バカとテストとスポンサー   作:アスランLS

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間違えてプロローグよりキャラ紹介を先に投稿してしまった……幸先悪いなぁ……


プロローグ

 

ここ文月学園では、学年末に行われる進級テストの成績によりA~Fのクラスに振り分けられる。

最上位のAクラスになれば豪華な設備の教室を与えられ最高の待遇を受けられるが、反対に最底辺のFクラスになれば劣等生の烙印を押され最低ランクの設備でみじめな学園生活を過ごすことになるという、良くも悪くも完全実力主義な学校なのだ。

当然生徒達は少しでも上のクラスになれるようこの日のため死に物狂いで努力し、また努力を怠ってしまった生徒は不安を抱えながら試験に望む訳だが……

 

明久(これが難しいと噂の振り分け試験か……確かに難しいけど問題ない……この程度なら

 

 

十 問 に 一 問 は 解 け る!)

 

 

流石と言うかなんと言うか、のちに「学年を代表するバカ」と呼ばれる吉井 明久の名に恥じない素晴らしく的はずれな理論である。学力どうこう以前に、いったいどうしてその正答率に希望を抱けるのか不思議で仕方ない。

 

明久(二十点は堅いな)

 

そんなことを考えながら明久が気楽に問題を解いていると、突然背後から大きな音がした。明久が後ろを振り向むいて見ると、女子生徒の一人が椅子から転げ落ちたようだ。

学年でも指折りの成績を誇る優等生、姫路瑞希だ。

 

明久「姫路さんッ!大丈夫!?」

 

と言いつつもどうみても大丈夫そうには見えない。どうやら風邪気味で試験を受けていたらしく、熱にうなされて倒れてしまったらしい。試験続行はとてもじゃないができそうにない。周りがざわつく中、試験監督の教師が

 

「試験途中での退席は“無得点”扱いとなるが、それでいいかね?」

 

と無慈悲な確認し、それに姫路が答えようとしたとき、

 

明久「ちょ、ちょっと先生!具合が悪くなって退席するだけでそれは酷いじゃないですか!」

 

二人の間に割って入り、明久が教師に抗議した。

 

 

 

 

明久と教師がもめている後ろで坂本 雄二は思う。

 

雄二(はあ、相変わらず馬鹿で愚直なやつだな、あいつは。

自分の体調管理はあくまで自己責任、実力主義を掲げるここでそんな抗議受け付けるわけがねぇ。姫路のFクラス行きは確定だな…………………………しょうがねぇな)

 

そして、おもむろに自分の答案用紙の一部を消しゴムで消し始めた。

 

 

 

 

 

 

同時期、明久達とは別のクラスで、同じく振り分け試験を受けている柊 和真と霧島 翔子は科学では決して説明できない直感力で何かを感じとった。

二人(雄二が点数調整してFクラスに行こうとしている!)

 

超能力顔負けである。片や野性的な勘、片やいわゆる「愛の力」とやら、とでも説明すればよいのだろうか?

それはさておき、この二人はまともに試験を受ければAクラス確定圏内の、学年でも最上位の優等生である。雄二がFクラスに都落ちしようがこの二人にはさして関係はない。

 

 

和真(俺の勘がFクラスに行けば俺にとって楽しいことが起きると告げている。……俺はこの直感を信じ、この試験を捨てる!)

 

 

翔子(……あの日私は誓った。どこまでも雄二についていくと)

 

二人は、おもむろに自分の答案用紙の名前を消しゴムで消し始めた。そう、彼等が優等生であると同時に問題児どありさえしなければ、全く関係の無いままであっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして新学期当日の早朝、新入生を迎える桜の木々に挟まれた文月学園校舎へと続く、お年寄りとインドア派に優しくない坂道を全力疾走する二人の青年がいた。

鞄を抱えているのに凄いスピードでペースを落とすことなく走っている。

 

蒼介「今日は勝たせて貰うぞカズマ!」

和真「残念だが今日も俺の勝ちだソウスケェ!」

 

どうやらこの二人は競争しているようである。仲が悪い訳ではない。何かを賭けている訳でもない。

この競争は二人がこの学園に入学したときから絶えずしており、部活の朝練などのため早めに登校している生徒にとっては一種の風物詩でもある。やや和真ペースで進み、そのまま文月学園の門を和真がいち早くタッチした。

 

和真「よっしゃあ!これで競争は262勝13敗だ!」

蒼介「流石だなカズマ。まだまだお前と私の間には壁があるらしい」

和真「いやいや、今回は結構ヤバかったぜ。トップスピードも瞬発力も俺の方が上なのになんでついてこれるかねぇ」

 

そしてお互いを労い、握手をする。

二人が決めた真剣勝負後のルールだ。

 

西村「おはよう、朝から元気がいいなお前ら」

和真「あ、西村センセ。おはよー」

蒼介「おはようございます、西村教諭」

 

彼は生活指導の西村宗一。浅黒い肌に屈強な体格、そして趣味はトライアスロンであり真冬でも半袖でいることから、生徒からは陰で「鉄人」と呼ばれている。和真曰く、「この学園で唯一自分がリアルファイトで勝てそうにない人」らしい。鉄人は二人に振り分け試験の結果の入った封筒を渡す。

掲示板か何かで一斉に張り出せば良いんじゃないかと誰もが思うが、ある理由があってそれぞれの点数及び所属クラスは公開されない。

 

西村「流石は鳳だ。お前は我が校の誇りだよ。それはそうと……柊、お前何故あんなことをした?」

 

鉄人は蒼介を褒めた後、溜め息まじりに和真に問いかけた。

質問しつつも何か諦めたような表情に見えるのは決して気のせいではない。

 

蒼介「? 教諭、あんなこととは、」

“学年主席”と書かれた結果を確認しながら聞くと和真は、

和真「こんなこと」

“Fクラス”と書かれた紙を蒼介に見せる。

蒼介「…………………………!?」

 

驚きのあまり目をこれでもかと見開く。いつも冷静沈着な蒼介がここまで驚くのは結構なレアケースだったりする。

 

蒼介「な!? いや、どうしてお前が……」

和真「なんかすげぇ面白いことがFクラスで起きそうな気がしてな。そういうことに関して外れたことのない俺の勘がそう言っているんだから行くしかねぇだろ、娯楽主義・柊 和真の名にかけて」

西村「気がするって……お前なぁ……」

 

さも当然のように試験をボイコットしたと自白した和真に鉄人は呆れるように嘆息するが、去年から和真を見てきた彼は半ば諦めている。こいつはこういう奴だ、こいつの性分は死ぬまで治らない、と。

 

和真「そしてソウスケ、二年からいよいよ始まるあれも当然積極的に参加するつもりだぜ。御大層な成績に胡座を掻いていると、容赦なく最底辺まで叩き落としてやらぁ!」

蒼介「……なるほど、試験召喚戦争か。上等だ、私達Aクラスは全力でお前達を迎え撃つ!」

 

 

 

 

 




という訳でプロローグでした。この作品は基本この二人と原作主人公の明久を中心に物語を進めていきます。

早速やらかしてしまった通り、私は隙あらばこういうミスをちょくちょくしてしまううっかり者です。
不備な点があればどうかご報告下さい。では。

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