バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【お知らせ】
次回からしばらく「バカバカバカしくも素晴らしき日常」の更新に専念します。


オリジナル第二章終了

雄二「……ったく、こんなことはもうこれっきりにしてくれよ」

和真「んだよ雄二?今回の模擬代表戦に何か落ち度でもあったのか?」

翔子「……それぞれ課題が見つかったり著しい成長を見せたりと、とても実入りのある催しだったと思う」

雄二「お前におとなしくしておけなんて言うつもりはねぇよ、どうせ聞き入れちゃくれないだろうし。……ただな、せめて代表の俺には事前に報告しろ」

和真「それじゃサプライズにならないじゃねぇかよ」

雄二「こんなサプライズ求めてねーんだよ!」

 

三年との模擬代表戦も無事終わり、久しぶりに三人一緒に下校するFクラス地頭良いトリオ(優子は蒼介が開くAクラス全体自習に参加している)。

ちなみに、最終戦がどうなったのかというと…

 

和真「しっかしよー、やっぱあの先輩半端なく強ぇな畜生……」

翔子「……でも、終盤は大分喰らいついていた」

雄二「最終的な点数差も300ちょいだったしな、もう一度闘えば勝てるんじゃないか?」

和真「負けは負けだろうがよ。それに初期点数500以上差があるし召喚獣のスペックも勝ってるんだ、操作技術で劣ってようがひっくり返されていい勝負じゃねぇんだよ……」

 

あの後も梓は持ち前の操作技術とトリッキーな戦法で和真を翻弄し、中盤でとうとう点数差が逆転した。しかし迎えた終盤、梓の動きを学習した和真が操作精度を上げ徐々に盛り返し始めることになる。

柊和真は正真正銘、掛け値なしの天才である。闘いの中で敵の技術を糧として吸収し成長していくことなさど何ら珍しくもない。しかしながらそれでも梓との差は埋まりきらず、結果点数差はそのまま縮まることなく終結した。

したがって最終結果は三勝三敗一分けと、三年Aクラスと二年Aクラスの宿命の闘いは引き分けに終わった。

 

和真「それに梓先輩にギリ勝てるレベルじゃあ、多分今のソウスケには絶対勝てねぇ。さらにパワーアップする必要があると確信できただけでも収穫はあったぜ」

雄二「そうか……まあお前がそう言うからには当てがあるんだろう。これからも頼りにしてるぜ?」

 

あっけらかんと笑いながら言う雄二に、何故か和真は神妙な面持ちになる。

 

和真「…………なぁ雄二」

雄二「ん?どうした?」

 

 

 

 

 

 

 

和真「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

 

翔子「っ……!」

雄二「…………」

 

和真の何気ない問いかけに二人は歩みこそ止めなかったものの、翔子はいつもの無表情はどうしたとばかりに顔を強張らせ、雄二も表面上は平然としているものの両の手は不必要なほどの力で握り拳を作っている。しがらく重苦しい空気が続いたが、やがて冷静さを取り戻したのか演技なのか、軽い笑みを浮かべてやんわりと否定する。

 

雄二「あのなぁ和真……俺は鳳みたいに度を越したストイックでもなければ、お前みたいに闘うためならどんな苦難でも平然と取り組める戦闘狂でもないんだぞ?ランクアップが可能になるまでひたすら勉強とか、かったるくてやってられねぇよ」

 

そこで一度言葉を切り、やや悟ったような…それでいて自嘲めいたような表情に変わりつつ言葉を続ける。

 

雄二「それに……俺はかつて勉強しか取り柄の無かった自分に失望し、勉強する意義を完全に失ってしまった。今さらもとの優等生には戻れねぇよ」

和真「そうか…一応言っておくがな、お前が手を抜いているんじゃないか疑ってたわけじゃねぇぞ。お前の対Aクラスにかける熱意は本物だからな」

 

和真のその言葉を聞いて翔子が肩を撫で下ろす一方で、基本的にひねくれ者の雄二はニヒルな笑みを浮かべる。

 

雄二「なんでそう断言できるんだよ?」

和真「んなもん見りゃわかるんだよ、俺の観察スキルの精度舐めんな」

雄二「なんか嘘発見器みたいだな」

和真「他にも色々、ほんのささいな感情の変化も察知できるぞ。例えばそうだな……俺がいるせいで翔子と二人きりになれないのをお前がほんの少し残念がって-」

雄二「よしわかった!お前の凄さはわかったから、少し黙ってろ!」

 

その後、二人とがそこはかとなく良い雰囲気になり始めた頃には和真は退散していたそうな。妙なところで無駄に空気を読む男である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃二年Aクラスの教室では、Fクラスとの決戦に備えて今週から始めた蒼介による特別講義が行われていた。蒼介の教え方はとてもわかりやすいものの、内容はとても高校生が取り組むような難易度のものではなく、文月学園きってのエリートであるはずのAクラス生徒達も大半が頭を悩ませるほどであった。

 

蒼介「-以上により、区間 [a,b][a,b] で連続、(a,b)(a,b) で微分可能な関数 f(x)f(x) に対して、

a<c<b なる c で f(b)−f(a)/ b-a=f′(c)を満たす c が存在する。これで平均値の定理の証明をは終わりだ。……む、もうこんな時間か。キリも良いので今日はここまでとする。今日までの範囲でわからないことや引っ掛かることがあれば来週の昼休みにノートかルーズリーフに書いて渡してくれたら、次の日に解説を書いて返却する。それでもつまずく場合は直接聞きに来るといい……それじゃあ私はこれで失礼する」

 

そう言うと蒼介は教室から出ていき、生徒達は仲の良いメンバーで集まったりさっさと帰宅準備をし始める。そんな中、優子・愛子・飛鳥のなかよし三人娘が集まる。

 

愛子「あぁ~…疲れた……鳳君容赦ないね、ついていくだけで精一杯だよ」

飛鳥「ついていけるだけまだマシじゃない、私なんてまだ半分も理解できてないよ……」

優子「飛鳥は別に大丈夫でしょ、後で鳳君に手取り足取り教えてもらえるんだし」

愛子「ほほう、それは興味深い話だね~。さぁ飛鳥、後で鳳君とどんなやらしいやり取りをするかについて詳しく♪」

飛鳥「待って。勝手な推測で話を面白おかしく広げないで」

優子「ちょっとした冗談よ。アンタと鳳君に限ってそんな艶っぽい展開にはならないだろうし」

愛子「出家アベックとまで呼ばれてるくらいだからね」

飛鳥「うん、とりあえずその不名誉かつ古い通り名を誰が言い出したのか詳しく調べないとね」

 

ちなみに犯人は勿論、幼馴染みをネタにすることに定評のある我らが和真である。

 

愛子「ところで優子はどうなの?」

優子「結構苦労したけど今のところ問題無いわ。応用や複合問題を解けって言われたらまだ不安だけどね」

飛鳥「十分すごいわよ……」

愛子「やっぱり久保君や優子や徹君は頭の出来が違うねぇ~……」

久保「称賛はありがたいが、今日の内容には苦戦しているよ」

愛子「え、そうなの久保君?」

 

愛子の何気ない呟きをたまたま耳にしたのか、学年次席(実質5位だが)の久保が三人の会話に入る。女子達の会話に横から割って入っても悪感情を抱かれないのは、心身ともにイケメン(たたし、明久が絡まない場合のみ)である久保の人徳によるものだ。

 

愛子「あー、そういや久保君ってガチガチの文系だったっけ」

優子「え?でも一学期の時点で克服してたわよね?」

久保「苦手意識は取れたけど、やっぱり文系科目に比べると理解力に欠けるんだ。僕の見立てでは、今日の講義内容を苦もなく理解できた人は大門君くらいだと思うよ」

 

久保のその言葉を聞いた三人の視線は徹へとに注がれる。三人の視線を受けたAクラスが誇る理数系のエキスパート、大門徹は…

 

 

 

徹「(モッサモッサモッサ…)……うむ、我ながら会心の出来」

 

ウェディングケーキらしきものを一心不乱に貪り食っていた。この光景を見て思い浮かぶ感想は多種多様であるが、三人……いや、久保も加えた四人の感想は奇しくも一致した。

 

 

 

 

 

 

 

 

((((どこから出したんだろう……?というかどうやって持ってきたのそんなバカデカいケーキ……?))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は夜の10時頃、“御門エンタープライズ”最高経営責任者・桐生舞は今日の激務を終わらせてようやく帰宅していた。ハーバード大卒の才媛とはいえまだ24歳、社会人二年目の彼女にはその肩書きは重すぎるのか、完全にくたびれきっている。このやつれた表情をした女性が「美人過ぎるCEO」などとあらゆるメディアにもてはやされているなど誰が信じられようか。

 

桐生「うぅ……今日も疲れました……御門先輩のバカ、アナタに関わらなくてもロクな目に遭わないじゃないですか……」

[その上我々にも目をつけられたのだから、貴様の幸の薄さは筋金入りだな。心底同情するぞ娘よ]

桐生「…っ!?!?!?」

 

後ろから聞き慣れない電子音声を聞き咄嗟に振り向くと、そこには純白の天使・アドラメレクが立っていた。さらにその天使の足下を中心に巨大な幾何学模様が辺り一面に広がっている。

 

桐生「な…なんですかアナタは!?この模様……まさか、先輩が追っているという召喚獣!?」

[理解が早いようで何よりだ、どれ……]

 

アドラメレクは桐生を値踏みするような視線を投げかけ、ややがっかりしたような表情になる。

 

[……やはり()の言っていたとおり、“玉”にはあと一歩足りんようだな。しかし原石ではあるし当初の予定通り、貴様にはベルゼビュートの器になってもらおう]

桐生「わ、私に何をするつもりですか!?警察呼びますよ!」

[警察などが我をどうこうできるとでも?……それにもう間に合わんよ]

 

不穏な気配を感じ取った桐生は警戒体制に入るが、アドラメレクは桐生に向けて手をかざす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「אֶרוֹזְיָה」

 

 

その瞬間、桐生舞は目も眩むような白い閃光に飲み込まれた。

 

 

 

 




蒼介「第二章が無事に……無事ではないが終了したな」

和真「ああ、無事じゃねぇ……全くもって無事じゃねぇよ……」

飛鳥「あの桐生さんって人、流石に可哀想過ぎない?この小説で不幸な目にしかあってない気がするんだけど……」

和真「まぁ、おっちゃんが何とかするだろ。設定ではあの人、おっちゃんのヒロインだし」

蒼介「清々しいほどの丸投げぶりだな……」

飛鳥(というか御門先生と桐生さん、七巻終盤で結構深そうな溝ができていたけど大丈夫かしら) 

蒼介「…………まあそれはともかく、前書きで告知した通りしばらくは番外編の更新に専念する」

和真「色々と貯まっているからなぁ……原作の0.5巻の内容はもちろん俺達三人がどう出会ったかとか…」

飛鳥「優子との馴れ初めとかもね♪」

和真「今すぐ口閉じろ没個性が」

飛鳥「没個性!?」

蒼介「やれやれ…………さて、そろそろ時間だな。差し支えなければ、これからも読んでくれると嬉しい」

和真「じゃあな~」







蒼介「というかカズマ、前回あんなはらはらする引きで終わったのに普通にダイジェストで負けたな」

和真「やかましいわ!
この借りは、召喚大会編で必ず返す……!」



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