バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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【バカテスト・世界史】

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ロシアの作家ドストエフスキーは著書『(①)の兄弟』や『(②)と罰』の中で、信仰心を失った近代人の虚無主義的な姿を描いた


明久の答え
『①(カラマーゾフ)の兄弟
 ②(罪)と罰』

蒼介「正解だ。この二作品と『白痴』、『悪霊』、『未成年』は、ドストエフスキー五大長編と呼ばれる名作なので、興味があればそれらを読んでみると良い」

ムッツリーニの答え
『①(マーゾ)の兄弟』
『②(ムチ)と罰』

蒼介「お前はアレか?どうしてもそっち方面に持っていかなければ死んでしまう病気でも患っているのか?」












挑戦状

『おーい!誰かそこの釘をとってくれー!』

『暗幕足りないぞ!体育館からひっぺがしてこい!』

『ねぇ、ここの装飾って涸れ井戸だけでいいのー?』

 

優子「凄い騒ぎね」

和真「そりゃそうさ、雄二が補習をサボる為に本気で手を回したんだからな。サボる方法を考えることにかけてはアイツの右に出る奴なんざいねぇよ」

優子「それ、絶対褒めてないでしょ……」

 

翌日、文月学園の新校舎3Fは肝試しの為の改装作業で大いに賑わっていた。夏期講習or補習に参加していたA~Fクラスの

生徒達が一丸となって肝試しの準備を進めている。

 

和真「……にしても、まさかAクラスまですんなり協力してくれるとはなー。ソウスケが夏期講習に参加してないからハメを外してぇのか?」

優子「Aクラスといってもあくまで一介の高校生ってことよ。期末試験が終わったばかりだし、本当は皆少しくらい遊びたいと思ってたんでしょうね」

和真「なるほどねぇ。だからあの人らもすんなり……」

優子「あの人ら?すんなり?」

和真「おっといけね……まぁ、のちのお楽しみってことで……よっと(ドスン)」

 

和真は運んでいた複数の棚を指定された場所に置く。総計で100㎏近くありそうであるが、和真にとってはたかが100㎏程度は朝飯前である。

 

優子「召喚獣顔負けの馬鹿力ね……」

和真「西村センセとかクソ親父とか、もっと異次元のパワーを間近で見てきたから実感はあまりねぇけどな。さて、次は……あん?何の騒ぎだ?」

 

 

『パス行くぞー。おらぁっ!』

明久「あがぁっ」

『ナイスパース。くたばれクソ野郎が……!どりゃぁぁあああっ!』

明久「ふぎゃぁっ」

『オッケー!シュートぉっ!』

明久「うぐぁっ」

 

和真達が騒音の聞こえてくる方へ視線を移すと、Fクラスのバカどもが明久の召喚獣の頭部でサッカーをしていた。

 

優子「何やってるのよあの人達は……」

和真「しゃあねぇな、オカルト召喚獣のウォーミングアップも兼ねて助けてやるとするか。行くぞ優子!」

優子「正直あんまり関わりたくないけど……かといって苛めの現場を見逃すわけにはいかないわね」

久保「その通りだ木下さん、柊君。僕たちの手で吉井君を助けだすんだ!」

「「久保(君)いつの間に!?」」

久保「そんなことはどうでもいいだろう!今は一刻を争うんだ!」

 

二人はやや腑に落ちないまま、久保に連れられるように騒ぎの中心に突入する。

 

久保「待つんだ!それ以上吉井君を苛めるなら、僕達が相手になろう!」

和真「出端を挫かれた気分なんだが……まあ良いか」

優子「そうね、切り替えて行きましょう……アンタ達!よってたかって一人をいたぶるような暴挙、アタシ達が許さないわよ!」

 

三人は異端審問会&清水と向かい合う。このメンツに清水が加わっていることから、おそらくは美波が直接的または間接的な原因だと和真は心の中で当たりをつける。

 

明久「ありがとう久保君、木下さん、和真!助かるよ!」

久保「気にしなくてもいいさ吉井君。君のことは僕が守るよ……いつまでも」

優子(今だけで良いでしょ久保君……)

和真(こいつ姫路達よりよっぽど行動的だな……)

清水「柊和真に、Aクラスの久保君と木下さん……でしたか?美春たちの邪魔をしないで下さい」

久保「そうはいかないよ清水さん、Fクラスの皆。君たちが束になってこようとも、僕らは一歩も譲らない。守るべきものが、ここにあるのだから……!」

和真「こいつのテンションには正直ついていけねぇけどよ……やるなら相手になってやるぜ、かかってこいや」

優子「そうね、Fクラスの人達もまとめてかかってきなさい。格の違いというものを教えてあげるわ」

清水「上等です!それならそこのブタ野郎と一緒に葬り去ってやります!」

久保「僕は負けない……!そう。僕が今まで勉強を頑張ってきたのは、きっとこういうときに吉井君を守る為なんだ!」

 

「「「「試獣召喚(サモン)!」」」」

 

四人の掛け声と共に召喚獣が出現する(ちなみに清水の後ろではゾンビ達がわらわらとスタンバイしている)。和真の召喚獣はご存知の通り阿修羅、久保と清水の召喚獣は全く同じ外見のみすぼらしい格好の妖怪、そして優子の召喚獣は片手に白百合を携えた青い天使。

 

秀吉「ムッツリー二。姉上や久保達の召喚獣が何かわかるかの?」

ムッツリーニ「……久保と清水の召喚獣は迷ひ神。人を迷わせる妖怪で、一説では道に迷って果てた人の魂が道連れを探しているとか」

秀吉「なるほど……。人の道に迷って、仲間に引きずり込もうとする連中と言うわけじゃな……」

ムッツリーニ「……木下優子の召喚獣は青色の外見と手に持った百合から考えて……多分ガブリエル。四大天使の一角で『慈愛の天使』などと呼ばれる一方、神の敵と定めた町を容赦なく焼き払ったという恐ろしい逸話もある」

秀吉「ワシに対しての厳しさと、和真に対しての優しさというわけじゃな……いや、和真と結ばれてからはワシにも多少は優しくなったような……(ブツブツ)」

 

未だに蹴られ続けている明久の召喚獣の頭を気にした風もなく、秀吉とムッツリーニがそんなことをのんびりと話していた。そんな呑気な二人はさておき、いよいよゾンビ軍団&迷ひ神VS迷ひ神&ガブリエル&阿修羅の戦いが始まろうとしていた。

 

清水「ええい!全員一斉にかかるのです!」

「「「おおーっ!」」」

優子「上等よ!返り討ちにしてやるわ!」

久保「来るなら来いっ!僕は絶対に負けない!」

和真「ハッ!お前らとはスケールが違ぇんだよ!」

 

阿修羅とガブリエルが露払いを務め、迷い神が生首を抱えているゾンビの群れに襲い掛かる。向こうも対抗して腐った身体で引っ掻きやかみつきを繰り出すものの、圧倒的な戦力差の前では所詮弱者の涙ぐましい抵抗でしかないと言わんばかりに、たった三体の召喚獣が約1クラス分のゾンビ達を次々と蹴散らしていく。

 

飛び散る腐肉。宙を舞う生首。弾け飛ぶ四肢。

 

「「「きゃぁああああーっっ!!」」」

 

その凄惨な光景に姫路や美波どころか、クラスにいた他の生徒達も悲鳴をあげていた。なまじ等身大になっている分余計にグロテスクな光景だ。

 

『こ、こっちに来ないで!サモン!』

『大丈夫かミホ!?畜生、俺の彼女をよくもビビらせてくれたな……!サモン!』

『彼女だと……?今コイツ彼女って言ったぞ!裏切り者だ!』

『『『殺せぇぇっ!!』』』

 

あっという間に広がる混乱の輪。今や先生を中心とした召喚フィールドは阿鼻叫喚の妖怪大戦現場となっていた。あまりにも騒がしいため、先生が召喚フィールドを消そうとしたその時。

 

『アンタら少しは真面目に作業せぇや!』

 

進行者全体に怒声が響き渡ったことで、大騒ぎはひとまず沈静化した。二年全体が声のした方に視線を向けると、エメラルドグリーンの髪をツインテールにした小柄な女子生徒が三年生の何人かを引き連れて仁王立ちしていた。

その女子生徒は佐伯梓。元柔道部主将にして元生徒会長、さらに文月新聞主催の人気ランキングで和真や蒼介を抑えて首位に立ったこともある、最も知名度のある三年生だ。

そして両サイドには明久達とは浅からぬ因縁のある常村と夏川のコンビが控えている。たまたま近くにいた明久はとりあえず二年を代表して対応することに。

 

明久「えーっと、佐伯先輩と……変た…変態先輩でしたっけ?」

夏川「おい!?今言い直そうとしたくせに俺達の顔を確認して言い直すのやめなかったか!?」

常村「お前、俺達を心の底から変態だと思っているだろ!常村と夏川だ!名前くらい覚えてろ!」

 

物凄い剣幕で食って掛かる常夏コンビ。とはいってもこの二人は明久達とぶつかる前に和真に敗北して落伍した上、そのアト綾倉先生という強烈なインパクトに遭遇したのでこの二人の印象はぶっちゃけ薄いため、明久の記憶の彼方にいても正直文句は言えないだろう。

 

明久「それで常夏先輩。どうしたんですか?」

夏川「テメェ……。個人を覚えられないからってまとめやがったな……」

常村「さすがはあの吉井明久だ。脳の容量が小さすぎるぜ」

明久(なんて失礼な!?)

梓「あの……えっとな吉井君、お願いやから責任者呼んででくれへんか?」

 

意気揚々と怒鳴りこんで入ってきたのにすっかりグダグダになってしまったので、若干恥ずかしそうにお願いする梓。その言葉を聞いて雄二と、ついでに梓と結構仲の良い和真が話を聞きに行く。

 

和真「やっほ、梓先輩」

梓「和真、もうちょいはよ出てきてくれてもええやろ……ウチ思いっきり恥かいたやん……」

和真「わりぃわりぃ」

雄二「肝試しの発案者は俺だが、いったい何の用なんだ先輩方?」

梓「……え?アンタ、和真から何も聞いてへんの?」

雄二「……おい和真、どういうことだ?」

和真「いや、実を言うと先輩らにも肝試しに参加しないかって声をかけてたんだよ。受験勉強の息抜きにもなるだろうからって」

雄二「……なんでそんな大事なことを言ってねぇんだよ?」

和真「サプライズ感って大事じゃね?」

雄二「…………ハァ……お前な……」

梓「…………アンタも苦労しとるようやね……」

 

どこまでも自由人な和真に振り回されている雄二に梓は同情しているが、彼女も彼女でガッツリ人を振り回すタイプなので人のことをとやかく言う資格はない。そう思ったのか常夏コンビは梓にジト目を向けているものの、梓はどこ吹く風とばかりにスルーした。

 

雄二「つまりアンタらは肝試しの準備を手伝いに来てくれたってわけか。わざわざ手伝いに来たのにあんなバカ騒ぎが繰り広げられてたら、まあ確かに怒りたくもなるわな」

梓「うん、手伝いに来たってのも勿論あるねんけどな……」

 

一旦そこで言葉を切り、梓は和真そっくりの不敵な笑みを浮かべながら雄二に人差し指を突きつける。

 

梓「ウチら三年はアンタら二年に……挑戦状を叩きつけに来たんや!」

明久「なっ……」

「「「なにィィィィィ!?」」」

和真(ほう……悪くねぇな)

雄二「……理由を聞いてもいいか?」

梓「それについてはこの二人に説明させるわ。ほら、出番やで常夏コンビ!」

((お前までその呼び名使うのかよ!?))

 

色々と釈然としないまま常夏コンビは前に出て、明久と雄二をそれぞれ睨みながら溜め込んだ感情をぶちまける。

 

夏川「それじゃあ言わせてもらうが坂本よぉ!お前らは迷惑極まりないんだよ!学年全体での覗き騒ぎに、挙句の果てには鳳以外の二年男子全員が停学だぞ!?この学校の評判が落ちて俺達三年生までバカだと思われたらどうしてくれるんだ!内申に響くじゃねぇか!」

「「「う……」」」

和真「あー……マジですいません……」

 

夏川の至極真っ当な苦情に二年男子全員が目を逸らす。驚くべきことにあの傍若無人極まりないな和真でさえ非を認めた。

 

常村「だいたいだな吉井に坂本……お前らがそういう騒ぎを起こしたときいったい誰が尻拭いをしているのか、知っているのか?件の覗き騒ぎはもとより試召戦争中に校舎の壁を壊したり、学園祭のときに花火で校舎を爆破したり……そういう問題が起きるたびに鳳の奴が生徒会長だからと文句の一つも言わないで方々に頭下げに回ってたんだぞ!少しは申し訳ないとか思わねぇのか、このバカコンビが!」

明久「……呼ばれたよ雄二。謝りなよ」

雄二「……お前のことだろ明久」

夏川「お前ら二人ともだバカ」

「「う……」」

和真(今度ソウスケのこと色々労ってやろ……でないと罪悪感で身が潰れそうだ)

 

ちなみに明久と雄二も和真と似たような圧迫感を感じていた。そのせいかいつもなら嬉々としてお互いに責任を押し付けている場面であるのに今回はどうにも不調である。

 

梓「まあそんなわけで、アンタらにはちとお灸を据えてやらなアカンと思っとったんや。それで、今回の和真からの提案にこれ幸いと考えてな……アンタらを真っ向から叩き潰して鼻っ柱をへし折って、ちょっとは反省させたろと考えたわけや」

和真(いや、この人だけは絶対そんな殊勝なこと考えてねぇ!絶対自分が楽しみたいからそういう大義名分掲げてクラスを先導したに違いねぇ!だって俺と同じ娯楽主義者だもんこの人!)

 

清涼祭以降すっかり仲良くなった和真は知っている。

佐伯梓は自分に近しい性格の女子であると。

 

梓「既に学園長から許可も貰ってあるし、おまけに支援もしてくれるそうや。盆休みあたりに一般公開するため作った物はそのままにしとくことを条件にやけどな」

雄二「なるほど、イメージアップの戦略か。涙ぐましいことだな」

梓(それもアンタらがどんどん評判を下げとるからやろうけど、コイツらそこん所ちゃんとわかっとるんやろうか……?)

 

たとえわかっていたとしても、蒼介にはともかく学園長に悪びれる気など明久と雄二にはひと欠片たりとも存在していないのは明白である。

 

梓「それで、ウチらの挑戦を受けるんか?」

雄二「いや、そこまで言われて受けないわけにはいかねぇだろ……」

梓「それはおおきに♪それで、驚かす側と驚かせる側をどう分けるかやけど……」

夏川「当然俺達三年生が驚かす側だ。俺たちはお前らにお灸を据えてやるって名目で挑戦状叩きつけたんだからよ」

雄二「……ああ、別にそれで構わない」

 

その後も話し合いは梓が優勢のまま進み、最終的に以下のルールに決定した。雄二が罪悪感に囚われて本調子でないことを差し引いても、梓の交渉力はかなりのものであった。

 

①二人一組での行動が必須。一人だけになった場合はチェックポイントの通過は認めない。

*一人になっても失格ではない。

②二人のうちのどちらかが悲鳴をあげてしまったら、両者ともに失格とする。

③チェックポイントはB~Dクラスの各クラスに一つずつ、Aクラスに2つの合計5箇所とする。

④チェックポイントでは各ポイントを守る代表者二名(クラス代表でもなくても可)と召喚獣で勝負する。撃破でチェックポイント通過扱いとなる。

⑤一組でもチェックポイントを全て通過できれば驚かされる側、通過者を一組も出さなければ驚かせる側の勝利となる。

⑥驚かせる側の一般生徒は召喚獣でのバトルは認めない。あくまでも驚かせるだけとする。

⑦召喚時に必要となる教師は各チェックポイントに一名ずつ配置する

⑧通過の確認用として驚かされる側はカメラを携帯する。

⑨勝負科目は公平を期すためセンター試験準拠の5教科+保健体育とする。

⑩チェックポイントでの試召戦争中は大声を出しても失格にはならない。

⑪設備への手出しを禁止する。

 

 

9番の項目を見た明久はいつものファンタジスタぶりを発揮したのか、すっかりわけがわからなくなって猛然と梓に抗議する。

 

明久「センターって……そんな関係の無いもので勝負だなんて、いくらなんでもおかしいですよ!?」

梓「え?吉井君はセンター試験受けへんの?もしかして私立一本に絞ってるんか?」

明久「私立?いや、話を脱線させないでくださいよ」

和真「あー明久、センター試験っていうのはだな……」

 

《センター試験》

大学入試センター試験の略称。独立行政法人の大学入試センターが全国一斉に実施する共通テストのこと。各大学の試験に先立ち、例年1月13日以降最初の土曜日・日曜日に行われる。

 

明久「…………」

夏川「なんだこいつ?さっきまで騒いでたのに」

常村「何故か急におとなしくなったな」

梓「……吉井君。もしかしてセンター試験のこと……知らんかったん?」

明久「い、いえ、アレです。野球のスポーツ推薦と勘違いしちゃっただけで、別に何も知らなかったわけじゃ……」

梓「……ぷっ。ふふ……あはははは!ポ、ポジションのセンターと勘違いしたわけやな!どんな素行不良な子かと思っとったけど結構おもろい子やん!」

 

雄二や和真や常夏コンビが微妙な空気になっているなか、梓には何故かかなりウケたようだ。もっとも、明久にとっては余計恥ずかしくなるリアクションなのだが。

 

『ほら見ろ。やっぱ二年はバカ揃いじゃねぇか』

『ち、違う!吉井は二年の中でも群を抜いたバカなんだ!』

『そうだ!それに吉井は来年もう一度二年生をやるだろうから縁は切れるはずだ!』

 

その周りでは二年と三年が不毛なやり取りを繰り広げていた。二年側の主張は酷いものの、今の状況では和真でさえ否定できそうになかった。

 

梓「それでどの科目にするかやけど……おもろいもん聞かせて貰った礼や、アンタら3つ選んでええで」

雄二「選んで良いっていっても六科目しかないじゃねぇか……それじゃあ、英語と社会と保健体育だ」

梓「甘いで坂本君、七科目や。ウチらの選択は……そうやな、総合科目と理科や」

雄二「っ!?なるほど、その手があったか……」

 

先程からもそうだが、あの雄二が珍しく交渉で不利に立たされていることに明久も和真も驚きが隠せない。そんな中、常夏コンビが意を決したように梓に意見する。

 

夏川「待て佐伯。理科じゃなくて国語にしてくれ」

梓「へ?ええの二人とも?アンタら理科が得意科目やったはずやろ?」

和真(そういえば、この二人の物理は確か400点オーバーだったな……)

常村「俺達は社会のチェックポイントに入るから良いんだよ。なあ吉井、社会は得意科目なんだろ?チェックポイントで待っているからな」

夏川「坂本もだ。俺達からにげんじゃねーぞ?」

 

どうやら二人はわざわざ明久達の土俵で勝負するつもりのようだ。和真の影響を強く受けている明久はもとより、雄二もここまで露骨に舐められては応じないわけにはいかなくなった。

 

雄二「……上等だ、返り討ちにしてやる」

明久「絶対、負けませんから」

夏川「いい度胸じゃねぇか、それでいい」

常村「ところで俺も聞きたいことが一つあるんだが、この悲鳴の定義はどうなっている?」

 

確かに悲鳴というだけでは曖昧すぎる。仲間内で遊ぶ分にはいいかもしれないだろうが、二年と三年の勝負となると話は別だ。きっちり定義をつけておかないと下手したら後々揉め事になりかねない。

 

雄二「ん?そこの部分か。そうだな……。そこは声の大きさで判別するか。カメラを携帯させるわけだし、そこから拾う音声が一定値を超えたら失格でどうだ?」

常村「そんなことができんのか?」

ムッツリーニ「……問題ない」

雄二「ところで佐伯センパイ、勝敗がついたらどうなるんだよ?」

 

挑戦状というからには何か要求してくると考えるのが妥当だ。しかし梓は何でもないように言い放った。

 

梓「どうもせえへんで?賭けるのはお互いのプライドのみや。……けどまあ、流石にそれだけやと味気無いなぁ。

……せや!二学期の体育祭の準備や片付けを相手の分まで引き受けるってのはどうや?」

雄二「よし乗った。それじゃ、勝負は明日ってことで。楽しみにしてるぜ先輩?」

梓「ま、覚悟しときや。……それと和真」

和真「あん?」

梓「最終チェックポイントで待っとるで?ウチのリベンジマッチ……受けてくれるやろな?」

和真「……ハッ、おもしれぇ!だいたい召喚大会の件で借りがあるのは俺もだっつの!」

 

二人は獰猛な笑みを浮かべながら睨み合う。あまりの迫力に明久達や常夏コンビは声もかけられずにいた。

 

 

 

 




11~12巻のセンター形式がフライングしました。
しかし原作とはちょっと形式を変更しています。

《センター準拠ルール・改》
※小数点は切り捨て

国語=1/2(現代文+古典)
数学=1/2(数Ⅰ~Ⅲ+数a~c) 
英語=1/2(英語+英語w)
理科=1/2(地学、生物、化学、物理の中から二科目)
社会=1/2(日本史、世界史、地理、政経、現社、倫理から二科目)
保健体育=いつも通り
総合科目=上記6科目の合計

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