ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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体育館裏のホーリー
1話 転校生なのです!


 ディオドラと出会ってから数日がたちました……

 

「またディオドラからか?」

 

「はい、まったくしつこすぎます」

 

 そう…、あの日以来ディオドラからイッセーの家にアーシア宛ての家具類が手紙(ラブレター)と一緒に送られてきているのです。

 

「椿、今回もよろしくな」

 

「はい、任せてください。レイジ兄さま。むしろ、ディオドラのおかげでうちの部隊の人達がいい家具が貰えて喜んでいるので、指揮も格段に上がってこっちも嬉しいのですよ」

 

 ディオドラの家具類はどれもこれも一級品ばかり。おかげで家族や独り暮らしの部隊の人達に横流しするととても喜んで貰えています。たまに人形等もくるのでそれは子供達に渡していっています。

 

「すまんな。こんなことにお前の力を使っちまって」

 

「本当にすみません…。ツバキちゃん」

 

「いえいえ、気にしないでください。レイジ兄さま、アリア姉さま。私はむしろ助かっているので。部隊の人達もおおいに喜んでおられますから。ですので気にしないでください。」

 

 私がお礼をいうと、また深々と頭を下げてくる。お二人は本当に良きお兄様にお姉様だと改めて思う私でした。そして、いつも通り私の目の前で熱々のイチャイチャバカップルでもあると思いました。

 

 もう…ですから人前でそんなイチャイチャしないでくださいよぉ~。とってもいずらいけど逃げにくい状況なのですのにぃ~!

 

 そんな私の思いも露知らず皐月姉さまがくるまでかれこれ30分目の前で熱々のバカップル夫婦の風景をみさせられました。おかげでこっちは顔が真っ赤でかなり心臓もバクバクなのですよ。

 

 それにしても、ディオドラ・アスタロト……。とても嫌な人です。そして嫌な感じもしました。ハイドラにドラグーンの調査が終わるまで手出しは出来ませんが………、私の予想では恐らく黒。それに…、よく私を襲ってくる下種とおんなじ匂いに感じもしました。それに、とても独特の男の人のイカ臭い匂いがキツかったです…。あとで、もう一度皐月姉さまに頭を撫でて癒してもらいましょう。

 それにしても、何か嫌な予感がずっと続いています。それも日に日に悪化している気がするのですが……、気のせいでしょうか? いえ、油断は禁物です。警戒を強めた方が良さそうですね。

 

「(さて…、その前に“彼等”をこっちに呼び戻しておきますか……。)」

 

 そして、私はスマホ(部隊用)をとりだしある人物に電話をかけました。

 

(pipipi)

 

「……あっ、もしもし?」

 

 私は数分間電話して話を終えました。これで私の準備はおしまいです。さて、ディオドラ・アスタロト。貴方はどう動くのでしょうね? フフフフフ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間はたち現在、駒王学園の自分のクラスにいます。あっ…、そう言えば夏休み前に私達にナイショで黒歌にレイナーレが学校に入っていたのは驚きでした。黒歌は塔城小猫の姉、塔城黒歌として三年生に。レイナーレは結城家の養子、結城夕麻として二年生になっていたのだ。それを知っていたのはリアスさん、朱乃さん、ソーナさん、椿姫さんの三年生組四人しかサーゼクスさん達に聞いていたのだ。私は黒歌とレイナーレがわざと驚かしたくて教えてくれなかったのです。今から数日前に夏休み明けの初日。レイナーレと黒歌も制服を着ていたのでビックリした私は全てを聴いた。そして、今回の事をきいたのだ。むろん、学校にきていた他のイッセー達もおおいに驚いて同じ質問をしていました。

 

 さて、そんな駒王学園にてレイナーレこと夕麻と私がいる教室ではザワザワと生徒たちが噂を話していた。

 

『おい、今日新しい転校生がくるんだってよ』

 

『マジか!? なになに? そいつって男?女の子?それとも……もしやリア充か!?』

 

『いや、安心しろ!少なくても我らが大敵ではない!もしかしたら男かもしれんが、噂では女の子の可能性が高いぞ。それもかなりの美少女らしい』

 

『そいつは本当なのか!? おぉ!俺達にも春がきたのか』

 

『可能性はある!』

 

『おっしゃぁぁあ!!!』

 

 ……と、こんな感じで朝から盛り上がっています。因みに私が何故学校に平気できているのかと言いますと、無意識を操る程度の能力を使い、生徒皆さまの記憶に意識を操り私の外見を気にしないで最初から女の子として認識させています。幸い“男の娘”として扱われていたので性別の変換を変えてることは気にしてもらいませんでしたが、万が一もあるので無意識を操りました。 でも、女の子になっても気にしてもらえないなんて………、それは男としても見てもらっていなかったと言いますよね…。シクシクシク…

 

 さて、そんなことよりも今回の転校生ですが、皆が思うほどの人ではありません。むしろ、美少女な彼女ですがもう既に“幼馴染み”で“想い人”の人がいるので、男性陣の皆さんの夢を潰す様で心が痛みますが、残念ですが諦めてください。

 

 さて、何故私がその人物を知っているのかと言いますと、それは今から3時間前………

 

―自宅・自室―

 

 チュンチュン

 

「ふわぁ~……」

 

 天気は晴れ、自宅の自室にて一人の少女が起床する。長く腰の半分を隠すほどの髪は寝起きにも関わらず見るだけでもサラサラとして一つも寝癖もついていなかった。少女はまだ眠いのか上半身を起こしたまま目を細めて こくりこくり と船を漕いでいた。少女と言うよりも見た目はかなり整っておりスタイルもモデルやグラビアが素足で逃げ出すほど整っていて美しい。胸も少女の姉妹ににたのかかなり大きい。

 暫くして少女は目がやっと覚めたのか右手を上に伸ばし左手で右腕をつかみ背筋を伸ばしていた。

 

 ……って、そんな説明はいいんですよ!なにやっているんですか私は!!

 

 暫くして私はベットから置き身じたくをし始めた。私は馴れた手つきでテキパキと無駄がなく身じたくは早く終わっていた。

 

 (pipipi)

 

「うみゅ?誰からでしょう…」

 

 私のスマホから電話がなり、身じたくを終えた少女はスマホを片手にとった。少女は電話の相手を見ると少し驚いたように固まり暫くしてから電話をとった。

 

「もしもし?何のようでしょうか?―――――――――――ミカエルさん」

 

 少女の相手はなんと天使長のミカエルだった。

 

『すみません。ツバキさん。今日は伝えたい事がありましたので連絡させてもらいました』

 

 私は少し驚いたが慌てずに話を続けた。

 

「用事とはなんです?」

 

『はい。そちらに一人スタッフを動員致しました』

 

「スタッフをですか?私の知っている人ですか?」

 

『はい、紫藤イリナですよ?』

 

あぁ~。イッセーのセカンド幼馴染の女の子でしたね。

 

「それにしても、急ですね」

 

 私は笑いながら話す。

 

『えぇ。そちらに天界のスタッフが一人もいないのはいけないと思い、彼女を送らせました』

 

「教会じゃなく、天界ですか。もしかしてイリナさんは天使にでもなったのですか?」

 

 私は冗談のつもり可笑しく笑いながら言ったのですが……。

 

『はい。紫藤イリナは私のエースとして転生いたしました』

 

「…………えぇぇぇええ!?」

 

ミカエルさんの返事を聞いて、かなり驚いてしまいました。

 

『それでは、私も仕事がありますので。これで……』

 

「え?ちょっと!ミカエルさん待ってください!!」

 

 私は慌ててミカエルさんを呼び止めた。

 

『はい?何でしょうか』

 

「ミカエルさん…。もしかして、“あのカード”が完成したのですか?」

 

 私が質問するとミカエルさんの言葉が止まる。私は何かダメな事をいったのかな?…と心配していたが………

 

『はい♪皐月さんやツバキさんのお力のおかげで無事に完成しました。本当にありがとうございます』

 

 ミカエルさんの声は本当に嬉しそうだった。内心心配していた私は少し気落ちしてしまったのはナイショです。

 

「そうでしたか。それで何故イリナさんをエースに?」

 

『それはいろいろありますが、彼女なら任せていいと思いましたのでエースにしました。一番の理由は彼女なら天使・堕天使・悪魔の架け橋になると思ったのです』

 

 そう嬉しそうに喋るミカエルさん

 

「そうでしたか。確かに彼女なら架け橋になるでしょうね。わかりました。私も彼女のサポートをしてあげます。どうせそのためにも連絡したのでしょ?」

 

『やはりわかっておりましたか。はい、彼女は少し心配していたので、彼女が尊敬している“慈愛の聖女”様のお力をも借りたいと思いまして』

 

「も…もう!ミカエルさん!からかわないでくださいよ!!///」

 

 私の叫びにミカエルさんはクスクスと笑っていた

 

『では、私はこれで』

 

「はい。またいつかゆっくりとお話ししましょうね、ミカエルさん」

 

『はい♪その時はお願いしますね。ではツバキさん、私はこれで……』

 

 ミカエルさんは電話をきったのか連絡が途絶えた。私は少し楽しくなりそうだと思いながら学校の準備をして、家を後にしたのでした。

 

―side out―

 

 ……てな感じで、今にいたります。さて、私が考え事をしていたら、とうとう皆さんのお待ちかねの時間がきました。

 

「えー、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな女の子の仲間が増えます」

 

突然の担任教師による告知。その告知にザワザワとする教室。

 

「ツバキちゃん。もしかして転校生って今日の朝の……」

 

私に話しかけて来たのはレイナーレこと結城夕麻。今は同い年ということで“様付け”を止めさせて名前呼びにしています。いつも様付けを止めさせようとしているのですが『私はあなた様の専属メイドです。我が主を様付けするのは当たり前のことなのです。ですのでそのお願いは聞き入れ できません』と断られています。今回も様付けしようとしたのでかなり説得して部活中以外は名前呼びをするよう約束させました。

 

「はい。そうですよ、夕麻。やっぱり聞こえていましたか」

 

「はい。今日は私の番でしたので起こしに行こうと部屋の前に来たところ丁度聞こえてしまいました……」

 

しょんぼりとする夕麻。

 

「気にしないでください。別に身内にバレてヤバイようなお話しはしていませんので大丈夫ですよ。だから、元気だしてくださいよ。夕麻ちゃん」

 

「はいぃ…」

 

「ふぅ…、夕麻…今日のお昼は一緒にご飯を食べましょう。好きにしてもいいのでそれで元気になってください。」

 

「い、いいんですか!? わかりました!お願いします!!」

 

とても嬉しそうに喋る夕麻。本当に嬉しそうですね。

 

 さて、話を戻しますが、今私は転校生がどんな人物かを知っているのでいつも通りゆっくりとしています。隣のイッセーはクラスの男子と共にテンションを上げていた。私が『何故そんなに嬉しそうなのですか?』ともうしますと『だって、女子だぜ!そりゃ、テンションが上がりますって!』……とイッセーが言いました。

 

「じゃあ、入ってきて」

 

先生の声に促されてはいってきたのは――。

 

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします」

 

自己紹介してペコリと頭を下げる栗毛の転校生。

 

 首から下げている十字架が輝きを放つ。以前と違い、髪型はツインテールにしていますが、あのエクスカリバー強奪事件で来日した紫藤イリナ本人ですね。それに、気配が天使の気配になっていました。本当にミカエルさんのエースになったのですね。

 

「それと、もう一人紹介します。入ってきてください」

 

 ガラガラガラ

 

 そこに入ってきたのは私と同じ髪の色で長さは肩まで、そして胸は私より小さいとはいえそれでも平均よりも大きい私と同じ顔の人…………って

 

「私の名前は、結城 優子よ! 趣味は読書に料理。大好きなものは妹と漫画ね♪ そして、私を見てわかっていると思うけどそこにいる椿の双子の姉よ。みんな、妹と一緒によろしくね♪」

 

 「ゆ…優子お姉ちゃん!?」

 

 私は余りにも驚きに声をあげてしまった。そしてその声に驚いたクラスの人達が此方をむく。私は恥ずかしくなり静かに座った。

 

 私は優子お姉ty……姉さまの予想外の登場に私は驚きつつ、優子姉さまの方をチラッと見ると、此方に気づいた優子姉さまが目ばたき信号で――――

 

キョ ウ ノ ホ ウ カ ゴ デ セ ツ メ イ ス ル ワ

 

 …といいました。まぁ、説明してくれるのであればこれ以上の質問はしませんよ。

 

 本当…驚きなのです

 

―ツバキside out―

 

 

―イッセーside―

 

「ちょっと来てくれ」

 

昼休みになり、男子や女子から質問攻めにあっているイリナの手を引き、俺、アーシア、ゼノヴィアの四人は人気のない場所へ急いで連れ出した。

 

 それは紫藤イリナ。俺のセカンド幼馴染。

 

まさか、敵としてここに来たわけじゃ……ないよな?今は三大勢力は協定を結んでいる。それにあのツバキちゃんを含めた地球連邦軍の人達も協定に入っている。じゃあ、イリナがここに来た理由は…?

 

「おっひさ~。イッセーくん!ゼノヴィア!」

 

ゼノヴィアに抱きついたイリナ。

 

「ゼノヴィア!元気そうでよかったぁ~。立場上複雑だけれど、素直に会えてうれしいわっ!」

 

「あぁ、久しぶりだね、イリナ。元気そうで何よりだけど……胸にかけてある十字架がチクチクと地味にダメージを与えてくるのは、天罰だろうか……」

 

元聖剣コンビのゼノヴィアも笑みを見せている。

 

「それよりもなぜ、ここに?」

 

ゼノヴィアが素朴な質問をする。

 

「ミカエル様の命により、使いとしてここに転校してきたの。詳しくは放課後で。噂の旧校舎で。ね?」

 

そう言って、イリナは可愛くウインクをした。

 

それならそれまで待つか。

 

俺達はそのまま昼飯を食べて放課後まで待つことにした。

 

 

―イッセーside out―

 

 

―ツバキside―

 

時刻は放課後、現在私は夕麻と優子姉さまと一緒に部室にいます。

 

「紫藤イリナさん、あなたの来校を歓迎するわ」

 

 今はオカルト研究部のメンバー全員とソーナさん、アザゼル、そして何故かレイジ兄さまとアリア姉さまのメンバーが集まり、イリナを迎え入れていた。

 

「はい!皆さん!初めまして――の方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します!教会――いえ、天使さまの使者として駆王学園にはせ参じました!」

 

 今いるメンバーの皆が拍手を送る。

 

イリナが「主への感謝~」とか「ミカエルさまは偉大で~」とか言い始め、皆は苦笑しながらも聞いていました。

 

それからしばらくして、アザゼルが口を開いた。

 

「おまえさん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろう?」

 

「せ、先生ぇぇぇ!!いきなりすぎますよっ!」

 

「イッセー、イリナがここに来たのは、そういう事を込みで任務を受けているんだ。 ここは三大勢力の協力圏内の中でも最大級に重要視されている場所の一つなんだぞ。そんな場所であるここに関係者が来るっていうことは、ある程度の知識を持って来ているということになる。そうだろ?アザゼル」

 

 レイジ兄さまはイッセーに聞かせながら、アザゼル先生に確認を取る。

 

「その通りだ。そうだろ?紫藤イリナ」

 

「もちろんです、堕天使の総督さま。レイジさん。安心して?イッセーくん。私は主の消滅をすでに認識しているの」

 

 頬を薄い朱に染めるイッセー。いらない心配をして恥ずかしくなったようですね。

 

 イリナは歩いてアリアさんの目の前に立った。

 

「お久しぶりです。アリアさん」

 

敬語で話すイリナ。

 

「お帰り、イリナ」

 

イリナを抱き寄せるアリアさん。たしか、過去に一度レイジ兄さまとアリア姉さまは旅をしている途中に魔物に襲われていたイリナさんを助けたんでしたっけ?

 たしか生存者はイリナさんだけだったとか…。まぁ…、死んだ神父さん達は裏で悪さをしていた人達なのでバチが当たったのかも知れませんね。聖書の神様・ヤハウェイは死んでいますけど…

 

「意外にタフだね。信仰心の厚いイリナが何のショックも受けずにここへ来ているとは」

 

ゼノヴィアの一言を聞いたイリナさんは、一泊置いた後……アリアさんから離れ、大粒の涙を浮かべながらゼノヴィアに詰め寄りながら叫んだ。

 

「ショックに決まっているじゃなぁぁぁぁい!心の支え!世界の中心!あらゆるものの父が死んでいたのよぉぉぉぉっ!?すべてを信じていままで歩いてきた私なものだから、それはそれは大ショックでミカエルさまから真実を知らされたとき、あまりの衝撃で七日七晩寝込んでしまったわぁぁぁっ!ああああああ、主よ!」

 

イリナはテーブルに突っ伏しながら大号泣してしまった。

 

 あらら、やっぱりそうなっちゃいますよね。夕麻も優子姉さまも苦笑い気味になっています。

 

「わかるぞ」

 

「わかります」

 

 アーシアにゼノヴィアが うんうん と頷きながらイリナさんをあやしていた。

 

 隣で同じくうんうんとしているレイナーレ。家で姉さま達の手伝いをしているカラワーナとミッテルトも伝えた当初は元気にするのに骨が折れましたよ…本当。

 

 すると、イリナはゼノヴィアに抱きついた。

 

「ゼノヴィアに別れ際、酷いこと言ったわ!ゴメンなさい!」

 

「気にしていない。あれは破れかぶれだった私が悪かった。いきなり、悪魔に転生だものな。でも、こうして再会できてうれしいよ」

 

「これからは同じ主を敬愛する者同志、仲良くできたら幸いです」

 

「そうね。私も前みたいに仲良くしたいわ」

 

 そんな三人を見ていたレイナーレが近づいていき……

 

「私は堕天使ですけれど、仲良くしたいです。いいですか?イリナさん」

 

「うん!大歓迎だよ!えぇ~と…」

 

「私の名前はレイナーレ。今は結城 夕麻と名乗っています。気軽に夕麻と読んでください」

 

「うん!じぁ~夕麻ちゃん!よろしくね♪」

 

「はい♪よろしくお願いします。イリナさん♪」

 

 うんうん…。とても嬉しそうにしているね夕麻。友達が増えるのは本当に嬉しそうだ。良かった良かったのですよ。

 

「よし、じゃ~…改めて紹介するね。私の名前は結城 優子よ。地球連邦軍の治療回復部隊の隊長をやっているわ。ちなみに私は三女で、この姿から分かると思うけど私とつばさは双子なの。私が姉でつばさが弟ね。これからよろしくね♪」

 

「俺は結城 レイジだ。地球連邦軍の副総司令官と近距離特攻部隊隊長をやっている。ちなみに兄弟姉妹の中では二番目の年で次男だ。よろしくなイリナ」

 

「私は結城 椿。訳があり今は女の子ですが普段は男です。そして、地球連邦軍 特殊部隊 特別調査班 総隊長を努めさせてもらっています。よろしくお願いしますねイリナさん」

 

「っ!よ、よろしくお願いします!!私はイリナですっ」

 

急にテンションの上がったイリナさん。相変わらず喜怒哀楽の差が激しい子ですね。

 

「ミカエルの使いってことでいいんだな?」

 

アザゼルの確認にイリナさんがうなずく。

 

「はい、アザゼルさま。ミカエルさまはここに天使側の使いが一人もいないことに悩んでおられました。現地にスタッフがいないのは問題だ、と」

 

「あぁ、そんなことをミカエルが言っていたな。ここは天界、冥界の力が働いているわけだが、実際の現地で動いているのはリアスとソーナ・シトリーの眷属と、光輝とレイジたち兄弟姉妹の地球連邦軍と俺を含めた少数?の人員だ。まあ、それだけでも十分機能しているんだが、ミカエルの野郎、律義なことに天界側からも現地で働くスタッフがいたほうがいいってんでわざわざ送ってくると言ってきてたのさ。ただでさえ、天界はお人好しを超えたレベルのバックアップ態勢だっつーのに。俺はいらないと言ったんだが、それではダメだと強引に送ってきたのがこいつなんだろう」

 

ため息を吐きながら言ったアザゼル先生。

 

「あぁ、俺のところにも連絡が来たな。まぁ、俺じゃなく今ツバキが住んでる家の部屋が一つ増えるくらいだから関係ないが……」

 

「やっぱりあの荷物はイリナさんのでしたか…」

 

 しばらくしてイリナさんはふいに立ち上がると、祈りのポーズをする。すると、イリナさんの体が輝きはじめ、背中から一対二枚の白い翼が勢い良く生えた。

 

私達、地球連邦軍組以外の全員が驚いたがアザゼル先生はあごに手をやりながら、冷静にイリナさんに訊く。

 

「――紫藤イリナといったか。おまえ、天使化したのか?」

 

「天使化?そんな現象があるんですか?」

 

イッセーがアザゼル先生に訊くと、アザゼル先生は肩をすくめた。

 

「いや、実際にはいままでなかった。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われてはいたが……」

 

目を細めているアザゼルの言葉に頷いたイリナ。

 

「はい。ミカエルさまの祝福を受けて、私は転生天使となりました。なんでもセラフの方々が悪魔や堕天使の用いていた技術を転用して、それを可能にしたと聞きました」

 

「ちなみに、その手伝いは皐月とそこにいるツバキがいたな」

 

「はい。私と皐月姉さまの二人で手伝っていました。ただ、最近忙しくて皐月姉さまに任せっきりでしたけど、思ってた以上に早く完成していたのでビックリですかね」

 

「そうでしたか。ありがとうございます。ツバキさん! おかげさまで私はミカエル様のエースになれました!」

 

「いえいえ、私は少しお手伝いをしただけですよ」

 

 私とイリナさんの話が終わったのを見てイリナさんが話を続けた

 

「四大セラフ、他のセラフメンバーを合わせた十名の方々は、それぞれ、A(エース)からクイーン、トランプに倣った配置で『御使い(ブレイブ・セイント)』と称した配下を十二名作ることにしたのです。カードでいうキングの役目が主となる天使さまとなります」

 

アザゼル先生は、イリナの話に興味を持った目で聞いていた。こういった話が本当に大好きですからね……。

 

「なるほど『悪魔の駒(イービル・ピース)』の技術か。あれと堕天使の人工神器の技術を応用し、更に皐月とツバキの魔法に変換技術を組み合わせやがったんだな。ったく、伝えた直後に面白いもん開発するじゃねぇか、天界も。悪魔がチェスなら、天使はトランプとはな。まあ、もともとトランプは『切り札』という意味も含んでいる。神が死んだあと、純粋な天使は二度と増えることができなくなったからな。そうやって、転生天使を増やすのは自軍の強化に繋がるか……ん?そのシステムだと、裏でジョーカーなんて呼ばれる強い者もいそうだな。十二名も十二使徒に倣った形だ。まったく、楽しませてくれるぜ、天使長さまもよ」

 

アザゼルは楽しそうに笑い声を漏らした。

 

「……で、イリナはミカエルの『エース』ってところか?」

 

アザゼル先生は知っているようですが、なるべく自然に訊いていました。

 

「そう、私はAよ!ふふふ、ミカエルさまのエース天使として光栄な配置をいただいたのよ!もう死んでもいい!主はいないけれど、私はミカエルさまのエースとして生きていけるだけでも十分なのよぉぉぉぉっ」

 

あらら、目が爛々と……いやいや、暴走じみていますね。

 

「ミカエルも大変だな」

 

 アザゼル先生は同情の様な表情をしていました。頑張ってください、ミカエルさん。

 

イリナさんは私たちへ楽しげに告げる。

 

「さらにミカエルさまは悪魔のレーティングゲームに異種戦として、『悪魔の駒(イービル・ピース)』と『御使い(ブレイブ・セイント)』のゲームも将来的に見据えているとおっしゃっていました!いまはまだセラフのみの力ですが、いずれはセラフ以外の上位天使さまたちにもこのシステムを与え、悪魔のレーティングゲーム同様競い合って高めていきたいとおっしゃられていましたよ!」

 

驚くメンバーを尻目にアザゼル先生が感心していた。

 

「天使や悪魔のなかには上の決定に異を唱える者も少なくない。長年争い合ってきた仲だ。突然、手を取り合えと言えば不満も出るさ。しかし、考えたな、ミカエル。そうやって、代理戦争を用意することでお互いのうっぷんを競技として発散させる。人間界のワールドカップ、オリンピックみたいなもんだ」

 

 ふむふむ、スゴく楽しそうですね♪私達も出てみたいです。

 

「俺達も出てみたいな…。よし、ツバキ!優子!家族総出で造ってみるか」

 

 するとレイジ兄さまがそんなことを突然言い出しました。

 

「なんでよ?レイジ」

 

「いやな、俺達も『悪魔の駒(イービル・ピース)』や『御使い(ブレイブ・セイント)』みたいな奴を造ってさ、悪魔、天使、俺達の闘いをやってみるのも楽しそうだぞ?だから造ってみようと思ってな。それと、自分の部隊の全員が均等に参加出来るようにそう言うところも調節して作らないといけないな。それなら根本的な所はかなり違ってくるから始めの一から造らないといけないな」

 

 ……と、一人ブツブツと自分の世界に入ってしまいました。

 

「まぁ、レイジ兄さまは放っといてお話しの続きをしましょう。それにしてもそれはそれで楽しそうですけどね」

 

私の言葉にイッセーが首を傾げていた。

 

「じゃあ、俺たちグレモリー眷属と天使のゲームシステムが戦うこともあるんですか?」

 

イッセーの問いにアザゼル先生は首をひねる。

 

「将来的にはそうなるかもな。と言っても、すぐにじゃない。少なくとも十年……もしかしたら二十年後だ。ま、お前らはその頃ちょうど新人悪魔としてもいい時期だろうし、楽しめるだろうさ」

 

 うんうん、とても楽しそうでいいことですよ。こうなったらもっと早く出来るように私達も全力で手伝いましょうか? 幸いうちには沢山の優秀な技術者がいますしね♪

 

「もし、その時が来たら全力を出したいですね♪」

 

「おう!そんときは存分に戦え!」

 

楽しそうに答えたアザゼル先生。本当に楽しそうですよね~

 

「さて、次は何故優子姉さまがここの学園に通うことになったのか説明をください」

 

私が聞くと優子姉さまとレイジ兄さまが皆の前に出てきた。

 

「その事に関しては俺が説明をしようか。まず理由なんだが、流石にツバキ一人では最近きつくなってきているからな。それに、ここには回復役の部隊が余りにも少ない。てなわけで俺たち地球連邦軍から誰か一人を決めようとしたが、回復の部隊長でツバキの双子の姉である優子に決まったんだよ。なんだ?嫌だったか?」

 

そうレイジ兄さまが聞いてきた。優子姉さまの方を見ると少し顔を暗くしていた。

 

「いや、嫌じゃないですよ?ただ、いきなりでしたので驚いただけですよ。それに…」

 

「それに?」

 

「ゆ…優子お姉ちゃんと……一緒に学園に通うことができるので……あの…その………す…すごく…うれしぃ…です///」

 

 あうぅ~…恥ずかしくてみんなを見れません///

 

「ふ、そうか」

 

「うぅ~…ツバキィー!!お姉ちゃんは嬉しすぎて涙がでそうだよぉ~!!」

 

そう言いながら抱きついてきた優子姉さま

 

「ちょっ!?は…放してください!! は…恥ずかしいですよ!!///」

 

「うわぁぁん!………ウヘヘヘ」

 

 あ…あれ?なんだか悪寒が…。気のせいでしょうか?

 

「まぁ~その辺りの話はここまでにしておいて、今日は紫藤イリナさんの歓迎会としましょう」

 

ソーナさんが笑顔を見せながら改めて言った。

 

「悪魔の皆さん!私、いままで敵視してきましたし、滅してもきました!けれど、ミカエルさまが『これからは仲良くですよ?』とおっしゃられたので、私も皆さんと仲良くしていきたいと思います!というか、本当は個人的にも仲良くしたかったのよ!教会代表として頑張りたいです!よろしくお願い致します!」

 

『よろしくっ!!』

 

その後、生徒会のメンバーも合流して、イリナの歓迎パーティーが行われた。

 

 今回のパーティーの食事にデザートは私が全力をもって作ると女性陣の人達が何人かorzとなっていた。何故でしょうか…?(←プロ以上の腕前)


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