バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【バカテスト・古典】

問 次の文章中の・・・・・の古文単語を現代語訳せよ。

笛を()()()()()()吹き澄まして、過ぎぬなり


姫路の答え
『とても見事に』

蒼介「正解だ。いとおかしは様々な意味を持つ古文単語だが、文脈から笛を吹く上手さを表していると判断できる」


美波の答え
『おもむきがある』

蒼介「確かにその訳し方がメジャーではあるが文脈に沿わないので不正解だ。どうやらまだ古典は少々苦手なようだな」


須川の答え
『ペロペロと』

蒼介「…………カズマ、何がどうなってこんな訳になったのか、わかるか?」

和真「アレじゃね?笛→リコーダーって連想しちまったんだと思うぜ」

蒼介「完全に変質者じゃないかそれは!?よく提出できたなこの答案!?」

和真「結局職員室送りになったらしいぞ」

蒼介「当たり前だ!」


ムッツリーニの答え
『艶かしく』

蒼介「こいつもこいつでどうしてこんな訳し方になるんだ……?」

和真「笛→リコーダーって連想は須川と同じだけど、こいつの場合脳内では舐めているのは女子だな。そしてこいつも職員室送りだ」

蒼介「ああもう、どいつもこいつも!」

和真(荒れてきたなぁソウスケの奴……ストレス溜まってんだろうな)


明久の答え
『ウケるー!』

蒼介「ウケねぇよクソが!!!」

和真「気持ちはわかるが落ち着けソウスケ!?本編じゃないとはいえキャラ崩れすぎてるぞ!」

蒼介「やかましいわ!貴様だって本編で木下(姉)にアイデンティティーを片っ端から崩されていってるだろうが!」

和真「テメェこの野郎おとなしくしてりゃ人が気にしてることを!?上等じゃねぇか、その喧嘩買うぞオラァァァァァッ!!!」

(本編でも読みながらしばらくお待ちください。)



VS三年Aクラス⑤

和真「さて、泣いても笑っても最終戦だな梓先輩。ワクワクしてきたぜ」

梓「ちっともワクワクせんわ。二勝三敗やで?これもうウチが勝ってもあんたらに勝ち越されへんやん……」

和真「確かに引き分けなんざモヤッとするが心配ねぇよ。アンタを倒して二年の完全勝利で終わるからな」

梓「…………ほー?それはまた、ウチも随分見くびられたもんやなぁ」

 

ニコニコ笑顔を浮かべながら濃密な殺気を垂れ流す合法ロリツインテール。流石は高校柔道界で最強の名をほしいままにしただけのことはあるが、それを真正面から受けたはずの和真は普段通り不敵な笑みを浮かべたままだ。

 

和真「まぁそろそろ暗くなってきたし、べらべらと無駄話をしてないでさっさと闘ろうや……サモン!」

梓「あんた絶対ウチのこと舐め腐ってるやろ、ホンマ可愛いげのない後輩やわぁ……サモン!」

 

キーワードに反応して幾何学模様が出現し、その中心部から二体の召喚獣が現れる。ご存じの通り和真の召喚獣の装備が軍服にロンギヌスの聖槍であるのに対し、梓の召喚獣の装備は以前と同じく防刃スーツにトンファー二刀流。ただし両足には金属製のソルレット(足鎧)が装着されている。

 

和真(両足まで完全武装か、文字通り全身凶器だな。……それにしても先輩のあの点数……)

 

 

《総合科目》

『二年Fクラス 柊和真 5663点

VS

 三年Aクラス 佐伯梓 4825点』

 

 

梓「ふふん、どうや受験生の底力は?夏期休暇を経てレベルアップしたのはあんただけやないんやでー?」

和真「…………あれ?アンタ確かもう栄応大の推薦貰ってたよな?」

梓「ええやん別に。柔道部も引退してもうたし、ウチの周りは受験勉強一色で暇やったんやもん……」

和真「あっさり肝試しの提案に乗ってきたのもそういうことか……」

 

一学期時点での翔子を上回るほどの高得点を叩き出した理由が微妙に悲しいので、思わずいたたまれない表情になる和真。本人も自覚しているのか恥ずかしそうに顔を赤らめながら俯く梓。

柔道界のアイドルとも称され全国にも多数のファンを持ち、もし学園で人気投票を行えば間違いなくトップ争いの一角である美少女の夏休みにしては、あまりにも寂しすぎる。

 

梓「う…ウチのことはもうええやろ!そんなことよりさっさと始めるで!」

和真「そ、それもそうだな。それじゃあさっそく……くたばりやがれぇぇえええ!」

 

怒号とともに〈和真〉は持ち前のスピードを活かして一瞬で槍の間合いに入り、怒濤の百烈突きを仕掛ける。

 

 

キキキキキキキキキィィィイイイイインッ!!

 

 

しかし〈梓〉はそれらの攻撃を全て、両手のトンファーを巧みに駆使してガードしていく。あらゆる角度から繰り出される〈和真〉の槍捌きは掛け値無しに強力なはずだが、〈梓〉はたった一撃すら取りこぼすことなく対応している。

 

姫路「あの柊君が、攻めあぐねてます……」

美波「で、でも佐伯先輩も防戦一方じゃない!それに柊の装備も固有武器なんでしょ?このまま攻めてればそのうち…」

明久「いや、残念ながらそれは期待できないよ美波……」

 

不安になる姫路への美波の励ましを、明久は苦虫を噛み潰した表情でバッサリと否定する。

 

美波「ど…どういうことよアキ?」

明久「佐伯先輩は和真の攻撃をまともに受けているわけじゃないんだ……ほら、よく見たらわかるよ」

 

美波達は明久に促されて二人のぶつかり合いを凝視する。すると、〈梓〉は〈和真〉の攻撃をトンファーで受け止めるのではなく、かつて和真が格上である鉄人の猛攻にしたように槍の側面にヒットさせることで捌いていることに気付く。

 

翔子「……あの捌き方だと、武器が砕けるほどダメージを蓄積させることは不可能」

雄二「そしてセンパイが防戦一方なのは、おそらく間合いのおかげだな」

姫路「え?…………あっ。あの間合いだと、佐伯先輩の攻撃はとても届きませんね」

 

〈和真〉は槍の長いリーチを活かすために、一方的に攻撃できる距離を保ち続けている。〈梓〉も距離を詰める隙を伺いつつも、無理に突っ込めば槍の餌食になるため中々攻勢に出られないでいた。

 

明久(逆に言えば、距離さえ詰められてしまうと、おそらく操作技術で勝る佐伯先輩が有利になるってことだ……和真、このままじゃマズいよ……?)

 

 

 

 

 

 

 

梓「あぁもう少しは手加減してや、ごっつ怖いわぁ」

和真(コイツ余裕で対処してるくせにヌケヌケと……!だがこの間合いを保ち続けている限り先輩に攻め手は無ぇ!ここはこちらから仕掛けず、相手が業を煮やして無理に特攻してくるのを…………あん?)

 

カウンターチャンスを虎視眈々と狙っていた和真は、二人の召喚獣の位置が最初に比べて、いつの間にかやけに壁際に移動していることに気がつく。

 

和真(……戦況は間違いなく拮抗していた、俺の召喚獣に押されて先輩の召喚獣が壁際まで追い込まれた筈が無ぇ……ってことは、さりげなくあの位置まで誘導されたのか?)

 

和真の予想は正しく、梓は自らの召喚獣を和真に気づかれないようにこっそりと召喚獣を徐々に後退させていたのだ。

 

和真(……何が狙いだ?壁際に移動したところで有利になる要素なんざ……何かヤな予感がするな。わざわざ相手の思惑に乗る気は無ぇ、ここは攻め時だ!)

梓(っ!あの表情、感づかれたか!?せやけどほんの少し遅かったなぁ!)

 

相手のペースを崩すために〈和真〉が敢えて間合いを詰めたと同時に、〈梓〉はバックステップで壁に飛び、壁を蹴った反動でトンファーを構えながら〈和真〉に飛びかかる。

 

和真(これさっき島田が大失敗した奴じゃねぇか。こんな欠陥技ちょっと後ろに下がって避けりゃ…

なっ!?)

 

〈和真〉は一歩半下がって回避しようとしたが、〈梓〉は空中でくるりと一回転しながら〈和真〉目がけて踵落としを繰り出す。トンファーで攻撃する場合に比べてリーチが伸びたため、〈和真〉は踵落としをかわすのは不可能である。

 

 

ガキィィイイイン!!

 

 

和真(よし、何とかガードが間に合っ-)

梓「安心すんのはまだ早いわ!」

 

ソルレットが聖槍に受け止められた状態から、〈梓〉は聖槍を基点に体全体を半回転させ〈和真〉の真横に転がり落ちつつ、すれ違いざまにトンファーで〈和真〉を思いっきり殴り飛ばした。

 

和真「!?…ちぃっ!」

 

しかし〈和真〉もただではやられない。ぶん殴られたことで吹き飛ばされさながらも、反撃とばかりに〈梓〉を槍で斬りつけた。しかしスペックでは〈和真〉が勝るとはいえ、体重の乗った〈梓〉の一撃と吹き飛ばされながらの〈和真〉の反撃……どちらの威力が高いかなど、わざわざ言うまでもない。

 

 

《総合科目》

『二年Fクラス 柊和真 5269点

VS

 三年Aクラス 佐伯梓 4675点』

 

 

梓「ほらほら、休んでる暇なんかあらへんでぇ!」

 

間髪いれずに〈梓〉は〈和真〉との距離を詰める。転倒した状態から速やかに体勢を立て直したものの間合いを調整するだけの余裕は和真には残されておらず、みすみす相手のの射程範囲に入ってしまった。

〈梓〉は〈和真〉目がけて左のトンファーで殴りかかる。〈和真〉は即座に聖槍でガード体勢に入るも〈梓〉は直前で攻撃を止め、そのままトンファーで槍を引っかけてロックし、その隙に右足のソルレットで蹴りつけた。〈和真〉も反撃に空いている手で〈梓〉に殴りかかるがもう片方のトンファーで難なくガードされてしまう。

そこで〈和真〉はパワーの差で聖槍にかけられたロックを強引に引き剥がすも、その際にできた隙をつかれて蹴り飛ばされる。蹴りが命中する瞬間に後ろに飛ぶことでダメージを軽減するも〈梓〉がすぐさま距離を詰めてきたため間合いをとることはには失敗する。

〈梓〉は今度は右足でミドルキックを繰り出してきたため〈和真〉は真っ向から聖槍で迎え撃つも、〈梓〉の右足は弧を描きながら〈和真〉や聖槍にかすりもせずそのまま地面に着地し、即座にその右足を軸に体を半回転させながら左のトンファーでぶん殴った。〈和真〉は吹き飛ばされながらも〈梓〉に反撃を食らわせるも、やはり自身が負ったダメージの方が大きかった。

 

 

《総合科目》

『二年Fクラス 柊和真 4793点

VS

 三年Aクラス 佐伯梓 4468点』

 

 

梓「随分操作に慣れてきたみたいやけど……まだまだ動きが素直すぎるなぁ」

和真(クソが……予想してたがやっぱこのペテン師のフェイント、厄介過ぎるぜ……!やること為すこと全部嘘っぱちじゃねぇか!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

夏川「なんつーか……相変わらずとんでもねぇな、ウチのエースは」

常村「操作技術もそうだが、何より動きがトリッキー過ぎる。どれだけフェイント織り混ぜりゃ気が済むんだよ……」

金田一「トリッキーさでは和真も負けちゃいねーんだけどな、いかんせん操作技術の差がな……」

高城「そうですね。佐伯嬢ほどの相手に無理に奇をてらった戦法で挑めば、間違いなく隙をつかれて追い詰められるでしょう」

杏里「あと、手数に差がありすぎる……。四刀流の梓の猛攻は槍一本じゃとても受けきれない……」

小暮「ではここは梓に勝ってもらい、勝負は三対三の引き分けで幕を閉じてもらいましょう。その方が穏便に終われそうですし」

 

三年生サイドが既に勝利ムードになっているのとは対照的に、二年生サイドの士気はじわじわと低下していく一方であった。

 

姫路「あの柊君が、完全に押されています……」

翔子「……フェイクをかける技術が桁違いに上手い」

美波「いくらなんでも強すぎでしょあの先輩……」

雄二「おい明久。お前あのセンパイみたいな芸当、できるか」

明久「無理だよ……。あれだけ上手く相手を罠に誘い込むには操作技術より相手の動きをかなり読まなきやならないし、そもそも僕にはフィードバックがあるから和真の反撃を度外視した闘いなんてできないよ」

雄二「だろうな。……しかし武器四つに対して槍一本じゃどうしても手数負けしてしまうな。その分リーチでは勝ってるんだが……全然間合いを取れないな」

明久(いや、間合いを取ったところで佐伯先輩が防御に徹すれば和真の攻撃は全てガードされるだけ。和真、何か対処法を見つけないと勝ち目がないよ……)

 

 




さて、受験生の山場である夏を乗り越えた三年Aクラス主力メンバーの現在の総合成績を公開しちゃいます。


①佐伯梓    4825点
②高城雅春   4456点
③金田一真之介 4021点
④宮坂杏里   3869点
⑤小暮葵    3807点
⑥常村勇作   3501点
⑦夏川駿平   3414点


和真「二年と比べると全体的に点数が抑え目だな……というより俺らの学年が高過ぎんのか?」←ほとんど無傷(HP97/100)

蒼介「『成績だけなら歴代ダントツ』の看板に偽り無しだ」←ボッロボロ(HP28/100)

飛鳥「……ねぇ、二人とも何かあったの?」

蒼介「…………まあ、なんというか……久しぶりに拳で語り合ったとだけ言っておく」

飛鳥「うん、見たわけじゃないけど絶対語り合って無いよね!?まず間違いなく和真がほぼ一方的に語ってたよね!?」

和真(素手だとだとこいつそこまで強くねぇしな……おまけにさっきのこいつ冷静さを欠いて“明鏡止水”とはほど遠かったし)



現在の二人のリアルファイトでの力関係は、

蒼介(木刀かつ“明鏡止水”時)≧和真>蒼介(木刀)>>>>>蒼介(丸腰)

です。“明鏡止水”時の蒼介の強さでは和真をも凌駕しますが、今の持続時間(約二分)では倒しきる前に解けてしまいますので、今のところリアルファイトでは和真に軍配が上がります。



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