バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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和真「雄二と常村先輩の闘いだぁ?ムサい野郎二人ってだけでアレなのに、その上両方とも大して強くねぇじゃねぇか。こんな華も見応えも無い試合なんざ一話かけてダラダラやる必要無ぇだろ。……ってことで、九割ほどカットしてやったぜ♪」

雄・常「「ひでぇ!?」」




VS三年Aクラス③

雄二「もらったぁ!」

常村「っ!?しまっ-」

 

〈雄二〉は一瞬の隙をつき〈常村〉の頭を鉄パイプで殴打した。その一撃は〈常村〉の残り点数を全て削りきり、そのままその場に崩れ落ちて動かなくなった。

 

姫路「!やった…坂本君が勝ちましたっ」

翔子「……雄二なら勝ってくれるって信じてた」 

明久「霧島さんすごいね…僕は完全にもうダメだと」

雄二「んだとこのバカ。……まあ、この結果じゃそう思うのも無理ねぇか…」

 

 

《国語》

『二年Fクラス 坂本雄二 26点

VS

 三年Aクラス 常村勇作 戦死』

 

 

和真「ギリギリ過ぎんだよこのボンクラ!それでも俺達の代表かこの軟弱者が!」

雄二「うるせぇっ!勝ったんだから文句言うんじゃねぇよボケが!」

 

和真からのある意味熱烈な歓迎に憤慨する雄二。もっとも和真とてハナから勝敗は五分五分と見ていたため、このダメ出しは別に喝を入れようとかそんなんではなく、単にサディストモードに入った和真のちょっとした悪ノリである。

 

雄二「ともかく、これで二勝二敗でイーブンだ。五回戦目に出てくるのは……やっぱりあの宮阪ってセンパイか。姫路、任せたぞ」

姫路「は、はいっ!」

 

三年生サイドから学年四位である杏里が召喚フィールドに向かうのを確認した雄二は、こちら側も学年四位である姫路を向かわせる。ふと、両者が向かい合っている状態を見た明久がとある感想を抱く。

 

明久「姫路さんと宮阪先輩か……うん、デカイ」

美波「アキ?(ポキッ)」

明久「ははは。美波ってばアキとポキで韻を踏むなんてセンスがあるなぁ」

翔子「……雄二は見ちゃダメ(ブスッ)」

雄二「ぐぉおおおおお明久テメェが余計なことを言うからまた俺の目がぁあああああ!?」

和真「お前ら当たり前のようにバイオレンス繰り広げてるけどよ、ここ一応職員室だからな……」

 

ちなみに教員達は皆残業が嫌でバックレた御門先生の捜索に出ているため、幸いにも問題になることは無かった。まあこんなものFクラスでは日常の一部みたいなものなので、誰かがいたところで止めたかどうかは怪しいところだが。

 

和真「にしても宮阪先輩また背伸びたな。もう西村センセより高いんじゃねぇか?」

翔子「……バストだけじゃなく、身長も規格外」

和真「父親が父親だからな、別に不思議じゃねぇ」

明久「え?宮阪先輩の父親?」

和真「ああ、“桐谷”の社長代理やってる宮阪桃里って人でな。身長が2m近く-」

雄二「き、“桐谷”だと!?

和真、それ本当か!?」

 

ようやく復活した雄二が、桃里の素性に何故か不自然なほど食い付いた。

 

和真「?ああ、間違いねぇよ」

明久「雄二、いきなりどうしたのさ?」

雄二「…………いや、何でもない」 

和真(…………まさか、な)

翔子(……雄二…………)

 

かと思えば嘘みたいに大人しくなる雄二を一同は不思議に思うが、問い詰めても明久とは違って答えは出てきそうにないので、根掘り葉掘りは聞かないことにする。しかし、和真と翔子には何か心当たりがあるようだ。

 

和真「というか、いつの間にかもう始まってるじゃねぇか試合」

明久「あ、そう言えばそうだった……うわっ、凄いぶつかり合い!?」

雄二「どうやら宮阪センパイは姫路と同じパワータイプみたいだな。……科目は予想した通り理科か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫路・杏里「「はぁぁあああっ!!」」

 

ガキィィイイイイイン!!!

 

お互いの召喚獣の武器が真っ向からぶつかり合い、火花を散らして両者ともに弾かれる。〈姫路〉の武器が身の丈の倍ほどもある大剣であるのに対し、〈杏里〉の武器はそれに匹敵するサイズのヴァジュラ(金剛杵)であった。

 

 

《理科》

『二年Fクラス 姫路瑞希 312点

VS

 三年Aクラス 宮阪杏里 308点』

 

 

杏里「アナタ、やはりとんでもなく手強い……」

姫路「それはこっちの台詞ですよ……最初はもっと点差があったのに……でも、負けませんっ!」

杏里「望むところ……」

 

馬鹿正直に突っ込んでくる〈姫路〉の攻撃を、ひたすら真っ向から迎撃し続ける〈杏里〉。

試験戦争においての彼女の役割は、梓や常夏コンビなどの常に実戦に身を置く切り込み役ではなく比較的戦闘が少ない近衛兵であるため、その弊害か操作技術は三年の中では低い部類に入る。加えて杏里の戦闘スタイルは久保や姫路と同じくパワーとタフネス任せのごり押しであるため、二人の闘いはまさに純粋なまでの力と力のぶつかり合いとなった。

 

姫路「っ!やっぱり押されてる……!私の召喚獣も攻撃型なのにどうして!?」

杏里「召喚獣のスペックだけでは勝負は決まらない……攻撃のタイミングや工夫も重要……」

 

もっとも…拮抗しているのは回避や防御の技術だけであり、攻撃のテクニックでは両者には年季による明確な差があるため、姫路は少しずつ劣勢になっていくのを感じた。

 

姫路(工夫……こうなったら先日美波ちゃんと特訓していたアレをするしか……でもアレはまだ未完成だし-)

杏里「隙だらけ……」

姫路「っ!?しま-」

 

バコォオオオン!!

 

一瞬の油断が命取り。本体が考え事に気を取られている隙を見逃さず、〈杏里〉はヴァジュラを〈姫路〉にクリーンヒットさせた。

 

 

《理科》

『二年Fクラス 姫路瑞希 136点

VS

 三年Aクラス 宮阪杏里 288点』

 

 

ここに来て点数は逆転し勝利も射程圏内に入ったのだが、〈杏里〉はどういうわけか追撃に向かわず、吹き飛ばされた〈姫路〉は体勢を立て直すのをただ待っていた。

 

姫路「……あれ?攻めてこないんですか?」

杏里「私の召喚獣はスピードを犠牲に攻撃力と耐久力を引き上げているから、連続攻撃には向かない……」

姫路「…………そうですか。だったら仕掛けるのは…………今ですね!」

 

先ほどまで躊躇していた姫路だったが、新たに加わった情報により起死回生の活路を見出だしたのか、覚悟を決めて〈姫路〉を特攻させる。

 

 

ズドドドドドドドドドド!!!

 

 

大剣を構えた状態かつ、自身の最高速度で。

 

 

杏里「助走のエネルギーで斬撃の威力を引き上げようとしている……?着眼点は悪くないけど攻めが単調すぎ……」

 

闇雲に突っ込んでくる〈姫路〉にカウンターを浴びせる準備をする〈杏里〉。しかしそれを見ても〈姫路〉は速度を少しも落とさない。そして両者の武器が射程圏に入る寸前に…

 

 

 

姫路「それは…………どうでしょうか!」

杏里「っ!?これは…」

 

 

〈姫路〉は大剣を肩にかけた構えから瞬時に地面に剣先を向けた構えに変化させ、

 

 

姫路「やぁあああっ!」

杏里「アッパー!?くっ…」

 

ガキィィイイイイイン!!

 

大剣をすくい上げるように振り抜き、咄嗟にガードに入った〈杏里〉を上空に撥ね飛ばした。

 

杏里「…危なかった……!でもなんとか防げ-」

姫路「まだ私の攻撃は終わっていませんっ!」

杏里「っ!?しまった……!」

 

放り出された〈杏里〉の後を追うように〈姫路〉は召喚獣特有の凄まじい脚力で跳び上がり、空中で容赦なく追撃を喰らわせていく。

 

杏里「まずい…空中では回避行動が取れない上に、ヴァジュラは連続攻撃に向かない武器……!」

姫路「狙い通り、このまま押し切らせてもらいます!」

 

〈杏里〉も負けじと応戦するものの手数で完全に負けており、着地したときにはかなりの点数を削られてしまっていた。

 

 

《理科》

『二年Fクラス 姫路瑞希 136点

VS

 三年Aクラス 宮阪杏里 98点』

 

 

杏里「…………敵ながら、見事……」

姫路(っ……倒し切れなかった……!)

杏里(もう私の点数も残り少ない……最後は小細工を捨てて、最大威力で決着を付ける……!)

姫路(あの覚悟を決めたような眼……宮阪先輩は、あくまで真っ向勝負を選ぶんですね……!)

 

カウンターや攻撃をいなすような高等技術は今の姫路には不可能である。そのため真っ向からぶつかるか全力で回避して機を伺うことしか選択肢に無い。どうしようか姫路が悩んでいると、ふと目の前の宮阪と二年Aクラスの最大のライバルである久保利光が重なって見えた。

 

姫路(Aクラスと試召戦争を行えば、多分……いえ、おそらくきっと私は、久保君と闘うことになるでしょう。そのときのためにもここは……引き下がるわけにはいきません!)

 

奇しくも久保と杏里は戦闘スタイルが酷似しているため、ここは何としても真正面から乗り越える必要がある。……そう思い至った姫路に迷う要素は残っていなかった。

 

杏里(あの眼……どうやら真っ向から打ち破るつもりらしい……。ここでフェイントとかを混ぜれば容易に倒せそうだけど、それはあまりにも無粋過ぎる……先輩として私は…)

姫路(もし宮阪先輩がフェイクを織り交ぜてくれば、一巻の終わりですね……それなら仕方ありません。柊君の言う通り私は駆け引きには向かない人間なんですから、私がするべきことは…)

 

 

 

((ただ真っ向からぶつかることのみ!))

 

〈姫路〉は大剣を、〈杏里〉はヴァジュラをフルパワーで相手に振るう。

 

ズガァァァァァァアアァァァン!!!

 

フィールド全体を揺るがすほどの轟音とともに、凄まじい衝撃に耐え切れず両者の武器が粉砕し、至近距離にいた二人はお互いにその破片をモロに喰ってしまい、両者共に力尽きた。

 

 

 

 

 

《理科》

『二年Fクラス 姫路瑞希 戦死

VS

 三年Aクラス 宮阪杏里 戦死』

 

 

姫路「……ありがとうございました!」

杏里「こちらこそ、あなたと闘えてよかった……」

 

 

 




蒼介「まさに力と力の激突、お互いが全力を出し切った素晴らしい試合だな」

和真「で、次回だけど……待ちに待った『バカテス』二大ファンタジスタの激突だぜ!高城先輩は今度こそ原作ラスボスの威厳を示すことができるのかァ!?」

蒼介「この作品ではロクに活躍できていないからな……」


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