ハイスクールD×D~最強男の娘の転生物語~   作:三元新

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連続投稿だよ! なんとか間に合ったぜ。気づいたら1万4千字を超えていたことにびっくりした自分がいた。

さて、今回が終われば、次でやっと自分の書きたかった話が作れる! さっさと次にいかなければならない!

さて、それでは皆様、ゆっくりしていってね!


4話 ジークフリート

 突如として現れ、アジュカ・ベルゼブブさまに同盟を申し出たジークフリートら、禍の団(カオス・ブリゲード)の一団。彼らが有している情報と研究の資料を引き合いに出した交渉に、アジュカさまは興味を示したような素振りをなされたが、結局はこう回答された。

 

「――いらないな。俺にとって、キミたちとの同盟は魅力的だが、否定しなければならないものなのでね」

 

否定を聞いてもジークフリートは顔色を変えなかった。……周囲にいる旧魔王派の悪魔たちは殺気を一気に高めたけれども。

 

ジークフリートが訊く。

 

「詳しく訊きたいところだけれど、簡潔にしよう。――どうしてなのだろうか?」

 

「俺が趣味に没頭出来るのは、サーゼクスが俺の意志をすべて汲んでくれるからだ。彼とは――いや、あいつとは長い付き合いでね。俺が唯一の友と呼べる存在なのだよ。だから、あいつのことは誰よりも知っているし、あいつも俺のことを誰よりもよく認識している。あいつが魔王になったから、俺も魔王になっているに過ぎない。俺とサーゼクス・ルシファーの関係というのはつまりそういうことだ。」

 

 アジュカ・ベルゼブブさまとサーゼクスさまは旧知の間柄。もっとわかりやすく言えば、お若い頃からのライバル関係だったと聞いている。

 

お二人の間には、お二人だけにしかわからないものがあるのだと思う。

 

それがアジュカ・べさまのなかで頑固たるものであり、テロリストとの同盟を破棄するのも容易なものなのだろう。

 

ジークフリートはやはり表情を変えずうなずいていた。……あらかじめ、この答えも予想していたのだと思う。

 

「そうですか。『友達』、僕にとってはわからない理由だが、そういう断り方もあるというのは知っているよ」

 

彼の皮肉げな笑みと言葉を受けて、旧魔王派の悪魔たちが色めきだつ。

 

「だから言ったであろう! この男は! この男とサーゼクスは独善で冥界を支配しているのだ! いくら冥界に多大な技術繁栄をもたらしたといえどらこのような遊びに興じている魔王を野放しにしておくわけにはいかないのだ!」

 

「いままさに滅するときぞ! 忌々しい偽りの存在め! 我ら新なる魔王の意志を継ぎし者がきさまを消し去ってみせよう!」

 

 

怨恨にまみれた言葉を受けてアジュカ・ベルゼブブさまは苦笑されていた

 

「いかにもな台詞だ。もしかしてあなた方は同様のことを現魔王関係者に言っているのだろうか? 怨念に彩られすぎた言葉には華もなければ興もない。――つまり、つまらないということだな」

 

現魔王にキッパリと切り捨てられて、旧魔王派の悪魔たちは殺気をいっそう濃厚に漂わせる。

 

「我らを愚弄するか、アジュカッ!」

 

すでに一触即発。いや、戦闘開始と踏んでいい状況だろう。さすがに僕たちの面も彼らに割れているだろうから身を守る為にかまえを取るが――。

 

アジュカ・ベルゼブブさまがテーブルの上で組んでいた手を解いた。

 

片手を前に突き出して小さな魔法陣を展開させる。

 

「言っても無駄だとはわかっている。仕方ない、俺も魔王の仕事を久しぶりにしようか。――あなた方を消そう」

 

「「「ふざけるなッ!」」」

 

―――だが、その後はアジュカ・ベルゼブブさまの一方的な展開だった。

 

激高した旧魔王派の悪魔たちが手元から大量の魔力の波動を同時に放出するが、相手の攻撃がアジュカさまに直撃する刹那、魔力の波動がすべてきどうを外してあらぬ方向にとんでいった。その光景を見て顔を引き攣らせる旧魔王派の悪魔たち。そんな人達にアジュカさまは悪魔たちに事実をつけるように"無理だ"とおっしゃった。

 

「俺から言わせればこの世で起こるあらゆる現象、異能は大概法則性などが決まっていてね。数式や方程式に当てはめて答えを導き出すことができる。俺は幼い頃から計算が好きだったんだ。自然に魔力もそちら方面に特化した。ほら、だから、こういうこともできる」

 

そう魔王さまがいい、空を見上げる。

 

僕たちや旧魔王派の悪魔たちも見上げると、空から何かが迫ってくる。――そう、先程、軌道をずらされ空の彼方へ消えたと思った魔力の波動だった。その魔力の波動かま上空から降り注ぎ、旧魔王派の者達を襲った。

 

1人は絶叫すらあげることの叶わないまま一撃で消滅し、それに気づいた悪魔たちは避けるが、追うように追尾した。魔力の波動は突如弾けて散弾と化し、別の波動は細かく枝分かれして逃げる旧魔王派の悪魔たちを執拗に追う。散弾と化した波動も枝分かれした波動も、追撃するスピードが増していき、逃げられないと悟った悪魔たちは波動に向かい最初に撃った魔力と同質――いや、それ以上の魔力の波動で迎え撃ったが、追尾してくる魔力の波動に当たるもアッサリと消滅した。なんと、アジュカ・ベルゼブブさまは相手の魔力の形、スピードだけではなく威力までも自由自在に操り変えてみせたのだ。

 

そんな力にあえなく撃沈した悪魔たちは絶叫してその魔力の波動に体を貫かれ消滅した。

 

そう、これこそがアジュカ・ベルゼブブさまが使う力。――『覇軍の方程式(カンカラー・フォーミュラ)』だ

 

「軽く動かしてこれとは……いったい、貴様とサーゼクスはどれだけの力を持って……」

 

最後まで立っていた旧魔王派の悪魔も、それを言い残して無念を抱いた表情でその場に事切れた。

 

「……まぁ、と言っても僕は本当に全てのものを解析し操れるかどうかとそれは嘘になるな。何たって僕にもわからない力を持った者達が身近にいるからさ。そう、その者達こそ――結城家。かの結城光輝を筆頭とした6人の兄弟姉妹たちさ。特に長男の光輝くんと三男で末弟の翼くんは有り得ないほどの複雑で膨大な量の情報があるのでね。僕でさえ、いまだ理解不能な力さ。…………ほんと、彼らはいったいどうなっているのやら」

 

最後にそう言い残したアジュカさま。……確かに、光輝さんも翼ちゃんも、有り得ないほどの力を持っているよね。魔王のアジュカ・ベルゼブブさまにそこまで言われるとは、さすがあの結城家の兄弟姉妹たちだね。

 

 そして一人残ったジークフリート相手を、僕がすることをアジュカ・ベルゼブブさまはお申し出された。僕が彼に向ける激情を察せられたのだろう。

 僕はそれを受けて、一歩前に出ていった。

 

「……祐斗?」

 

 訝しげに尋ねた部長に、僕は告げた。

 

「……部長、僕はいきます。もし、共に戦ってくださるのであれば、そのときはよろしくお願いします」

 

 ……イッセーくんを失って、僕は僕なりに眷属を支えようとした。きっと、彼女たちはキミを失うことで心の均衡を保てなくなると予想はできていたから。僕だけでも冷静に感情を押し込めて動こうと思った。

 でも、ちょっとだけ限界だった。憎いほどの相手が目の前に現れたら、抑えることなんてできやしない……!

 生まれて初めてできた僕の親友たち。それを彼らは奪った――。

 許せるはずがないッ!

 

だからイッセーくん。少しだけ私情を先ださせて欲しい。

 

 聖魔剣をかまえ、僕は憎悪の瞳で怨敵を捉える。

 

「ジークフリート、悪いが僕のこの抑えられない激情をぶつけさせてもらう。あなた方のせいで僕の親友は帰ってこられなかった。――あなたが死ぬには十分な理由だ」

 

 僕の殺気を当てられて、白髪の剣士は口の端を愉快そうに吊り上げた。

 

「キミからかつてないほどの重圧がにじみ出ているね……。おもしろい。しかし、キミたちグレモリー眷属とは驚くほどに縁があるようだ。このようなところでも出会うだなんてさすがに想像はできなかった。まあ、いいか。――さあ、決着をつけようか、ナイトくん」

 

 禁手化し、六本腕となったジークフリートと僕は一度斬り結んだ。それだけでいまの僕の実力を計ったらしいジークフリート。

 

「現状でキミと戦い、勝ったとしても深い傷は否めないだろうね。それほどまでにキミの実力は向上している。キミに勝利したとしても、その後にリアス・グレモリーの攻撃をもらえば僕は確実に命を落とす。このまま逃げるのも悪くはないんだけど……アジュカ・ベルゼブブとの交渉に失敗して、グレモリー眷属を相手に何もせずに逃げたとあっては仲間や下の者に示しがつかない、か。難しい立ち位置だね。特にヘラクレスとジャンヌに笑われるのはおもしろくないんだ」

 

すると彼は、懐を探り出し、中からピストル型の注射器を取り出し、それを己の首筋に突き立てようとする格好になった。なにをするつもりだ?

 

「これは旧魔王シャルバ・ベルゼブブの協力により完成に至ったもの。いわばドーピング剤だ。――神器のね」

 

「神器(セイクリッド・ギア)能力を強化するということか」

 

 ……そんなものまで研究していたのか。オーフィスの『蛇』を神器に絡ませることで所有者の特性を無理矢理に引きだす実験をしていたのは僕も知っている。

 

「聖書に記されし神が生みだした神器(セイクリッドギア)に、宿敵である真の魔王の血を加工して注入した場合、どのような結果を生みだすか。それが研究のテーマだった。かなりの犠牲と膨大なデータ蓄積の末に神聖なアイテムと深淵の魔性は融合を果たしたのさ」

 

……魔王の血! しかも真の魔王の血を引く者の……。それを加工して神器(セイクリッド・ギア)を活性させるアイテムを作った、と。そういうことなのか。

 

ジークフリートは手に握るグラムに視線を向ける。

 

「本来ならばこの魔帝剣グラムの力を出し切ればキミを倒せたのだろうが……残念ながら僕はこの剣に選ばれながらも呪われていると言っていい。木場祐斗らキミならその意味を理解出来るだろう?」

 

彼の言うように僕はその理由がわかる。 ジークフリートがなせま僕たちの戦いで魔剣最強のグラムを使ってこなかったか?

 

 

伝承通りなら魔帝剣グラムは凄まじい切れ味の魔剣――それは、グラムがデュランダルの魔剣版といっていいほどの攻撃的なオーラを持ち、かつ龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の特性を持っているからだ。グラムは、かの五大龍王『黄金龍君(ギガンティス・ドラゴン)』ファーブニルを1度滅ぼしたこともある魔剣だ。つまり、何もかも切り刻める凶悪な切れ味と強力な龍殺し(ドラゴンスレイヤー)、そのふたつを有している魔剣がグラムなのだ。簡単な話、デュランダル+アスカロンの特性を持っている。この二つとジークフリートの特徴を捉えると、実に皮肉な答えが生まれてくる。そう彼の神器(セイクリッド・ギア)は『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』の亜種で禁手(バランス・ブレイカー)も同じ亜種だ。この禁手を使うと、ジークフリートはドラゴンの性質を強く持つ。つまりそのせいで、グラムの特性が自身を滅ぼす皮肉な結果になりかねないのだ。ジークフリートは、自身の最強の形態で最強の魔剣を振るえないジレンマ的な状態にあったわけだ。

 

「……禁手(バランス・ブレイカー)状態で、こうやって攻撃的なオーラを完全に殺して使用する分には鋭利で強固なバランスのいい魔剣なのだけれどね。それではこの剣の特性を解き放つことができない。かといって力を解放すれば……。禁手(バランス・ブレイカー)状態の僕では自分の魔剣で致命傷を受けてしまう。こいつは主の体を気づかうなんて殊勝なことをしてはくれないさ」

 

彼がグラムを使用するとなれば、禁手(バランス・ブレイカー)を解いたときだ。『威力を抑えたグラムを含む五本の魔剣と一本の光の剣+禁手(バランス・ブレイカー)の龍の手(トゥワイス・クリティカル)』と『本気のグラムを含む魔剣三刀流(通常の龍の手(トゥワイス・クリティカル)』、この場やあの擬似空間でどちらが僕たちを相手に立ち回ることができるか?

 

答えは前者だったということだ。

 

「そう、グラムを使いたければ普通の状態でやればいい。けれど、禁手(バランス・ブレイカー)六刀流と比べるとそれでは対応しきれないんだよ。特にキミたちとの戦いではそれが顕著だ。――禁手(バランス・ブレイカー)の能力を使わなければうまく相対できないからね。しかし、禁手(バランス・ブレイカー)状態でも魔帝剣グラムを使用できるようになるとしたら、話は別だ」

 

ジークフリートは注射器を首元に近づけ――挿入させていく。

 

 それを注入したジークフリートの肉体が脈動し、瞬く間に身体が一回り膨れ上がって怪人と化した。魔剣と同化した、地に手が届くほどに長く太く巨大化した四本の腕を背に生やす人外――。すでに阿修羅ではなく、蜘蛛のバケモノのようなシルエットだった。

 

『――「業魔人(カオス・ドライブ)」、この状態を僕たちはそう呼称している。このドーピング剤を「魔人化(カオス・ブレイク)」と呼んでいてね、それぞれ「覇龍(ジャガーノート・ライブ)」と「禁手(バランス・ブレイカー)」から名称の一部を拝借しているんだよ。それにこの状態なら、僕は魔帝剣グラムの力を完璧に出し切ることができる!』

 

低く重い声質。……声すらも変調してしまっているじゃないか。

 

「素晴らしい。人間とは、時に天使や悪魔すらも超えるものを作りだしてしまう。俺はやはり人間こそかま可能性の塊なのだと思えてしまうよ」

 

アジュカ・ベルゼブブさまがそうおっしゃる

 

 しかし、ジークフリートの言う通り、『魔人化(カオス・ブレイク)』を使えばグラムの特性に耐えられるようになるようだ。それによって、ただパワーアップするだけでなく二律背反をも解消したということ……。それでどれだけ力が跳ね上がるものか……ジークフリートはすぐに僕にわからせてきた!

 

 膨れ上がった肉体が生みだす斬撃の嵐と、各魔剣の属性の攻撃。更にグラムの攻撃的を超えて暴力的なオーラの波動が生じる破壊の怒濤! 僕はとてもじゃないがそれを凌ぎきれず、瞬く間にズタズタにされてしまった……! その上、左腕を肩口から切り落とされてしまった……!

 

 傷口を凍らせる応急処置で流血を止めたが……片腕を失った状態で、こんな六本腕の怪物に太刀打ちできるのだろうか……?

 

「祐斗……ッ!」

 

 沈痛な表情で部長が僕の名を呼ぶが、イッセーくんの駒を両手で握り、何かを待ち望んでいるばかり。

 

 ……部長、そうやってイッセーくんを頼ろうとしても彼はここに来られないんですよ?

 ……あなたが立ち上がらないでどうするんですか。あなたが戦う意志を失えば、眷属にも影響が出てしまう。

 ……僕にもイッセーくんのように誰かを激しく鼓舞できるほどの要領があればと思ってならないよ。

 

「……木場さんまで死んでしまう……。いや……もう、こんなのはいやです……」

 

 アーシアさんが回復のオーラを僕に向けるけれど……あまりに弱々しかった。僕の身体は全然回復せず、僕は結局ルヴァル・フェニックス氏からいただいたフェニックスの涙に頼ってしまった。

 

 ……おそらく、イッセーくんを失ったショックで神器の能力が一時的に弱まっているのだろう。それはなんとなく予想はできていたよ。神器は想いの力で動くからね。

 

 部長がなんとか攻撃を加えようと魔力を放つが――その勢いと威力は以前に比べて弱々しく、ジークフリートの一振りに難なく払いのけられてしまう。

 小猫ちゃんが身に纏う闘気とレイヴェルさんの炎の翼も力がかげっている。

 

『酷いな。先日出会ったときのグレモリー眷属とは思えない。先ほど、いい殺気を放ってくれたから、木場祐斗との戦いに乱入でもしてくれるものかと期待したんだけどね。まさか、この程度とは……。落ちたものだ』

 

 この状況を見て、ジークフリートは嘲笑した。すると――。

 

『兵藤一誠は無駄死にをしたよ。出涸らしとなったオーフィスを救うために一人……いや、『結城の巫女』結城翼もいたから二人か…。しかしだ、結局はあの赤龍帝はシャルバと相打ちになったんだろう? あれからシャルバの気配が消えたからね。生きていれば、僕たちに堂々と宣戦布告して、冥界にも旧魔王派の力を宣言しているところだろうから。あのまま兵藤一誠がオーフィスを放置して帰還すれば、いまごろ態勢を整えて再出発できただろうに。オーフィスはともかく、シャルバはあとで討てたはずだよ。自分の後先を考えないで行動すふのは赤龍帝のよくないところだった』

 

―――っ。

 

……………。

 

……ジークフリートのその台詞を聞いて、僕の思考は一瞬真っ白になり、次の瞬間にはドス黒いものが底から湧き上がってくるようだった。

 

――ヒョウドウイッセイ ハ ムダジニ シタヨ。

 

……無駄死に……? イッセーくんが……?

 

……ふざけるな。……ふざけるなよ……ッ!

 

心を支配するのは、悔しさと悲しみと、彼と約束したところだった。

 

『それに、こちらに戻ってきた結城翼もオーフィスも兵藤一誠も置いてきて、兵藤一誠の駒だけを持って帰ってきただけだそうだね。しかもその後気絶していまだ目覚めていないそうじゃないか。何たる無能っぷりだよ。これでは地球を守る地球連邦軍の力量がたかが知れるし、その結城翼が総隊長を務めている、地球連邦軍 最強の部隊とまで言われている『特殊部隊 特別調査班』の部隊もたいしたことはないんだろうね。なんたってそんな無能な隊長が務めている部隊なんだ。その部隊員たちもきっと隊長並かそれ以上の無能なんだろうね。……僕の予想では、地球連邦軍がいま冥界で戦っているようだけれど、超豪鬼(シャバウォック)には勝てないだらうね。人間最強かなんかは知らないけれど、所詮はちょっと力の強い人間。僕たち英雄の子孫とは違い所詮は普通の人間なんだ。

……そうだよ。いままでの戦いで負けたのは僕たちが手を抜いてあげたからなんだ。僕たちがあんな奴らに負けるはずが無い。僕はあんな無能な奴より強いんだ。絶対に負けたなんて有り得ない! 僕は人間の英雄なんだ! 最強なんだ! あは、あはは、アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!』

 

つばさちゃん達を馬鹿にした後、壊れて狂った機械のように笑いだすジークフリート。

 

僕はその言葉に更にドス黒い怒りを纏う。全身を震わせながらも僕は足に力を込めていく。徐々に足が上がり始めた。ぶるぶると両足を情けなく震るわせながら、僕はどうにか立ち上がる。

 

のどまで出かけているものを僕は遠慮なしで天に向かって放った。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

自分でも信じられないほどの声量だった。腹の底から、心の底から、何かが湧き上がって吹き出してきたかのような――。

 

ふと、脳裏に蘇ったのは二人の親友の声だった。

 

『ねぇ、悠斗。騎士はねどんな屈強で凶悪な相手が目の前に立とうとも、守るべき者の為に立ち向かわなくちゃダメなの。キミの師匠だって、騎士じゃないけれど、でも1人の侍として――新選組の1人の隊長として頑張ってきた。ならその弟子でもあり、グレモリー眷属の騎士のキミは、例えグレモリー眷属の皆が戦えない状態だとしても、仲間の誰かが死んだとしても……諦めず、挫けず、屈せず、ただ守るべき者の為にその剣を掴みとりなさい。たとえ、体の一部が無くなろうとも、動けるなら最後まで足掻け――そんな、何者にも屈しない『最強の騎士』を目指しなよ。キミならきっと、そこへ辿り着けるから。だから、諦めるなよ!絶対に強くなれ! みんなを守れる剣(ツルギ)となれ! 木場祐斗!!』

 

うん。その通りだね翼ちゃん。――まさにいまがその時、僕は、絶対に屈しない!!

 

『木場、俺たちはグレモリー眷属の男子だ。だから、どんな時でも立ち上がって皆と共に戦おうぜ!』

 

そう、どんな相手だろうと、立ち向かっていかなければならないッ!

 

「……まだだ」

 

一歩、また一歩と僕はジークフリートに近づいていく。手元に魔剣を創りだしながら――。

 

「まだ戦えるッ! 僕は立たないといけないッ! あの男のようにッ! 僕はまだ屈するわけにはいかないッ! あの人に言われたからッ!

グレモリー眷属の兵藤一誠はどんなときでも、どんな相手でも決して臆せずに立ち向かったッ!

結城翼はその強大な力を持ちながらも飲まれず完璧に扱い、どんな相手にも手を抜かず、どんな状況でも諦めず、絶望の中でも屈せず立ち上がってきたッ! ただ守るべき者達の為に戦ってきたッ!」

 

こんなところてま倒れてしまったら、僕はイッセーくんにも、つばさちゃんにも合わす顔がない……ッ!

 

なあ、そうだろう、イッセーくん! つばさちゃん!

ここで立ち上がらなければキミ達の友を名乗るなんてできないんだからさッ!

 

「赤龍帝も結城翼もあなたが貶していい人達じゃないッ! 僕の親友たちをバカにするなッ!」

 

 

 残った右腕で聖魔剣を握り締め、ジークフリートの前に回り込んだ。けど……肉体はあちこち悲鳴を上げている。

 

『無駄だっ! あの赤龍帝のようにいこうとしても、キミでは限界がある! なによりもう戦える状態ではない! ただの人からの転生者では、いくら才能があろうとも肉体の限界が――ダメージがキミを止める!』

 

 ……わかっているさ。剣を握る力すら満足にない。

 けど……だけど! イッセーくんたちはそれでも立ち向かえるはずだ!

 

 宿れ――。少しでもいいから、僕にもその意地と気合が宿ってくれ――。

 

兵藤一誠を突き動かしていた意地と気合いよ! 結城翼の柱となっていた揺るぎない信念と何事にも屈しない強靭な精神よ!

――どうか、少しでも僕に宿ってくれ!

 

 剣をかまえて前に飛びだしていこうとしたときだった――。

 視界の隅に紅い閃光が映り込んでくる。そちらに視線を送ると――。

 

「――イッセーの駒が」

 

 部長が手にするイッセーくんの駒が紅い光を発していた――。

 部長の手から一個だけ『兵士』の駒が宙に浮かび、僕のもとに飛来してきた。そして、駒が弾けるように光を深めた!

 そして駒は、一本の聖剣に変じていた。――アスカロン。

 

「……イッセーくんの駒が……アスカロンに……?」

 

 

 ――いこうぜ、ダチ公。

 

 

「――っ」

 

 イッセーくんの声が聞こえたような気がした。

 涙が溢れて……止まらなかった。たとえ駒だけでも、キミは仲間を……僕を……ッ!

 

「そうだね、イッセーくん。いこうよ! キミとなら、僕はどこまでも強くなれるんだからさッ! キミが力を貸してくれるならッ! どんな相手だろうと――切り刻めるッ!」

 

 自然と、足の震えは止まり、信じられないほどの活力が身体の底から湧き上がっていた。

 アスカロンを握る手にも力を込めて、僕はジークフリートに斬りかかった!

 

『……ッッ! バカな……ッ! 立つというのか……ッ! 血をあれだけ失えば自慢の足も動かなくなるはずだ……ッ!』

 

「いけってさ。立てってさ。この剣を通してイッセーくんが僕に無茶を言うんだ。じゃあ、いかなきゃダメじゃないか……ッ!」

 

アスカロンから膨大なオーラが解き放たれていく。

 

龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖剣――アスカロン。それを受けて、ジークフリートの体に変化が訪れる。

 

――体から異様な煙をあげ始めた。

 

僕の一撃をグラムで受け止めながら、表情も苦痛にまみれている様子だった。

 

『……なんだ、その聖剣から感じる……力は……ッ!』

 

そうからアスカロンがこの男を苦しめている。たとえ、グラムの力に対応できるようになったとしても、イッセーくんが手にしていたアスカロンは別だったということだ。

 

いける!――そう思い始めた時だった。ジークフリートが持つグラムが輝きだした。

 

 グラムが僕に輝きを向けた。それは攻撃的なものではなく、むしろ、迎え入れてくれるかのような……。

 

『――ッ! グラムが! 魔帝剣が呼応している!? ――木場祐斗に!? まさか、魔人化(カオス・ブレイク)の弊害なのか!?』

 

 仰天するジークフリート。彼がここまで焦るなんてね……。

 

この土壇場でグラムは……持ち主を再度選び直したということだ。

 

 僕はグラムを真っ正面から捉え、叫んだ。

 

「――来い、グラム! 僕を選ぶというのなら、僕はキミを受け入れよう!」

 

 僕の言葉を受けて、グラムがいっそう輝きを解き放つ。その輝きは持ち主であったジークフリートを拒絶するかのように握る手を焦がしていく。

 

グラムはジークフリートの手から抜け出て宙に飛び出し、僕の眼前の地面に突き刺さった。

 

それを見てジークフリートは首を横に振って、起きたことを信じられないように言う。

 

『こんなことが……ッ! こんなことがあり得るのか!? 駒だけでも赤龍帝はッ! 戦うというのか!? この男を立たせるというのか!?』

 

 ……せっかく、グラムが僕を選んでくれても片腕では拾い上げられない。

 

 そう思っていたら僕に近づく者がいた――アーシアさんと小猫ちゃん、レイヴェルさんが僕に近づいた。

 

 小猫ちゃんが切り落とされた僕の腕を持って、肩口に当ててくれる。そこへアーシアさんが手を向けて――淡い緑色のオーラを放出させてくれた。そしてレイヴェルさんが僕の身体をしっかりと支えてくれる。

 

 やさしいオーラを受けて、僕の腕は徐々に繋がり、機能を回復させていく。

 

 アーシアさんと小猫ちゃん、レイヴェルさんは涙を流していた。――その手にはイッセーくんの紅い駒が握られている。

 

「……イッセーさんが『アーシアも戦え』って、駒を通して言ってくれたような気がしたんです」

 

アーシアさんは必死に泣くのを耐えながら、にっこり微笑んでいた。

 

「……『俺のダチを助けてやってくれ』って、私にも言ったような気がします」

 

小猫ちゃんもそう微笑んでいた。彼女の手から仙術による治療の気が送られてくる。

 

二人のオーラはやさしく、慈愛に溢れていた。

 

「私にも聞こえた気がしましたわ。イッセーさまの声が……。『小猫さんや皆を支えてくれ』と。本当、眷属でもない私にまで……やさしすぎますわよ……っ!」

 

レイヴェルさんは涙をぬぐい、笑顔を浮かべてそう漏らした。

 

「――『皆と共に戦ってください』、か。そうよね。あのヒトなら、そう言うに決まってるわ」

 

 部長がイッセーくんの駒を手にして前に立つ――。

 

涙に濡ながらも瞳には火が灯っていた。

 

「さあ、私のかわいい下僕たち! グレモリー眷属として、目の前の敵を消し飛ばしてあげましょうッ!」

 

 ――戻った。

 部長のいつもの口上。ああ、イッセーくん、つばさちゃん、戻ってきたよ。

 これで戦える。いつでも誰とでも……戦えるに決まっている!

 

 僕はグラムを抜き取り、復活したグレモリー眷属とジークフリートに立ち向かった!

 

 ――そこから先は一瞬だった。部長の滅びの魔力、そしてとどめとして僕がアスカロンとグラムを突き刺すことで、ジークフリートは致命傷を負った。

 

そして、口から血の塊を吐き出していく。

 

『……この僕が……やられる……?』

 

ジークフリートはよろよろとよろけながら、フラフラとしていた。

 

『……いや、有り得ない。……あってなるものか……僕は……俺はッ!―――最強の人間ッ! 英雄なんだからッ! こんな奴らに! 悪魔なんかに負けてなるものか!?』

 

するとジークフリートは懐から一つの瓶を取り出した。

 

――っ。あれは……ッ!

 

「あの瓶は間違いありません! フェニックスの涙ですわ!……ですが、色は少しおかしな色をしていますが…。でも、あれは間違いなくフェニックスの涙です。フェニックス家で作られているものですから、私が見間違えることはないですわ」

 

レイヴェルさんが叫ぶ。……やっぱり。僕の見間違えじゃなかったようだ。

 

ジークフリートはフェニックスの涙を一気に飲み干す。

 

すると、ジークフリートの傷は一瞬で癒え、更に力も前以上に膨れ上がっていた!

 

『これハ……英雄派で作らレた、オリジナルのフェニックスの涙、ダ。……シンノ魔王ノ血とフェニックスの涙を掛けアはせたモノ。コレを飲むことデ、魔人化(カオス・ブレイク)の数倍もの力を引き出ス代償とシて……意識を飛ばし、バーサーカーとなル。……僕タちは、コれを「魔神化(ゼロ・ブレイク)」と呼ンでイル……サァ、キミたちはドコマデ、耐え、レる、かナ?』

 

その体は更に肥大化し、ただの畏敬の化け物へと遂げていた。 最早、人の形は無くなり"何か"といった化け物だった。

 

『キハハハハハハハハハ!!!!!!!?』

 

奇声を発しながら襲って来るジークフリート。僕たちは懸命に相手をするが、やっと回復したばかりの僕たちでは歯が立たず少し押されていた。

 

『モウ諦メロ。キミ、タチデハ、戦イニスラナラナイ、ゾ』

 

「――いや、僕は、僕たちは絶対に諦めない! 諦めてたまるものか! イッセーくんと約束したんだ! 僕はグレモリー眷属の騎士、木場祐斗! この身を持ってしてでも脅威からグレモリー眷属を守ると!!」

 

「僕は約束した! 何者にも屈しない、心では絶対に負けない、そんな強靭な精神を持った騎士になると! つばさちゃんに約束したんだ! だから僕はキミには屈しない、屈してなるものか!! どんなことがあろうとも! 守るべき者、グレモリー眷属のため、必ずこの守るべき者を守り抜いてみせる!!」

 

『……ソウカ。ナラ――シネェェェェ!!!』

 

僕は、この命、つき果てようとも絶対に後ろにいる皆、グレモリー眷属を守り抜くと心に誓った。

 

僕は迫り来る巨大な敵に立ち向かおうととしたその時―――。

 

―――若き騎士よ。その願いしかと聞き届いた。

 

突然、女性の声が聴こえ……

 

―――パァァァァァ!

 

僕の――いや、僕たち"グレモリー眷属とレイヴェル"の体が光り出す。

 

『――ナ、ナンダ! 何ガオキテイル!?』

 

ジークフリートが驚愕していた。それは僕たちも同じだ。

 

体は何で光って……いや、これは体が光っているんじゃない…まさかこれは……

 

僕がそう思った瞬間、胸ポケットから"光る何か"が飛び出した。他の皆も服の中から同じ光が飛び出してきた。

 

僕の胸ポケットに入れていたものは、つばさちゃんにシトリー眷属との試合で戦う前に貰ったお守りだ。『いつか、あなた達が本当の意味で"強さ"を知ったとき、そのお守りがあなた達を守ってくれる。だから、それまで肌身離さず持ってて下さい』と言われて貰ったものだ。レイヴェルさんのもいつ貰ったかは知らないが、僕らと同じお守りだった。

 

暫く、宙で漂っていた光る"お守り"は、急に素早く動き出し1箇所に集まっていく。皆のお守りが集まった時、お守りは円に並びクルクルと回り出した。すると、お守りとお守りの間の距離が徐々に狭まっていきお守り同士が重なったとき……更に、強い光が弾けた!

 

―――っ。あまりにも眩しさに目を瞑る僕たち。しばらくして光が止んだのか眩しさはなくなった。僕たちは何が起こったのか確認するため目を開けるとそこには……

 

――女の子がいた。

 

ゼノヴィアと同じ位の身長に、桃色に近い色の髪に、ドレスの様な衣装を身にまとい、その背には、彼女と同じ大きさの大剣があった。

 

「……どうも、初めまして。グレモリー眷属の皆さま。私の名前は『クローディア』我が主、つばさ様の名によりあなた方をお守りする者です。」

 

ぺこりとお辞儀をするクローディアさん。僕たちは突然の事に困惑していて返事ができなかった。

 

「さて。あなたが敵ですね。……それにしても哀れな人です。英雄でありながらも人を辞めこうして化け物へとその身を墜す。――あなたの祖先がみたら何を思うか」

 

『ウルサイ……ダマレ――ダマレダマレダマレ! 貴様ニナニガワカル!? 僕ハタダ勝ツタメニ手段ヲ選バナイダケダ! ケッシテ地ニ落チタワケジャナイ!』

 

「その様な、人とも思え異型の姿で? いったいどの口が申しますか。ハッキリと言いましょう。―――いまのあなたはただの化け物だ。それ以上でもそれ以外でもない。ただの醜い化け物です。……少なくても、英雄ではありませんよ」

 

指を指しながらそういうクローディアさん。するとジークフリートは激高してクローディアさんを襲った。

 

『ウルサァァァァイ!! オマエも殺シテヤルゥゥ!』

 

ジークフリートは五本の腕に持った四本の魔剣と一本の光の剣、そして残りの一本の腕に持った普通の剣を同時に動かし振り下ろしてきた。

 

そんな攻撃を微動だにせず見ながら、クローディアさんは背中の大剣を掴む。

 

「その程度の技量と力――なによりその未熟な精神で私に挑もうなど――百万年早いと知れ!」

 

ブンッ!

 

クローディアさんは大剣を素早く抜き取り横薙ぎに一線。たったそれだけの動作で……

 

パキィィィン――……

 

『……ゴフッ』

 

ドサ。

 

全ての剣は砕かれ、ジークフリートは体を切られて血を吐いた。

 

すると、ジークフリートの斬られた傷からシューシューと音をたてて煙を出していた。するとどうだろうか……ジークフリートの体は徐々に縮んでいく。

 

「私の剣はありとあらゆる魔を滅し、全ての龍を殺す力を持っている"龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖剣"です。故に、あなたの力を全て消させてもらいました。

それともう一つあなたが私に負けた原因はあります」

 

そう言いながら、クローディアさんはジークフリートを強く睨む。

 

「我が主――我が父君を愚弄するなど万死千番ッ! 私を怒らし貴様を殺すには充分の理由だ!」

 

そう言い残した彼女は、次に哀れみの目でジークフリートを見つめる

 

「……ところで」

 

――"フェニックスの涙は使わないのですか?"

 

クローディアさんがそう聞くが、ジークフリートは『魔神化(ゼロ・ブレイク)』を使うと、あらゆる回復系のアイテムを受けつけないようだ。

 

『……やっぱりそうさ。……あの戦士育成機関で育った教会の戦士は……まともな生き方をしないのさ……。それは、あいつも……』

 

 それだけを言い残し、彼の身体はもろくも崩れ去っていった――。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 ジークフリートを倒すと、僕たちはアジュカ・ベルゼブブさまにイッセーくんの駒を見ていただいた。その結果、判明したことは……。

 八つの内、四つの駒がミューテーション・ピースに変化していた。当然、最初に使用したときはすべて通常の駒だった。イッセーくんのなかで駒が変異したのだ。そんなことが起こるなんて、凄まじい限り。アジュカ・ベルゼブブさまの事前の調整も反映されているのだろうけど、例の乳パワーとやらも一役買ったように思える。何せイッセーくんだからね。

 

 しかしもう一つ判明したことのほうが、僕たちにはずっと重要だった。

 駒の最後の記録情報が『死』ではなかった。赤龍帝ドライグの魂も神器として、まだ残っているという。肉体は消滅しているけど、魂は消滅していなかった。彼の魂は、赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)と共にあるのだろう。

 サイラオーグ・バアルと、初代孫悟空の言った通りだった……!

 イッセーくんは魂だけとはいえ……生きていた!!

 その報せに、僕たちは――人生で一番といっていいくらいに歓喜した。アーシアさんたちはわんわん泣くほどに喜んでいた。

 絶望の状況のなか、一筋の光明――いや、大きな希望を得られた気がした!

 

 イッセーくんの生存を知って、僕たちはもう何の問題もなく巨大モンスターの討伐に参加できるようになった。アジュカ・ベルゼブブさまも眷属を指揮してモンスターと戦われるという。

 僕たちも早く冥界に戻って、巨大モンスター討伐に加わらないと。

 

「行きなさい。私の役目は果たしました。さぁ、次はあなた達が守る番です。自分の生まれた街を世界を……その手で守り通してみなさい。若き子供達よ」

 

クローディアさんの言葉に背中を押されながら、僕たちは急いで冥界に向かうのだった。

 

―side out―

 

――――――――――――――――――――――

 

―アジュカ side―

 

グレモリー眷属の子達が冥界へ飛んだ後、は一人残りながらクローディアと名乗る者と"影に隠れて"いた者を呼び出した。

 

「……ふっ。さすがは魔王だな。その名は伊達ではないという事か」

 

俺の言葉にそう言う者。影から出てきたのは、全身を青い鎧に身に纏い、背中には巨大な大剣を背負っていた。性別は鎧を来ているせいでわからないが、声の質的に男だろう。

 

「キミはいったい……」

 

俺がそう言いかけたが彼は手で制す。

 

「私はただ、そこの"クローディア"を回収しに来ただけだ。なに、私はそのクローディアの"主"と関わりの深い者と思ってくれていい」

 

クローディア……グレモリー眷属に聞くと彼女はどうやら、結城翼から貰ったお守りが合体して誕生したらしい。彼女の主が翼だとしたら、目の前の彼もきっと翼の部隊の仲間なのだろう。

 

「わかった。なら安心だな」

 

「ふむ。わかってくれたのならそれでいい」

 

すると、ジークフリートは彼女を横抱きに抱えた。いわゆるお姫様だっこをしていた。

 

彼が帰ろうと歩みを進めていた時、ふと彼が振り向きこう言った。

 

「貴様たちには随分と迷惑を掛けたな。本当にすまない。先程は正体を言わなかったがあえて教えよう。――"私の子孫が迷惑をかけた"。本当にすまなかったな。……それでは失礼する」

 

そう言った彼の足元に魔法陣が発動し、彼は消えた。

 

……彼は正体を教えてくれたようだ。それにしてもどういう意味だ? "私の子孫"…これが意味をするのは………………―――まさかっ!

 

なるほど、そういうことか。いや、結城翼…かれの部隊の仲間ならいてもおかしくはないな。かのアーサー王でさえいたのだから。……その名に恥じない程の気迫だ。さすがは龍殺しの英雄だよ、"ジークフリート"殿。

 

「さて、私も冥界で働かなければならないな。魔王としての仕事をこなすとしよう」

 

俺は魔法陣を展開し、冥界へ向かった。

 

―side out―




うん。何とか忘れずに投稿できた。よし! 次の話も早く投稿しなければ!!

あ、ちなみに、ジークフリートのモデルはパズドラのカイゼルジークフリート。

クローディアのモデルは千年戦争アイギスのクローディアです。


それでは皆様、また次回でお会いしましょう! それじゃぁ、バイバ〜イ!

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