ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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4話 もう一人の『僧侶』と出会います

俺たちは旧校舎一階の「開かずの教室」の前にきている。話を聞くとここにもう一人の『僧侶(ビショップ)』がいるらしい。何故封印されているか訊いたら能力が危険視されリアスさんにも扱えないということで上から封印するように言われたらしいが、ここ最近のグレモリー眷属の活躍が上に評価され、いまなら扱えるだろうと判断したのか、解禁されるようになったが、どうやらその子は引きこもりらしくリアスさんはそのことにため息を吐いていた。

 

部屋の前には『KEEP OUT!!』のテープが幾重にも張り廻られていて、呪術的な刻印も刻まれている。そのせいで、不気味さが醸し出している。

 そして、いまはリアスさんがそれらを解除している最中だ。

 

「そこまで厳重にするほど、危険なんですか?」

 

「確かに能力は危険なのかもしれないけど、本人自体は危険とは程遠い人格よ。ただ、外に出るのを極端に嫌うのよ……」

 

イッセーがリアスさんに聞いていた。にしても、引き篭もり眷族か~。

 扱いが大変そうだな、それは……。

 

「――さて、開けましょうか」

 

 話している間に刻印も消え去り、リアスさんが扉を開く。

 

「イヤァァァァァァァァアアアアアアアアッ!」

 

 それと同時に、教室の中から悲鳴が聞こえてくる!

だが、リアスさんも朱乃さんも、特に驚いた感じはなく、平然と中に入っていく。まさか、開けるといつもこうだとでもいうのでしょうか?

 

「ごきげんよう。元気そうで良かったわ」

 

「な、な、何事ですかぁぁぁぁ!?」

 

「あらあら。封印がとけて、もうお外に出られるのです。さあ、私たちと一緒に出ましょう?」

 

 朱乃さんがいつも以上に優しい声音で話しかける。

 

「いやですぅぅぅぅぅぅ! ここがいいですぅぅぅぅぅぅ! 外に行きたくない! 人に会いたくないぃぃぃぃっ!!」

うん…、かなりの重症ですね。ここまできたら、もうだめだね~。

それにしてもこの怯えようは……。この子の過去に何か人間関係でトラウマになるような事が会ったのでしょうか?

 

そして、俺達は部屋の中に入った。

部屋の中はカーテンが閉め切られていて薄暗い。だけど、装飾の方は可愛らしくぬいぐるみなどが置かれており、完全に女の子の部屋だった。

 

部屋の奥に棺桶が一つ、装飾としては相応しくないものだった。

すると、部屋の中央に金髪で赤い双眸をした美少女が震えていた。その子は『人形』と形容しても違和感がないくらいの容姿だ。

 

「(もしかしてこの気配……、吸血鬼(バンパイア)?)」

 

そう…、目の前で震えている子からバンパイア…吸血鬼の気配が感じられる…。でも、いままで会ってきた吸血鬼の中では断然に弱い力を感じられ、微かにだが人間の気配と匂いもする。

 

これらから察するに目の前で震えている子は、人間と吸血鬼のハーフということになりますね。

 

 

リアスさんは震えている『僧侶』の子に近づいてしゃがんで喋っていた。

その『僧侶』は床に力なくへたりと座り込んでおり、リアスさん達から逃げようと震えながら構えていた。

 

「おおっ!!女の子!しかも外国の!」

 

イッセーがその『僧侶』を見るや否や、予想通りの反応を示した。

変態め…

 

「(それにしても…、女の子…なのか?なんだか、違和感が感じるんだけど……。気配的には男の子なんだけどな~)」

 

「見た目が女の子だけれど、この子は紛れもない男の子よ」

 

俺がそんなことを思っていると、リアスさんが正体を暴露していた。

そして、その言葉を聞いた瞬間イッセーが凍結した。

 

「いやいやいや、どう見ても女の子ですよ。部長!」

 

コンマ数秒後、凍結から回復したイッセーは突っ込む。

 

「女装趣味があるのですよ」

 

朱乃さんからの補足という、イッセーにとっての『死刑宣告』が下った。

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええッッ!!!!」

 

「ひぃぃぃいいッッ!!ごめんなさいごめんなさぁぁぁいッッ!!」

 

イッセーの悲痛な叫びに『僧侶』の子は大きな悲鳴をあげていた。

 

「こんな残酷な話があっていいものか………。完全美少女な姿で………男だなんて………チ〇コがついてるんだなんて」

 

イッセー……

 

「………下品な単語禁止です」

 

本当、イッセーは変わらないね…

 

「女装趣味ってのがさらに残酷だ!似合っている分、余計に知った時のショックがでかい!引きこもりで女装壁かよ!誰に見せるための女装ですか!?」

 

「だ、だ、だって、女の子の服の方がかわいいもん」

 

「かわいいもん、とか言うなぁぁぁぁ!クソッ!アーシアとお前のダブル金髪美少女『僧侶(ビショップ)』を瞬間的とはいえ、夢見たんだぞ!?返せよぅ!俺の夢を返せよぅ!]

 

「人の夢と書いて、儚い」

 

小猫ちゃんの鋭い言葉がイッセーに突き刺ささる。

 

「小猫ちゃぁぁぁぁん!シャレにならんから!」

 

「と、と、と、ところで、この方は誰ですか?」

 

「あなたがここにいる間に増えた眷族よ。『兵士(ポーン)』のイッセー、『騎士(ナイト)』のゼノヴィア、あなたと同じ『僧侶(ビショップ)』のアーシアに、悪魔側の協力者であるつばさちゃんよ」

 

「「「よろしく」」」」

 

俺達はいまだ震えている引きこもり眷属の子に挨拶をした。そして、その本人は「ヒィィィィ!人がいっぱい増えてる!」と、重傷間違いなしの様子を見せた。

 

「お願いだから、外に出ましょう?ね?もうあなたは封印されなくてもいいのよ?」

 

リアスさんが優しく言うが――。

 

「嫌です!!僕に外なんて似合わないですぅぅぅぅ!怖い!どうせ、僕が出てっても迷惑をかけるだけですぅぅぅ!!」

 

「ほら、部長が出ろって言っているだろ」

 

 イッセーが引き篭もり眷属の手を掴んだときだった。

 

「ヒィィィィ!」

 

 引き篭もり眷属の叫びと共に部屋の空気がガラリと変わって、イッセーの動きが完全に停止した。

 

「ん…?これって…」

 

気づくと、他の人達も動きを止めていた。ふ~ん…。咲夜さんと同じ能力なのかな?

 

「あら?貴方は動けるのね。さすがね」

 

「うふふふ、さすがつばさちゃんですわ」

 

すると、リアスさんと朱乃さんの声が聞こえてきた。

 

「あ、リアスさんと朱乃さんは動けるのですね」

 

「ええ、私達は何度も止められたおかげか、まだこの子がこれくらいの力をだしただけなら動けるようにはなっているわ。でも、流石にこれ以上は無理だけどね」

 

なるほど~。慣れって怖いですね

 

「つばさちゃんは何故動けるのですか?」

 

すると、朱乃さんが聞いてきた。

 

「う~ん…簡単に説明すると~、仲間の一人に時を操る能力を持った人がいて、その人と模擬戦をやってるうちに、慣れてしまい動ける様になってしまいました。」

 

それを聞いたリアスさんと朱乃さんは顔が苦笑いになっていた。

あれ?なんで?

 

「流石つばさちゃんね。本当…あの人達の兄弟姉妹だわ」

 

「えぇ、さすが結城家の兄弟姉妹ですわ」

 

うぅ~、なんかバカにされてる気がするけども、いいや~

 

「さて、とりあえず…」

 

俺は女装少年の所に近づいた

 

「ヒィィィィィ!!な、何で動けるんですかぁぁぁ!!?」

 

「う~ん…、慣れですね」

 

「え…えぇぇぇぇええ!?そんなのありですかぁぁぁ!!」

 

なんかスゴい驚かれた。なんでだろう?←(わかれよ!!)

 

「ヒィィィ!!怖いですぅぅぅぅぅ!」

 

すると、女装少年は叫びながらイッセーから離れて、部屋の隅に移動し震えている。

そういえば、神器の中に時間を止めるものもあったよね?この子もその類かな?

 

「ねぇ、リアスさん?この子は――」

 

「ええ。この後、イッセーたちにも説明するから、そのときにしましょう」

 

すると、時が動き出した。変な空気も元に戻り他の人達も動き始めた。

 

「あれ? いま……」

 

「……なにかされたのは確かだね」

 

 イッセーやゼノヴィアは驚いていたが、木場たちは当然知っているのだろう。ため息はついたものの、特に反応はなかったからね。

 

「怒らないで! 怒らないで! ぶたないでくださぁぁぁぁいッ!」

 

あんなに過剰に反応しているということは…、やっぱり過去に何か酷い事をされていたんだろうね……。

 

「その子は興奮すると、視界に映したすべての物体の時間を一定の間停止することができる神器を持っているの」

 

すると、リアスさんが説明をしだす

 

「ただ、彼は神器を制御できないために、ここに封じられていたのです」

 

朱乃さんが補足を言った。なるほど…だから封印されたと言うことですね

 

「この子はギャスパー・ラウディ。私の眷族『僧侶』。いちおう、駒王学園の一年生なの。――そして、転生前は人間と吸血鬼のハーフよ」


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