バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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・志村泰山

〈召喚獣〉バランス型

〈武器〉蛇腹剣

〈成績〉
外国語……448点
国語……447点
数学……455点
理科……449点
社会……453点
保体……448点

総合……4952点



・綾倉詩織

〈召喚獣〉スピードタイプ

〈武器〉七支刀

〈成績〉
外国語……485点
国語……483点
数学……480点
理科……478点
社会……476点
保体……482点

総合……5286点






S・B・F本戦・Dブロック③

綾倉「それでは記念すべき一回戦最終試合がまもなく始まります!高城君と綾倉さん、希望する科目を選択してください!」

高城「綾倉さん、お互い悔いの残らないよう全力を尽くしましょう」

詩織「…………よろしくお願いします」

 

優雅に一礼しつつ友好的に接する高城とは対照的に、詩織は無表情をほんの少しも崩すことなく一言で済ませた。最上級生に対する敬意の是非を疑われるレベルの塩対応ではあるが、言葉を発しただけでも御の字と見るべきか。

二人がPDFから選択した科目はどちらも総合科目のため、必然的に総合科目に決まる。

 

綾倉「科目が決定したようですね。総合のフィールドを展開したので二人とも召喚獣を喚び出してください」

 

高城・詩織「「試獣召喚(サモン)!」」

 

キーワードに反応しフィールド内に幾何学模様が展開され、その中心から二体の召喚獣が出現する。〈高城〉の武器がオーソドックスな日本刀なのに対し、〈詩織〉の武器は七支刀という七つに枝分かれした特殊な形状の剣である。

 

 

《総合科目》

『三年Aクラス 高城雅春 4525点

vs 

 一年Dクラス 綾倉詩織 5276点』

 

 

高城「流石は一年の首席、見事な点数ですね」

詩織「…………」

 

高城の称賛には何も答えず会釈だけして、綾倉先生からゴーグルを受け取り装着する。女性にここまでそっけない対応されたことの無い高城はやや傷ついた表情になりながらも、ゴーグルを起動し召喚獣と視界をリンクさせる。

 

綾倉「準備が整いました。それでは……試合開始!」

詩織「……」

高城「っ、いきなりですか…」

 

試合開始の合図直後、〈詩織〉は急加速して〈高城〉との距離を詰め、水嶺流弐の型・車軸で〈高城〉の急所を狙う。

 

高城(しかし、私はそう簡単には倒せませんよ)

 

しかし高城は三年Aクラスの代表、先手必勝の奇襲など幾度となく経験してきたし、当然対処することなど造作もない。ステータスや武器の性能には差があるためまともに受けるのは得策ではないと判断したのか、〈高城〉は〈詩織〉の七支刀をガードした瞬間後ろに跳ぶことで衝撃を完全に殺しきった。

 

 

 

詩織「無駄」

 

 

 

しかしその行動は想定済みだったようで、〈詩織〉はそのまま加速を一切緩めることなく、跳躍力と激突の衝撃で大きく後退した〈高城〉との距離を再び縮める。

そして…

 

高城(なっ!?…なんて非常識な……)

 

〈詩織〉は加速したまま地面と平行に回転するように跳躍する。遠心力により発生したエネルギーを七支刀に乗せて、〈詩織〉は〈高城〉目掛けて唐竹割りを繰り出す。

 

高城(空中では避けられないし衝撃も逃がせない……。受け太刀するしか……しかし…)

 

やむを得ず日本刀で受け止めようとしたが、二つの力が上乗せされ圧倒的な破壊力を伴った七支刀は、その日本刀ごと〈高城〉を豆腐のように両断した。

 

詩織「フィニッシュ」

 

かろうじて生き延びた〈高城〉だが武器を失い丸腰の状態で〈詩織〉に勝てる筈もなく、弐の型と参の型の併用技である車軸・豪雨により息の根を止められた。

 

 

《総合科目》

『三年Aクラス 高城雅春 戦死

vs 

 一年Dクラス 綾倉詩織 5276点』

 

 

高城「……私の負け、ですね。お見事です綾倉さん」

詩織「…………」

 

高城の称賛にも耳を貸すことなく、詩織はさっさと控えスペースに戻っていった。

首席とはいえ一年生が、三年Aクラスの代表に完封勝ち。

戦果としては十分すぎるほどの快挙だが、詩織の一年生にあるまじき圧倒的なまでの強さに会場全体が沈黙する。

 

綾倉「勝者、綾倉さん!」

御門(この空気の中よくそんなテンションで言えたな……相変わらず図太い奴……)

 

そんな中、綾倉先生はブレることなく試合終了を宣言する。対戦相手である高城や実父である自分に一切言葉を交わすことなく、さっさとステージから退場してしまった詩織のことも完全にスルーである。

まあそれはともかくとして、先程の闘いを振り替えるべく和真が蒼介に話しかける。

 

和真「なあ今の試合……お前にとって見覚えがありすぎる技がいくつかあったよな?」

蒼介「……まず試合開始直後、第一の型・波浪による急加速からの車軸の複合技……雷雨。次に助走をして存分に加速してから地面と平行に回転するよう跳び、唐竹割りで武器ごと両断する技も複合技……登竜門。とどめの豪雨も言わずもがなだ」

和真「つまり徹頭徹尾、水嶺流のオンパレードかよ……水嶺流の型は見よう見まねで習得できるほどお手軽な流派じゃねぇ。ましてやあの技のキレ、通常時のお前と同等以上のキレだ。……あの女、どうやって身に付けたんだ?」

蒼介「……さあな」

 

常に冷静沈着な蒼介の額にうっすらと皺が入る。この様子では鳳家のみに伝承される水嶺流の技……それも複合技をなぜ綾倉詩織がものにしているのか、彼を以ってしてもわからないらしい。

 

蒼介(分家の者から情報が漏れた……?否。彼らも明鏡止水を極めようとせん者、そのような愚行を犯す筈もない。ならば綾倉詩織には鳳と何らかの繋がりが……?

 

 

 

っ!)

 

ふと、蒼介の脳裏に一人の人物が思い浮かんだ。無愛想だが誰よりも優しく、そして誰よりも強い信念を内に秘め、かつて自分が最も慕っていた人物と詩織が重なった。しかし蒼介はすぐにかぶりをふって全否定する。

 

蒼介(私は何を考えている……。よもや綾倉詩織が()()()だとでも?……バカバカしい、私らしくもない荒唐無稽にもほどがある推測だ。そもそもあの人は…

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾倉「さあ、一回戦の試合が全て終了いたしました。一回戦で消耗した分の点数はこの後でがチェスピースを投入して補充しておきます。私は別に決勝まで補充無しでも面白そうだと思ったのですが、それではトーナメントという性質上運の要素が強くなりすぎるという学園長の指示で、私は渋々このような仕様にシステムを調整する羽目になりましたした。まったく……学園長は人使い荒いんですから。この前も自分が召喚システムの調整をミスしたくせに全部私に尻拭いさせて-」

学園長「話が長いんだよ!橘のガキじゃないんだからさっさと進めな!」

綾倉「……それでは私の愚痴はこのくらいにして、続いての二回戦の対戦カードはこちらになります!」

 

綾倉先生が渋々と言った表情で(ただしニコニコ顔は崩さない。それが余計胡散臭いのだが)リモコンのボタンを押すとスクリーンに四ブロックのトーナメントが表示され、一回戦を勝ち上がった生徒の名前が表示される。

 

 

 

〈二回戦〉

【Aブロック】

 

1.佐伯梓vs霧島翔子

 

2.五十嵐源太vsリンネ=クライン

 

 

梓(霧島ちゃんが相手かー……せや、おもろいこと思いついてもうた♪)

翔子(……はっきり言って勝ち目は薄い。

でも私は……)

源太(げっ!?俺様の相手アイツかよ無理ゲーくせぇ。……飛鳥達へのリベンジは後日にするか)

リンネ(ナンてヨむんだっけあのカンジ?ゲンタはヨめるけど……ゴジュウアラシ?)

 

 

【Bブロック】

 

1.坂本雄二vs柊和真

 

2.志村泰山vs大門徹

 

雄二(和真が相手か……こりゃ負けられねぇな)

和真(さて、どこまで強くなったか見せてみろよ雄二)

徹(もうリベンジは果たしたし、死ぬほど興味ない)

泰山(大門先輩あからさまにやる気失ってるなぁ…)

 

 

【Cブロック】

 

1.久保利光vs姫路瑞希

2.工藤愛子vs鳳蒼介

 

久保(やれやれ、彼女との決着は試召戦争のときだと考えていたんだが……当たってしまったものはしょうがないか)

姫路(久保君……今度は負けませんよっ!)

愛子(……勝てる気がしない)

蒼介(工藤が相手か……しかし相手がクラスメイトであろうと、私は全力を尽くすのみだ)

 

 

 

【Dブロック】

 

1.吉井明久vs橘飛鳥

2.金田一真之介vs綾倉詩織

 

明久(橘さんが相手か。よーし!美波の仇を射つぞー!……と言いたいところだけど、柔道家が相手かぁ……投げられたら痛そうだな……)

飛鳥(吉井君が相手、か……決して油断できないわね)

金田一(よりによって高城瞬殺した奴が相手かよ……仇討ち、は厳しそうだな……)

詩織「……」

 

 

トーナメント表の対戦相手が一喜一憂する様子を一通り見届けてから、綾倉先生は第一試合で闘う梓と翔子以外の生徒を控えスペースに移動させてから、勝負開始の宣言をする。

 

綾倉「それでは、二回戦第一試合を始めます!」

 

 

 

 

 

 

 




やたらとかませ役が多い高城ですが、別に嫌いっているわけではありません。
むしろ好きでも嫌いでもない……つまり大して思い入れの無いキャラなので、ついつい雑に扱ってしまうというのが自己分析です。

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