劣等生の兄は人気者   作:猫林13世

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イマイチお姉さんキャラが保てない……


IF甘婚約者ルート 真由美編

 真由美は密かな野望を抱いて達也とのデートに臨んでいた。野望と言えるかは微妙なところだが、真由美からしてみれば十分野望を呼べるものではあった。

 

「達也くん、今日は私が払うわ」

 

 

 その野望とは、今日こそ達也に奢ってみせるということであった。何時もは真由美が切り出す前に達也が伝票を持って行ってしまったり、既に支払い済みだったりするので、真由美は切り出せず奢ってもらっていたのだが、今日はまだ支払った形跡も、伝票に手を伸ばす動きも見せていなかったので、真由美は素早く伝票に手を伸ばしたのだった。

 

「無理しなくてもいいですよ」

 

「無理なんてしてないもん! 私は達也くんよりお姉さんなんだから、大人しく払わせなさい」

 

「ですが、七草先輩は俺の収入を知ってますよね?」

 

「しゅ、収入なんて関係ないもん! たまにはお姉さんに甘えてもいいのよ?」

 

 

 真由美は達也が「シルバー」として莫大な利益を得ている事も、真夜から「お小遣い」として、とても高校生が使い切れる額ではない額を貰っている事も知っている。

 

「せめて母上から振り込まれているお金は、皆さんに還元しないといけないと思うのですが」

 

「で、でも……いつも奢ってもらってるし、他の子は兎も角私はお姉さんだから……」

 

「では試しに、先輩と俺のどちらが年上に見えるか店員に聞いてみましょうか」

 

「……達也くんの方が上に見られるでしょうね。大人びてるのもあるけど、私もあまり年相応に見られないから」

 

 

 背が低く、幼顔であることを自覚している真由美としては、達也の提案を受け入れるわけにはいかなかった。ただでさえ達也に圧され気味なのに、そんなことをすれば確実にトドメになってしまうと恐れているのだ。

 

「と、とにかく! 今日は私が全部払うから、達也くんは大人しく奢られなさい」

 

「全部? この後に何かあるのですか?」

 

「あっ……」

 

 

 何時もであれば食事をしてデートは終わりなのだが、真由美にはもう一ヵ所行っておきたい場所があるのだ。そこは一人で行くわけにもいかない場所であり、女友達と行ける場所でもなかった。

 

「た、達也くんと行っておきたい場所があるのよ」

 

「はぁ」

 

「と、とにかく支払いは私がしますから、達也くんは先に店から出てて」

 

 

 半ば強引に店から追いやられ、真由美が会計を済ませるのを待つことになった達也ではあったが、後で真由美の口座に入金しておけばいいかと考えなおし、そう言う事が出来そうな相手に連絡を入れておいたのだった。

 

「お待たせ。それじゃあ行きましょ?」

 

「何処に行くのですか?」

 

「行ってからのお楽しみよ」

 

 

 そう言いながら真由美は達也と腕を組んで、楽しそうな足取りで達也を案内していく。どことなく嫌な気配を感じ取りながらも、達也は大人しく真由美に連れていかれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真由美が達也を連れて行ったのは、カップルで来店すると割引になるお店であり、達也はそこで居心地の悪さを感じながらも最後まで真由美に付き合ったのだった。

 

「今日はありがとう。そうだ! ちょっとウチに来てくれないかな。今日は誰もいないから」

 

「珍しいですね」

 

 

 普通の高校生であれば、家に誰もいないと誘われれば警戒したり期待したりするだろうが、達也は単純に誘われた事と、誰もいないという事が珍しいと感じただけであった。

 

「ほら、香澄ちゃんたちは水波ちゃんと遊びに行ってるし、兄さんたちは滅多に帰ってこないし」

 

「お父上は?」

 

「あんなタヌキオヤジの事は知らないわよ。ただどっかに出かけてるみたいだけどね」

 

 

 もちろん、七草家が空っぽというわけではないのだが、家族が誰もいないという事で真由美はそういう表現を使っているのだ。達也もその事は重々承知している。

 

「では、せっかくのお誘いですし、お邪魔させていただきます」

 

 

 真由美が何かを企んでいたとしても、切り抜ける自信があるのか、達也はあっさりと真由美の誘いを受け七草家へとお邪魔する事にした。

 玄関で真由美の付き人らしき女性に歓迎され、そのまま真由美の部屋へ通された達也は、どこかに行った真由美を待つ間本棚を眺めていた。

 

「ご、ゴメンなさい……お待たせ」

 

「何故その恰好を?」

 

「さっき達也くんに選んでもらったのに見せてなかったでしょ? だから見てもらおうと」

 

 

 達也と真由美が訪れた店とは、ランジェリーショップであり、本日限定でカップル割引という企画を行っていたのだ。そして真由美はそこで勝負下着を購入し、達也との距離を詰めようと計画していたのだ。

 

「お手伝いさんには似合わないって言われちゃったけど、私だって大人っぽい下着をつけてみたかったのよ……どうかな?」

 

「先輩は肌が白いですからね。黒は目立ちすぎでは?」

 

「そっちの感想なの!? 私の身体については何もないの? せっかく勇気を振り絞って……だ、抱いてもらおうと思ってたのに」

 

「先輩は既にお酒を飲める年齢ですから良いですが、俺は高校生なんですよ? その事を忘れてませんか?」

 

 

 まさか七草家で起きた情事を盗撮出来るわけがないだろうが、念の為真由美に訪ねると、赤い顔をしながらもはっきりと頷いてみせた。

 

「達也くんとならスキャンダルになってもいいし、私も達也くんも十師族の人間なのよ? 跡取りは早い方が良いに決まってるじゃない! それに、私たちの子どもが出来れば、ウチと四葉家との関係も少しは良くなるかもしれないじゃない? 香澄ちゃんはさすがに早いし……ね?」

 

 

 体格差を考慮して、真由美は押し倒すのではなく達也を引っ張り、自分が押し倒される形を取った。

 

「ここまでしたんだから、後は達也くんがして?」

 

 

 真由美の思い通りになるのは、なんとなく嫌だと思いながらも、達也は真由美の下着をゆっくりと脱がし、その後はしっかりと愛し合ったのだった。




真由美と深雪は異様に白いですからね……

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