不屈のエース~甦るレジェンド~   作:フリュード

7 / 13
関東大会ですが、武藤は出さないのでぱぱっとやりますよ!

とりあえず前に出した話まで特急で出します。




第6話 関東大会

「今日はしっかりと応援していくぞ!!!」

 

『おーーーー!!!』

 

一塁側のスタンドで青道の応援団が熱くなっていた。

 

今日は関東大会初日、そして青道高校の初戦でもあった。

 

「・・・・・」

 

武藤は熱くなっている応援団とは裏腹に一人、バックネット裏からグラウンドを見ていた。

 

『武藤はバックネットからいろいろ勉強してもかまわん。』

 

これは片岡から直々に許可されたので武藤は言葉に甘えてバックネットから観戦する事にしたのだ。

 

「さて、どっちが勝つかな・・・」

 

武藤がそう呟いていると、選手たちが真ん中に集合した。どうやら試合が始まるらしい。

 

『礼!』

 

『しやあああす!!!』

 

両校が互いに礼をした後、先攻である青道高校は全員ベンチに引き下がり、後攻の高校はそれぞれ自分のポジションへと散らばった。

 

「ははっ・・・リョウめ。一年から正捕手かよ。やるな。」

 

俺は捕手を見ながらそう言った。青道高校の対戦相手は神奈川の名門、そして俺の知り合いがいる「流星高校」だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合開始前 球場外

 

「よ!ショウ!」

 

「おお、リョウ、ケンじゃないか。」

 

武藤はベンチ外の選手たちと一緒に手伝いをしていると、後ろから聞いたことがある声がしたので振り向くと、案の定そこにいたのは青道よりも明るいブルーを草書体の文字にし、同色の帽子である「流星高校」のユニフォームを着た中田と二村がいた。

 

「久し振りだな。聞いたぜケン!エースナンバー貰ったんだってな。」

 

「いやぁ、そういわれると照れるぜまったく。」

 

武藤が褒めると中田は照れながらそう言った。

 

何故武藤がこのことを知っているかと言うと、先述した仲良くなった3人(武藤・中田・もう一人)でライングループを作っており、その際エースナンバー貰った!!!やったぁ!と送ってきたからだ。

 

「ついでに俺も2番貰ったぜ。」

 

二村も貰ったらしく武藤に自慢してきた。

 

「(カチン!)ふーん。そうなの?」

 

「ちょっと!何か言葉無いの!?」

 

「あぁ、おめでとう。」

 

武藤はドヤ顔の二村に腹が立ち興味なさげに言うと、二村は焦りながら言ってきたので武藤はそっけなく言った。

 

「ひでぇ!もうちょっと何か言ってよ!」

 

「くっく・・・はははははははは!!!」

 

二村がそう言うと武藤たちは大爆笑をしていた。

 

「まぁ頑張れよ。俺はひとりバックネットから見てるから。」

 

「えっ!?まじで、翔也今回出ないの?」

 

「あぁ。出なきゃここで準備なんてしないだろ?」

 

「つまんねぇな。せっかく対戦できそうだったのに。」

 

中田がそう言ってきたので武藤はそう言うと、二村はつまんなさそうに言った。

 

「仕方が無いさ。また試合する機会があったら対戦しようぜ!」

 

武藤がそう言うと二人は「あぁ!それじゃあな!」と言い、自分のところへと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

回想 終  

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ今回はお手並み拝見だな。」

 

武藤はまだちらほらとしかいない人数のバックネット裏でひとり呟く。そして、審判のコールと共に流星高校対青道高校の試合が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    123456789計

青道  21120000 6

流星  30040010 8

 

投(投手ー捕手)

青道 細野(1) →丹波(10)ー滝川(2)

流星 西田(10)→中田(1) ー二村(2)

 

試合は乱打戦になってきていた。青道は初回幸先良く2点先制するがすかさず流星もその裏にあっさりと逆転。その後も青道は4回までに6点を取るが、投手陣が8回までに8点取られ、2点ビハインドで後1イニングと苦しい展開になってきていた。

 

「2点か・・・ここいらで点を取っておかないとまずいぞ・・・」

 

武藤は試合を見ながらそう呟いた。

 

『ホントに野手の事も考えてほしいと思うくらい。』

 

ふと武藤の脳裏に武藤が一軍昇格したときに言っていた小湊の一言が浮かんだ。

 

「はは、確かにこれはいけないなぁ・・・・」

 

武藤は小湊の言う事が分かり、この現状に苦笑するしかなかった。

 

先発の細野は5回まで投げたがヒットと四球がらみで7失点してしまい、後を継いだ丹波も3回1失点と好投したが、聞けば先発をすれば立ち上がりは良いけど、5回を越えたあたりで連打を浴びると言う。丹波に至っては悪癖が出ていない状態なのでまだわからないが、これでは野手陣が呆れるのも無理は無い。

 

そう思っているうちに4番の東が2アウトからレフト線へのヒットで塁に出た。続く5番は結城。相手の投手は5回から投げ無失点投球を続けている中田だ。

 

「見ごたえがあるな。」

 

主軸対1年エースの見ごたえのある対決に武藤はそう言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュッ!パァン!!!!

 

『ストライク!!!』

 

「・・・(軽く140は出ているな。5回から出ている中田の球は見慣れては来ているがこれで1年か・・・ふっ。)」

 

外角に140キロのストレートが決まって1ストライク。結城は初球のボールを見送った後にそんなことを思った。

 

ヒュッ!

 

「・・・・!」

 

二球目、武藤と同じくノーワインドアップから、二段モーションぎりぎりまで足をあげて止めてから投げたボールはスライダー。結城はインコースに来たスライダーをかろうじてファールにした。

 

「・・・・・(どうする中田。これで追い込んだ。)」

 

「(あかんわ・・・追い込んでもなお威圧してくるよこの人・・・)」

 

1年生バッテリーである中田と二村はアイコンタクトを交わす。しかし、追い込まれてもなお変わらないフォームで構える結城からは心なしか威圧感が漂う。

 

「(・・・よし。ここで切り札を出そう。)」

 

「(せやな!・・・ちがうちがう!分かった。)」

 

二村が出したサインに中田は応じ、モーションに入った。

 

そして勝負の3球目は

 

「・・・!!甘い・・・!!」

 

ブウン!!!!

 

インコースに甘いボールが来たと思い結城は振りに行った!が・・・ボールは掠ることなくミットに収まった。

 

「しまった・・・!」

 

『ストライク!!バッターアウト!!ゲームセット!』

 

頼りの結城も最後は空振り三振に倒れ、試合終了となり負けてしまった。

 

「バックネットからじゃ軌道は分からないが多分アイツのウイニングショットのフォーク・・・やつめ。進化してやがるな。」

 

武藤は最後に投げた中田のウイニングショットであるフォークを見てそう言っていた。中田のフォークはチェックゾーンを越えてから鋭く落ちるので打てないのも無理は無いと武藤は思った。

 

 

 

そして今年も青道は投手に不安があるということを関東地区に知られた一戦となってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合後 青道高校グラウンド

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・(これほど無言が怖い人はいないよ・・・)」

 

片岡が無言を続けてもう何分経ったか。辺りに重苦しい空気が漂っていた。

 

関東大会を終えた後、いつものように連絡をして解散となっただが、細野・丹波・武藤・川上の投手陣がその場に残るように言われ武藤たちはその場に残って数分が経った。

 

「・・・・お前ら今日の試合はどう思った。」

 

片岡が漸く口を開いた。しかし口調から見て取れるように片岡がものすごい怒っていることは見て取れた。

 

「細野。お前は5回7失点。3年生で後が無いにもかかわらずこの内容。この前の試合からホントに変わっていないな。なぁ!!」

 

ビクッ!!

 

「うっ・・・」

 

いきなり片岡が怒鳴ったため全員はビックリする。

 

「丹波はまだ1年あるから良いが、お前はもう後がないんだぞ!!!それを分かっているのか!」

 

「はい・・・」

 

細野が蚊が鳴きそうな声でそう言った。

 

「お前はいつもそうだよな!ストレートは良いのにランナーを出した途端、クイックは読まれてランナーは簡単に盗塁を許す。それまでは良いが、制球難で四球を連発した後、ヒットを打たれて大量失点。まったく進歩していないな!!」

 

「・・・・」

 

細野さんはただ、黙り込んでいた。目には涙を潤ませていた。3年だからこそ後がないのは細野も分かっていた。

が、結果的に細野の気合が空回りしてしまい最悪の結果を招いてしまった。

 

「丹波は3回1失点。しっかりと抑えていたから良かった。これが先発だったらどうかは知らないが。」

 

「はい・・・」

 

片岡の皮肉とも取れる発言に丹波は声を小さく言った。

 

「大きな声ではいだろ!!!お前は昔からそうだよな!!」

 

「はい!!!」

 

片岡が怒鳴りながらそう言うと丹波は再度大きな声で返事をした。

 

 

「武藤と川上。」

 

「「はい。」」

 

片岡は一通り怒鳴った後、武藤と川上の名前を呼んだので武藤たちは返事をした。

 

「試合を見ていたと思うが、これからは誰がエースかはもう固定しない。この夏は投手全員にチャンスを与える。いいな。」

 

「「はい!!!」」

 

武藤と川上は元気良く返事をする。

 

「よし。2人は解散しても良い。」

 

「分かりました。」

 

武藤はそう言った後、礼をして自分の寮へと戻った。川上もそれに続くように寮へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

武藤たちが行ったのを見てから片岡は2人の方を見た。

 

「うっ・・・・えぐっ・・・」

 

「・・・・・」

 

細野は涙を流していて、丹波は悔しそうに口をかみしめていた。

 

「細野。」

 

「はい・・・」

 

片岡が呼ぶと細野は涙を流しながら答えた。

 

「今日の反省をしっかりとして明日から一生懸命頑張ってくれ。お前は俺が思っているよりもいい投手だから。」

 

「!!!・・・はい。」

 

「丹波もまだ1年ある。自分の欠点と向き合って今後に役立ってくれ。」

 

「はい。」

 

「よし、なら2人も帰って良いぞ。」

 

片岡がそう言うと2人は寮へと帰っていった。

 

 

「・・・・」

 

片岡は一人その場に残って一人思いにふけていた。

 

(何とかして投手陣を立て直して今年こそ・・・そのためにも武藤の他に3年の細野・2年の丹波・そして川上が皆の欠点を補ってくれたら・・・)

 

片岡はそう思っていたがそれを声に出す事は無い・・・

 




「パワプロ」というタグがありますがこの流星高校は「足が速い」というコンセプトになる前の高校という認識でお願いします。

このタグが発揮するのはもう少し後です!

中田のモデルはご存知ソフトバンクの暴れ馬、中田選手です!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。