のするべきことは……)

 

強靭な理性で煮えたぎる怒りを沈め、飛鳥は今自分ができること導き出す。この柔和な笑みを浮かべたちゃらんぽらんの方向音痴は筋金入り、少し目を離した隙に海外にいるなんて可能性もゼロでは無いことが今日判明した。であれば当然この男をすぐさま藍華のいる貴賓席まで引っ張っていくのがベストである……が、あちらの出した質問に答えもしないで連行させてくれるほど、この男は物分かりの良い人間ではないだろう。かといって蒼介以上の達人である彼を力づくで無理矢理連行できるはずもない。……というわけで、飛鳥はしばらく秀介に問いに答えてあげることにした。

 

飛鳥「……はい、それも蒼介に匹敵するレベルで」

秀介「ほう……んー…………なるほどねぇ……」

 

飛鳥の言葉を聞いた秀介は視線をフィールドにいる詩織に写し、しばらくじっと見据えたかと思えば、様々な感情が入り交じったような表情で何か得心がいったように頷く。

 

飛鳥「……あの、綾倉さんについて何か心当たりが?」

秀介「んー、そうだねぇ……蒼介にしてみれば、二度と取り戻せない筈のものが戻ってきたって気分だろうねぇ」

飛鳥「……え?それはどういう-」

秀介「ははは、気にしないでくれたまえ」

飛鳥「は、はぁ……」

秀介「……お、始まるようだね。貴賓席に行って藍華さんに怒られる前に、蒼介の晴れ舞台を見届けようか」

飛鳥・優子((怒られるって自覚はあったんだ……))

 

飛鳥のみならず初対面の優子にまでジト目を向けられるが、やはり秀介は一切気にもとめず観戦に集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「試獣召喚(サモン)」」

 

二人の唱えたキーワードに反応し二つの幾何学模様が現れ、その中心から召喚獣が喚び出される。両者共に学年首席かつ全教科バランスの良い成績、であれば選択した科目は必然的に総合科目である。

 

 

《総合科目》

『二年Aクラス 鳳蒼介  7799点

VS

 一年Dクラス 綾倉詩織 5286点』

 

 

蒼介「………ではゆくぞ、綾倉」

詩織「……おや?何も聞いて来ないのかい?私がどうしてこの剣術を扱えるのか、アンタは知りたがるだろうと思っていたんだけどね」

蒼介「そうだな……強いて言えばそれよりも、どういう心境の変化があったのかを聞きたいな。生徒会活動中も必要最低限しか口を開かなかったお前が、随分と饒舌じゃないか」

詩織「気になるのはそっちなのかい!?」

蒼介「……確かにお前に聞きたいことは他に色々ある。しかしだ、私が今為すべきことはただ一つ……真の水嶺流継承者として、紛い物の剣を打ち砕くことだ」

詩織「……フフッ、紛い物とは言ってくれるじゃあないか。だったら私に見せてみな、真の水嶺流ってやつをさっ!」

蒼介「っ……いいだろう、かかって来るがいい」

綾倉「両者準備はよろしいようですね……それでは、試合開始!」

 

二人の召喚獣は綾倉先生が合図を告げると同時に、お互い刺突の構えで相手に向かって急加速する。繰り出す技は両者共に複合技・雷雨。開始早々全く同じ技のぶつかり合いだ。

 

ガキィインッ!

 

立ち合いは全くの互角。両者はぶつかり合った反動で僅かに後ろに仰け反るが、両者はすぐさま体勢を立て直し剣を構える。

 

蒼介(これまでの闘いから考えて、奴の最も得意とする型は弐の型・車軸。であれば次に奴の繰り出す技は間違いなく複合技・豪雨だ。……面白い、受けて立とうではないか)

詩織「!……へぇ、あくまで同じ土俵で勝負ってわけかい!その心意気は立派だけどね…」

 

両者共に再び刺突の構えに入り、相手に向かって無数ので突きを浴びせかける。

 

キキキキキキキキキキィインッ!

 

両者が放った突きが次々とぶつかり合い、相殺されていく。先ほどの“雷雨”のぶつかり合いが完全に互角であったことから、このぶつかり合いも同じ結果だろう……と、ほぼ全ての観客は確信していた。

 

 

 

しかし、

 

和真(オイオイ、笑えねぇなこりゃ……)

秀介(ふむ、やはり……)

 

 

極一部の観客と当事者である二人のみが、全く違った結果を確信する。そして現実はその通りになってしまう。すなわち…

 

 

蒼介「…っ……」

詩織「今のアンタじゃ、私には勝てないよ」

 

 

ザシュッ!

 

 

蒼介が押し負けてしまうという、信じがたい結果だ。

 

 

《総合科目》

『二年Aクラス 鳳蒼介  7491点

VS

 一年Dクラス 綾倉詩織 5286点』

 

 

『『『何ィィィイイイイイッ!?』』』

 

優子「う、嘘でしょ……!?」

飛鳥「まさか、そんな……!?」

愛子「し、信じられない……!」

久保「鳳君が、真っ向から競り負けただと!?」

佐藤「あ、有り得ない!」

 

ダメージ自体は軽傷だったが、第二学年全員……特に二年Aクラスに与えた衝撃は凄まじいものであった。

彼らが動揺してしまうのを誰が責められようか。裏をかかれたり隙を突かれたならまだしも(それはそれですごいことであるが)、あの蒼介が、一年生相手に、まったく同じ攻撃で、真っ向から押し負けたのだから。

 

詩織「随分と心がざわついてるようだけど会長さん、その程度の剣が真の水霊流かい?あまり私をガッカリさせんなよ」

蒼介「っ……」

 

 

 

 

 

 

和真「…………イラつくぜ」

 

観客達の大半が驚愕と困惑する中、和真は何故か苛立ちを隠せないでいた。

 

 

 

 

 

 




さて、ようやく蒼介君が苦戦しそうな相手と当たりましたね。いや、下手したら苦戦どころか……


……とにもかくにも次回をお楽しみに。

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