バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【バカテスト・化学】

①~④の説明に当てはまる元素記号を次から選び、それぞれ正しい名称を書きなさい
『Mn O S Na I Pb Ne』

①体心立方構造で、水と激しく反応する。炎色反応では黄色を呈する
②沸点154・25℃、融点113.75℃。コレの溶液にデンプンを加えると反応を起こし藍色を呈する
③原子量54、過酸化水素の水と酸素への分解反応において、コレの酸化物が触媒として用いられる。
④希ガス族・第二周期、空気を液化、分留して作られる。


姫路の答え
『1.Na:ナトリウム 2.I:ヨウ素 3.Mn:マンガン 4.Ne:ネオン』

蒼介「正解だ。それぞれの特徴を覚えておくと化学反応の説明などにもつながるので、基礎的な特徴はしっかりと覚えておくように」


美波、優子の答え
『書きたくありません』

蒼介「……テストのボイコットとは感心せんな、少々失望させられた。わからないのであればまだしも、書きたくないなど学力以前に人としての考え方において問題があるぞ。今後はそのような態度を改めていかないと、いずれ社会に出た時に苦労を-」


ムッツリーニの答え
『1.Na:ナ 2.I:イ 3.MN:ム 4.Ne:ネ』

蒼介「…………木下、島田……すまない……」



野球大会決勝①『絶対的エース』

体育祭のプログラムではただの一種目に過ぎないが、(和真以外の)Fクラス生徒達にとっては最も重要な野球大会。その決勝戦を前に、事前に選ばれたスタメン(+補欠二名)に雄二が作戦の説明をしていた。

 

雄二「…とまあ大まかな作戦はこんなところだ。細かいことは要所要所で俺が指示をだす。……最後に、決勝戦の打順とポジションはこうだ」

 

そう言って雄二は一枚の紙を広げ、和真達は自らに与えられた役割を確認する。

 

 

①ピッチャー・木下秀吉

②セカンド・吉井明久

③センター・霧島翔子

④ショート・柊和真

⑤キャッチャー・坂本雄二

⑥ファースト・島田美波

⑦サード・土屋康太

⑧レフト・須川亮

⑨ライト・姫路瑞希

ベンチ……福村、横溝

 

明久「……何か、雄二にしてはマトモというか……普通のオーダーだね」

雄二「打順やポジションは変に捻らない方で基本に忠実にした。無理して奇抜なオーダーを組めば確実に付け入られる隙が生じる」

和真「それに基本がしっかりできてるからこそ、奇策はより効果を発揮するもんだしな」

雄二「そういうことだ。さて、そろそろ時間だな……和真、とりあえず全員の士気を上げてくれ」

 

和真はFクラスの精神的支柱である。指揮能力こそからっきしであるものの和真が全体に激を飛ばす、または結果で語ることでクラスメイト全員の士気を数十倍に跳ね上がる。

 

和真「あいよ。……いいかお前ら!事前にばーさんに確認したところ引き分けになった場合でもお前らの没収品は戻ってくる。……だが、俺達にはアイツらAクラスに四月での借りがある!そして近い内に奴らの設備を奪い取るという野心がある!この闘いはその前哨戦だ!つーわけでお前ら……是が非でも勝ちに行くぞオラァッ!!!」

『『『おぉぉおぉぉぉっ!!!』』』

和真「よーし良い返事だ!それじゃ、第二グラウンドに乗り込むぞ!俺に続けぇえええっ!」

 

百戦錬磨の斬り込み隊長に率いられ、Fクラスの戦士達はグラウンドに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御門「あー……これより野球大会決勝戦をを始める。オメーらさっさと整列しろー」

 

審判を務める御門先生のいかにもやる気無さげな声も一切気にせず、両クラスの生徒達は真剣な表情で整列して向かい合う。

 

「「「お願いします」」」

 

ホームベースを境に対面してお辞儀した後、雄二と蒼介の両キャプテンが握手をする。

 

蒼介「坂本、いい試合にしよう」

雄二「……ああ、そうだな。……だがな、」

「「勝つのは俺達(私達)だ」」

 

お互い目をそらさず宣言しあう。蒼介は満足そうに笑った後、隣にいる和真にも一瞬視線を移してから守備位置につく。和真も何も言うこと無くいつもの不敵な笑みを浮かべて雄二達とともにベンチへ戻っていく。

 

蒼介(今、私達に言葉など不要……)

和真(倒すべき相手と馴れ合う気は無ぇってか)

 

電光掲示板に両チームの打順及びポジションが表示される。2-Fは事前の打ち合わせ通りであり、そして2-Aはというと……

 

 

①キャッチャー・大門徹

②サード・沢渡晴香

③セカンド・木下優子

④ピッチャー・鳳蒼介

⑤センター・二宮悠太

⑥ショート・橘飛鳥

⑦レフト・久保利光

⑧ファースト・工藤愛子

⑨ライト・佐藤美穂

ベンチ……時任、栗本

 

 

明久(……えっ、鳳君が投手なの!?下手したら一撃で大門君の点数が吹き飛ばされてしまうんじゃないかな……そうなったら僕達にとってはありがたいけど)

 

ネクストバッターズサークルで明久がAクラスが教師チームをパーフェクトで下したことをもう忘れてそんなことを考えている内に、先頭打者である秀吉が召喚獣をバッターボックスに配置する。ちなみに一回の科目は物理。投手・捕手・打者の三人の点数がそれぞれ遅れて表示される。

 

 

《物理》

『Fクラス 木下秀吉 236点

VS

 Aクラス 鳳蒼介  604点

 Aクラス 大門徹  512点』

 

 

初っ端から絶望的なまでの戦力差である。秀吉もAクラスレベルと決して低くないので余計に始末に負えない。

 

御門「あー、ダリィ……プレイボール」

 

御門先生のやる気の欠片もない試合開始の合図と共に、〈蒼介〉はマウンドで思いっきり振りかぶり、第一球目を投げ込んだ。

 

 

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

 

まるで隕石でも落下したかのようなとてつもない轟音と共に、〈蒼介〉の放ったストレートが徹の召喚獣の構えたミットに収まった。

 

「「「…………は?」」」

和真(どうやら完全試合はマグレじゃないみてぇだな……くくく、面白ぇ)

 

スポーツ狂いの和真を除くFクラス全員の目が思わず点になり、同時に思考回路もフリーズする。

無理もない……〈蒼介〉のストレートは速いとか遅いとか以前に、全く見えなかったのだから。

 

御門「あー、入ってるなこりゃ……ストライク!」

 

その証拠に審判の御門先生はビデオで確認をしてストライクかボールかを判断しているぐらいである。〈蒼介〉のストレートは、まさに大砲と呼ぶに相応しい魔球であった。

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

御門「…………ストライク!」

秀吉(ぐぅっ……全く見えん……いったいどうすればいいのじゃ……)

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

悩んだところで答えが浮かぶとは限らないのが人生である。結局三球目もストライク判定となり、〈秀吉〉はヒットはおろかバットを一度も振れずに凡退してしまう。

 

秀吉「面目無いのじゃ……」

雄二「気にしなくて良いぞ秀吉、あんなもん初見で打てるわけねぇからな。……和真お前、()()見えたか?」

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

和真「悔しいが今のところ全く見えねぇ。バッターボックスからなら軌道を捉えられる可能性があるかもしれねぇが……それじゃあダメだな」

秀吉「んむ?ダメとはどういうことじゃ?」

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

和真「あのスピードじゃあ見てから打とうとしてちゃ確実に間に合わねぇってことだよ」

雄二「だろうな。明らかに人間の反応速度の限界を越えてやがる」

和真(ったく、普段はガチガチの技巧派ピッチャーのくせによ……)

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

二番打者の明久も一度もバットを振ることなくすごすごとベンチに戻ってくる。というか完全に腰が引けてしまってるようだ。

 

雄二「おいこのバカ。お前全然打つ気無かっただろ」

明久「仕方ないじゃないか!?もしあんなのが僕の召喚獣にぶつかったらフィードバックでショック死するかもしれないんだぞ!」

雄二「安い犠牲だ」

明久「貴様ァァァァァ!」

 

雄二と明久がいつものように不毛な争いをしている中、三番打者の翔子がバッターボックスに召喚獣を配置する。

 

 

《物理》

『Fクラス 霧島翔子 458点

VS

 Aクラス 鳳蒼介  604点

 Aクラス 大門徹  471点』

 

 

流石は和真と並ぶ学年次席 、蒼介との点数差もそこまで絶望的というほどではない。しかしそんなことよりも翔子には気になる点が一つ。

 

翔子「……取りこぼしが無かったのに点数が減っている?」

徹「鳳の召喚獣は肩が強すぎてね、たとえ完璧にキャッチしても微量ではあるものの点数が削られるんだよ」

翔子「……そう。だったら……」

 

そのことを聞いた翔子には一つの作戦が思い浮かぶ。それはスイングでキャッチャーの気を散らしボールを取りこぼさせ〈徹〉の点数を大幅に削らせることで、〈蒼介〉に全力で投げることを躊躇させるという試験召喚システムならではの戦法である。

しかしそう上手くはいかない。何故なら、この作戦には絶対に成功しない二つの要因があるからだ。

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

翔子「っ……!」

御門「………………ストライク」

 

キャッチャーの視界を遮るように振った〈翔子〉のスイングも虚しく、ボールは悠々と〈徹〉のミットに収まった。

 

徹「あまり舐めてくれるなよ霧島さん。僕は『アクティブ』の正捕手、その程度の揺さぶりなど通用しないよ」

 

これが一つ目の理由。徹は『アクティブ』でも蒼介とバッテリーを組んでいる、にわか仕込みの雄二とは違って本職のキャッチャーである。ちょっとやそっとのことで集中を散らすようなことは決して無い。

そしてもう二つ目の理由は……

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

二球目のストレートもストライク判定される中、ネクストバッターズサークルにいる和真はとある疑念が確信に変わる。

 

和真(あの精密機械のような投球は本体譲りだが、以前までのソウスケの操作技術なら不可能だったハズだ……アイツめ、夏休みの間にコソ練してやがったな)

 

これが二つ目の理由。近々訪れるであろうアドラメレク及びファントムとの邂逅に備え、蒼介は夏休みの間に召喚獣の操作の向上させていた。今の蒼介の操作技術は流石に明久や梓には及ばないものの、和真に比肩するレベルにまでに至った。

 

ズドォォォォオオォォォォォオオオン!!!

 

御門「…………ストライクバッターアウト。チェンジ」

翔子「っ!……手も足も……出なかった……!」

徹「恥じる必要は無いよ。これまでの試合でもバットに当てた人は一人としていない」

 

翔子の奮闘虚しく三球三振に倒れ、Fクラスの初回の攻撃はたった9球で沈められてしまった。

 

 

《一回表終了。現在0-0》

 

 

 

 

 




原作では美波の数学(Bクラス並)の点数程度でも130㎞を悠に越えるスピードでした。では600点オーバーの蒼介君のストレートは……当然こうなります。

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