バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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慈照寺銀閣には銀を張る予定であったが予算が足りなかったため云々かんぬん……

↑絶対嘘だ!銀ピカの建物のどこにわびさびを感じれば良いと言うのですか!?



祝!とうとうこの作品の評価バーに色がつきました!

和真「平均評価5.00で可もなく不可もなくってところか……作者の大学での成績みてぇだな」



二人三脚②

明久「とりあえず僕のパートナーは和真ってことだね。よろしく」

和真「おーよろしく。お前ならわかってると思うが、やるからには目指すは当然トップだ」

 

グッと握手を交わす明久と和真。明久は学年でもトップクラスのスピードを誇り、和真に至っては断トツで最速だ。タイムを競う種目ではそうそう負けることは無いだろう。

 

雄二「俺はムッツリーニとペアか。まあ、適度に頑張ろうぜ」

ムッツリーニ「……よろしく」

美波「木下はウチとペアよね。よろしく頼むわ」

秀吉「そうじゃな。宜しく頼むぞい」

姫路「翔子ちゃんとペアですか……。脚を引っ張っちゃわないか心配です……」

翔子「……瑞希、あまり気負いすぎないで。重要なのは何よりチームワークと平常心」

 

あれだけ殺伐としたくじ引きが行われたにもかかわらず、蓋を開けてみれば物凄く無難な組み合わせに収まった。まともな男女ペアはできていないが、これはこれで良かったかもしれないと明久が思っていると、美波がおもむろに声をかけてきた。

 

美波「?なによアキ。パートナーが木下じゃなくて柊だったのに、ちょっと嬉しそうじゃない」

明久「え?そ、そう?」

 

別に明久は和真がパートナーだから喜んでいるのではなく、女子勢が男子の誰ともペアになることがなくてホッとしているだけ(秀吉と美波?はて、何のことかな?)なのだが、女子である美波にそのことを正直に話すのは恥ずかしいため、自分の貧乏くじ体質をいい加減そろそろ学習しても良い頃なのに明久は冗談でも言って誤魔化そうとしてしまう。

 

明久「まぁ、和真なら雄二よりはいいよね」

美波「ふ~ん。どうして?」

明久「いや、だってほら。可愛かったからさ」

「「「…………は?」」」

 

話を聞いていた全員が明久の衝撃発言に真顔で聞き返す。特に当事者の和真に至っては心なしか目が死んでいるような気がしなくもない。

 

明久「肝試しのとき和真が猫耳スタイルになってたじゃない。あれが結構可愛かったと……あ痛っ」

 

突然、明久の頭を故意に軽く叩く者が。明久が振り向いた先にはやや不機嫌そうな表情の秀吉。

 

明久「秀吉?どうしたのさ」

秀吉「むぅ……。何やらわからぬが、つい手が出てしまっての……」

明久「?そうなの?まぁ別にそんなに痛くなかったからいいけど……」

 

普段の和真ならば秀吉の行動を即おちょくりにかかっているのだが、明久の衝撃発言のせいでそれどころではなかった。

 

姫路「最近、明久君の好みの幅が広すぎで困ります……」

ムッツリーニ「……変態」

和真「あー……なあ明久よ、趣味は人それぞれだし、俺もそのことにとやかく言うつもりはねぇけどよ……俺は周知の通り彼女いる上に、そもそも同性愛者じゃねぇんだよ……だからよー、お前はその、俺の知らないどこか遠い所で幸せになってくれると助かるかなー…なんて……(ススス……)」

明久「ご、誤解だよ三人ともっ!特に和真、遠回しに拒絶しながら徐々に距離を取らないで!?僕は純粋に勝負で勝ちやすいパートナーだから嬉しいってだけで!」

和真「だったら明らかに誤解を生じる言い方すんじゃねぇよ!?見ろコレ!まだ残暑が厳しい時期なのにサブイボが吹き出たわ!」

 

明久の弁明を聞いた和真が憤慨する。とある女子性徒(DクラスT.Mさん)のせいでその手の話題にアレルギーに近い拒否反応が生じるようになっている彼からすればたまったものではないだろう。

 

美波「……へぇ~。アキ、アンタ凄い自信じゃない」

 

明久の勝ちやすい、と言う発言に思うところがあったのか美波がそんなことを言ってきた。

 

明久「まぁね。和真は知っての通りだし、僕も運動は苦手じゃないから」

美波「ふぅん、そうなんだ。………それじゃ、さ」

明久「ん?」

美波「ウチらと……一緒に勝負、してみない?」

和真「あん?勝負だと?」

美波「そ、ウチと木下と。確か一回で各クラス二組ずつ出場だったでしょ?」

 

この二人三脚は各学年ごとの勝負で、A~Fクラスからそれぞれ二組、合計で十二組横一列の競争になる。

 

和真(何企んでやがんだコイツ……?)

明久「……うん、面白そうだね。オッケー、それなら勝負しよう」

美波「それで、負けた方は罰ゲームね」

明久「へ?」

和真(………………ほう♪)

 

美波が加えてきた条件を聞いた和真は、思わずサディスティクスイッチがONになってしまう。

 

美波「なによアキ。まさかアンタ、女子のペアが相手なのに勝つ自信がないの?」

秀吉「いや島田。ワシは女子ではないのじゃが」 

 

美波の妙に挑発的な台詞を聞いて、流石の明久も少しばかりプライドが刺激される。

 

明久「そ、そんなことはないさっ!オッケー、その勝負受けた!」

和真「面白れぇ……お前らのガラス細工の自信、粉々に打ち砕いてやるよ」

秀吉(あ、もうダメじゃ……確実にワシも巻き添えにされる……)

美波「じゃあ、ウチから提案する罰ゲームなんだけど」

明久「うん、何でも言いなよ。勝ってみせるからっ」

美波「ウチが勝ったら……付き合って」

明久「へ?付き合うって……週末とか?買い物にでも行くの?」

美波「う…うん、まぁそんなところ。買い物とか、ご飯とか、映画とか、色々」

明久「そ、そんなに一杯……。一日だけで回りきれるかな……」

「「………………はぁ」」

 

額縁通りに受け取ったとしても明らかなデートの誘いにもかかわらず、まるで気付く気配の無い明久のバカさ加減に秀吉と和真はそろって嘆息する。さっきまでのくじ引きでの真剣さはなんだったんだろうか?

 

美波「……別に、一日だけっていうつもりじゃないから(小声)」

「「………………はぁ」」

 

そして、美波の言う「付き合って」はどうやら別の意味であったらしい。おおかたまた肝心な所でヘタレたのだろう。秀吉と和真はふたたび溜め息をつく。

 

明久「ん~……まぁでも、それくらいならいっか、乗ったよ。その代わり僕が勝ったら……そうだなぁ、ご飯でも奢って貰おうかな」

美波「わかったわ。約束する」

明久「これで賭けは成立だね」

美波「そうね。……ウチが勝ったら……本当に、付き合ってもらうから」

和真「じゃあ後は俺らだな。秀吉、お前は俺らに何して欲しいんだ?」

美波「え?」

 

ここで美波としては想定外の事態に陥る。どうやら美波は罰ゲームと聞いてこの男がおとなしくしているわけがないことを失念していたようだ。

 

秀吉「そ、そうじゃのう……では、今度の演劇の練習を手伝ってもらうぞい……」

美波(き、木下はいたって普通ね……)

明久(問題は……こっちだ)

和真「さてと、罰ゲームと聞きゃいつもなら綾倉ドリンクの出番なんだが……」

明久(唐突な死亡フラグ!?)

((ひいぃっ!?))

和真「あいにく今は丁度切らしていてな……」

明久(あ、そうなんだ……)

((ほっ……))

 

当面の危機が去ったことで思わず安心する二人。あの劇物の恐ろしさを知っている彼らにとっては仕方ないことではあるが、危機が去ったと判断することはマロングラッセより甘いと言わざるを得ない。あの柊和真が罰ゲームで相手に温情を与えるような性格をしているわけがないというのに。

 

和真「……よし決めた!俺からの罰ゲームはアレな。肘の押すとビリビリする所をグーで殴るから」

(((何気に超痛い罰ゲーム来ちゃったぁぁぁぁぁっ!?)))

 

通称『ファニーボーン』……肘先の上腕骨の内側部分。尺骨神経が通っていて、叩くとと腕や手がしびれるような感じがすることで有名である。

 

美波「ひ、柊!ちょっと考え直してくれない!?」

秀吉「そ、そうじゃ!そんな罰ゲームでは悲しみしか生まれんぞい!」

和真「あぁん?今更遅ぇんだよお前ら、地獄の苦しみを与えてやるから覚悟しな♪」

「「この外道ぉぉおおお!?」」

明久(和真がパートナーで良かった……色んな意味で)

 

『これより、第二学年の二人三脚を行います。二年生の生徒はスタート位置に集合して下さい』

 

 

 

 

結果は言うまでもなく和真・明久ペアが圧勝し、Fクラスの美少女二人がグラウンド上でのたうち回る嵌めになった。激痛の中で美波は、勝負を吹っ掛けるなら和真が関わっていないときを狙おうと心に誓った。

ちなみに美波にした仕打ちが原因で清水が和真に襲いかかったのだが、すべてあっさりといなされた挙げ句「今の島田は精神的にまいっている筈だからアフターケアをすればお前への好感度が云々かんぬん」とアッサリと懐柔されてしまったそうな。

 

その後、和真は1500m走・綱引き・棒倒しの三種目に出場し、それら全てでFクラスをトップに導いた。ここまで一騎当千ぶりを発揮していると来年から何かしらの規制が入る気がしなくもない。

 

 

 

 

 

 

 




和真「えいっ♪」

ゴッ!×2

美波「にぎゃぁぁぁぁああぁぁぁあああ!?(ゴロゴロゴロゴロ)」
秀吉「腕が!?腕が熱いぃぃぃいいぃぃっ!?(ゴロゴロゴロゴロ)」
和真「あーはっはっはっは、愉快愉快♪」
明久(お、鬼だ……)


絶妙に辛い罰ゲームを考え付くことに関して和真君の右に出る者はいません。

さあ、次回からようやく野球編に突入しますよ。



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