私が世界最高の情報屋!?   作:書人

10 / 10
タイトルからわかる様に前の話と繋がっていません。
かなり前に思いついた設定を兼ねた短編です。
字数足りなかったので加筆しました。
続きに書く際に内容が吸収された場合は削除されます。
ネタばれ込みです。


X0 道化師:君は興味深い人だ

 

どこまで歩いただろうか。そろそろ帰らないと。けど、このまま帰ったらお母さんが心配する。ひどい顔だから。

 

「お嬢さん。せっかくの可愛らしい顔が腫れているよ。早くお家へ帰って冷やしてもらわないと」

 

「今帰ったら、お母さんが心配します」

 

「おや、これはお母さん思いのお優しいお嬢さんだ。そんな偉い君には、おじさんが特別に飴をあげよう」

 

「……」

 

「けどね、小さいお嬢さんが一人だと危ないよ。こわぁいおじさんが、君を連れ去っちゃうかもよ?」

 

「っ……こんな『化物』、誰が喜んで欲しがるんでしょうか?」

 

「……おや、化物なんて何所(どこ)にいるんだい?おじさんには、か弱い普通の少女しか見えないんだが」

 

「おじさん、『普通』ってなんでしょうね」

 

「なんだろうね……」

 

「楽しい事に笑って、嫌な事に怒って、悲しい事に泣いて、一体何が違うんでしょうか」

 

「違わないよ。皆一緒だ」

 

「おじさんも一緒ですか?」

 

「……あぁ、一緒だ」

 

「……一人ぼっちは寂しいです」

 

「そうだね。一人ぼっちは寂しい」

 

「ぁっ……う」

 

「良いこの君には特別におじさんの胸を貸してあげよう」

 

 

 

ごめんね、おじさんはお天道(おてんと)様じゃあ無いから。君の心を照らす事も、君の傷を治して上げる事も出来ないんだ。そのかわり君に魔法を掛けてあげよう。君が辛く無くなる魔法を。

 

お家に帰ったら、大好きなお母さんに抱きついてご覧?

 

そうすれば君の辛い事は忘れられるよ。

君が大きくなって…………

 

 

 

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『Relation』の日記より

今日は、飴をもらいました。大人の男に頭をなでられたのは、すごく久しぶりな気がします。嬉しい事があると、時間があっという間にすぎるものですね。

 

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眠る『お嬢さん』に水で濡らしたハンカチをかぶせて冷やす。

これはただの気まぐれ。ただの自己満足。

私は純粋な善人などでは無いのだから。

 

彼女の目から読み取った才能(ちから)は彼らより私達に近いものに見える。それを隠す術を彼女は持ち得なかった。

 

……子供とは純粋で残酷なものだ。

 

君が大きくなって…………『化物』である事を受け入れられる様になったら、全てを思い出せるよ。

普通に近づく事と引き換えに私が何をしたのかを知った時、君は私を恨むだろうか。

 

さっきまで必死で声をこらえた(こどもらしくない)姿で泣いていた。

今は気の抜けた(こどもらしい)姿で寝ている。

……何を疑う事も無い、幸せそうな顔で。

 

少なくとも、私はこれでよかったと思う。




お久しぶりです。
全く進む気配の無い連載に感想をくださった方ありがとうございます。
全く更新の進まない間、みなさん思い思いに主人公の姿カタチ
この先の未来などを思い描いている事だろうと思います。
そしてハードルがどんどん上ががががが……。

また、みなさんに続きを出せる日を願って。

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