バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【アクティブ古今東西ランキング(大食い)】

①徹……見かけによらず超一流のフードファイター。ソレだけ食べるにもかかわらず、縦にも横にも絶対に伸びない。 

②和真……徹ほどではないがかなりの量を平らげる。日頃の運動量から考えると太らなくて当たり前。   

③源太……体格通りかなり食べる。

④蒼介……腹八分目が基本のためこの位置。

⑤飛鳥……特に語ることなし。

⑥優子……特にかた(ry

⑦愛子……特に(ry




前哨戦

蒼介の提案で急遽始まった一対四のデスマッチ。おまけに科目はFクラス側が最も力を発揮できるであろう数学である。

 

姫路「お…鳳君、本当に良いんですか?」

蒼介「ああ、これでいい。……こうでなくては張り合いが無いからな」 

雄二「…………」

美波「随分と舐めてくれるじゃない……上等よ!その鼻っ柱へし折ってやるから覚悟しなさい!」

翔子「……悪いけど、手加減はできそうにない……!」

蒼介(む……)

 

不安そうに確認を取る姫路や蒼介の意図を探ろうと思考を巡らせている雄二とは対照的に、美波と翔子は早くも臨戦態勢に入っている。どうやらプライドを刺激されたようだ。そんな彼女らの怒気に、少々引っ掛かることがあったものの一切怯むことなく蒼介は切れ長の目を細めつつ言葉を返す。

 

蒼介「お前達こそあまり私を舐めるなよ、何をもう勝った気でいるんだ?……試獣召喚(サモン)」

「「「「サモン!」」」」

 

五人の掛け声とともにそれぞれの近くに幾何学模様が浮かび上がり、召喚獣が現出する。

 

 

《数学》

『Fクラス 坂本雄二 341点

 Fクラス 霧島翔子 436点

 Fクラス 姫路瑞希 434点

 Fクラス 島田美波 296点

VS

 Aクラス 鳳蒼介  667点』

 

 

雄二「クソッタレ……また上がってやがる……!」

翔子「……まさか、ここまでとは」

 

雄二達の点数はとても最下層クラスとは思えないほどの高得点ではあるのだが、蒼介の教師さえ凌駕する点数と比べるとどうしても霞んでしまう。

 

美波「怯むことはないわ!あっちは一人、数の利を活かして確実に点数を削っていくわよ!」

蒼介「ふむ、実に真っ当な作戦だ。……なら数の利を奪うとしよう。まずはお前だ、島田」

 

〈蒼介〉は草薙の剣を構え〈美波〉に向かって一直線に突撃する。

 

美波(ふふっ、かかったわね。ウチ一人に集中してる間に瑞希と翔子はアンタを囲むように……え?思ったより遅い……?)

 

四人の中では点数の低い自分に向かってくるまでは予想通りであり、自分が囮になってその隙に姫路と翔子の腕輪能力で集中砲火……という狙いだったのだが、〈蒼介〉の動きがが予想していたよりずっと遅かったため、ほんの一瞬面食らってしまう。蒼介はその隙を逃さずに、

 

 

 

 

 

召喚獣を急加速させた。

 

美波(や、やばっ!?急に速く-)

 

先程までの数倍のスピードで剣を構えて向かってくる〈蒼介〉。〈美波〉は迎撃するべくランスを思いっきり横に薙ぐ。判断が遅れたとはいえリーチでは勝っているので運が良ければカウンターになるかもしれない。

そんな淡い希望を打ち砕くかのように、〈蒼介〉はランスの間合いに入る直前で急停止する。タイミングを外された〈美波〉の迎撃は虚しく空を切るだけであった。

 

美波「しまった!?」

 

空振りによって生まれた隙を抉るように〈蒼介〉は再び急加速し、剣の間合いに入ったと同時に〈美波〉に目にも止まらない剣撃を浴びせる。

 

雄二(あれは確か、参の型・怒濤……!すまん島田、ここは持ちこたえてくれ……!)

姫路「美波ちゃん!今助けます!」

雄二「姫路!?待て-」

姫路「えぇいっ!」

 

雄二の静止も時すでに遅く、美波を助けるべく姫路は腕輪能力『熱線』を発動させる。〈美波〉を巻き込まず〈蒼介〉だけに命中させるために熱線を放つ位置には細心の注意を払ったものの、その攻撃はあまりに杜撰すぎたと言わざるを得ない。

 

蒼介「一人目……(バシッ!)」

美波「ちょ、ちょっと!?ウチの召喚獣が-」

 

 

キュボッ

 

 

《数学》

『Fクラス 島田美波 戦死

VS

 Aクラス 鳳蒼介  667点』

 

 

美波「あ……」

姫路「そ…そんな……」

 

〈蒼介〉は熱線に命中する場所に〈美波〉を突き飛ばすと、先程までの加速よりもさらに速いスピードで離脱した。結果、〈美波〉だけが熱線に飲み込まれ塵と化した。

 

蒼介「仲間が大切ならば、必殺技はよく考えて使うことだ。……そして姫路、私の召喚獣をフリーにして良いのか?」

姫路「…っ!?ど、どこですかっ!?」

 

姫路は慌てて〈蒼介〉を探すものの、何故かまったく見当たらない。右、左、前、後ろ……〈蒼介〉の姿はどこにもなかった。

 

……それもそのはず。

 

翔子「……っ!瑞希、上!」

姫路「え?…あっ!?」

 

翔子の言葉に姫路が顔を上げると、〈蒼介〉は上空から〈姫路〉目掛けて剣を降り下ろすところであった。〈蒼介〉は姫路の注意が散漫になった隙をついて学年主任クラスの点数を誇る召喚獣のずば抜けた脚力を活かして高く跳躍していたのだ。

 

姫路(で、でも空中じゃ避けられないはず!)

 

間一髪のところで〈姫路〉は〈蒼介〉に向かって熱線を放った。姫路の考え通りいかに〈蒼介〉と言えど空中での回避は不可能だったようで、熱線はそのまま〈蒼介〉に直撃し、

 

 

 

跡形もなく消えてしまった。

 

姫路「…え-」

蒼介「……二人目」

 

姫路が驚愕する暇もなく、〈蒼介〉はそのまま〈姫路〉を鎧ごと一刀両断した。生死などわざわざ確認するまでもない。

 

 

《数学》

『Fクラス 姫路瑞希 戦死

VS

 Aクラス 鳳蒼介  667点』

 

 

種明かしをすれば至極単純で、姫路の熱線が消し飛んだのは蒼介の腕輪能力『インビンシブル・オーラ』に阻まれたからである。そしてこの技は水嶺流伍の型・瀑布……助走による加速と跳躍からの重力落下によるエネルギーを剣に乗せて降り下ろす必殺の唐竹割りである。隙は大きいがその分威力は通常の降り下ろしとは桁違いに大きく、今回のように相手の不意をつく状況で用いられる。

 

蒼介「さて…次はお前だ、坂本!」

雄二「ちっ、くそったれ!」

 

休む間もなく〈蒼介〉は〈雄二〉に斬りかかる。負けじと鉄パイプで応戦するものの、〈雄二〉は〈蒼介〉の加速と減速を繰り返す独特の動きにペースを崩され次第に追い詰められていく。

 

雄二「くそっ、うざってぇ……!

そいつも水嶺流の技かよ……?」

蒼介「御名答。水嶺流基礎中の基礎、壱の型・波浪だ」

 

不規則に加速と減速を繰り返し、かと思えば突然急停止を挟み相手にリズムを作らせないチェンジオブペース……水嶺流の基礎にして原点となる歩法である。

 

雄二「くっ……やべぇ……!」

蒼介「多対一の利点をまるで発揮できていない。お前達のそれは、連携とはとても言えないな……三人目」

 

不規則な動きに翻弄され決定的な隙ができた瞬間、草薙の剣は〈雄二〉の急所を正確に刺し貫いた。

 

 

《数学》

『Fクラス 坂本雄二 戦死

VS

 Aクラス 鳳蒼介  667点』

 

 

蒼介「…さて、最後は-」

雄二「今だ翔子!」

翔子「……うん。“アブソリュートゼロ”……!」

蒼介「……ほう」

 

雄二の合図を引き金に〈翔子〉を基準点に氷結が広がり、召喚フィールド内全てが大氷壁で多い尽くされた。これぞ翔子のオーバークロック“アブソリュートゼロ”……決して逃げられない絶対零度の世界の展開である。

 

蒼介「試合前、霧島にしては不自然なほど意気込んでいたとのは、全てこのための布石か」

雄二「気づくのが遅かったな。まあこの方法はこちらも打つ手が無くなるから最終手段だったんだがな。ともかく、この勝負は引き分けってことに-」

 

 

 

 

蒼介「…否。()()()()()

 

 

ピシピシピシ……パァァアアァァァアアン!!!

 

そう言った直後に〈蒼介〉の周りの氷壁に亀裂が入り、そのまま跡形もなく砕け散った。

 

雄二「な……!」

翔子「……そんなバカなっ……!全身が凍りついた状態で、氷を砕くなんて不可能なはず……!」

蒼介「その通り、私の召喚獣が砕いたわけではない。……残念だったな、無敵(インビンシブル)の名は伊達ではないということだ」

 

自由の身となんた〈蒼介〉が〈翔子〉に向かって歩きだす。進路上の氷壁がその体……正確には〈蒼介〉の体を纏っているオーラに触れた瞬間、触れた部分から氷が砕け散っていく。

 

雄二「それも……お前の能力かよ?」

蒼介「ああ、私の能力『インビンシブル・オーラ』は耐久力300点分のオーラを貼るだけではない。このオーラを纏っている間はたった今霧島が使った能力のような、攻撃力を持たないが相手に何らかの異常を起こす系統の攻撃を一切受け付けないのだよ……これで詰みだ」

 

とうとう〈蒼介〉は〈翔子〉に一太刀入れることができる位置にまで来てしまった。オーバークロックは諸刃の剣、逃げようにも〈翔子〉にも氷がまとわりついて身動きひとつ取れやしない。もはやこれまでかと雄二と翔子は悔しそうに顔を歪ませる。

 

蒼介「さて、このまま肆の型・大渦で終わらせても良いのだが……そうだな。情報収集を度外視してまでも勝負を諦めなかったお前達に、一つ餞別をくれてやろう」

雄二「……は?お前、何言って-」

   

 

 

 

 

 

 

ぴちょん……

 

 

雄二・翔子「「…っ!?」」

蒼介「………………」ヒィィィイイイイイン…

 

雄二な疑問を言い切る前に、蒼介は極限の集中状態……“明鏡止水の境地”に入っていた。

 

翔子(……この、海の底に引きずり込まれそうな圧迫感……まさかこれ、“明鏡止水の境地”……?)

雄二(オイオイ、もうここまで自在に入れるのかよ……?)

 

先日のことを思いだし戦慄する二人をよそに、指示を送られた〈蒼介〉はオーラで〈翔子〉を覆う氷を全て取り除いた。

 

翔子「……どういうつもり?」

蒼介「さぁ、来るがいい……私の手札を一つ、開示してやろうじゃないか」ヒィィィイイイイイン…

 

そう言った直後、〈蒼介〉は草薙の剣を鞘に戻しそのまま抜刀の構えをする。

 

雄二(あの構え、居合斬りか……構わん翔子、斬りかかれ。こっちは一度負けが確定した身だ、勝ち負けより情報収集を優先するぞ)

翔子(……わかった)

 

雄二からのアイコンタクトに頷き、〈翔子〉は村雨を構え勇猛果敢に〈翔子〉の間合いに斬り込み……

 

 

 

 

 

 

 

《数学》

『Fクラス 霧島翔子 戦死

VS

 Aクラス 鳳蒼介  667点』

 

 

翔子「…………え……?」

雄二「……なっ……!?

何が起こったんだ……?」

 

次の瞬間には上半身と下半身が斬り離されていた。思わず呆然とする二人をよそに、〈蒼介〉はいつの間にか抜刀していた草薙の剣を再び鞘に戻す。

 

蒼介(これぞ水嶺流・拾の型……海角天涯。カズマ、お前を倒す切り札となる技だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和真「さてと……テストも無事終わったことだし、フリスペで特訓してる明久達に合流するか」

?「おい和真、少し良いか?」

和真「お前は……別に良いけど、手短にな」

 

 

 

 

 

 

 




和真「蒼介無双回。今まで散々カットされた鬱憤を晴らすがごとき八面六臂の活躍だったな」

蒼介「少し引っ掛かる言い方だがまあいい。今回1ダメージすら食らわず圧勝できたのは、彼ら四人が連携慣れしていない点が一番の勝因だ」

和真「多対一なのに気がついたらタイマンばっかだったし、姫路は美波を殺すしひっどいものだったな。……まあ、連携慣れしていないのは試召戦争の際、アイツらはあまり行動をともにしないからだな」

蒼介「坂本は代表、霧島と姫路は腕輪能力を最大限に活かすため単独での活動が多め、そして島田は貴重な現場指揮官……彼らをひとまとめにしておくほどの余裕はFクラスには無い」

和真「Aクラスだと優子と飛鳥の連携が評判だがな、あんな高得点かつ指揮もできる駒を一まとめに行動させるなんて贅沢な使い方、人材豊富なAクラスしかできねぇよ」



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