バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【バカテスト・英語】
次の英文を和訳しなさい。

If I were assured of the former eventuality I would,in the interests of the public,cheerfully accept the latter.


源太『貴方を確実に破滅させることが出来るならば、公共の利益の為に私は喜んで死を受け入れよう」

蒼介「正解だ。これもシャーロックホームズシリーズからの引用文で、宿敵であるモリアーティー教授の『もし君に私を破滅させるだけの知力があるのなら、私にもまた君を破滅させるだけの知力がある』というセリフに対する返答としてホームズが言い放ったセリフかこの文だ。例え刺し違えようともモリアーティーを倒してみせるという覚悟が感じられるな」


FFF団一同『吉井と坂本と柊を確実に破滅させることが出来るならば、公共の利益の為に俺は喜んで死を受け入れよう』

蒼介「くだらん妬みで迷台詞を穢すんじゃない。大体なんなんだお前達は、何故いつも頓珍漢な回答なのにこういうときに限って惜しいのだ……?」






激闘!SBF予選①

和真「ところでソウスケ、お前は雄二みてぇに自分のクラスに指示とか出してねぇのかよ?」

蒼介「ああ、ペアで行動した方が良いと助言しただけで基本的にはノータッチだ。予選を免除された私があまり干渉するのはどうかと思ってな」

和真「ふーん…まあ問題無さそうだな。お前のクラスは優子や久保や飛鳥と指揮官の代役が務まりそうな奴が揃ってるし……にしてもツーマンセルか」

蒼介「何か気になることでもあるのか?」

 

バトルロイヤルにおいて単独で行動する場合と集団で行動する場合を比べると、裏切りなどが起きないのならば後者の方が圧倒的に有利なのはわざわざ言うまでもない。特に今回点数の補充ができるチェスピースが戦闘中には使用できないことをふまえると、敵を引き付けておける相方の存在は生存率を何倍にも引き上げるであろう。かと言って人数が多過ぎてはダメだ。周知の通り召喚獣の操作は難しく、大勢での連携ともなるとかなりの操作技量が要求される。蒼介の指示で鍛練を積んだAクラス生徒はある程度操作技術が向上しているとは言えあくまで付け焼き刃、3人以上になるとおそらく足並みを揃えることが難しくなるだろう。よって二人組が最もリスクが少ないであろうというのが蒼介の考えなのだが…

 

和真「いや、方針自体には問題ねぇと思うがよ……お前いないから参加してる2-Aの生徒49人で確実に一人余るじゃねぇか。知らんぞ揉めたり空気がギスったりしても」

蒼介「ああ、そのことなら問題ない。一人余るという時点で率先して単独行動を始める奴がいるのでな」

和真「……ああ、徹か。確かにあのマイペースの権化ならそうするだろうな」

蒼介「大門もお前にだけは言われたくはないだろうが、まあ概ねそんなところだ。……さて、どう転ぶかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完全に雄二達のテリトリーと化したB教室とは対照的に、Aクラスの教室は戦場と化していた。Dクラスの六倍もの広さを誇るこの教室のあちこちで、Aクラスの生徒がキングピース目当てで侵入してきた他クラスの生徒と激闘を繰り広げている。

 

 

《国語》

『二年Aクラス 工藤愛子  338点   

VS  

 二年Bクラス 菊入真由美 203点』

 

 

菊入「えいっ!」

愛子「おっと」

 

〈菊入〉が渾身の力で降り下ろしたメイスを、〈愛子〉はバトルアックスで難なく受け止める。

 

愛子「ちょっと動きが単調すぎるかな~。点数差もあるんだし、もう少し工夫しなきゃボクには勝てないよ」

岩下「ご忠告どうも!」

 

〈菊入〉とかち合っているため隙だらけの〈愛子〉めがけて、〈岩下〉はハンマーを構えて特攻した。片方が敵を引き付けている内にもう片方が隙をつくという、シンプルだがお手本のような連係プレーだ。

 

愛子(ふ~ん、流石は2-B仲良しコンビ。伊達にずっとコンビ組んでないってことか……でも残念♪)

 

ハンマーが〈愛子〉にクリーンヒットする寸前、〈岩下〉と〈菊入〉に鎖が巻きついて拘束した。

 

岩下「ぅえっ!?」

菊入「な、何これ…?」

佐藤「お二人とも、油断大敵よ」

愛子「実はボクも一人じゃないんだよね~♪」

  

 

《国語》

『二年Aクラス 工藤愛子  338点  

 二年Aクラス 佐藤美穂  323点

VS  

 二年Bクラス 菊入真由美 178点

 二年Bクラス 岩下律子  185点』

 

 

愛子の危機を救ったのはペアを組んだ佐藤の召喚獣の最新武器、二対の『鎖鎌』である。柄に連結された鎖により抜群の射程を持ち、相手の拘束にも長けた応用性の高い良武器だがやや扱いづらく、真正面からでは警戒されては捕らえにくいためその真価は今のような相手の不意をつく場合に発揮されると言えよう。

 

佐藤「愛子、任せたわよ!」

岩下「っ!?いけない、早く解かないと-」

愛子「もう遅いよ!」

 

二人の召喚獣は鎖をほどこうとするが判断が遅かったらしく、〈愛子〉の追撃をまともに喰らってしまう。

 

佐藤「はい、これでトドメ」

菊入「そ、そんな!?」

 

〈佐藤〉は鎖を巧みに操り、未だ絡まったままの二人の召喚獣を壁に叩きつけて息の根を止めた。

 

 

《国語》

『二年Aクラス 工藤愛子  338点  

 二年Aクラス 佐藤美穂  323点

VS  

 二年Bクラス 菊入真由美 戦死

 二年Bクラス 岩下律子  戦死』

 

 

『律子と真由美があんなあっさりやられた!?』

『あの二人を野放しにしておくとヤベェ!』

 

愛子達を驚異と判断した生徒達の召喚獣が一斉に彼女達に襲いかかる。

 

が…

 

 

 

 

?「5連・ソードバースト」

 

意識外より突如飛来した五つの斬撃が、それら全てを切り裂き肉塊にした。

 

『なっ俺達の召喚獣が一撃で……!?』

『まさかこれって、腕輪能力!?』

愛子「あー!もう優子、横取りはずるいよ!」

 

斬撃が飛んできた方向に愛子が不服そうな表情で振り向くと、優子と飛鳥がこちら側に歩み寄ってきていた。

 

優子「ごめん愛子、絶好のチャンスだったから試し斬りしたくて……はいピース」

愛子「まったくもう……固有武器になったからってはしゃぎすぎだよ優子」

 

PDAを操作して今手に入ったピースを半分ほど譲渡しつつ謝罪する優子。傍らに控えた召喚獣が持つ獲物は、5000点以上の召喚獣にのみ与えられる『固有武器』に属する伝説の聖剣……エクスカリバー。

 

飛鳥「ねぇ優子。そろそろ籠城しているだけじゃ相手が少なくなってくるでしょうし、そろそろ教室から出ない?」

優子「それもそうね。それじゃ愛子、決勝で待ってるから」

愛子「あ、ちょ待っ……行っちゃった」

 

強引に話を打ち切りさっさと教室から出ていった優子達に、愛子は思わず溜め息を吐いた。

 

愛子「何だかなー…最近の優子すっかりからかい甲斐がなくなっちゃったよ」

佐藤「まあ、愛子に翻弄されてるようじゃ柊君の相手は務まらないんじゃない?」

愛子「やっぱり和真君の影響か~……心なしかボクの扱いが悪いし、その内ぎゃふんと言わせてやるー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼介「…と言っているが?」

和真「優子にならともかく、あんなスポーツ刈りの女にいいようにされてたまるかってんだ」

蒼介「ベリーショートと言ってやれ……」

 

本人が聞いていたらまず間違いなく膨れっ面になるような言い草に、流石の蒼介も思わず苦笑する。ちなみに和真の愛子に対する扱いがぞんざいなのは決して気のせいではない。生粋の負けず嫌いであるため表には出さないが、性に奔放な愛子の言動は生娘顔負けの和真には少々刺激が強過ぎる。和真の雑な対応は下手に踏み込まれて手玉に取られないようにするための防衛手段であると同時に、内心ドギマギさせられた腹いせでもあるようだ。

 

和真「……にしても優子のアレ、明らかに固有武器だよな?いつの間に5000点オーバーになったんだ?」

蒼介「ここ一週間の木下の成長は目覚ましいものがあった。おそらくだが、ちゃらんぽらんな誰かさんへの怒りが原動力になったのだろうな」

和真「原因俺かよ…また雄二にネチネチ言われそうだな……あとソウスケ、優子の奴そんなに怒ってた?」

蒼介「『今度という今度は絶対泣かせてやる』とそれはそれは鼻息を荒くしていたな。今の内にある程度覚悟はしておいた方がいいぞ」

和真(もう遅ぇよ……)

 

先ほど優子から受けたお仕置きがフラッシュバックしたのか思わず顔を真っ赤にして俯く和真を、蒼介は興味深そうに観察してゆらりと笑った。

 

蒼介「……その様子だともう泣かされた後のようだな。ふふ、是非ともお目にかかりたかったものだ」

和真「うるせぇボケ」

 

この話は終わりだとでも言わんばかりに和真は別のモニターを物色し、蒼介もそれ以上のの詮索はせず和真に続く。

 

和真「ん~…単独で行動してる奴がどんどん落伍していってるあたり、やっぱバトルロイヤル形式だと点数や操作技術より協調性のある奴が有利みてぇだな」

蒼介「そのようだな。……まあ、何事にも例外はあるようだが(チラリ)」

 

蒼介が視線を向けた先のモニターには、圧倒的な強さで召喚獣を蹴散らしていく徹が映し出されていた。

 

和真「うっわ容赦ねぇ。まああいつの能力『リフレクトアーマー』は、今回の形式にはうってつけだしな。これで一年生とかち合って失格したら笑えるんだが」

蒼介「確かに滑稽だが大門は相当抜け目のない奴だ、そのような愚を犯すことは無いだろう」

 

そんな感じで適当に談笑しながらぶらぶら歩いている二人に、梓とリンネが歩み寄ってきた。

 

梓「なぁなぁ和真、ちょっとええか?」

和真「あん?どうした梓先輩、と……」

リンネ「ボクはリンネ・クライン!スウェーデンからきたコウカンリュウガクセイだヨ!」

和真「ほう、お前が予選免除された最後の一人か。俺は柊和真、よろしくな」

リンネ「うん、よろしくね和真!にひー」

蒼介「それで佐伯先輩、何かあったのですか」

梓「あっちの方のモニターで和真のクラスメイト二人がえらい追い詰められてるから教えたろ思てな」

和真「何……?」

 

梓の指差した方角に視線をやると、秀吉と美波の召喚獣が窮地に立たされていた。そして彼女達を追い詰めている生徒が誰かというと…

 

蒼介「黒木と宗方……!?バカな、奴らはまだ…」

 

召喚獣を手に入れて間もないため操作慣れしていないはずの一年生……黒木鉄平と宗方千莉の生徒会コンビであった。

 




【注目生徒データ①】

・工藤愛子(二年Aクラス)

〈召喚獣〉パワー型

〈武器〉バトルアックス

〈能力〉雷撃(消費50)……召喚獣に電気を纏わせる。

〈オーバークロック〉不明

〈成績〉
外国語……338点
国語……341点
数学……346点
理科……362点
社会……330点
保体……583点

総合科目……4017点



・佐藤美穂(二年Aクラス)

〈召喚獣〉バランス型

〈武器〉鎖鎌

〈能力〉不明

〈オーバークロック〉不明

〈成績〉
外国語……348点
国語……319点
数学……412点
理科……403点
社会……339点
保体……316点

総合科目……3958点







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