私が世界最高の情報屋!?   作:書人

4 / 10
突如、幕は上がる。


03 ヒットマン:今度、日本に行くことになった

 

 

『Relation』非公開チャットルームより

 

ヒットマン:今度、日本に行くことになった

 

ANAM:そうなんですか!日本はいいところですよ^-^

 

ヒットマン:ひょっとすると、何所かで会うかもしれないぞ

 

ANAM:私は探しにくいかも知れません

ANAM:けど、もしも会った時は一緒に美味しいもの食べに行きましょう!

 

ヒットマン:甘過ぎるのは余り好きじゃねーな

 

ANAM:それじゃあコーヒーを飲みに行くとかどうですか?

 

ヒットマン:飲めるのか?

 

ANAM:コーヒー単品では余り好きじゃないですけどね

ANAM:クッキーとかと一緒に頂きます

 

 

 

ANAMは、一つだけ自らの情報を明かしている。

ただ本人には全く情報を明かしているつもりが無い。ただ単なる注意書きのつもりなんだろうがな。

 

・私は日本人です。すみませんが、日本語しか分かりません。

 

多くのマフィアはコレを頼りにANAMを自らの組織に勧誘

あるいは抹殺するために、日本へ向かう。

ただ、今までANAMどころか日本に辿り着けた組織は一つも無い。

 

……何故なら、関わった人間は俺みてぇに思うからだ。

 

そんな事自分(オレ)達が絶対に許さないと。

 

 

 

「依頼は受けてもらえますか?最強のヒットマン」

 

そう声をかける先、照明に一人の赤ん坊が照らされている。

 

「……断る」

 

ズガンッ!!

 

赤ん坊は素早く銃を抜き男に向けて打ち放った。

 

「ヒッ!?」

 

怯えて悲鳴を上げる男の頬から、一筋の血が流れ落ちる。

 

「コレは警告だ、ANAMに手をだすんじゃねぇぞ」

 

これは一人の殺し屋(ヒットマン)が日本に向かう直前の出来事。

 

 

 

私は普段ツナより家に帰るのが早い。

 

現実(リアル)で友達が居ない私は、放課後にチャットや電話の予定を大概入れているから。まぁ、今日は普通に『プログラム』の依頼だけど。

 

「ただいまー」

 

ツナの声だ。

 

「お帰りツナ!!」

 

今は急ぐ用事も無いので玄関へ迎えに行く。

 

「ただいま、真奈……」

 

そう言うツナの背が、いつもより更に曲がってる。

 

「どうしたの?そんなに疲れて」

 

「ちゃおっす」

 

(下から?)

 

突然かけられた声の方を見てみると、そこにはスーツを着た赤ん坊が居た。

 

「こんにちは、貴方は誰?」

 

(……これで三人目、かな?)

 

「お前らの家庭教師をすることになったリボーンだぞ」

 

「そうなの?私はツナの妹で真奈です」

 

「ちょっと待った真奈!なに納得しかけてるのさ!!赤ん坊だぞ!?」

 

「こういう赤ちゃんに会ったの三人目だから……あるのかなと」

 

そりゃ私も最初は驚いたけどね。三人目ともなると耐性がついた。

 

「嘘―!!?こんな赤ん坊が他にも居るの!?」

 

「三人目?」

 

「あら、ツナも帰ってきてたの?」

 

「母さん!!何か家庭教師名乗ってる変な赤ん坊が居るんだけど!!」

 

「家庭教師なら、確かにたのんだわよ?」

 

二人は他にも何か言い合っているけど、とりあえずお母さんがこの子を雇ったんだ。ツナ、そんなに成績……悪いね、うん。

 

「リボーンだぞ」

 

「あら!貴方がリボーンさん?いや、リボーンちゃんかしら」

 

「いや!母さんも納得しないで!!!!」

 

勉強は確かに出来ないけど、我が家一番の常識人はツナだと私は思う。

 

 

 

「私は部屋に戻ってチャットでもするかな」

 

「待つんだぞ」

 

「?」

 

「マナも一緒にツナの部屋に来い、話が在るからな」

 

リボーン君がそう言うので、私も一緒にツナの部屋へ。

 

……何の変哲も無いと思っていた、私の『日常(ふつう)』が劇的に変わるとも知らずに。

 

 

 

「オレはボンゴレファミリーのボス、ボンゴレ9世(ソーノ)の依頼で、ツナとマナをマフィアのボスに教育するために日本へ来た」

 

「「マフィア!?」」

 

(と言うかちょっと待って!!『ボンゴレファミリー』って思いっきり聞いた事あるんだけど!!?えっ!?マフィア!?)

 

「ちょっと待って!」

 

一通りの話が終わった後、私はリボーン君に待ったをかける。私が頭の中でパニックになっている間も、リボーン君の話は続いてたから。

 

「?」

 

「今の話に嘘は無い?」

 

「全部本当の事だぞ」

 

私の中の何かが崩壊する音がした。

 

「ごはん出来たわよー!」

 

下からお母さんが呼んでる。

 

「「わかった!すぐ行くから待ってて!」」

 

こんな時でも、双子の息はピッタリだった。

 

 

 

PLLLL……

 

とりあえずご飯を食べてお風呂に入った後。

ツナの部屋に集まり、二人の前で電話をかけていた。

 

「えっ?まさか……」

「?」

 

ツナは私が何をしようとしているか分かったらしい。

リボーン君には分からないらしいけど。

 

『もしもし』

 

「もしもし?ボンゴレファミリーさんで合っていますね。何時もお世話になってます。『ノーノ』さんはいらっしゃいますか?」

 

「!?」

 

リボーン君が驚いて目を見開いている。

 

『あぁ、ANAMさんですね。少々お待ちください』

 

そう、私の中で『ボンゴレファミリー』と『ノーノ』は

、『Relation』の会員で、良く電話(はなし)をするイタリアの企業の上客さん。……と思っていた。

 

『もしもし』

 

「ごめんなさい。こんな時間にアポもなしで」

 

『全然構わないよ』

 

電話越しに年をとった男性の、低くて優しい声がした。

 

「実は今、私の目の前に『ボンゴレファミリー』の人だっていう人が居るんですが……。本当なのか確認を取ろうと思って」

 

『……分かった』

 

急にノーノさんの声が真剣になった。

 

「スーツを着た赤ん坊で」

 

で、コレがリボーン君の一番の特徴な気が……。

まぁ、今は水玉の寝巻きだけど。

 

『!!?まさか黄色いおしゃぶりをつけているんじゃないかい!?』

 

確かに、リボーン君も黄色いおしゃぶりを付けていた。

そう言えば、他の二人もこれの色違いを付けたな……。

 

「はい。リボーン君と言うんだそうです」

 

『まさか…君は……!?』

 

電話の奥で『ノーノ』さんとさっき電話に出た人が話していた。

 

『……悪いが君の名前を聞いていいかい?』

 

「えっと……」

 

『あぁ、すまない。こういう時は、私が先に名乗らないといけないんだったね。私はティモッテオと言うんだ』

 

「改めまして、ティモッテオさん。私は沢田真奈です」

 

『……やはり、そうなのか』

 

……嘘だ。

 

そう思いたかった。

 

「リボーン君は『ボンゴレファミリー』の人なんですね?……それじゃあ、あなた達がマフィアって話も」

 

もしもコレが本当なら、私が知っている『ファミリー』は全てマフィアの可能性がある。

ぱっと思いつくだけで、30は越すんだけど。

 

『やっぱり気が付いていなかったんだねANAM。……いや、真奈ちゃんと呼んだほうがいいかな?』

 

あぁ……本当だった。

 

「…………」

 

……私、何時か消されるんじゃないだろうか?

本気で『破滅の言葉』の使用を考えとかないとだめかも。

 

『リボーンに変わってもらえないかい?』

 

「は、はい。リボーン君」

 

「なんだ?」

 

「ノー……ティモッテオさんが貴方と変わって欲しいって」

 

「!?」

 

電話をとったリボーン君はおそらくイタリア語で話し始めた。

 

「まさか真奈『ボンゴレファミリー』から依頼受けたことあったの?」

 

ツナが戻って来た私にそう聞いた。

 

「うん……」

 

「けど、確かに真奈のプログラムは凄いからな……」

 

世界一のマフィアが欲しがったっておかしく無いかも。

 

何か感慨深く、ツナが頷いていた。

 

 

 

「終わったぞ」

 

リボーンが真奈に電話の切れた携帯電話を差し出す。

 

「あ…うん」

 

「マナはどうして、ボンゴレのこと知ってたんだ?アイツがオレもマナの事を知っているはずだって言ってたんだが……」

 

「それってリボーンも真奈のサイトに来たことがあるって事?」

 

それってリボーンも利用者って事?

 

「サイト?」

 

「そう。真奈は学校で中々友達が出来なかったから、交流サイト作ったんだよ。『Relation』って名前でANAMってHN名乗ってる」

 

「『Relation』の『ANAM』だとっ!!?」

 

「やっぱり知ってるの?」

 

「『ANAM』と言えば裏の世界で世界最高と呼ばれている情報家だぞ!?」

 

少しリボーンが冷や汗をかいている。

 

…………。

 

「「はぁぁあああ!?」」

 

その言葉に俺達は絶叫した。

 

 

 

「それ本当?」

 

「本当の事だぞ」

「それよりお前が本当に『ANAM』なのか?」

 

凄く疑われてます、リボーン君に。

 

「う…うん」

 

「それじゃあ俺が『誰』なのか当ててみろ。『ANAM』はユーザーなら一発で分かるらしいからな」

 

「やっぱリボーンも『Relation』のユーザーなんだ……」

 

呆然とツナが呟いていた。

それを聞き流しながら解析をする。

 

(えっと…………あ)

 

「『ヒットマン』さんだ!!そういえば確かに日本来るって言ってたもんね!!」

 

本当に会っちゃった。

 

「…本当に『ANAM』なのか?」

 

ちゃんと当たっていたらしい。

 

「うん。でも、確かにそれリアルで会うと良く聞かれるかも」

 

聞き返さなかったのって、アリアさんユニさん位じゃなかったっけ?

 

「……ってあれ?それじゃあリボーン君は、私の事『情報家』だと思ってたの?」

 

「リボーンでいいぞ。薄々一般人じゃないかとは疑ってたが……まさか中学生だとは思わなかったぞ」

 

「でもそれってリボーンの言う『ANAM』が真奈ってことだよね」

 

ツナのダイレクトな一言。

 

「「「……」」」

 

とりあえず詳しい説明は明日にして、眠ることになった。

あ、余りにも衝撃が一気に…………。

 

 

 

一体何なの!?

 

私とツナがマフィアのボンゴレファミリーボス候補で。

しかも、(ANAM)が世界最高の情報家!?

 

 




……と言う事で原作開始となりました。
突然で、びっくりされた方も多いかもしれません。
後半、文の雰囲気が変わりました。
何故原作に入ったかの詳細(iiwake)は活動報告に綴りたいと思います。

一応アルコバレーノつながりだし……だ、大丈夫?



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。