バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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和真達が犠牲になってしまった(と思われる)ので、明久がいつにも増して熱いです。

バトルシーンは書いていてテンション上がりますね。


キング・オブ・バカの実力

『逃がすな!坂本を討ち取れ!』

和真が取り逃がしたBクラス生徒2人に途中1人が合流し、合計3人の生徒から逃げる明久達。

 

明久(このままじゃまずいな…)

 

連れている長谷川先生は数学教師、姫路は先程腕輪の能力の代償で点数を消費してしまっている。それに加えて、

 

姫路「はぁ、ふぅ…」

 

ここまでの全力疾走で息が上がっている。この状態ではとても召喚獣の操作など無理だろう。まさに絶対絶命の状況だ。

 

明久(代表の雄二は倒されると僕達の負けになるから闘わせるわけにはいかない。ここは…)「島田さん!」

島田「何よ!」

明久「Bクラスを迎え撃つ!だから手を貸してほしい!」

島田「ハァ!?アンタ正気!?相手はBクラスよ!数学が得意なウチはともかく、アンタがまともに闘って勝てる相手じゃないわよ!それに相手は3人もいるのよ!?」

 

勝ち目はほとんどないと島田は明久に言い聞かせるように抗議するが、明久は覚悟を決めた表情でその抗議を突っぱねる。

 

 

 

明久「それでも…やるしかないんだ!和真と霧島さんが繋いでくれた希望を…失うわけにはいかない!」

 

ここで雄二が討ち取られたら、二人が犠牲になった意味がない。確かに点数差は絶望的であり、その上人数も向こうのほうが多い。勝てる可能性はあまりにも低いだろう。

 

 

だがそれがどうしたというのだ。

 

 

明久「僕達はAクラスに挑むんだ!こんなところで挫けてなんかいられるもんか!」

 

 

島田「吉井………わかったわよ。しかたないから、一緒に闘ってあげる。」

明久「島田さん、ありがとう。雄二!ここは僕達が引き受ける!雄二は姫路さんを連れて逃げてくれ!」

雄二「…わかった!ここは任せる!」

 

状況を冷静に把握し、雄二は姫路を連れて逃げる。姫路は申し訳なさそうにしながらも、ここで自分が残っても状況は好転しないと理解しているため黙って従う。

 

ムッツリーニ「…………(ピタッ)」

明久「いや、ムッツリーニも逃げてほしい。多分明日ッツリーニが戦争の鍵を握るから」

 

勿論明久は雄二の作戦など理解していない。ただ、ムッツリーニという切り札に雄二が重要な役割を与えないはずがないことは流石にわかる。

明久「………来るよ、島田さん!」

島田「そうね…ねぇ吉井」

明久「ん?どうしたの」

島田「今後ウチはアンタのことを『アキ』って呼ぶから、アンタもウチのこと名前で呼ぶように」

明久「え、どうしてさ?」

島田「以前柊が言ってたの。信頼できる仲間同士は名前で呼び合うものだって。アンタに背中預けるわけだから、そうしないと勝てるものも勝てないでしょ?」

 

島田は悪戯っぽい笑みを浮かべながらそう答える。ちなみにその話は暇をもて余した和真が島田に明久と仲良くなるチャンスを与えるために、適当に考えた作り話である。苗字で呼び合っていてもお互いに信頼し合っている人達もいる。

 

明久「…わかったよ、美波」

美波「よろしい♪さ、そろそろ来るわよ!」

明久「まずは任せて。とっておきの秘策があるんだ」

美波「ふーん。そこまで言うなら信用しましょうか」

 

『いたぞっ!Fクラスの吉井と島田だ!』

『ぶち殺せ!』

 

明久「Bクラス!そこで止まるんだ!」

 

相手の気勢を削ぐように、強い口調で呼び止める。

 

『いい度胸だ。くい止めようってのか』

明久「いや、その前に長谷川先生に話がある」

 

相手に主導権を握られないように強い口調で話す。

 

「なんですか、吉井君」

 

息を切らしながら長谷川先生は前に出る。

 

明久「Bクラスが協定違反をしていることはご存知ですか?」

美波(相手の協定違反を訴える気?でも…)

長谷川「話を聞く限り、休戦協定を破ったのはFクラスのようですね。そこで反撃を受けて協定違反を訴えるのはどうかと思いますよ」

 

教育者らしく、厳しい口調で諭すように言う長谷川先生。

 

美波(あの根本のことだからうまく言ってあるのでしょうね。……さて、どうするつもりなの?)

明久「………………」

美波(アンタの考え、期待しているからね)

 

明久に片目を瞑って見せる美波。

しばらくして明久はこう応えた。

 

 

 

 

明久「……万策、尽きたか……」

 

『『『こいつ馬鹿だぁぁあああっ!?』』』

 

Bクラスの生徒及び美波の心が一つになる。明久の秘策など信じてもろくなことにならない。さきほどまでの勇ましい明久はどこに行ってしまったのか……。

 

 

 

 

 

姫路「坂本君、吉井君は、大丈夫、なんですか……?」

雄二「もちろんだ。明久ならなんとかなる」

姫路「でも……」

雄二「確かにアイツは勉強ができない。でもな……学力が低いからといって、全てが決まるわけじゃないだろう?」

姫路「そ、それはどういう……」

雄二「あのバカも、伊達に《観察処分者》なんて呼ばれてないってことだ」

 

 

 

 

 

明久「仕方ない!こうなったら真っ向勝負だよ美波!」

美波「最初からそうしなさいよ!まったく…」

『さっさと片付けて坂本達を追うわよ』

『お前は確か点数が万全じゃなかったな、一応下がってろ。俺ら二人で十分だ』

『わかった』

 

犬死にを防ぐため消耗しているらしきBクラスの生徒が一人、距離を取った。

 

『『『試獣召喚(サモン)』』』

 

それぞれの召喚獣が出現する。明久の召喚獣は特攻服に木刀、島田の召喚獣は軍服にサーベルだ。

 

 

《数学》

『Fクラス 吉井 明久 51点

Fクラス 島田 美波 171点

VS

Bクラス 工藤 信二 159点

Bクラス 真田 由香 166点』

 

 

『な!?なんだその点数!?』

 

最下位クラスの生徒が自分達と同等の点数叩き出した証を見て驚くBクラス生徒達。

 

美波「数学を選んだのが間違いだったわね。これなら漢字が読めなくてもなんとか解けるのよ。この教科だけは柊にも匹敵するわ!」

明久「ちなみに美波、古典の点数は?」

美波「一桁よ!」

 

ここまで言い切られるといっそ清々しい。ちなみに和真に匹敵という話のカラクリは、和真の数学と物理の点数が他教科に比べてものすごく低いだけだったりする。

 

『島田は後だ!さきに吉井(ザコ)から殺るぞ!』

『了解!』

 

二人がかりで明久に向かっていくBクラスの召喚獣。

 

しかし、

 

明久「なめるなぁ!」

 

先に向かって来た召喚獣を〈明久〉は足払いでよろけさせ、木刀でしばいてこかせて、次にやってきた召喚獣の攻撃を紙一重でかわし、その背中に木刀を投げつけ先に倒れていた召喚獣のもとに飛ばす。

結果、二体の召喚獣は綺麗に激突し美波の召喚獣の近くに倒れ込んだ。

 

明久「美波、今だぁぁぁ!」

美波「え、あ…とりゃあああ!!」

 

明久の指示を受けた〈美波〉のサーベルが、身動きがとれない二体の召喚獣をまとめてバラバラに切り裂いた。

 

『Fクラス 吉井 明久 51点

Fクラス 島田 美波 171点

VS

Bクラス 工藤 信二 戦死

Bクラス 真田 由香 戦死』

 

『なん……だと……!?』

 

呆然とするBクラスの生徒。圧倒的に優位な状況だったのにいつの間にか戦死していたんだから無理もない。

 

鉄人「戦死者は補習!」

 

どこからともなく鉄人が現れて、呆然としたままのBクラス生徒を補習室に連れて行った。

 

美波「すごいじゃないアキ!」

明久「伊達に日頃こき使われてないよ。召喚獣の操作技術なら和真にだって負けないさ」

 

召喚獣の操作は思ったより難しい。

召喚獣は力が人間よりずっと強く、手足は短い。

この感覚は一朝一夕で慣れるものじゃない。大概の生徒は単純な操作しかできないため、点数の差で勝敗が決定してしまう。

しかし明久は《観察処分者》として日頃から召喚獣を使用した雑用を任されている上、フィールドバックで感覚を共有してきたため、もはや召喚獣と一心同体というレベルに達している。

 

明久「さて、と」

美波「形勢逆転したみたいだけど、どうする?」

『く、くそ!』

 

二対一では部が悪いと思ったのか、撤退する残りの一人。召喚フィールドの外にいたため、敵前逃亡にはならない。

 

明久「ふぅ……なんとか勝ったね」

美波「そうね…………1つ聞いてもいい?」

明久「ん?なに?」

美波「あんなことできるならDクラス戦でウチを見捨てる必用あった?」

 

Dクラス戦のとき怒り狂った美波が須川に引きづられていた理由は、それだったりする。

 

明久「………………………………」

 

しばし沈黙。

 

 

 

 

全力でダッシュする明久、それを追う美波。

最終的にいつも通りの二人だった。

 

 

 

 

明久「あー、疲れた!」

 

二人は教室に戻ってきた。何故か明久の頬に紅葉ができているが気にしないで貰いたい。

 

姫路「吉井君!無事だったんですね!」

 

戻ってきた明久に姫路が駆け寄る。

 

明久「うん、これぐらいなんともいだいっ!」

 

突然美波に足を踏まれ、明久は訳がわからない思いで美波の顔を伺う。

 

明久「し、島田さん。僕が何か悪い事でも」

美波「(ジトッ)」

明久「あ、ごめん、美波」

 

美波は不機嫌そうに明久を見る。姫路にでれでれしていたことと名前で呼ばれなかったことが不服らしい。

 

姫路「……随分と二人とも仲良くなってますね?」

明久「え?これで?」

 

明久(バカ)は気づいていないが随分距離が縮まっている。

 

雄二「お。戻ったか。お疲れさん」

秀吉「無事じゃったようじゃな」

 

秀吉と雄二もやってきて、ムッツリーニも明久を見て小さく頷く。明久がやられるとは誰も思ってなかったらしい。

 

雄二(だが、まだなんとかカバー可能な範囲だが、失ったものはデカいな…チクショウ!)

 

柊 和真と霧島 翔子、Fクラス三大戦力のうち二人の戦死。このことは士気にもかなり響くだろう。

実のところ雄二はこのBクラス戦を楽観視していた。もともとあの二人抜きでAクラスを倒すまでの作戦を考えていたため、あの二人のイレギュラーの参加により大幅にゆとりができていた。

結果、まんまと根本の策に嵌まってしまい、警戒していたはずの五十嵐 源太によって翔子を潰され、自分達を逃がすために和真までも犠牲になった。

雄二は自分の詰めの甘さを痛感していた。

 

雄二(だが和真が多くの敵を蹴散らし、そして翔子は一番警戒すべき五十嵐を倒してくれた。これで差し引きはゼロだ……根本、この借りは必ず返すぞ!)

 

その場に残る全員を見渡し雄二がいつになく真剣な表情で今後の作戦を告げる。

 

雄二「こうなった以上、Cクラスも敵だ。同盟戦がない以上は連戦という形になるだろうが、正直Bクラス戦の直後のCクラス戦はきつい」

明久「それならどうしようか?このままじゃ勝ってもCクラスの餌食だよ?」

秀吉「そうじゃな……」

雄二「心配するな。向こうがそう来るなら、こっちにも考えがある」

明久「考え?」

雄二「ああ。明日の朝に実行する。目には目を、だ」

 

この日はこれで解散し、続きは翌日に持ち越しとなった。

 




明久、大活躍!
一方美波は原作より距離を縮めることに成功しました。

今回はAクラス次席の久保君。

久保 利光
・性質……機動力度外視型
・総合科目……4000点前後 (学年4位)
・400点以上……現代文・古典
・ステータス
(総合科目)
攻撃力……S
機動力……C
防御力……A
・腕輪……風の刃

細かい技術を捨てた重戦車型。相手の攻撃を避けずに受け止め、最大威力の攻撃を叩き込む。まさに『レベルを上げて物理で殴る』理論。使用者の見た目に反して脳筋スタイルである。

『風の刃』
消費50で武器のデスサイズから風の刃を飛ばす。シンプルだがそれゆえ使いやすく、対処もしにくい。

では。

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