『Relation』非公開チャットルームより
VEL:君がANAMかね
ANAM:はい!はじめましてVELさん!
VEL:君が乗せている**と言うプログラムに興味がある
VEL:現実での対話も歓迎と言うのは本当か?
ANAM:むしろそのためにこのサイト作ったので!!
ANAM:ただ、私小学生なんで家からあまり遠いところには……。
VEL:小学生だと!?
ANAM:そうですよ♪VELさんはどれ位なんですか?
VEL:それは会ってのお楽しみにしておくといい。
ANAM:了解です^w^ノ
VEL:集合場所は**と言う店でいいか?
アナム:はい。お店に居たら私から声をかけるので
VEL:本当にそれでいいのか?私を見つけるのは至難の技だと思うが
アナム:絶対大丈夫です。人を見つけるの得意ですから♪
VEL:まぁいい。分からない時は***に連絡をくれ
アナム:了解です
この頃はまだ、私は殆ど他者に対して警戒をしていなかった。
・私は、貴方が自分の情報を提供してくださった分だけ、自分の情報を提供します。
このルールが追加されたのは、この出来事の後だったりする。
まぁ、嘘はすぐに分かるからって言うのもあったかもしれない。
けど、最初にあったのがVELさんじゃなかったら危なかっただろうな……。
と今だから思う。
……いや、大丈夫か。
すでに結構強かったし。『破滅の言葉』も一応使えたから。
並森のカフェ
(そろそろ時間だが……)
あまりにもおかしな光景がそこにはあった。緑色の髪、白衣を着た赤ん坊が机の上でパソコンを立ち上げ、片手でコーヒーを優雅に飲んでいる。
まぁ、分からなかった時はこちらに連絡を入れるように言ってあるのだ、大丈夫だろう。
しかし、ANAMは小学生と言っていたが本当か?
とても信じられない。
自分は天才と呼ばれていて赤ん坊だが、それは赤ん坊にされたからなのだ。アレほどのものを作れれば、大人ですら天才と呼ばれてもおかしくないのに小学生で……。
それが本当なら、奇才とも呼ぶべきか。
カランカラン
リュックサックを背負った小学校3年生位の少女が入ってきた。いかにも子供らしい服を着て、お使いにでも来たのだろう。
(……はずれか)
さすがに小さすぎる。小学生だろうが余りにも子供過ぎる。そう思っているとその少女と目が合った。
赤ん坊ながらこんな事をしている私が珍しいのか、すごく目を見開いている。
驚き終えた少女は子供らしくニッコリと笑って真直ぐこちらへ向かって来た。
「?」
「初めまして、VELさんですね?」
この少女は一体何と言った!?
「ビックリしました。まさか可愛らしい赤ん坊さんだったなんて。初めて自分の見立てに不安になっちゃいました」
「まさか君が……」
「はい。初めまして私が『ANAM』です!」
この後もしも、この店の他の客が二人の会話を聞いていたら。さぞ驚いたことだろう。二人が議論していたのは『完全なステルス迷彩』についてだったのだから。
「今日は色々議論出来て楽しかったです!」
そう言って目の前の少女は子供らしく笑っていた。
「でもすみません。専門用語のほうが余り間に合って無くて……。理論は頭の中で立つんですが……」
彼女は専門用語の方に疎いようで、途中で何度もパソコンを打って調べていた。ただ、その理論はほぼ完璧と言えるものだっただろう。
私ですら、まだその半分にも到達していなかったというのに……。
「いや、私も有意義な時間を過ごさせてもらって感謝している。良かったら、また色々話が聞きたい。私の名前は『ヴェルデ』だ」
「私は『沢田真奈』です!こちらこそよろしくお願いします!」
MANA…ANAM……なるほど。
「一つ警告して置こう。君は警戒心と言うものがなさすぎだ」
どんなに凄くてもこればかりは子供、というべきなのだろう。
「?」
「もう少し自己情報の管理には気を使ったほうがいい」
「そうなんですか?」
「世の中には天才を狙う輩も居るからな」
現に自分は追われている身だ。
「今日は本当にありがとうございました!!」
私が見えなくなるまであの少女はきっと手を振っていたことだろう。
ANAMの存在隠蔽に一人の天才が加わった事は、本人以外知るよしもない。
(ヴェルデさんに会って以来、プログラムの依頼が凄く増えたのは気のせいなのかな?)
ちなみにこの後ヴェルデさんはRelationの上客になったとか……。
ANAMのほうに依頼を回したとか……。
話は出来るだけ一週間ごとに投稿しようと思っています。