バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【アクティブ古今東西ランキング(統率力)】

①蒼介……文句無しの一位。人の上に立つために生まれ、人の上に立つための教育を受けてきた男。

②優子……蒼介と比べると数段落ちるものの、指揮官としての資質は十二分に備えている。

③飛鳥……生まれもった資質はやはり凡庸だが、それ相応の教育は受けているのでこの順位。ちなみにAクラスの発言力は蒼介→優子・久保→飛鳥という力関係で成り立っている。

④愛子……上三名には到底及ばないものの、ある程度はこなせる。流石優等生。

④源太……こう見えて参謀タイプ。しかしその強面のせいで受け入れられるまで時間がかかるのが難点。

⑥和真……指揮官のセンスまるで無し。勢いとアドリブをこよなく愛し、突撃させるだけさせて後は野となれ山となれ。そもそもあれこれ指示を出すより自らの行動で周りを鼓舞することに長けた切り込み隊長タイプ。ただし、サドスイッチが入った状態で人を追い詰めるときだけはやたら指示が的確。

⑦徹……そもそも指揮する気が無い。
人は人、自分は自分。
どこまでもゴーイングマイウェイ。



予選開始

綾倉「これ見よがしに出しといてなんですが、実際に駒を奪い合うわけじゃありませんよ」

明久(じゃあなんでわざわざ出したんだろう……?)

 

綾倉先生はチェスの駒を右ポケットにしまいつつ、左ポケットから箱型の機械を取り出す。

 

雄二「!……」

綾倉「それではルール説明をしましょうか。少々複雑ですが後でまとめたプリントを配布しますので、覚えきれなくてもまあ大丈夫ですよ」

御門(要はこのくらい覚えきれねーと結果は見えてるってことじゃねーか……ホント性格ワリーよなアンタ……)

 

御門のように言葉の裏に隠された真意をくみ取った生徒達は思わず顔をひきつらせる。常に優しい笑みを浮かべている綾倉先生であるが、決して温柔敦厚な人物ではないということだ。

 

綾倉「ルールその①……予選開始は10時半、制限時間は12時半までの2時間。ルールその②……戦いの舞台は校舎全域。校舎の外に出てしまった生徒はその時点で失格とします。その③……校舎及び校舎内の器物を破損した場合も即失格とします(チラッ)」

明久(チラ見された…)

雄二(ルール①、②はともかく、ルール③は明らかにババァの俺達への当て付けだな……)

 

学園長の判断も無理もない。明久と雄二が校舎や器物を破壊した回数など、もはや両手の指では数えきれないのだ。しかも雄二に至ってはタチの悪いことに試験召喚戦争の作戦にまで組み込んでいる始末だ。世間への露出が文月始まって以来最大となるこの『S・B・F』でそんなことを起こされては文月の評判が地に落ちるばかりか、試験召喚システムの存続すら危ぶまれかねない。

 

綾倉「そしてルールその④ですが……校舎内のあらゆる場所に設置されたこの、召喚フィールド発生装置を壊せば失格です」

雄二「……」

 

そう言いながら綾倉先生ほ手に持った箱を皆に見えるよう掲げる。

 

徹「召喚フィールド発生装置?名前からして教師のように召喚フィールドを展開する機械ですか?」

綾倉「その通り。900人近くのバトルロワイヤルともなるとどう考えても人手が足りませんからね。この装置は一定時間ごとにランダムでフィールドの教科を変更するという優れもので、学園長の無茶ぶりを受けた私が寝る間も惜しんで作成した-」

学園長「愚痴や自慢は後にしておくれ。時間に余裕があるわけじゃないんだよ」

綾倉「ケチ臭い学園長の指示に渋々従って説明を続けますね。配布したPDAには『チェスピース』というアイコンがあるでしょう?」

 

説明を聞いた生徒達がPDAを操作してみると、確かに『チェスピース』と書かれたアイコンがあった。

 

綾倉「そのPDAは試験召喚システムとリンクしており、召喚獣を倒すごとにランクに応じたチェスピースが追加されていきます。倒した召喚獣がAクラスならば6点のキングピース、Bクラスなら5点のクイーンピース、Cクラスなら4点のルークピース、Dクラスなら3点のビショップピース、Eクラスなら2点のナイトピース、Fクラスなら1点のポーンピースが追加されます。あ、一年生の場合は一学期末テストの結果が反映されています」

 

つまり1位から50位ならキングピース、251位から300位ならポーンピースのように50位刻みでランク付けされているということだ。

 

優子(なるほど、だから駒争奪戦(チェスナッチ)ね……)

綾倉「制限時間ありのバトルロワイヤル、点数付けされた駒の奪い合い……もう大まかなルールは把握できますね?ルールその⑤……終了時、チェスピースの合計点数トップ28名が予選通過です。勿論制限時間内に28名になればその時点で予選は終了しますが」

雄二「……なあ綾倉先生」

綾倉「何でしょう坂本君?」

雄二「既にピースを所持している奴の召喚獣を倒せば、そのピースは手に入るのか?」

綾倉「残念ながらNOです。例え100点分のピースを所持している生徒の召喚獣を倒しても手に入るピースは1つしかありません」

雄二「そうか……それじゃあ、戦闘以外でのピースの譲渡は可能か?」

綾倉「……中々目の付け所がよろしいですね坂本君。ルールその⑥……チェスピースの譲渡は双方の合意の上でのみ可能です。ただし金銭取引をしたり、譲渡の際に定めた取り決めを破れば失格とさせていただきます」

 

このルールは自分よりも強い相手から生き残るために非常に重要になってくるであろう。

例えば5点分のピースを集めたCクラスの生徒がAクラスの生徒に追い詰められたとする。このときそのピースを全て譲渡する代わりに見逃して欲しいと頼みこめば、そのCクラスの生徒が余程嫌われてない限り受諾して貰えるだろう。Cクラスの召喚獣を倒したところで手に入るのは4点のルークピースのみなので、それならば5点分のピースを受け取った方が明らかに得である。そして、一旦譲渡してしまえば安全は保証される。Cクラスの召喚獣を攻撃すれば協定違反として失格になってしまうので、Aクラスの生徒は引き下がらざるを得ない。

 

綾倉「そしてルールその⑦……予選中は補充試験はできません。ただし救済措置として、戦闘中を除き獲得したチェスピースを消費して点数を回復させることができます。ポーンなら50点、ナイトなら100……そしてキングなら300点と、50点刻みで回復量が違います」

姫路(なるほど……勝ち残るためには色んな意味でチェスピースが重要になってくるわけですね)

 

タイムアップを待って獲得点数で勝負する場合は勿論、制限時間内に28人まで数を減らそうとすればどうしても消耗が激しくなるので、消耗した状態を狙われないためにもチェスピースでの回復は欠かせなくなるだろう。

 

綾倉「そしてルールその⑧……一年生の召喚獣に対する金の腕輪及び“オーバークロック”及びランクアップ能力の使用を禁止します。一年生はまだ腕輪が設定されていませんから当然の処置ですね」

徹「綾倉先生、禁止とは腕輪能力で攻撃してはならないということですか?」

綾倉「それだけじゃありませんよ。腕輪能力による防御や回避も当然禁止です。もっと言えば、一年生側から腕輪能力に当たりにいった場合でも失格になります。ですので、一年生が近くにいるときは使用を控えることをおすすめしますね」

雄二(よし、あとは…)

綾倉「そして最後にルールその⑨……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二(敵前逃亡さえ許可されてくれれば……)

綾倉「今回に限り、敵前逃亡を許可します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【S・B・F予選のルール】

①制限時間は2時間(10時~12時)

②校舎及び校舎内の器物を破損した場合は即失格。

③舞台は校舎全域。校舎から出た時点で失格。

④校舎内のあらゆる場所に設置されたキューブ状の召喚フィールド発生装置を壊したら失格

⑤終了時に集めたチェスピース合計点数トップ28名が予選通過(制限時間内に28名になればその時点で予選終了)。

⑥チェスピースの譲渡は双方の合意の上可能。ただし金銭取引をすれば失格。譲渡の際に協定などを結び、それを破った場合も失格。

⑦補充試験は不可。ただしチェスピースを消費して点数を回復させることができる。

⑧二・三年生は一年生の召喚獣に対する金の腕輪関連の能力の一切の使用を禁止する。

⑨敵前逃亡の許可。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和真「やれやれ……予選終了までの間、俺達はこのまま体育館で軟禁状態かよ」

蒼介「むしろ高みの見物と捉えるべきだろう。予選の様子はリアルタイムでモニターに表示されるので、そうそう退屈はしないだろう」

和真「つかモニターいくらなんでも多すぎだろ……」

 

体育館の周りの壁一面に設置されたモニター計200台(それぞれバラバラの場所を映し出している)を見渡し、思わずげんなりする和真。鉄人以外の教師陣、和真達と同じ予選免除組である梓やリンネ、そして四大企業の重役達はそれぞれどのモニターで見物するか物色している。

 

和真「バカみてぇな金と労力の使い方しやがって……」

蒼介「まあそう言ってやるな。それだけこの祭典に懸ける思いは大きいということだ。……では私は二年Fクラスのモニターをチェックしよう」

和真「あん?なんで俺達のクラスなんだ?……もしかして、さっき雄二がどことなく不自然だったことに関係あんのか?」

蒼介「ああ。私の推測が正しければ坂本はとんでもない策を二つほど用意している。そしてその一つ目が実行されるのは……おそらく開始直後だ」

和真「ほー、お前がそういうんなら面白そうだし俺も見とくか。どれどれ……何やってんだこいつら……?」

 

モニターを覗き込むと、雄二は教卓に立ってクラス中を鼓舞していた。その様子から察するに、どうやらFクラスはクラス全体で徒党を組むらしい。

 

和真「こいつら進歩しねぇな……予選を勝ち抜けられるのは28人までだっつってんだろ。明らかに利用されるだけされて見捨てられるに決まってんだろ」

蒼介「………いや、坂本の狙いはおそらく別だ」

和真「は?どういうこと-」

 

 

 

ビーーーーーーーー!!!

 

 

 

綾倉「それでは10時半になりましたので、ただ今より……S・B・F予選スタートです!」

 

 

合図のブザーを聞き届けると同時に、綾倉先生が予選開始の宣言をした。

 

和真「お、始まったか。……それで話を戻すがソウスケ、雄二の狙いは別ってどういうことだよ?」

蒼介「ああいうことだ」

 

和真は蒼介の指差した方向、つまりは例のモニターに目を向けると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久・雄二・秀吉・ムッツリーニ・姫路・美波・翔子の7体の召喚獣と、計42の召喚獣の屍が映し出されていた。

 

和真「………はぁっ!?何がどうなったらそうなるんだよ!?」

蒼介「簡単なことだ。坂本は自分を含めた7人以外のクラスメイトの召喚獣42体を……狩る対象としか見ていなかったらしい」

 

 

 




雄二、初っぱなから外道極まりない作戦で現在42ポイントで首位!この思い切りの良さが蒼介には無い雄二だけの強みですね!

詳しい解説は次回で。

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