ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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14話 決戦前夜

あのパーティー事件から数日。私とリアスさん達は最後のミーティングをしています。

 

「イッセー、お前は何処まで禁手化(バランス・ブレイク)を維持できるんだ?」

 

「えぇ~とですねなるようにはなってるんですげど、条件がありまして……」

 

 イッセーいわく、禁手(バランス・ブレイカー)までのインターバルが約二分もかかること。一度その状態になると、神器(セイクリッド・ギア)の能力を行使できなくなること。最悪なことに中止させることができず、さらに、一度禁手になれば、解除後に禁手化できなくなり、プラス倍加と譲渡の能力も使用不可になるみたいです。

さらに言うなら鎧になれるのは一日一回で、解除したらほとんど力が失われているそうです。

 

「――データ通りだな。過去の赤龍帝も一部の例を除いてほとんど同じだ。で、その『二分』のインターバルは死活問題だぞ。とにかく、その二分の間をどう過ごすか、考えておけ」

 

「はい」

 

「使用制限時間はどうなんだ?」

 

「フルで使えば30分で、調節すれば一時間は持ちますね。まぁ~、技によっては時間が変わりますけど…」

 

 そうイッセーは言った。アザゼルは少し考える素振りをしてイッセーに目線をあわす

 

「そうか。そこも考えとく必要があるな」

 

「そうですね」

 

 それにしても、やはり禁手化(バランス・ブレイク)なったばかりではその程度ですよね。 でも、初めてにしては上々ですか。

 

「そう言えば、ツバキお前も禁手化(バランス・ブレイク)出来るんだよな?お前さんは何れぐらい持つんだ?」

 

アザゼル先生がそう聞いてきました。そう言えばそうですね…。あまり気にしていませんでしたが何れぐらい持つのでしょうか?

 

「えぇ~とですね。あまり気にした事がなかったので、確りとした事はわかりませんが、全力でするなら半年は持ちますね。力を調節していけば、魔力の関係上は約10年は持つと思いますよ? でも、体力や気持ちが流石に持たないのでそこまでは無理でしょうけどね」

 

 私がそう言うとアザゼル先生達は固まってしまいました。

 

「ははは…、相変わらずのデタラメ度だな。本当…、どうなってんだよお前ら兄弟姉妹は………」

 

 アザゼルは疲れたかのようにため息をつきました。

 

「あははは…、まぁ…私達ですしね」

 

「まぁ、いい。ところで、リアス。ソーナ・シトリーはおまえの眷属のことをある程度知っているんだろう?」

 

アザゼルがリアスにそう問う。

 

「ええ、おおまかなところは把握されているわね。たとえば、イッセーや朱乃、祐斗、小猫、アーシア、ゼノヴィアの主力武器は認識しているわ。フェニックス家との一戦を録画した映像は一部に公開されているもの。さらにいうなら、ギャスパーの神器(セイクリッド・ギア)もバレていると思うわ」

 

 なるほど…、殆どバレてるんですね。ですが、恐らくはイッセーの禁手(バランス・ブレイカー)は知られていないでしょうね。なんせ、つい数日前になったばかりですし。

 

「なるほど、殆ど知られているってわけか。お前のほうはどれぐらいあちらを把握している?」

 

「ソーナのこと、副会長である『女王』のこと、他数名の能力は知っているわ。一部判明していない能力の者もいるけれど」

 

「不利な面もあると。まあ、その辺はゲームでも実際の戦闘でもよくあることだ。戦闘中に進化、変化する場合もあるから、細心の注意をはらえばいいさ。相手の数は八名か」

 

「ええ、『王』、『女王』、『戦車』、『騎士』、『僧侶』と『兵士』は二人ずつ。まだ、眷属は全て揃っていないみたいだけど、数ではこちらが一人多いわ」

 

 眷属は揃ってないけども力はどうなんでしょうね。見た感じ皆さんの実力は修行前よりも上がったとはいえ、油断はできなさそうですしてね。あのソーナさんですもん。きっとなにか仕掛けてくるに違いありませんから。

 

私が考え事をしていると、アザゼル先生がホワイトボードに何かを書いていました。

 

「レーティングゲームは、プレイヤーに細かなタイプをつけて分けている。パワー、テクニック、ウィザード、サポート。このなかでなら、リアスはウィザードタイプ。いわゆる魔力全般に秀でたタイプだ。朱乃も同様。木場はテクニックタイプ。スピードや技で戦う者だな。アーシアとギャスパーはサポートだが、アーシアはウィザード寄りで、ギャスパーはテクニック寄りだな。ゼノヴィアはスピード方面に秀でたパワータイプ。一撃必殺を狙うプレイヤーだ。小猫はスピード寄のテクニックタイプだな。で、イッセー。おまえはパワータイプだ。ただし、サポートにもいける。ギフトの力でな」

 

「あの、先生。ツバキちゃんはどのタイプになるんでしょうか?」

 

すると、イッセーがアザゼル先生に聞いていた。アザゼル先生は少し考える素振りを見せたけど、すぐに答えた。

 

「そりゃ~お前…、ツバキはパワー、テクニック、サポート、ウィザード、四拍子揃った完全なバランスタイプだ。しかもだ、こいつが元の男の状態ならまさに無敵のバランスタイプだな。こいつほど全てにおいてずば抜けた技術に力をもった奴はいないだろうな。だてに最強の座にいないぜ。」

 

 アザゼルは少し興奮しながら喋っていました。そんなに言われると、恥ずかしいじゃないですか///

 

「そんで他の兄弟姉妹はと言うと……。まず長男の光輝はパワーだけに特化したタイプだな。はっきりいってアイツとはマジで戦いたくないな。近距離戦闘だけなら最強無敵としか言えん。 次に次男のレイジは、スピード・パワーよりのテクニックタイプだ。アイツの剣技術はまさに神技だ。アイツのテクニックは天才としか言えんな。 次は長女の皐月だな。皐月はパワーよりのテクニックタイプだな。アイツは光輝程いかないとはいえ、女性やここにいるお前らよりは遥かに力が強い。更にアイツの能力は他人の能力を覚え、更にその能力を100%完璧に使える事ができる。つまりだ、自身の使えない能力さえも皐月は使える事ができるって訳さ。次女のナツルは、ウィザードよりテクニックタイプだな。アイツは、他の兄弟姉妹とは違い魔法を得意とする奴だ。アイツは他人の魔法を覚えるだけではなく自分でオリジナル魔法も造ることができるんだよな…。それに、魔法の威力が半端ないのに、消費魔力は殆ど無いらしいしな。因みに魔法によってはサポートにも徹する事ができるらしい。最後に三女の優子は、サポートよりのウィザードタイプだな。アーシアと同じ回復系の力を持つが、アーシアよりも技術も回復力も全て上だ。アイツは神器無しでも充分の回復魔法を使え、下手すれば死者すら蘇らしてもおかしく無いほどの力がある。更に、コントロール技術も最高で、確か…500mまでなら敵味方を判断して広範囲の回復魔法を唱える事ができるんだよな」

 

「アザゼル先生、因みに優子姉さんは今は視界に入る者なら何でも治す事ができます。飛ばす回復魔力も、距離が2kmまでなら飛ばせるそうですよ。あと、生き物以外でも、機械等の様な物も回復魔法で治す事もできるようになったみたいです」

 

「マジか!?」

 

私が情報を付け足すとアザゼル先生はかなり驚いていた。

 

「まぁ、そう言うことだ。おまえらパワータイプが一番気を付けなきゃならないのはーーーカウンターだ。テクニックタイプの中でもカウンターを使う相手とパワータイプは相性最悪だからな、一撃リタイアなんてのもありえる。それと、神器でもカウンター系があるわけだが……これを身につけている相手と戦う場合は、イッセーやゼノヴィアのようなパワー中心のタイプは、カウンターを一発食らうことで形成が逆転されることがある。カウンターってのは、こちらの力に相手の力を加えて自分に返されるものだからな。己が強ければ強いだけ、返ってくるダメージも尋常ではなくなる。まぁ、要するにパワータイプの奴はカウンターさえ気をつけていればそうそう負けることは無いって事だ。」

 

 確かに、パワータイプの人はテクニックタイプの人にめっぽう弱いですからね~。レイジ兄さまの様なパワーよりのテクニックタイプならどうにかできるのですが、イッセーやゼノヴィアの様なパワータイプの人は本当に弱いですものね。まぁ…、光輝兄さまの様なパワーだけで無理矢理潰す様な人もいますけどね……

 

「最後に、おまえたちが今回のゲームで勝利する確率は八十パーセント以上とも言われている。俺もおまえたちが勝つと思っているが、『絶対』勝てるとは思っていない。それに駒の価値も絶対的なものではない。実際のチェス同様局面によって価値は変動する。俺は長く生きてきた。そのなか、多種多様、様々な戦闘を見てきた。だからこそ、言えるんだよ。勝てる見込みが一割以下でも勝利してきた連中がいたことを俺は覚えている。一パーセントの可能性を甘くみるなよ。絶対に勝てるとは思うな。だが、絶対に勝ちたいとは思え」

 

『はい!』

 

 アザゼル先生の言葉に大きく返事をしたリアスさん達。アザゼル先生がいつもこうなら他の堕天使の人達も苦労せずにしますのにね。何故しないのでしょうか?

 

「ツバキ、お前は言うことあるか?」

 

 アザゼル先生が聞いてきました。

 

「私ですか?特にありませんよ、殆どアザゼル先生が言っちゃいましたし。……そうですね、あえて言わせて貰うなら―――油断はするな、どんな時でも常に本気でやれ!……ですかね。これは光輝兄さまのいつもの口癖です。アザゼル先生のいう通り一%の油断一つで勝敗がガラリと変わってしまう事がよくあります。それほど『油断』というものは危険なのです。どんなに強者でも油断すれば必ず倒されます。ですのであなた方は此を確りと心に刻んでこれからを生きてください。大丈夫です。油断さえなければ必ず勝てます。皆さんがやって来た事は必ず勝利へと導くでしょう。修行で授かったこと、戦いで身に付いたこと、それを忘れずにやれば必ず勝てますよ。―――――だからこそ、勝ってきてくださいね♪」

 

 私は皆さんに対して最後は笑顔で言いました。これで少しは緊張が解けるといいのですけどね。皆さんの顔が赤いので大丈夫でしょうね。

 

「ツバキにもここまで言われたら勝たなくちゃな、お前ら頑張ってこいよ!!」

 

『はい!』

 

こうして、最後のミーティングが終わりを迎えるのでした。

 

 

 


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