バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【選手データ(パワプロ風)③】

吉井明久
左投げ左打ち(現在はショートのため右投げ)
スリークォーター

弾道②
ミート……65(C)
パワー……60(C)
走力……75(B)
肩力……65(C)
守備……65(C)
捕球……65(C)

特殊能力……気迫ヘッド、火事場の馬鹿力、アイコンタクト、ヒートアップ、意外性、バント○、体当たり、粘り打ち、盗塁アシスト、ムードメーカー、ケガしにくさ◎、チャンス△、エラー、ハードラック、積極打法、積極守備、調子極端、チームプレイ○、
 
球速125㎞
スタミナ……80(A)
コントロール……55(D)
カーブ②
チェンジアップ①

特殊能力……不屈の魂、ド根性、超尻上がり、復活、みなぎる活力、打球反応○、闘志、要所○、スロースターター、寸前×、一発、乱調、調子極端


全体的にバランスのとれた良い選手で、特に逆境に対しての強さには定評がある。欠点は笑いの神様に極端に愛されていること、ヒーローになるチャンスを取り逃がしがちなこと、そしてその(ある意味)恐るべき頭脳である。ピッチャーとしては蒼介や和真には遠く及ばないものの及第点レベル。しかし立ち上がりの悪さや詰めの甘さを鑑みるとエースは任せられそうにない。


坂本雄二
右投げ右打ち

弾道③
ミート……60(C)
パワー……75(B)
走力……70(B)
肩力……70(B)
守備……65(C)
捕球……65(C)

特殊能力……ささやき戦術、司令塔、アイコンタクト、パワーヒッター、プルヒッター、ヘッドスライディング、体当たり、ゲッツー崩し、リベンジ、ささやき破り、かく乱、挑発、ブロック○、ケガしにくさ◎、ハードラック、積極打法、調子極端


野球センス、身体能力ともに申し分のない和真に次ぐFクラスのパワーヒッター。それに加えて優れた頭脳を武器に相手チームを手玉にとる策略家でもある。難点としては、明久ほどではないがこの男も笑いの神様に気に入られていることである。


土屋康太
右投げ右打ち

弾道②
ミート……70(B)
パワー……60(C)
走力……80(A)
肩力……60(C)
守備……65(C)
捕球……75(B)

特殊能力……電光石火、斬り込み隊長、アイコンタクト、走塁○、内野安打○、流し打ち、ヘッドスライディング、いぶし銀、速攻○、打開、高速チャージ、ケガしにくさ○、調子安定、慎重打法、積極盗塁、ミート多用


忍者のごとく足で稼ぐスタイルの典型的リードオフマン。野球経験に乏しくやや荒削りとは言えそのセンスはかなりのものであり、Fクラス主力級三人の中では最も安定感のある選手である。走力以外に注目すべき点は、和真のムービングボールキャッチできる捕球能力だろう。


野球大会決勝⑦『Aクラスの猛攻』

ギィイインッ!

 

御門「……ファール」

徹「ふふん♪」

和真(またカットしやがったアイツ……!打つならさっさと打てよまどろっこしい真似しやがって!)

 

現在2ストライク3ボール。徹が打席に立ってから数えて和真はもう15球も投げ込んでいるが、四球もしくは絶好球を粘り強く狙う徹は和真のツーシームをひたすらカットし続けている。

 

徹(君とまともに勝負したら正直分が悪いからねぇ、ここは粘らせてもらうよ)

和真(……ちっ、敵に回すとホント鬱陶しいなこいつは。……おまけにこいつ、俺のチェンジアップをしっかり警戒してやがる。ここで投げても不意をつけねぇどころか持っていかれちまうだろうな……仕方ねぇ)

 

やや悔しそうに顔を歪ませつつも、アイコンタクトで歩かせるよう指示する。ムッツリーニはその指示に頷くと、立ち上がって徹からは届かない位置にミットを構え、和真はそこに投げ込む。

 

御門(やっと終わったか……)「ボールフォア」

徹(退くべき所は退くか、賢明だね。……でも良いのかなぁ?ピンチはまだまだ続くよ?)

 

徹が一塁に進むのと入れ替わるように二番打者の沢渡が打席に立つ。沢渡は全国区であるラクロス部のエースというだけあって運動神経はかなりのものである。野球の経験こそ乏しいものの決して気を抜いて良い相手ではない。

 

まあ、とはいえ……

 

 

ズバァァアアアン!!

 

御門「ストライク、バッターアウト」

沢渡「あーあ、やっぱり無理かぁ」

和真「そう易々と打たせてたまるかってんだ」

 

流石に和真を打ち崩すには力不足である。ある程度予想していたのか大して落ち込むことなくベンチに戻っていく沢渡と入れ替わるように、三番バッターの優子がバッターボックスに立ち和真と向かい合う。

 

優子「さあ、どこからでもかかって来なさい!」

和真「ハッ、手加減を期待してるとか軟弱な考えは微塵も無いみてぇだな。安心したぜ」   

 

表面上は余裕の笑みを浮かべて茶々を入れている和真であるが、実を言うと内心ではガッツリ警戒していた。優子には和真の剛球を長打にするパワーこそ無いものの、そのミートセンスとどんな球種及びコースにも対応できる能力は決して油断できるようなものではないと、優子に野球のいろはを叩き込んだ張本人である和真は重々理解している。

 

和真(自分で鍛えておいて何だが、徹とは別ベクトルで厄介なバッターだなオイ……ただまぁ、この打席は送りバントだろうな)

 

Aクラス側が最も避けたいのは蒼介に和真のムービングボ-ルで芯を外されゴロ性の当たりになり、ダブルプレーでチェンジになることである。

何故なら優子の次のバッターである蒼介は『アクティブ』のクリーンナップの一角ではあるものの、和真や源太のようなパワーヒッターではなく堅実にヒットを狙うアベレージヒッタータイプなので、得点圏にランナーがいなければさほど驚異では無いからだ。

 

和真(何せ最終回、一点でも取りゃ勝ちなんだ。そもそも徹が塁に出て、優子が進ませ、ソウスケがタイムリーで得点する……まんま『アクティブ』の黄金パターンだしな。この戦術はわかっていてもそうそう崩せねぇ……)

 

優子のミートセンスとバットコントロールはバントでその真価を発揮する。どんなバントシフトを敷いても的確に守備の穴を突いてくる上、あまり強引な陣形を組むとすかさずバスター(バントの構えから突然普通の構えに戻しヒットを狙いに行くテクニック)に切り替えてくる。

 

和真(……ここは強引に止めに行くより、アウトカウントを増やしとくか。多分無意味だろうが万が一浮き上がることを期待して、ここだ!)

 

勝負どころは今ではないと判断した和真は、内角高めに全力のツーシームを投げ込む。和真の予想した通りすかさず優子はバントの構えを作り、

 

 

 

 

優子(…………かかった!)

 

そしてすぐさま通常の構えに戻した。

 

和真「…なっ!?バスターエンドラン!?」

優子「やぁっ!」

 

キィインッ!

 

そして優子はツーシームを打ち砕いた。完全に虚を突かれた和真だったが持ち前の驚異的な反射神経で今まさに頭上を越えようとするボールに向かって大きく飛び上がった。

 

和真「届けぇぇえええっ!」

 

 

 

バシィィッ!!!

 

優子「う…嘘でしょ!?」

 

キャッチこそできなかったもののグローブの先端がボールに触れ、センター前ヒットコースだったはずの打球は二塁付近にボテボテと落ちる。

 

徹(あれに届くのかよ!?前後左右だけじゃなく上方向の守備範囲も化け物じみているな……!)

 

セカンドの須川がすかさずボールを確保しダブルプレーを狙うべく一度二塁に視線を移すが、徹は既に二塁に到達していた。

 

須川(足速っ!?仕方ない、こうなったら木下だけでもアウトに……!)

 

若干のタイムロスがあったものの須川は一塁の翔子に向かって送球する。若干送球がそれたためベースを踏みながら捕球できそうにないが大した問題ではない。優子のスピードは女子にしてはかなりのものだが全体では中の上程度、今からでも余裕でアウトにできるだろう。そんな楽観的な考えで翔子はボールを捕球するため一塁を一端離れる。

 

が、その考えは甘い……っ!徹作の特性ケーキの次くらいには甘いと言わざるを得ない……っ!

 

優子は負けず嫌いの巣窟『アクティブ』正規メンバー、勝利への執念は常人のそれとは比べ物にならない。故に……

 

 

優子「はぁぁあああっ!!(ズザァァァアアアアア!!!)」

翔子「……っ!?(パシィッ)」

 

怪我上等のヘッドスライディング程度なら平気で実行できるのだ。翔子は先ほどの愛子のように気迫負けしてボールを落とすことこそしなかったものの、流石に気迫に押されたのかボールを捕球してからベースを踏むまでワンテンポの遅れが生じてしまった。

 

御門「…………セーフ」

 

塁審代わりに設置されたカメラで確認したところ、どうやら僅かな差で優子が先に一塁ベースに触れたようだ。

 

優子「ふぅ……危ない危ない」

翔子「……優子、無茶しすぎ」

優子「しょうがないでしょ、ああでもしなきゃ間に合わなかったんだから。……まあそれはともかく、」

 

そこまで言ってから優子はマウンドに立つ和真に視線を移し、得意気にアイコンタクトを飛ばす。

 

優子(ちょっと危なかったけど……今回はアタシの勝ち♪)

和真(チッ…完全に出し抜かれちまった……!まさかソウスケがあんな奇策を仕掛けてくるなんて…………いや、おかしくねぇかソレ……?)

 

優子から視線を外し、和真はさきほどの攻防にある違和感について熟考する。

幼馴染み故、和真は鳳蒼介がどういう人間なのか熟知している。彼は紛れもなく超一流の指揮官だが、雄二が多用するような奇策に頼ることはまず無い。基本に忠実に事を運び、相手の出方に合わせて的確に対応し、相手の行動を先読みし先手を打つのが蒼介のスタイルである。であるからして、さっきのような一か八かの作戦を指示したとは到底考えられない。

そして、先ほどの攻防には不自然な点がもう一つ。

 

和真(完全にゲッツーコースだったのにも、なぜ徹は余裕で間に合った?)

 

徹は確かに速いが精々明久と同程度、和真のような化け物染みたスピードではない。

 

和真(考えられる理由としては、アイツは優子が打つ前にスタートを切っていた。つまりソウスケがセオリー通り送りバントを指示していたとすればそれら二つの違和感が片付く。しかし、そうなると……)

 

和真は再び優子に視線を戻す。その目に驚愕と悔しさと、そして少しの尊敬の念を込めて。

 

和真(優子お前さっきのバッティング、独断で実行したってことかよ……?失敗したら完全に戦犯決定だっつうのに何て奴だ、悔しいけどすげぇなお前……)

 

そんな和真の視線に気づいたのか、優子はウィンクしつつ再びアイコンタクトで語りかける。

 

優子(どう?伊達にアンタの相棒務めてるわけじゃないのよアタシは♪)

和真(あぁもう可愛いなチクショウ……っと、流石にそんなこと考えてる余裕は無ぇよな……!)

 

考えうる最悪に近い状況で最悪の相手にみすみすバトンを渡してしまった和真は、バッターボックスに入った蒼介と対峙する。ここで打点を献上してしまえばますます流れはAクラスに傾くだろう。

 

蒼介「来るがいいカズマ。その剛球……打ち砕かせてもらう!」

和真「絶体絶命のピンチって奴か…………ハッ、面白ぇな!上等だ、真っ向から捩じ伏せてやる!」

 

この程度の逆境に萎縮するようなやわなメンタルなど和真は持ち合わせていない。あくまで強気に、大きく振りかぶって内角低めめがけて全力で投げ込んだ。対する蒼介は先ほど召喚獣に実行させたような独特の構えを取る。胴を大きく捻り体をピッチャーの反対側へ向け体のバネを最大限に活かす構え方で、和真の放つノビと球威に優れる速球に対抗するつもりなのだろう。

 

蒼介(水嶺流肆の型……大渦!)

 

体のバネ、そして遠心力によって力が上乗せされたスイングは、和真の放ったボールを正確に捉えたかのように見えた。

 

 

 

 

ガキィンッ!

 

蒼介「っ!?」

 

そう…和真の投げたボールが蒼介の手前で急激に変化したりしなければ、Aクラスの勝利で幕を下ろしていたかもしれない。しかし蒼介のスイングは()()()に変化したボールの上を叩いてしまう。

 

和真「よっ(パシッ)おらっ!(ヒュッ!)」

近藤「よしっ!(バシィッ!)とうっ!(ヒュッ)」

須川「ほっ(パシッ)」

 

ピッチャー真正面に転がったら打球を和真がすかさずキャッチし、投→三→二の送球リレーで徹と優子をアウトにした。

 

御門「チェンジ」

 

千載一遇のチャンスを逃したせいか、Aクラスのメンバー達はやや士気を落としながら守備位置につく。蒼介もマウンドに向かいながら、先ほど和真の投げたボールについて考える。

 

蒼介(さっきの球手前で落ちたことを考えると……フォークか?…いや、あのストレートと見間違うようなスピードは……スプリットか)

 

スプリット……正式名称スプリットフィンガーファスト……通称SFFは、和真の得意とするツーシームやカッターと並ぶムービングファストの一種である。“高速フォーク”とも呼ばれるこの球は変化量こそフォークに劣るものの、ストレートに匹敵するスピードで急激に落ちるという極めて厄介な球種である。

 

蒼介(まさかあのような切り札を隠し持っていたとはな。何はともあれ、一転してピンチになってしまったな。この回はどうとでも押さえられるが、次の最終回では再び奴に打順が回ってくるとなると…………………………仕方ない。不本意ではあるが、()()をやるしかないようだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 【選手データ(パワプロ風)④】

橘飛鳥 
ポジション:サード
右投げ左打ち

弾道②
ミート……55(D)
パワー……60(C)
走力……65(C)
肩力……65(C)
守備……60(C)
捕球……55(D)

特殊能力……気迫ヘッド、情熱エール、チャンス◎、逆境○、粘り打ち、対エース、リベンジ、競争心、ささやき破り、打開、接戦、窮地○、ムード○、慎重打法、慎重盗塁、調子安定、チームプレイ○、人気者

『アクティブ』のサードを守る。男子顔負けの身体能力を誇るものの経験や技術、野球センスは正規メンバーには一歩及ばない。しかし別の分野で日本一の座についているからか、非常に強靭なメンタルが大きな武器となっている。



木下優子
ポジション:セカンド
右投げ右打ち

弾道②
ミート……88(A)
パワー……50(D)
走力……60(C)
肩力……52(D)
守備……75(B)
捕球……70(B)

特殊能力……魔術師、アイコンタクト、情熱エール、気迫ヘッド、対左投手○、走塁○、盗塁○、アベレージヒッター、内野安打○、バント職人、ローボールヒッター、ゲッツー崩し、リベンジ、競争心、打開、接戦、盗塁アシスト、打球ノビ○、ささやき破り、送球◎、ムード○、慎重打法、積極守備、調子安定、チームプレイ○、人気者

『アクティブ』の二番セカンド。身体能力は女子にしては高いものの全体では高く見積もっても精々中の上程度。しかし負けん気の強さや勝利への執念は決して並ではなく、さらにテクニックに関しては蒼介や和真に次ぐ超一流のレベルである。和真との二遊間はまさに鉄壁の一言であり、「『アクティブ』と対戦する場合、レフト方向に飛んだら諦めろ」という暗黙の了解が有るとか無いとか。


大門徹
ポジション:キャッチャー
右投げ右打ち

弾道②
ミート75(B)
パワー60(C)
走力75(B)
肩力70(B)
守備70(B)
捕球90(S)

特殊能力……カットマン、ささやき戦術、切り込み隊長、高速ベースラン、対左投手○、盗塁◎、アベレージヒッター、内野安打○、ヘッドスライディング、逆境○、いぶし銀、対エース○、帳尻合わせ、本塁生還、リベンジ、競争心、追い打ち、窮地○、インコース○、かく乱、送球○、キャッチャー◎、ブロック○、慎重打法、選球眼、チームプレイ×


『アクティブ』の一番バッター。世にも珍しいキャッチャーのリードオフマン。同タイプのムッツリーニと比較すると純粋な脚力では劣るものの走塁技術や経験を加味すると総合的には上回っている。オリジナル超特殊能力「カットマン」は「粘り打ち」の上位種にあたる。総評すると、攻守ともに完全なる嫌がらせ特化である。またキャッチングの腕前は和真すら上回り、蒼介の“サイドワインダー”すらキャッチできる並外れた捕球能力を持っている。

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