ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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5話 怒りの作戦会議

―無side―

あれから、ハイドラとドラグーンは“花”と“情報”を持って地球連邦軍の本拠地である、結城家にある作戦司令室に来ていた。

 

そこでは既に、まるで最初からわかっていたかの様に現結城家当主で地球連邦軍の総司令官でもある長男、結城 光輝を始め、レイジ、皐月、ナツル、優子といった結城 翼(椿)を除いた五人の総隊長に続き、その側近のレイナーレ、カラワーナ、ミッテルト、黒歌、アリア、アイラ。そして各部隊の幹部達が勢揃いしていた。

 

「ハイドラにドラグーン。何故お前達がそんなに慌てているのかを、全て話せ。これは命令だ。いいな」

 

そう言われたハイドラとドラグーンは包み隠さずこれまで起きた全ての出来事を話した。

 

「―――以上が報告でごさいます」

 

ハイドラが言い終わると司令室の空気が恐ろしいほど重くそして凍っていた。幹部達の間ではざわつきが出ていた。

 

「……そうか。……椿が…な……」

 

光輝がそう言った瞬間――

 

ベキッ! バキバキバキバキバキ!!!

 

光輝の座っていた椅子の持ち手が握り潰され跡形もなく粉々に粉砕していて、光輝の身体から肉眼で見えるほどの濃密なドス黒いオーラが立ち込めていた。

 

周りを見ると光輝だけではなかった。

 

次男のレイジを始め、結城家の兄弟姉妹と側近のメイド一同からも濃密な怒りのオーラを出していたのだ。

 

それを間近で感じている幹部達は自分達もイラついているものの周りのオーラが余りにも凄すぎて、逆に冷や汗が滝のように駄々漏れだった。

 

「あの雑種が!! 俺たち地球連邦軍に喧嘩を売るだけではなく俺たちの妹で癒しの椿を拉致りやがって!!!

 あのくそ小僧はそんなにも死にたいようだなぁ…」

 

ドスの効いた怒りの声を撒き散らし、その声に反応して司令室全体がガタガタと震えていた。

 

「あと、くる途中で兵藤一誠の家に我々宛の物があったそうで、中身を確認したところこの様な一枚のDVDがありました。」

 

ドラグーンは光輝に一枚のDVDを渡した。

 

「なんだこれは?……まぁいい。取り合えず見るか…」

 

光輝はアイラにDVDをつけてくれとたのみ、アイラがカセットの中にDVDを入れて起動させると、映像が流れてきた。

 

そこに映し出された映像は――――

 

ディオドラとツバキだった。

 

ツバキは、両手を鎖で纏めて繋がれ、足も片足ずつに鎖で絞められて壁の様な所に座ってもたれかかる様に拘束されていた。

 

服装はシスター服なのだが、アーシアがいつも着ているシスター服なのだがビリビリに引き裂かれておりツバキの素肌が露になっていた。パンツや胸も見えるか見えないかのぎりぎりな所で破かれていた。

 

表情はまだ睡眠薬が効いているのか、スヤスヤと静かに眠っていた。

 

『やぁ、地球連邦軍の皆さん。始めまして僕の名前はディオドラ・アスタロト。ディオドラ家の時期当主で悪魔だよ。

 この映像を観ていてわかるように、君たちの大事なツバキちゃんは僕が預かっている。

 別にこれといった要求は無いが、あえて言わせて貰うなら僕の邪魔をしないでくれたまえ。

 なぁ~に…。別に殺しはしないさ。ただ、この子の全てを僕の物にするだけ。この子の純潔も心も身体も全て…ね。

 どうせ遅かれ早かれ僕の物になるんだったんだ。別にいいだろ?

 それに、そんなむさ苦しい男達がいて常に命の危険がある場所に置いとくよりも僕の所に置いとく方がよっぽどいいじゃないかな?

 ま…、そう言うわけだからさ。このまま僕が貰うね。あ、別に許可は要らないから。どうせ直に貰うし。

 そうだね…。折角だし唇から貰おうかな♪』

 

そう言ったディオドラが行った行動はツバキの顔に手を近づけて顎を右手で軽くもち、ディオドラは顔をツバキに近づけて自身の唇をツバキの唇に合わせる―――

 

そうキスだった。

 

それも普通のキスではなく舌を入れる大人のディープキスというやつだ。

 

ディオドラは見せつけるかのように深いディープキスをしていて、ピチャクチュといったなめなめしい音が映像を流れる。

 

『――プハァ!』

 

ディオドラがツバキの唇から離すと、ディオドラ舌を銀の糸が橋の様に繋がり延びていた。

 

ディオドラはそれを袖で拭き取り映像に視線を変えてきた。

 

 

『ふふふ、まずは唇を奪えたかな? まぁ、安心しなよ。まだこの子の下の純潔は残しといてあげるよ。理由は意識がないのに処女を奪うのは面白味がないからね。それと、もし出来たら君たちのの前で奪いたいな。妹の様に可愛がっている存在を兄や姉たちの見ている前で、絶望しながらも快楽に染まっていく顔を見るのはなんとも愉快なことか!

 あはははははは!!それじゃぁ、そう言うわけだからさ。君たちは大人しくしといてね。じゃないとこの子の命はないから。命令は無視しないでよね~。

ま、どうせたかが人間如きにこの僕が殺られるわけがないだろうけどね…。

それじゃぁ~……バイバイ♪』

 

最後にそう言い終えて映像が途切れる。最後のディオドラの顔は最高に歪みきった笑顔だった。

 

そしてそれを見た光輝たちの反応はと言うと………

 

「……やはりあの小僧……いや、雑種か…。最初は立場上、命だけは助けてやろうかと思っていたが、やっぱ止めるわ。

 アイツには死ぬなんてそんな生ぬるい事はしない。そんなことより死んだほうがマシと思うぐらいの最強の生き地獄を味会わせて、そして肉体的精神的に殺るか。

 おぉ~!俺ってなんて優しく寛大な人間なんだろうか♪はははははは!」

 

もう怒りを通りこして笑っていた。

 

「……さて、と。皐月、ナツル、優子、レイジ。お前達に頼みたいことがある。」

 

先程まで笑っていた光輝は、さっきとうって変わって真剣な表情になり、他の兄弟姉妹たちに頼み事をいう。

 

「あら、なにかしら?」

 

「うふふ、何でしょう?」

 

「何?」

 

「なんだ?」

 

皐月とナツルは笑ってはいるのだが、後ろから般若が見えていた。優子は目線で人を殺せるぐらいの殺気を出しており、レイジは無表情ながら濃密なドス黒い殺気を撒き散らし、すぐ隣の幹部の一人が気絶していた。

 

「皐月、ナツル、優子の三人は幻想郷に行き八雲紫を含めた幻想郷のメンバー全員にこの事を伝えて此方に連れてきてくれ…。レイジは幻想郷ではなく、地獄にいって四季映姫・ヤマザナドゥに助けを頼んでくれ。俺も別の所に行って手伝ってくれる奴等を連れてくる。

 他の幹部達は至急自身の部隊に戻りこの事を報告し、各支部からこの本部に集合してくれ!

 ハイドラとドラグーンは……」

 

光輝が何かを言おうとするとハイドラが手を上げて止めた。

 

「私達二人はツバキ様の命により別の仕事があります」

 

「別の仕事?」

 

「はい、別の仕事です」

 

ハイドラの答えに首を傾げて聴く光輝。

 

「その仕事ってのはなんだ?」

 

「その仕事は………」

 

ハイドラは一拍置いて言葉を繋ぐ。

 

「我らが部隊のエース。あの英雄たちが此処に帰ってくるのです。それの迎えをツバキ様に頼まれております」

 

ハイドラの言葉により司令室の空気が一気に熱くなった

 

「なに!!あの英雄たちが帰ってくるだと!」

 

「おぉ!それは本当か!?」

 

「これは…、ディオドラ・アスタロトはなんて運の悪い奴なんだ」

 

「確かにな…。彼らが自分の隊長が拉致られたと知ったら怒り狂い下手すれば大陸そのものが消えかねん」

 

「あぁ。しかしなんとも絶妙なタイミングなのだ。これは運命なのか?」

 

「あのツバキ様だ。あり得なくもないぞ?」

 

「でもこれで我々の心配もなんの事も無くなったな!ははは!」

 

幹部達はそれぞれそう口にして狂喜乱舞し舞い上がっていた。

 

「ほぉう。それは本当の事なのか?」

 

光輝も冷静には聴いているものの、声は高くなっていた。

 

身体も少し震えており、目もギラギラとさせていた。

 

「はい。この情報は確かです。なんせツバキ様から直々に教えてもらった事ですので」

 

「あいつらが帰ってくるか………

 ふふ…、くふふふふふ……くははははははは!!!!!!」

 

光輝は突然大笑いしだした。

 

「くはは……ふひぃ~、くふふ! げほっ!ごほごほ! ごほん。

 ふぅ…。すまんな。まさかこんなタイミングで“あいつら”が帰ってくるなんてな。本当に運命ってのはわかんねぇ~よなぁ…。」

 

光輝は心底楽しそうにそう言っていた。

 

「あぁ、わかった許可しよう。その代わりあいつらにもこの事は全て話せ。そんでもって俺が戻るまで本部で待機だ。

 ちなみにお前らもだ!! 俺の許可なくして勝手に行動した奴には重いバツをあたえる!いいな!!」

 

『はい!』

 

「よし、なら各自行動開始だ!!

 あのくそ悪魔の坊っちゃんに思い知らせてやるぞ!いったい誰に喧嘩を売ったのかをなぁ!!」

 

『了解しました!!!!!』

 

光輝の言葉を最後に幹部達や兄弟姉妹たちもみな各自に拡散した。

 

残ったのは光輝とメイド長アイツ、ハイドラにドラグーンだった。

 

「光輝様。ツバキ様は大丈夫でしょうか?」

 

ドラグーンが心配そうにそういう

 

「大丈夫だ。あのツバキだぞ?確かに今は女の子で、男の時よりも弱くなっているとわいえ伊達にお前らの部隊の総隊長を勤めてないんだ。それにアイツは文字通りの不老不死…。なにがあっても最悪死ぬって事はまずないさ…」

 

そうため息混じりにいう光輝。

 

「確かにツバキ様は不老不死であり死ぬことはないですが、今は仮にも女の子。あんな男が近くにいて尚且つ監禁され、更には唇を奪われ最悪処女をも奪われてしまうのですよ?

 いくらツバキ様といえども過去の事もありまた更に心に深い傷を負わせてしまわれます。次こそ完全に男嫌い…下手したら心を壊されてしまわれます。そんなことがおきてしまわれると、我々も悲しいです!! 兄でもある光輝様はそれでもよろしいのですか!!!!」

 

ハイドラは叫んだ。しかし光輝は表情をかえる事はなかった。

 

「確かにそうなってしまえば俺はハッキリ言って悲しいな。」

 

「だったら――」

 

「しかしだ!」

 

ハイドラの言葉を途中で止める光輝

 

「そうなる前にツバキを助けちまえばいいだけの話さ。確か奴の本来の目的はアーシアの誘拐にリアスとイッセーの抹殺のはずだ。運よく明後日がレーティングゲームの時だ。恐らくその時にこの二つをやろうとするだろうな。それに今DVDと奴の情報を見てわかった事は、奴は何より相手が絶望する顔を見るのが大好きな下種野郎って事だ。そんな奴の事さ。リアスとイッセーもすぐには殺さず、絶望を与えて楽しむだろう。アーシアも絶望をあたえるような事をしてその心と身体を蝕んで楽しむだろうな。それと似たような事もツバキにするだろうよ」

 

「しかし、もしツバキ様の意識が復活すればその時点でアウトでは?」

 

「いや、その心配はない。なんせ、男のツバサは薬やそういう類いの物は殆ど効かないが、逆に女のツバキは常人よりも2倍の効果がその身体を蝕む。幸いにも毒や劇薬といった物はアイツの固有能力によって全く危機はしないが、毒や劇薬でなければ効くんだよなぁ~。あとギリギリ劇薬でない媚薬もくらうな。

 まぁ、そんなこんなで、アイツが起きるのは早くても明後日。つまりレーティングゲームの時だ。その時にディオドラから居場所を聞き出せばいいさ。

 まぁ、そうなった場合はアイツは慢心して俺達とツバキに絶望をあたえるためにレーティングゲームの時に一緒に連れてくるだろうよ。バックには『禍の団(カオス・ブリゲード)』の連中もいるから公式に用意したレーティングゲームの会場とは別の会場を用意するだろうな。それも飛びきり特別製のな…。

 まぁ、そんなわけだ。俺達はそのまえに奴等を徹底的に潰すため地球連邦軍総動員で参加するってわけだな。

 この事は後でサーゼクス達にも俺が伝えておくから心配すんな。 それに、お前達にも働いて貰うんだぞ?ツバキを助けるために力を貸してくれよな」

 

「「はい!光輝様!」」

 

「んじゃ、そう言うわけだからさ。お前らも自分の仕事を全うしてこいよ」

 

「「了解!」」

 

光輝の話もおわり、ハイドラとドラグーンは消えていった。

 

「……さて。俺達も行こうか」

 

一段落ついて光輝は動き出した。

 

「何処に行くのです?」

 

隣にいた妻にしてメイド長のアイラが光輝に聞いた。

 

「ん?……あぁ。ちと面白い奴等の所へな」

 

「面白い…奴等ですか?」

 

「あぁ。ま、行ってからのお楽しみってね。さぁ!いっちょいきますか!」

 

「はい」

 

こうして光輝にアイラも動き出したのだった。

 

 


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