バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【注目生徒データ④】

・木下秀吉(二年Fクラス)

〈召喚獣〉バランス型

〈武器〉日本刀

〈能力〉無し

〈成績〉
外国語……299点
国語……298点
数学……294点
理科……295点
社会……300点
保体……292点

総合科目……3264点


・島田美波(二年Fクラス)

〈召喚獣〉スピード型

〈武器〉ランス

〈能力〉不明

〈成績〉
外国語……482点
国語……89点
数学……318点
理科……154点
社会……152点
保体……129点

総合科目……2519点


仕様により優子さんが強化される度に点数が上昇していく秀吉君ですが、優子さんが異次元の点数を取らない限り腕輪能力が身に付かないのが今後結構痛手かも。


 



激闘!SBF予選④

 

和真「なんとか生き残ったか……ったく、いちいち危なっかしい奴らだぜ」

蒼介「危なっかしい云々は島田も木下も、お前にだけは言われたくはないだろうがな」

リンネ「エ、どういうコト?」

梓「和真は文月学園危なっかしい奴筆頭てことや」

和真「言いたい放題だなオイ……」

 

苦虫を噛み潰したようになる和真だが、彼は相手が格上だと事前にわかっていようと嬉々として喧嘩吹っ掛けていくスタンスなので何も言い返せない。

 

梓「にしてもあの二人、一年にしてはええ動きしとったなぁ……()()()()()()()()()()()()や」

和真「流石にアンタほどじゃねぇけど、俺や蒼介と比べても遜色無ぇレベルだな」

リンネ「1ネン生ってコトは召喚獣をモラッてまだ2かゲツくらいダヨネ?そんなすぐジョウタツするとはオモえないなぁ……」

蒼介「ああ、彼ら二人だけでも十分異様な光景だ。だがそれ以上に……」

 

そう言いながら蒼介は左隣のモニターに視線を移す。そのモニターには教師によって地下の特別補習室に連行されようとしている一年生……およそ200人以上が映し出されていた。

 

蒼介「綾倉詩織と志村泰山……この二人の異常性はより際立っている」

 

モニターの左下に表示されている獲得ポイントランキングでは詩織と泰山がツートップの座についており、さらにモニターの右下に表示されている残り人数表では一年生の表示が『4/300』となっている。

 

リンネ「エエと、これッテつまり……」

和真「俺らが秀吉達の闘いを見物している間に、ほぼ全ての一年生を全滅させたってことだな」

梓「腕輪能力も無いのにようやるわ。いや一年相手やったらウチかてできんこともないやろうけどもやな、それってようするに……」

蒼介「ええ、さきほどあの二人の召喚獣の動きを見たところ……おそらく彼女等の操作技術はあなたや高城先輩、吉井にも匹敵するでしょう」

 

あり得ないと言わんばかりに絶句する梓とリンネ、面白そうな玩具を見つけたような笑顔を浮かべる和真、そして詩織達への警戒を大幅に強める蒼介。

 

蒼介(念のため木下達には事前に忠告してはいたがまさかこれほどとはな。あの四人、まさか……だが私の目が確かならば志村、宗方、黒木には悪意が無い。……となるとやはり怪しいのは綾倉詩織。綾倉先生の娘という立場を上手く使って試験召喚システムのデータを掠め取ったと仮定すれば、話の辻褄があってしまう。しかし綾倉詩織からも悪意は読み取れん……何なんだあの親子は、二人揃って何を考えているかわからんとは……とにかく綾倉詩織には十分注意しなければ)

 

このとき蒼介は明らかに重大な見落としをしているのだが、それに気づくことになるのはもう少し後の話。

誤解を招かないよう補足しておくが、蒼介自身に落ち度があるわけではない。ただ、彼らの敵が一枚も二枚も上手だったというだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、三階の階段付近では…

 

 

《外国語》

『二年Aクラス 木下優子  219点

 二年Aクラス 橘飛鳥   328点

VS

 二年Bクラス 根本恭二  41点

 二年Bクラス 五十嵐源太 184点』

 

 

根本「ヤバい!俺多分あと一撃で死ぬ!」

源太「飛鳥テメェ汚ぇぞ!さっさと降りてきやがれ!」

飛鳥「あら、人の能力にケチつけないでくれるかしら。それに源太……よそ見してると危ないよ?」

源太「あ?-うぉおっ!?」

 

腕輪能力『黒羽』を駆使して上空からチマチマと羽を飛ばしてくる〈飛鳥〉に気を取られている隙をついて、五連の飛ぶ斬撃が〈源太〉に襲いかかる。

 

 

《外国語》

『二年Aクラス 木下優子  169点

 二年Aクラス 橘飛鳥   328点

VS

 二年Bクラス 根本恭二  41点

 二年Bクラス 五十嵐源太 18点』

 

 

とっさに『巨人の爪』で防ぐが、直撃こそ避けたものの何発か掠ってしまい、ついでに腕輪能力発動により点数も消費され瀕死に陥ってしまった。

 

源太「チッ、ここまでか……」

優子「潔いわね。それじゃあお望み通り……と言いたいところだけど、一人ずつピース30点分くれたら見逃してあげるわよ?」

源太「はぁ!?一人30点ってことは計60点!?いくらなんでも足下見過ぎだろテメェ!」

優子「嫌なら別に良いわよ?そんなに安いプライドが大事なら一思いに葬ってあげるから。泥水啜っても生き延びる覚悟も無いヘタレに用は無いし」

源太「こ、このアマ……!」

 

この場は引いておくべきだと頭では理解しつつも、明らかに誰かさんの影響を受けたと思われる優子の煽りスキルと駆け引きにキレそうになる源太。それを見かねた根本が源太に代わって交渉を引き受ける。

 

根本「……仕方ない、要求を飲んでやるよ」

源太「なっ!?根本テメェ!」

根本「五十嵐、プライドは結果に対して持て。……この借りは決勝トーナメントで返すぞ」

源太「!………チッ、わーったよ」

 

かつて『卑怯』の二つ名で呼ばれ忌み嫌われた根本恭二はもういない。

 

根本(……ハッキリ言って、俺や五十嵐の実力じゃ優勝は無理だ。しかしこれだけの規模の大会なら決勝トーナメントに進めれば、優勝できなくても何かしらの報酬があると見て間違いない。俺は確実にそれを狙いに行く。五十嵐とある程度仲の良いこいつらなら喧嘩を売ってもピースを引き換えに見逃してくれると踏んで挑んだが何とかうまくいったな。これで勝率度外視で突っ込みかねない五十嵐に、何がなんでも決勝トーナメントに勝ち上がらなければならない理由ができた。あとはもうこの理由を引き合いに強そうな相手を避けるよう誘導して、確実にピースを稼いでいけば良い)

 

今の彼は言うなれば……『狡猾』。

 

正道や王道には程遠いことに変わりはないが、目先の勝敗に拘らず一時の感情にも流されず、自分により有利な選択を冷静に見極められる、和真を初めとした『アクティブ』(負けず嫌い集団)のメンバー達が決して持ち得ない眼力を備えるようになったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時期、四階の渡り廊下では…

 

 

『何これ!?どういうこと!?』

『召喚獣を上手く動かせねぇ!?』

小暮「ふふふ……その様子だと、わたくしの『黒死蝶』と相対するのは初めてのようですわね」

 

 

《国語》

『三年Aクラス 小暮葵  354点

VS

三年Cクラス 九重伸介  176点

三年Cクラス 島本美奈  168点

三年Cクラス 磯谷金冶郎 163点

三年Cクラス 別府アキ  169点

三年Cクラス 恩田敏夫  162点』

 

 

小暮葵の腕輪能力『黒死蝶』。点数を10消費することで、触れた召喚獣に二種類の状態異常を引き起こす黒い蝶を任意で選び産み出すことができる。状態異常は時間と共に点数を減少させる「毒」と、操作を阻害し動きを鈍らせる「麻痺」だが、どうやら今回小暮が用いたものは後者のようだ。

 

小暮「こうなってしまえば、後は狩るだけですわ」

『格下クラスだからってあまり俺達を舐めるなよ……!俺達はお前らAクラスに最後に一矢報いようとクラス単位で団結したんだ!』

 

リーダー格らしき男の言葉を皮切に数十人のCクラスらしき生徒達と召喚獣がぞろぞろとやってきて、小暮と召喚獣の周囲を取り囲んだ。

 

『どうだ、流石に腕輪持ちのAクラス様でもこの人数は捌ききれまい!』

小暮「そうですわね。わたくし一人ではこの戦局を切り抜けることは到底不可能でしょう。……ですが詰めが甘いですわ。頼りになるクラスメイトとは、何も貴殿方の特権ではございません」

『……?何が言いたい?』

 

その質問には答えず〈小暮〉はさらに10頭の黒死蝶を産み出し、その蝶を寄せ集めて上に乗ることで宙に浮かんだ。Cクラスの生徒達が〈小暮〉の行動に疑問を持ったり状態異常は本人には効果が無いことに気を取られたりした瞬間、

 

 

 

 

 

突如飛来した暗黒物質が、宙に浮かんでいる〈小暮〉以外の廊下にいた全ての召喚獣を飲み込み消し飛ばし、さらに向こう側にいた小暮達とは無関係の召喚獣も数体飲み込み、一番奥の壁に着弾した。

 

『はぁっっ!?』

『い、いったい何が起こったの!?』

杏里「あなた達の敗因は葵に気を取られすぎて、私の射線にいることに気付けなかったこと……」

 

困惑する彼らの背後の階段から、今の攻撃の首謀者である杏里がゆっくりと歩いてきた。左腕に嵌めている青銅の腕輪が起動していることから、どうやら一日一回の支援(アシスト)を使用したらしい。

 

『み、宮阪!今のはお前の仕業か!?』

杏里「御名答……。私の『ダークマター』は全腕輪能力中最高威力……喰らえば助かる見込みは無い……」

 

 

《国語》

『三年Aクラス 宮阪杏里   139点

 三年Aクラス 小暮葵    254点

       Cクラス生徒×25 戦死

       Bクラス生徒×3 戦死  

       Dクラス生徒×2 戦死』

 

 

小暮(卒業前にわたくし達Aクラスに一矢報いようとクラス単位で襲ってくるかもしれないので、そのときはうまく誘導して杏里の能力で一網打尽にする……高城君の作戦通りですわ)

 

Cクラスの目論見は全てAクラス代表・高城雅春の手の平の上であったようだ。これまで二年生相手に遅れを取り続けたせいで他クラスから舐められ気味であった高城だが、騙されやすいかどうかと頭の良し悪しは別であると証明してみせた。そして当の高城も金田一のサポート(高城が騙されそうになればそのカバーに入るという、試召戦争とは別の部分のサポート)によりバッサバッサと召喚獣を仕留めていき、彼らが四階を制圧するのは時間の問題であった。

 

高城「………おや?そういえば常村君と夏川君はどちらに?」

金田一「さっき一年の溜まり場である二階に行くってよ。何でも卒業前に一年坊主に先輩の凄さを見せつけにいくとか」

高城「やれやれ……丸くなってもそういう所は相変わらずですね。彼ららしいといえばらしいですが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその頃の三階では、雄二達と『撒き餌作戦』の囮役としてあくせく働いていた明久が…

 

 

 

清水「このっ、さっさと死になさい豚野郎!私とお姉さまの輝かしい未来の礎となりなさい!」

明久「ひぃぃお助けぇぇえええ!」

玉野「ごめんねアキちゃん!このお詫びは後日フリフリの可愛いお洋服で返すからここは大人しくヤられて!」

明久「驚くほど僕にメリットが無いよ玉野さん!?」

 

 

 

……Dクラスの問題児コンビに、色々な意味で追い詰められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【注目生徒データ⑤】

・小暮葵(三年Aクラス)

〈召喚獣〉スピード型

〈武器〉鉄扇

〈能力〉黒死蝶……消費10。毒、もしくは麻痺を引き起こす蝶を創造する。

〈オーバークロック〉不明

〈成績〉
外国語……332点
国語……404点
数学……330点
理科……354点
社会……406点
保体……328点

総合科目……3984点


・宮阪杏里(三年Aクラス)

〈召喚獣〉パワー型

〈武器〉金剛杵

〈能力〉ダークマター……消費200。圧倒的破壊力の暗黒物質を射出する。ランクアップ腕輪能力や和真のオーバークロック『ガトリングレーザー』クラスでなければ防ぎようがないロマン砲。

〈オーバークロック〉不明

〈成績〉
外国語……358点
国語……339点
数学……353点
理科……412点
社会……373点
保体……335点

総合科目……3930点


連携させたら何気にヤバいペア。小暮が黒死蝶で麻痺させて相手の動きを制限し、杏里が一気に消し飛ばす。





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