鬼畜な独裁者の物語   作:おは

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上陸

混乱から一夜明けたトロピコ島のドックには15人の兵士と一台の装甲車が艀に乗り込んでいた。

彼らこそトロピコ軍の精鋭である第一歩兵師団と第一機甲師団である。

なぜ分隊ほどの人数なのに師団と呼ばれている理由はバルビエールの見栄のためだ。

 

第一歩兵師団

兵員10名

装備 AK74 RPK-74

 

第一機甲師団

兵員5名

装備 92式装輪装甲車

 

トロピコからエンジン付艀で出発してから10分後

部隊はトロピコ人は初となる異世界の大陸の上陸に成功した。

 

艀は部隊をおろすと船長が「どうかご無事で」と言った後にトロピコ島に帰っていった。

 

部隊の合同指揮官であるアラノ・シルベストレ中将は目の前に現れた未開のジャングルを

これは木こりがいないと何も出来ないぞ。と思いながら、兵士たちの準備をさせていた。

すると目の前のジャングルの木の揺れるとあたりからリザードマンが現れた。

 

「中将どうしますか、大統領は異種族は殺せと命令されました」

 

とその姿に驚きながら兵士の一人がアラノに聞いてきた。

 

アラノは連中の数が分からない中で攻撃を仕掛けるのは自殺行為だが、もし攻撃しなかったら

軍法会議にかけられて、即刻処刑だろう。それなら答えは簡単だ。

 

「少佐、あのトカゲを撃ち殺せ」

 

それを聞いた兵士はリザードマンがAK74の射程範囲に近づくと引き金を引いた。AK74から発射された弾丸は見事にトカゲの頭に命中し頭を吹き飛ばした。

 

アラノが見事に標的をしとめた兵士を褒めているとジャングルから今度は1000体以上の復讐に燃える。リザードマンが剣や槍を持って現れた。

 

 

「諸君、連中に近代戦闘というのを教えてやれ」

 

アラノは自分もAK74準備をしながら兵士たちを鼓舞した。

 

襲い掛かってくるリザードマンをアラノたちは、自分たちの持っていた小銃と機関銃、そして

装甲車の20ミリ機関砲で肉片に変えていった。

 

30分後

 

アラノたちが上陸した浜辺はリザードマンの血と肉片によって赤く染まり。かろうじて生き残っている、リザードマンたちの叫び声が時折聞こえる恐ろしい場所に様変わりした。

そんな中、その状況を作り出した本人たちは

 

「将軍やりましたね。我々は無傷、敵は全滅、完全な勝利です。私はあなたの下で働けて本当に幸せです」

 

「少佐、ここまでの技術の差があったら誰にだって出来るさ。そんなことより本国に木こりと弾薬の要請をしてくれ」

 

 

トロピコ島 大統領宮殿

 

「大統領、報告によりますと第一歩兵師団と第一機甲師団は共同で1000体以上のトカゲの怪物の殲滅に成功したようで」

 

ペヌルティーモは、自分がやったかのように、大げさな身振り手振りをしながら

バルビエールに報告していた。

 

「アラノに勲章をあげないとな。ところで何か他に言っていなかったか?」

 

バルビエールは執務室の机の上で手を組みながらペルヌティーモに聞いた

 

「あぁ大統領、弾薬と木こりの要請が来ております」

 

「なるほど、すぐに送ってくれ、ああそれと科学アカデミーの研究者が行きたいそうだから

それの準備もしておいてくれ」

 

バルビエールハそう伝えるとペヌルティーモは執務室のドアに頭をぶつけた後に部屋から出て行った。

 

2時間後 

 

日が傾いて美しい夕日の下で木こりと弾薬と科学者を乗せた艀が血まみれの海岸に上陸した。

 

「また会ったね船長。実はさっきも連中の襲撃があって、そのせいで弾が付きかけていたんだ」

 

と言いながらアラノは船長と握手をしていると。自分が頼んでいないものが目に入ってきた。

老人と言ってよいほどの姿をした男が、リザードマンの死体を見て狂喜乱舞している。という

あまり見たくない光景だった。

 

「・・・ああ。何をしているんだ。」

 

アラノは初老の男性に若干引きながらそう聞いた。

 

「何って、これを見て。君はなんとも思わないのか。いいかね、ここにある死体を調べれば

どれだけのことが分かるのか・・・」

 

と初老の博士はアラノに熱心に話し続けた結果

 

「わかった、わかった。確かにあなたの言うとおりだ。ただ、我々の目の届かない場所には

行かないでくださいよ」

 

やめさせようとしたアラノに、そう答えさせるほどだった。

 

木こり達がチェーンソーの準備をしているのを見ながら。アラノは気分転換にリザードマンを狙撃した兵士に、話しかけることにした。

 

「少佐、どうだ調子は?」

 

「ええ、将軍きれいな夕日を見ながら、一日の成果を見る。これ以上の楽しみはなかなかありませんよ」

 

「そうか、俺個人としてはあの死体の山が無いなら。もうすこし気分良く過ごせると思うんだがなぁ」

 

「将軍、この死体の山を作れと命令した。本人が言うとかなりおかしいですよ」

 

「はははは、確かにそうだな」

 

とアラノ達が喋っているとジャングルの木々がまた揺れた。

 

それを見たアラノは。海岸に散らばっている人々を、拡声器で艀のところにまで呼び戻すと

兵士達に攻撃の準備をさせた。

 

「また、トカゲだろうな。本当に懲りない連中だ。まあさっきまでの連中と同じようにしてやるから早く姿を見せろ」

 

と思っていると。アラノの予想と違ってジャングルから出てきたのは

二人の若い男を従えた老婆だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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