(例) 和真→人間 〈和真〉→召喚獣
過去に投稿したヤツも時間に余裕があるときにでも修正していきますので。
姫路「あ…あなた方はっ!?」
翔子「……佐伯先輩に高城先輩」
美波「宮阪先輩に小暮先輩……」
ムッツリーニ「………金田一先輩。そして…」
明久・雄二「「常夏コンビ!」」
常村「とりあえずそこのバカコンビが俺達を舐めくさってることはわかった」
夏川「そういやその呼び名、コイツらが発端だったな……その後知らんうちにあっという間に学園中に広まっちまって…」
和真「すんませんね先輩方、わざわざ来てもらったってのに。……ちなみに学園中に広めた犯人は俺」
常村・夏川「「お前かよォォオオオ!?」」
雄二「まあそれはさておき……センパイ方、模擬代表戦ってのは何の話だ?」
このままだと収集つかなくなりそうだったので、一切合切スルーして梓にそう問いかける雄二。
梓「え?坂本君また置いてきぼりなん?火曜の朝に和真がウチのクラスまで来て提案してきたんやけど」
雄二「ほう、そんなことがあったのか。……オイコラ和真、どういうことだ?」
和真「恒例のサプライズ企画」
雄二「あのなぁ!?毎度毎度代表の俺を差し置いてそんなもん勝手に申し込んでんじゃねぇよ!」
和真「別に自粛してやってもいいけどよ、そしたら今後は豆腐メンタル共のアフターケアを始めとした面倒ごとは全部拒否させてもらうから」
雄二「っ!……おのれ、卑怯な……!」
和真(いや弱いなオイ。……いやまあ確かに、こいつに女子のアフターケアなんて繊細なことできるわけねぇけどよ……)
姫路(豆腐メンタル……って……)
美波(ウチのことよね……)
あっさりと引き下がってしまう雄二に思わず溜め息をつく和真。一方、思わぬところで流れ弾を食らってしまった者が約二名ほど。
雄二「チッ、仕方ねぇ……引き受けてやるぜその挑戦。で、具体的なルールはどうする?」
梓「今から説明するけど、今回は少し特殊やからしっかり覚えてな?ルールは主に三つや。まず一つ目、勝負方法は肝試しのときと同じセンター試験準拠。五教科と保健体育、それに総合科目の七教科や」
雄二「そうか。確かに二年と三年の闘いだと、それが一番フェアだな。……明久、念のため言っておくが野球は関係ないぞ」
明久「いや、もう間違えないからね!?」
梓「アイドルの立ち位置も関係あらへんで?」
明久「佐伯先輩まで!?二人とも僕を何だと思ってるの!?」
雄二・梓「「空前絶後のバカだが(やけど)?」」
明久「アンタら打ち合わせでもしたのか!?」
Fクラス恒例の明久弄りをひと通り終えて満足した雄二は梓に説明の続きを視線で促す。
梓「二つ目やけど、科目選択はお互いのチームが交互に選び、一度選んだ教科はもう選べん」
雄二「……なるほど。この代表戦は七対七、選べる教科もちょうど七教科。最終戦が自動的に決まるためお互い選択権は三回……これまたフェアなルールだな」
ムッツリーニ(……このルールのポイントは、多分それだけじゃない)
美波(自分の後に控えている人が得意な科目を選んじゃうと、チーム全体が不利になるわね……)
翔子(……それに最終戦の科目は残り物になるわけだから、どの教科を残したいか、あるいは残しておきたくないかを考えて選ぶ必要がある)
姫路(どちらにしよ、慎重にことを進める必要がありますね……)
明久(何かややこしいルールだな。こんがらがってきちゃったよ)
和真(明久の奴、またおいてけぼりになってやがる……また俺が説明するしかないか……)
和真の仕事がまた一つ追加されたことなど露知らず、梓はそのまま説明を続行する。
梓「三つ目は、これば和真からのリクエストやねんけど……金の腕輪の使用を禁止する」
明久「え?どうして?」
和真「たりめーだ。俺達の目的は操作技術の向上だろ?あんなもんに頼ってたら一向に上達しねぇよ。……あ、お前の白金の腕輪は使っていいぞ。むしろ絶対に使え」
明久「え?うん、わかった」
和真(今のこいつが二体同時にどれだけの精度で操れるのか、確認しておかねぇとな)
夏川「説明は終わったようだな。それじゃこっちの先鋒は俺、科目は数学だ」
梓が話終わると同時に夏川が所定の位置につく。夏川の選択した科目を聞いた美波がいち早くフィールドに向かう。
美波「数学……どうやらここはウチの出番のようね!試獣召喚(サモン)!」
美波の足元に出現した幾何学模様から騎士服に身を包みランスを携えた召喚獣が飛び出し、ワンテンポ遅れて点数が表示される。
《数学》
『2年Fクラス 島田美波 306点』
夏川「ほぅ……やるじゃねぇか」
美波「Fクラスだからって甘く見ないでよね!ウチは数学だけならもうAクラス上位レベルなんだから」
夏川「ククッ、だけど甘いぜ…サモン!」
同じく足元に幾何学模様が出現し、中心から僧侶服を着てハンマーを持った召喚獣が飛び出す。
《数学》
『3年Aクラス 夏川俊平 411点』
美波「よ…400点オーバー!?」
夏川「あいにく、理系科目だと俺はAクラスでもトップレベルなんでなぁ……それじゃあいくぜ後輩!」
その言葉を合図に〈夏川〉はハンマーを構えて突撃する。〈美波〉はランスのリーチを利用して相手の間合いの外から応戦しようとするものの、あっさりと間合いを詰められてしまう。
美波「っ!?まずい、このままじゃ…!」
夏川(まだまだ操作がぎこちねぇ……それに槍の扱いにもまだ慣れてないようだな)
点数で大きく勝っているため夏川は敢えてノーガードの削り合いに持ち込んだ。お互いが相手の点数をどんどん削り取っていくものの、点数、召喚獣のスペック、操作技術全てにおいて劣っている〈美波〉がどんどんと追い詰められていく。
《数学》
「2年Fクラス 島田美波 128点
VS
3年Aクラス 夏川俊平 304点」
美波(このままじゃ確実にウチの点数が先に尽きちゃう……こうなったら、この前瑞希と練習したあの技をやるしかない!)
意を決した美波は〈美波〉にその場から離脱させる。
夏川「逃がさねぇよ!」
〈夏川〉はハンマーを構えて〈美波〉を追いかける。〈美波〉はひたすら逃げるものの、召喚獣は範囲が限られているためあっという間に壁際に追い込まれてしまう。
夏川「いったん距離を取って体勢を建て直そうとでも思ったらしいが、どうやら裏目に出ちまったようだな。もう逃げられねぇぜ……覚悟しやがれ!」
〈夏川〉はハンマーを大きく振りかぶってさらに突撃する。対する〈美波〉そんな〈夏川〉に背を向け…
美波「今よ!喰らいなさい!」
壁に向かって飛び蹴りを行い、その反動を利用して〈夏川〉を迎え撃つ。これこそ先日の姫路との特訓で美波が思いついた技である。〈美波〉のこの技に対して〈夏川〉は…
夏川「効くかそんなもん!」
一歩半横に飛んであっさりと避けてから、着地した〈美波〉に体勢を立て直す隙も与えず〈夏川〉は強烈なカウンターをお見舞いした。
美波「えぇっ!?そんな…」
夏川「これで終わりだ!」
横っ腹を殴打されて転倒した〈美波〉が立ち上がる前に、〈夏川〉は距離を詰めてハンマーで容赦なく幕を引いた。
《数学》
「二年Fクラス 島田美波 戦死
VS
三年Aクラス 夏川俊平 304点」
終わってみれば夏川の圧勝という、何の番狂わせもない至極順当な結果であった。
美波「ウチが数学で負けるなんて……」
夏川「発想はそこまで悪くなかったけど隙が大き過ぎる。そもそも付け焼き刃の技にやられるほど、俺達三年は甘くないぜ」
そう言い残し、夏川は上機嫌で三年生が待機している場所へ悠々と戻っていった。思い返せば幾度となく二年に煮え湯を飲まされ続けてきた夏川の、記念すべき初めての完全勝利である。
美波「ごめん、負けちゃった」
雄二「気にするな、勝負はまだ始まったばかりだ。ムッツリーニ、頼めるか?」
ムッツリーニ「………任せておけ」
自信満々に親指を立てて、ムッツリーニは戦場へ赴く。選ぶ教科は考える余地すらない。
ムッツリーニ「……二番手はこの俺、土屋康太。科目は当然保健体育……!」
小暮「あら、でしたらここはわたくしの出番のようですわね」
対する三年生サイドがが送り出してきた相手は、学年五位の小暮葵。
雄二(どういうことだ?常夏コンビのもう一人を生け贄にしてくると思ったんだが……)
梓(今ごろ坂本君あたりが首かしげとるかもな。そうやとしたら甘いでぇ、肝試しから何も成長しとらん……土屋君は何も無敵っちゅうわけやないってこと、教えたれ葵)
和真(あれ?何となくオチが見えてしまったんだが……)
「「サモン!」」
可け声と共に幾何学模様からそれぞれの召喚獣が出現する。ムッツリーニの召喚獣の装備は上忍装束に小太刀二刀流、小暮の召喚獣の装備は着物が袴になり鉄扇がやや頑丈そうになった。
《保健体育》
『二年Fクラス 土屋康太 786点
VS
三年Aクラス 小暮葵 359点』
圧倒的な点数差が遅れて表示される。小暮の点数も決して低くはないのだが、いかんせん相手が悪過ぎる。この光景に(和真以外の)Fクラスメンバー全員が勝利を確信するなか、それでも梓の余裕は崩れない。
ムッツリーニ「………いくぞ」
小暮「待ってください土屋君、実は貴方にお伝えすることがありまして」
ムッツリーニ「………何だ?」
小暮「実は今日、わたくし…」
そこで一旦言葉を切り、小暮はやたら妖艶な笑みを浮かべながら両手で自らのスカートをつまみ上げる。
小暮「下着を穿いておりませんわ♪」
その後、ムッツリーニを保健室まで運び出すことになったのは言うまでもない(雄二と明久もいつものパターンで翔子達からダメージを負わされたが生命力溢れる彼らは平然と復帰した)。その後部屋中に飛び散った鼻血を掃除し、教師から厳重注意をされつつも模擬代表戦は再開された。現在三年Aクラスが二勝(ムッツリーニがリタイヤしたため小暮の不戦勝)と早々にピンチを迎えてしまった和真達の運命やいかに……?
和真「汚ぇ真似しやがってコノヤロー……」
梓「これが勝負の世界やで。というか和真、二年にもこういう手段取ってきそうな娘おったやろ?」
和真「そう言えばそうだった……今後のムッツリーニの課題になりそうだなこりゃ……」