ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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ハハハ(;・∀・)すみません。なんだか、知らない内に5話が消えていたので再投稿です。……消した記憶ないんだけどなぁ……。

あ、あと最新話は明後日に投稿です! 2話くらい続けて投稿予定です!お楽しみに!

今回は階段から足を滑らした際に折れちゃって、そんで1ヶ月と数日ほど入院しちゃってました( ̄▽ ̄;)。皆さんも、寝ぼけながら階段降りる時は本当に気をつけてくださいね? いや、本当にマジで……。じゃないと自分みたいになっちゃいますので(;^ω^)


5話 夢を笑う?……アハハ…ふざけるなよ

会合の室内へ通された面々。そこに用意された室内は異様なものだった。

 

かなり高くに席が置かれており、そこに上役らしき老人たちが座っている。その上には――シスk……コホン。魔王サーゼクスさんがいる。隣には正装姿のセラフォルーさん。さらにその隣にはアジュカさんとファルビウムさんが座っている。――そう。まるで俺たちを見下ろすように。

 

俺は見下すのは好きではないが、見下されるのも好きではないのです。

 

……うん。まぁ、いまはどうでもいっかそんなこと。

 

静寂に包まれた室内。重圧プレッシャーが凄く、並大抵の者じゃ、怖気づくのは目に見えている。

 

心配してイッセーたちを見ると、案の定……不安なのだろう。アーシアとギャスパーはイッセーに引っ付いていて、簡単には離れそうもないね。こうみたら、イッセーて世の中の男子に血涙を流されそうな光景だよね。正に両手に花ってね♪……まぁ、そのうち1名は『男の娘』という分類だけど

 

リアスさんたちを含めた若手悪魔六人が一歩前へ出る。先ほどサイラオーグに殴られたヤンキー……ゼファードルだっけ? そいつも復活しているが、頬の腫れは生々しさを出しており、簡単には治りそうもなさそうだ。回復系のモノでも使わない限りね。

 

「よく、集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認するため、集まってもらった。これは一定周期ごとにおこなう、若き悪魔を見定める会合でもある」

 

初老の男が手を組みながら、威厳のある声音で言う。

 

「さっそく、やってくれたようだが……」

 

髭が特徴の男が皮肉げにそう言った。……腹立つ顔だな。1発殴りたいぞコイツ

 

「(……いや、ダメだかんな?)」

 

光輝兄さんがテレパシーで語りかけてきた。……ちっ

 

 

「キミたち六名は家柄、実力共に申し分の無い次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらうと思う」

 

一番上に座っているサーゼクスさんが言う。

 

「我々もいずれ『禍の団(カオス・ブリゲード)』との戦に投入されるのね?」

 

サイラオーグがいきなり直球を訊く。

 

「それはまだわからない。だが、できるだけ若い悪魔たちは投入したくないと思っている」

 

「何故です?若いとはいえ、我等とて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先人の方々からのご厚意を受け、なお何もできないとなれば―――」

 

サーゼクスさんの答えに納得しないのか、サイラオーグは眉をつり上げていた。

 

「サイラオーグ、その勇気は認めよう、しかし、無謀だ。何よりも成長途中のキミたちを戦場に送るのは、避けたい。それに次世代の悪魔を失うのはあまりにも大きいのだよ。理解して欲しい。キミたちはキミたちが思う以上に我々にとって、宝なのだよ。だからこそ、大事に、階段を踏んで成長をして欲しいと思っている」

 

「……わかりました」

 

サーゼクスさんの言葉に一応納得したようだが、サイラオーグは不満のある表情をしている。……サイラオーグよ、ソナタは何も分かってはおらぬ。未来ある若者がそう易々と命を落とす場所へと誰が行かすか。まだまだ青いのぉ…若造よ。

 

……っと、ふざけるのは大概にして、これからどうしよう。

 

その後、上役の男たちの話を聞き流し、悪魔同士の眷属を戦わせる『レーティングゲーム』のことについて、サーゼクスたちの話しが続いた。

 

「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私たちは若いキミたちに私たちなりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい。キミたちは冥界の宝なのだ」

 

サーゼクスさんの言葉に皆が聞き入っていた。嘘偽りのない言葉だ。

 

「そろそろじゃないか?サーゼクス。彼らを紹介しないといけないのでは?」

 

「おっと、そうだったな。光輝、レイジ、翼くん前に」

 

アジュカさんの問いに思い出した素振りを見せたサーゼクスさん。……今まで蚊帳の外だったんだよね、うん。

 

俺はサーゼクスさんの紹介で前へ出る。

 

「1番真ん中に立っている彼は結城光輝。その右側が結城レイジ、その反対側が結城翼だよ。今回特別に参加してもらっている人間で地球連邦軍の総隊長と司令官の2名さ」

 

「紹介に預かった結城光輝だ。よろしく」

 

「おなじく結城レイジだ。よろしくな!」

 

「結城翼、以下同文。よろしくお願いします」

 

俺は、適当に自己紹介を済ます。要らないことを話さないようにと、単純に面倒だからだね。

 

「ほう、かの地球連邦軍の皆様でしたか。これはこれは、お会いできて光栄ですよ。して、あなた方はみな、様々な能力を扱えると聞いているが……本当ですかな?」

 

上役の男の一人が訊いてきた。

 

「あぁ、使えるぞ。……と言いたいところだが、生憎俺達の能力は室内向きではないんでね。特に、俺とそこの翼はな」

 

光輝兄さんが俺の方を見ながらそう言った。

 

……うん。まぁ、確かにそうなんだけどさ。あきらさまに『早くやれ』みたいな目で見てくるのやめてくんない?なんか腹立つ。特にそのドヤ顔が……

 

「………………はぁ、こんなもんでいいか?」

 

俺は両腕の袖口から刀を数本出して、それを宙に浮かせる。そして、剣だけの剣の舞を披露した。

 

『ほう……』

 

それを見ていた上役の男たちは感嘆の声を漏らす。別にこの程度の事でいちいち驚かないでよね。普通の一般悪魔でもやろうと思えば誰でも出来るのです!

 

「さて、見ていただけたかな? 先も言った通り室内だから、このぐらいのものしか見せることは無理だ。これ以上の力を見せてもいいのだが…………その時は、ここが消し飛ぶぜ?」

 

最後に光輝兄さんは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。

「ふむ。噂通りでしたな。他にもあるようだ」

 

「確かにその通りだ。他の能力も見てみたかったが、残念だ」

 

上役の男たちは興味を持ったようで、納得のいった会話をしていた。

 

「――最後に、それぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」

 

サーゼクスさんが問うと、初めに答えたのは……サイラオーグだった。

 

「俺は魔王になるのが夢です」

 

……ほう、魔王…ねぇ。

 

『ほう……』

 

上役の者たちも、サイラオーグの真正面からの堂々と迷いのない目標に感嘆の声を漏らしていた。

 

「大王家から魔王が出るとしたら、前代未聞だな」

 

上役の一人がそう言う。

 

「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」

 

おぉ〜、言い切ったな、サイラオーグの奴。でも、確かにこの人が魔王になると面白いかも!――いろんな意味でね

 

間を置くことなく、続いてリアスさんが言う。

 

「私はグレモリー家の当主として生き、レーティングゲームの各大会で優勝することが近い将来の夢ですわ」

 

なるほど。堅実な目標だね。

 

その後にシーグヴァイラ、ディオドラ、ゼファードルの順に夢、目標を口にし、残ったのはソーナさんだけになった。

 

そしてソーナさんは言う。

 

「冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」

 

「ふむふむ……」

 

俺はソーナさんの夢を聞いて、頷いていた。学校かぁ、ソーナさんの夢は先生なのかな?

 

俺や兄さん達は好印象を抱いていた……が、上役たちは眉を寄せていた。

 

「レーティングゲームを学ぶところならば、すでにあるはずだが?」

 

確認するように上役の一人がソーナさんに訊く。

 

質問に淡々とソーナさんは答える。

 

「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行く事が許されない学校の事です。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔、家柄や階級も関係なく自由に学べる学び舎です」

 

差別の無い万人に開かれた学校か……。もの凄く立派な夢だね。まだ若いのに……って俺も充分若いか。それでも、もうその年で次代の教育の為に尽力しようとするなんて、ソーナさんらしいなぁ。やっぱり俺の予想通り学校の先生を夢目指しているんだね。うんうん。

 

きっとソーナさんならいい先生になるだろう。教え方も上手いし、それこそ、さっきサーゼクスさんの言った“宝”である子ども達の実力が増せば、冥界の為になるんだろうし。

 

確かに冥界は今現在も実力主義が存在している。才能や能力を重んじる悪魔も少なくはないのだ。なんたって悪魔は長寿命の生物だ。普通に健康的に生きていれば、古い年齢の悪魔は数多くそんざいしているもの。その様な考えが無いわけがないからな。

 

下位の悪魔たちもゲームを知り実力も上がれば、力のない一般人の悪魔も参加出来る。とてもいい夢だよ本当に! 俺は応援するよ、ソーナさん!

 

――と俺が思った次の瞬間だった。

 

「「「はははははははは!!!」」」

 

突然、上役たちの笑い声がこの会場を支配する。

 

「それは無理だ!」

 

「これは傑作だ!」

 

「なるほど!夢見る乙女というわけですな!」

 

「若いというのはよい!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせの場で良かったというものだ」

 

………………………………………………………………………ふーん。そうくるんだ。

 

お偉いさんたちに笑われている最中でもソーナは真っ直ぐに言う

 

「私は本気です」

 

セラフォルーさんもうんうんと力強く頷いていた。「よく言った!」と言わんばかりの様子だ。立場上、フォローの一つも入れてやれないのが悔しいみたいだな。

 

しかし、冷徹な言葉を上役は口にする

 

「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に従え、才能を見出されるのが常。そのような養成施設をつくっては、伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰す事となりますぞ?いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても、変えていいものと悪いものがあります。まったく関係のない、たかが下級悪魔に教えるなどと……」

 

「さよう。悪魔の世界が変革の時期に入っているのは我々も認めている。だが、変えていいものと悪いものの区別くらいはつけてもらいたい」

 

「たかが下級悪魔に教育など、悪い冗談としか思えんな」

 

……………………あっそ。そうかそうか、そうくるんだ。へぇ〜。随分と上から目線だなぁ〜。

 

―side out―

 

 

―サーゼクスside―

 

ソーナ君の夢。中々に興味深い物だった。もしも本当に彼女が言う学校を建てられたら、今よりももっと悪魔の可能性は広がっていくだろう。

 

しかし、彼らには困ったものだ。この会合の目的を忘れてしまったのだろうか。若手の夢を笑うなど許されない事だ。これで彼女が折れてしまったらどう責任を取るつもりなのだろう。最も、ソーナ君に限ってそれは無いだろうが。

 

隣に座るセラフォルーなんか今にも彼らに噛みつきそうだ。割とシャレにならないので、そろそろ終わりにして欲しい……。

 

……と、言うよりかは、僕の隣に座っている光輝とレイジの機嫌が最っ高に悪いから本当に終わりにして欲しいものだ。

 

「黙れ」

 

―――たった一言。その瞬間、ソーナ君の夢を笑った者達の首に剣が突き付けられた。

 

「「「ッ!?」」」

 

誰もが目の前の光景に目を見開く。もちろん、剣は本物では無い。“彼”の放った強烈な殺気が、幻影となって現れたのだ。

 

所詮は幻……とはとても言えない。光を反射して輝く刀身は、触れる物全てを一切の容赦無く斬り裂いてしまいそうだ。――そう、それはとても…幻等と思えなかった。

 

『濃厚な殺気は、下手をすればそれだけで対象の命を奪い取ってしまう。』そう、前に光輝が言っていたことを思い出す。きっと、目の前の出来事がそうなんだろう。

 

リアス達が皆例外無く震えている。離れている僕ですらこれだ。傍にいるあの子達がああなるのも無理は無い。むしろ、よく気絶しないものだ。

 

殺気の正体である“彼”いや、"彼女"なのか?……まぁ、ツバサ君は性別ツバサだからどっちでもいいんだったっけ?

 

まぁ、いい。そんな彼はかつて無い程の鋭い視線を彼らに向けていた。彼は怒っているのだ。先程、自分に対して色々言われた時には全く動じていなかった彼が、友の夢を侮辱された事に対し、その感情を静かに爆発させていた。

 

彼らはツバサ君を……いや、結城翼と言う人物を侮り過ぎたのだ。所詮は人間? ちょっと特異な力を持った人物?――否、それはとんでもない思い違いだ。彼がその気になれば、ここにいる者達など、数秒も経たずに殺されるだろう。

 

……いや、彼だけじゃない。この隣にいる光輝、レイジを筆頭として結成された部隊。名を地球連邦軍。彼らの存在自体がまさに世界に破滅をもたらす者達と呼んでいいほどの力を持っているのだ。

 

彼らは過去の闘争の世界で戦い続けた騎士だ。そして、今現在でもこの星の為にとその身を犠牲にして戦い続ける勇敢なる戦士達だ。

 

彼らの見る世界ではきっと理不尽に夢を奪われるなど日常茶飯事なのだろう。彼らの見る世界には常に絶望が広がっているのだろう。彼らの見る世界には人々に希望はないのだろう。だがしかし、いや、だからこそ、そんな儚い夢を持つ者を想い、そして守るため今も尚戦い続ける。それが地球連邦軍の志でもある。だからこそ、それを侮辱する者は許せない。

 

それに、以前もツバサくんが言っていた。

 

『夢に大きいも小さいも無いのです。どんな夢だって、その人にとってはかけがえの無い物――つまり、何よりも大切な"宝物"なのです。人はその宝物を大切にし、時に憧れ、時に恋焦がれ……そうしていって人はその"夢"をその手に掴むためただひたすら抗い、そして挑むのですよ。……俺は、いや、俺達はそんな人々の"思い"を"願い"を"夢"を"宝物"を、その全て守るため今もこうして戦い続けるのです。―――この世界に真の平和が訪れる…その時まで、ね』

 

ツバサ君から言われたというその言葉が、彼が夢というものをどれだけ大切にしているのかを証明している。

 

「くっ、くくく。クハハハあはははは!!!!」

 

……すると、突然笑い出すツバサくん。僕達が不思議に思っていると、ふと視界に入った光輝とレイジの2人を見ると、焦ったような呆れたような顔をしていた。

 

「い、いったいなにがおかしい!」

 

「いや、別に何も。ただ、今のソーナさんの素晴らしい夢のどこに笑う要素があったのか気になっただけですよ?」

 

落ちついた口調は、逆に恐怖を増幅させる。現に、目を合わせられた一人が大量の冷や汗を流している。

 

「若手は“宝”……。そう言ったのはお前らだよね? その“宝”の夢を笑うとはどういうつもり? それに、ソーナさんの夢は彼女だけでなく、悪魔全体の為になるものじゃないんですか?ん?」

 

「そ、それは……」

 

「ああ、もちろん伝統も誇りも大事なものだと承知している。長い時の中で築かれていったであろうそれらを捨てる事が難しい事もわかっている。………でもね。だからと言って、新しい可能性を潰す権利は誰であろうと無いんじゃないか?」

 

そこで一度言葉を切り、無表情だった彼の顔に怒りを込めて再度口を開いた。

 

「それにさっきからさ、黙って聞いていればよくそこまで夢をバカにできるな。くそ老人共。お前らが言えって言ったからソーナさんは言ったのにそれを無駄だの傑作だの……バッカじゃねぇの? もう静かに生きることしかできない老人共にソーナ・シトリーの夢をバカにする権利でもあるのか?おい」

 

その気迫はまさに鬼神の如く。……彼の背後から鬼が見えると錯覚するほどのオーラが出ている。おかげでツバサくんの言う老人共はみな、冷や汗を滝のように流しながら怯えている。

 

「教えてやろう。底辺の最低の考えしか出来ん爺ども。例え天使だろうが、堕天使だろうが、人だろうが、悪魔だろうがなぁ、その人の持っている"夢"や"希望"、"目標"や"思い"を否定する権利なんてあるわけないんだ!……わかったか? いや、すぐ忘れるか、下級だの転生だのくだらないことにこだわっている老人共には…さ。」

 

「まぁいい、色々言わせてもらいましたが、俺が真に言いたいのはこれだけです」

 

ツバサくんは1泊置いて凛々しい顔で言う。

 

「―――俺の大切な友達の"夢"を"宝物"を…なにより、人の大切な"想い"を侮辱した貴様等を、俺は絶対に許さない」

 

そう締めくくったツバサが下がる。

 

誰も言葉を発せない。殺気の剣は未だ消えていない。もし、これからの対応を間違えれば、彼らは間違い無くその命を散らされるだろう。

 

「……グスッ。ありがとう、ツバサちゃん」

 

セラフォルー。嬉しいのはわかるが、今は彼らの心配をしてあげなさい。

 

僕達が固唾を飲んでも守る中、動いたのは光輝だった。

 

「そこまでだ、ツバサよ。怒りを納めろ」

 

光輝の言葉を筆頭にまた上層部たちが騒ぎ出す。

 

「そ、そうだ! 貴様の様な小僧が、たかが人間の小僧がワシらに楯突くんじゃない! 身のほどを弁えろ!」

 

「この糞ガキが! 恥というのを知らんのか?んん? まったくこれだから何もわからんガキは」

 

「ほほほ。脳みそが空っぽなガキだからの。我々の言葉の意味もわからまいて……」

 

「くくく。確かにそうだな」

 

「「「ハハハハハハハ」」」

 

……彼らはそんなに死に急ぎたいのだろうか。ツバサくんの額に青筋がたち、目に見えて怒りが溜まっていると言うのに。まったく、ここは僕が止めないt――

 

「黙れ貴様ら!!!!」

 

ドオオオオオォォォォォン……

 

光輝の叫び声と同時に室内……いや、この館自体に凄まじい揺れが起きる。まるで爆発の衝撃波にでもあたったかのような揺れ方だったね。

 

「……貴様らはいったい何を勘違いしている。俺は別にお前らアホ共を助けたわけじゃねぇ。ツバサにはこれ以上無駄な血を、なにより貴様らのような汚れた殺す価値もないような輩の血にあの綺麗な手を穢されたくないからツバサを止めただけだ」

 

「それにな。貴様らはさっきから黙って聞いていればいい気になりおって、なにが『恥を知れ』『バカだ』『糞ガキだ』だ……良くもまぁ、自分の事を棚に上げてよく言えたものだな。雑種共。――貴様らの方こそ恥を知れ!恥を!!」

 

光輝が叫ぶ程に会場が揺れる。ましてや光輝の体から赤いオーラが…おなじくレイジにも青いオーラが体から吹き出ている。

 

「だったら!うちのソーナちゃんがゲームで見事に勝っていけば文句ないでしょう!?ゲームで好成績を残せば叶えられるものが多いのだから!」

 

すると、光輝に続くようにセラフォルーも怒りながらの提案してきた。

 

「もう!おじいさまたちはうちのソーナちゃんをよってたかっていじめるんだもの!私だって我慢の限界があるのよ!あんまりいじめると私がおじいさまたちをいじめちゃうんだから!」

 

セラフォルーは涙目で上層部に物申していた。何故こうも、とうの自称お偉いさんたちは魔王の一人でもあるセラフォルー・レヴィアタンを怒らせたいのだか……彼女の妹と知っているだろうに。

 

上層部はそんなセラフォルーのぶちギレに目をパチクリしていた。

 

まあ、しかしやっとだがこれで話を出来る。

 

「ちょうどいい。では、ゲームをしよう。若手悪魔同士のだ。リアス、ソーナ、戦ってみないか?」

 

僕の言葉にリアスとソーナくんは目をパチクリしながら驚いている。

 

「もともと、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲーム

フォンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね。だからこそ、ちょうどいい。リアスとソーナで1ゲーム執りおこなってみようではないか」

 

すると、リアスもソーナも僕の言葉を聞きやる気全開になっている。

 

「公式ではないとはいえ、私にとっての初レーティングゲームの相手があなただなんて運命を感じてしまうわね、リアス」

 

冷笑を浮かべるソーナ。

 

「競う以上負けないわ、ソーナ」

 

ソーナの言葉で更にやる気を出した我が妹リアス。

 

「対戦の日取りは、人間界の時間で八月二十日。それまで各自好きに時間を割り振ってくれてもかまわない。詳細は改めて後日送信する」

 

その日、その一言の決定により、リアスたちオカルト研究部とソーナ率いる生徒会のレーティングゲームが開始されることになったのだ。

 


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