仮面ライダーカブト×IS 〜天の道を往き、総てを司る男〜   作:ドラグブラッカー

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今回は一夏誘拐事件の時の事についての説明です。
本編通り一夏は誘拐されますがそこから助けるまでの間が少し本編と違っています。


第8話 「一夏の想い」

一夏は考え事をしていた。

 

「(今日は転校生が二人も来た。しかも両方男。片方の人は天道の知り合いみたいだったし。そう言えば"あの人"も男みたいな喋り方してたな。もしかしてあの人も男だったのかな。)」

 

一夏の言う"あの人"とは、過去に一夏を助けた人物である。

 

3年前、ISの世界大会、『第2回モンド・グロッソ』決勝戦当日ーーー

 

「(あれ、ここは?)」

 

一夏はとある場所にいた。しかし、手足を動かせない。直ぐにそれが手足を紐で縛り付けられているからだと気が付いた。

 

「何で手足を縛られてるんだ!?」

 

「教えてやるぜ。餓鬼。」

 

突然声を掛けられた。一夏が上を見ると、白い服を着用した、がっしりとした巨体の男が立っていた。

 

「お前がここにいる理由はな、人質だ。」

 

「え、人質!?」

 

「ああ。お前を人質にすれば必ずお前の姉、織斑千冬は是が非でもお前を助けに来る。そうすれば織斑千冬のモンド・グロッソ二連覇は達成されなくなるって訳だ。精々助けに来る事を祈るんだな。」

 

「そ、そんな...」

 

一夏は諦めかけていた。その時、"何か"が男の身体を貫いた。そしてゆっくりと引き抜かれる。

 

「ガハッ...ワーム、だと...何故ここに...」

 

男はそう言うと力尽きる。

 

一夏が男を刺した物を見ると、そこにはウデムシを模した様なワーム、『ベルバーワーム』が立っていた。

 

「な、何だこいつ!?」

 

一夏は逃げようとするが、手足を縛られている為、上手く動く事が出来ない。

そしてベルバーワームが一夏に向かって手を振りかざした時ーーー

 

一発の銃声が鳴り響き、ベルバーワームが怯んだ。

 

「グル、ググルルル!」

 

「見つけたぞ、ワーム!」

 

一夏が声のした方を見る。そこには黄色と緑のカラーリングが施され、左肩の部分に蜂の様なマークの上に『ZECT』と描かれたロゴが貼ってあるライダー、ザビーとその後ろにシャドウの隊員が複数名立っていた。

 

その正体は千冬だが、勿論一夏は知る筈も無く、助けが来た事に少し安心していた。

 

ザビーはそのごつい身体つきに反して、素早くワームの懐まで飛び込み、パンチを叩き込むと、一夏を抱え、隊員達に指示を出した。

 

「各班、ワームと距離を取って射撃をしろ!クロックアップしたら何があっても全員退避しろ!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

彼等がそう返事をすると、一瞬で彼等の姿はそこから消え直ぐ様ベルバーワームを取り囲むと各班が指示通りにワームへと攻撃を開始した。

 

そしてザビーは一夏を放す。

 

「ここにいろ。」

 

「は、はい...」

 

一夏がそう言うと、ザビーは一気にワームに向かって走って行った。

そしてワームと対峙すると、ワームにパンチやキックを繰り出し、後ろへと下がる、これを何度も繰り返す。『ヒット&アウェイ』と呼ばれる戦法だ。だがワームもこの繰り返しは劣勢だと判断したのか、独特の構えを取ると、一瞬で消えた。一夏の目にはそう見えたが、本当はクロックアップを使ったのだ。一気に周りのシャドウトルーパーが次々と吹き飛ばされて行く。

 

「ック!全員退避だ!」

 

ザビーはそう叫び、腕のライダーブレスに付いているザビーゼクターの羽の部分を反対まで持っていく。するとザビーの装甲が少しずつ浮かび上がる。

 

「キャストオフ。」

 

そう言ってザビーゼクターを180度回転させる。

 

『Cast Off』

 

キャストオフして装甲が弾け飛ぶとワームに当たり、一夏にも余波が当たった。

そして複眼が緑色に光る。

 

『Change Wasp』

 

そしてベルトの横にあるスラップスイッチをカブトと違ってスライドする。

 

「クロックアップ!」

 

『Clock Up』

 

ザビーもクロックアップ状態に突入すると先程とは違い、一気にワームにキックやパンチを繰り出して行く。

 

『Clock Over』

 

両者のクロックアップが解除されると、ベルバーワームはジャンプし、横を向いているザビー目掛けて腕を振りかざす。

 

だがそれが命取りだった。ザビーはザビーゼクターの真ん中の部分にあるスイッチ、『フルスロットル』を押した。

 

「ライダースティング。」

 

『Rider Sting』

 

そしてザビーゼクターの蜂で言う針に当たる部分、『ザビーニードル』をパンチと共に相手に突き刺すザビーの必殺技、『ライダースティング』を放った。

そしてワームが紫色の炎と共に爆発する。

 

その後、ザビーは一夏の元に行った。

 

「怪我は無いか?"一夏"。」

 

「は、はい、お陰様で。」

 

一夏にはザビーが自分の名前を知っている事を気にする余裕等無かった。

 

そしてザビーが隊員と共にその場を去ろうとしていた時、

 

「あの!」

 

「何だ?」

 

「貴方みたいに人を守れる位強くなるにはどうしたらいいですか?」

 

「ハハハ。私は人を守れる程強くは無い。実際に今回も仲間の隊員達に怪我を負わせてしまった。

だが、一つ言える事があるとするならば、"パーフェクトハーモニー"を忘れるな、と言う事だな。」

 

ザビーは一夏にそう言い残し、去って行った。

その数分後、千冬がISを纏って一夏を助けに来た。

 

 

 

 

そして現在に至る訳だが、結局その言葉の意味を一夏はまだ理解していない。

だが、いつか自分が"あの人"の様に強くなれると、一夏は信じている。




はい、と言う訳で第8話でしたが如何でしたか?
今回は新ライダーの登場は無しでしたが、次回は一気に3人のライダーを出す予定です。

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