仮面ライダーカブト×IS 〜天の道を往き、総てを司る男〜   作:ドラグブラッカー

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今回は鈴が出ます。
そして遂にカブトがキャストオフします!
文字数が多くなってしまった...


クラス対抗戦編
第5話 「臨むクラス対抗戦」


「はぁ!?」

 

一夏は驚いていた。それもその筈、とんでもない事が起きた。

時は遡り、朝のHRーーー

 

「そういえばそろそろクラス対抗戦だねー。」

 

「あ、そうだ。二組のクラス代表が変わったって知ってる?」

 

「転校生なんだってね。」

 

「今の時期に?」

 

「中国から来た子らしいよ。」

 

「でも今の所専用機を持ってるクラス代表は一組と四組だけだから余裕だよ。」

 

「その情報、古いよ。」

 

全員が入り口を見ると小柄なツインテールの女の子が立っていた。

 

「二組もクラス代表が専用機持ちになったの。そう簡単には勝たせてあげないからね。」

 

「鈴?鈴なのか?」

 

「そ。中国代表候補生、凰 鈴音(ファン リンイン)。今日は宣戦布告に来たって訳よ。一夏。」

 

「何カッコつけてんだ?似合わねえぞ?」

 

「ちょ、あんた、なんて事言うのよ!まあいいわ。クラス対抗戦でコテンパンに叩きのめしてあげるから!」

 

「お前何言ってんだ?クラス代表はあっちで隣の女子とイチャついてる天道って奴だ。」

 

そう言い、眠っている陽乃の肩に手を回し、自分の方に引き寄せている天道を指差した。

 

「はぁ!?でも受け付けの人からあんたがクラス代表って言ってたわよ!?」

 

「ああ。そう言えば天道の奴、この前受け付けの人と会った時、何か口止めっぽい事してたな。」

 

「ええ!?じゃあクラス代表って...」

 

「ああ。俺じゃないぞ。」

 

「そんなぁ!?もう、最悪!ちょっとクラス代表の奴と話して来る!」

 

そう言い、天道の下へと向かって行く。

 

「ちょっとあんた。」

 

だが反応が無い。

 

「ちょっと!」

 

まだ反応しない。

 

「馬鹿にしてんの!?」

 

そして、遂に天道が鈴の方を向き、喋った。

 

「黙れ。俺は陽乃の寝顔を眺めるので忙しい。」

 

そして、また陽乃の方を向いた。

 

「〜ッ!あーもう!分かったわよ!クラス対抗戦で叩き潰してあげるわ!」

 

「おい。」

 

「何よ!」

 

ドガッ!

鈍い音が教室内に響く。一夏が見ると、遂先日元に戻った千冬が鈴の前に立っており、鈴が頭を押さえている。恐らく、千冬が出席簿で鈴の頭を叩いたのだろう。

 

「ち、千冬さん。」

 

「織斑先生と呼べ。それとSHRの時間だ。教室へ戻れ。」

 

「は、はい!」

 

そう言うと、そそくさと教室に戻って行った。鈴は昔から千冬が苦手である。

 

「では、SHRを始める。」

 

「陽乃、起きろ。」

 

「うーん...おはよ、総ちゃん。」

 

そして昼休み。

一夏が食堂に着くと鈴がラーメンを片手に持って立っていた。

 

「待ってたわよ、一夏。」

 

「そこじゃ通行の邪魔になるぞ。どけよ。」

 

「わ、分かってるわよ!」

 

そう言って、近くの席に着く鈴。

やがて一夏と箒も鈴が居る席に座った。

 

「ねえ一夏。さっきから気になってたんだけど、その子誰?」

 

「私も同感だ。」

 

「ああ。箒、こっちは凰 鈴音。中学の時一緒だったんだ。鈴、こっちが篠ノ之 箒。小学生の時一緒だったんだ。」

 

「へえ、宜しく。」

 

「宜しく頼む。」

 

二人が握手をすると、両者の目から火花が飛び散った。

 

「確か箒が小四の時に転校して来て、鈴が小五の初め頃に転校して来たから、ほぼ入れ替わりみたいな感じだな。言うならば、箒がファースト幼馴染で鈴がセカンド幼馴染ってとこだな。」

 

一夏がそう言うと箒がふふん、と少し嬉しそうに笑った。

 

「へぇ、所で、一夏、あたしがISの練習見てあげようか?」

 

「ホントか?だったら頼mーーー」

 

「必要無い。私が教える事になっている。」

 

「お、おい箒。」

 

「ふーん、あんた、専用機持ってるの?」

 

「な、無いが。」

 

「じゃあ専用機持ちのあたしが指導した方が勉強になるんじゃない?それに訓練機だと機体を使用する申請に丸一日は掛かるし。」

 

「くっ!」

 

「それに箒この前もISについて教えるとか言っといてずっと剣道の練習ばっかだったよな。」

 

「そ、その事についてはすまないと思っている...」

 

「じゃあ、今度はISの事についても教えろよ。」

 

「わ、分かった。」

 

「じゃあ箒も今日は訓練機が借りられないから明日から一緒にやろうぜ。」

 

「ああ!」

 

箒は嬉しそうに頷く。

 

「そんな!?」

 

「鈴も良いよな?」

 

「う...分かったわよ...」

 

ラーメンを食べ終わっていた鈴は不機嫌そうに食器を片付け、そのまま去って行った。

一夏と箒も寮長である千冬に怒鳴られたくない為、早めに食べ終えた。

 

そして放課後、特訓が終わりーーー

 

「はい、一夏。スポドリとタオル。」

 

「お、サンキュ。箒、今日は先に風呂入るぞ。」

 

「分かった。」

 

「な、ふ、風呂って、あんたらどう言う関係なの!?」

 

「俺たち部屋が一緒なんだよ。」

 

「い、嫌じゃないの?」

 

「幼馴染だからな。他の女子よりは全然良い。」

「ふーん、幼馴染だったら良い訳ね?」

 

「え?あ、ああ。」

 

「ふーん、そうなんだ。」

 

鈴は何かを思い付いた様な顔をし、待機室から去って行った。

そして現在に至る。鈴が突然一夏の部屋を訪ねて来て何を言うかと思えば、

 

「篠ノ之さん、あたしと部屋変わってくれない?」

 

である。鈴は一夏に好意が有り、これまた一夏に好意がある箒は当然反論した。二人の言い争いが続くかと思われたが、そこへある人物が割って入った。

 

「五月蝿いぞ、さっきから。近所迷惑だ。陽乃が寝れん。」

 

「うっさいわね。あんた。朝は無視しといて今度は自分の話を聞いてもらおうなんて、都合が良すぎるわよ!」

 

「あれは話をしたくないから無視をした。だが今回は違う。こっちは睡眠不足になるかもしれないんだぞ。」

 

「う、うっさいわね!なんなのあんた!」

 

「お婆ちゃんが言っていた。俺は天の道を往き、総てを司る男、天道総司だ。」

 

「へえ、自己紹介位は出来るのね。以外とまともね。」

 

「ほう、口だけは達者だな。お前もクラス代表らしいな。この決着はクラス対抗戦で着けるぞ。」

 

「良いわ、軽く捻り潰してあげる。」

 

「良いだろう。勝負だ。」

 

両者の目から箒と鈴の間の物とは違う火花が飛び散っていた。

 

「なあ天道、鈴が部屋変えろって言って聞かねーんだよ。どうにかしてくれ。」

 

「良いだろう。何時迄も話を続けられると困るのは一緒だからな。それで何があった?」

 

「あたしと篠ノ之さんで部屋を変わろうって言ってあげてんの。ほら、篠ノ之さんも男と一緒だと色々と嫌でしょ?」

 

「だから、必要無いと言っているだろう!」

 

「成る程な。話は分かった。これは完全に凰に非が有る。」

 

「そうだろう天道!」

 

「はぁ!?何でよ!」

 

「当たり前だ。先ずお前、寮長織斑千冬に許可は取ったのか?」

 

「ギクッ!」

 

「それと、同居人が変わる立場の織斑の了承は得たか?」

 

「ギクギクッ!」

 

「ほら、この様だ。それが分かればさっさと去れ。」

 

「〜ッ!分かったわよ!」

 

鈴は地団駄を踏みながら帰って行ったが小柄な為、子供が拗ねている様にしか見えない。

 

「サンキュー天道。助かったぜ。」

 

「別にお前の為じゃ無い。邪魔虫を追い払っただけだ。」

 

そしてクラス対抗戦の組分けはまるでその事を予期していたかの様な結果だった。

 

『天道 総司VS凰 鈴音』

 

そしてクラス対抗戦一回戦の日、アリーナでは、既に両者がISを展開していた。

鈴は甲龍(シェンロン)と言うISを纏っている。

 

「全身装甲?変わったISね。まあ良いわ。ハンデはいる?」

 

「必要無い。寧ろお前にハンデをやりたい位だ。」

 

「その減らず口、何時迄叩いてられるかしらね!賭けをしましょ!勝った方が何でも相手の言う事を聞く。」

 

「良いだろう、掛かって来い。」

 

「行くわよ!」

 

試合開始の合図と共に鈴がカブトに突っ込んだ。だがカブトはそれを軽く避け、蹴りを叩き込んだ。一夏戦の時にも使用した戦法だ。

 

「なっ!やるわね!」

 

鈴は武装の一つ、『双天牙月』と呼ばれる青龍刀を振りかざし、カブトのカブトクナイガンとの鍔迫り合いに持ち込む。しかしカブトのパワーは強く、逆に鈴が追い詰められて行った。

 

「嘘でしょ!?何なのこのパワー!」

 

そのままカブトが押し切ったが、鈴が吹き飛ばされたと同時に甲龍の肩に有る部分から見えない『何か』が放たれ、カブトに直撃した。これは第三世代型ISの兵器の一つである『龍砲』と呼ばれる武装である。

 

「今のはジャブだからね。」

 

「ほう、面白い攻撃だな。」

 

だが突如、天井の方から爆発音が聞こえた。そして振り向くとカブトと同じく、全身装甲のISが姿を現した。

会場に居る人々は悲鳴をあげ、パニックに陥った。

勿論試合を観戦していたセシリアも驚いたが悲鳴を上げる様な事はせず、皆を避難させようとした。

 

しかし唯一人、陽乃だけは慌てる素振りすら見せず、観戦を続けた。

 

「へえ、面白そうね。」

 

「雪ノ下さん!?何をなさってるんですか!?早く逃げますわよ!」

 

「大丈夫、総ちゃんならやってくれる。」

 

「え?」

 

そしてカブト達ーーー

 

「何あれ!?天井のロックは厳重な筈よ!」

 

「下がっていろ、凰。本当の戦いを見せてやる。」

 

「はあ!?あんなのにあんた一人で適う訳無いでしょ!?」

 

「大丈夫だ。俺にはまだ切り札がある。」

 

「何言ってーーー」

 

そう言い終わらない内に、また天井から今度はISとは違う『異形』が十匹、降って来た。九匹が緑色の昆虫のサナギを模した様な形、中央の一匹が青い蜘蛛を模した様な形をしている。会場の悲鳴は更に増して行くばかりだ。

 

「嘘!?今度は化け物まで!?逃げるわよ!」

 

「お前は逃げろ。俺なら奴等も倒せる。」

 

「調子に乗ってんじゃないわよ!あんな訳分かんない奴に戦いを挑むとか馬鹿じゃないの!?」

 

「それは違うな。」

 

「え?」

 

「このISは元々奴等への対抗手段として作られた物だ。絶対に勝てる。」

 

「...分かったわよ。但し死んだりしたら承知しないから!あんたには言いたい事が沢山有るんだから!」

 

「ああ。」

 

全身装甲のISは異形達に銃口を向けたが、一瞬にして消えたーーー否、違う時間の流れに乗る『クロックアップ』と呼ばれる技を使った青い異形により吹き飛ばされる。そして数秒もしない内にISは機能を停止した。そして次はカブトを狙い始めた。

 

「何あれ、いきなり怪物が消えたと思ったら、今度はISが機能停止したじゃない!でもISが解除されないって事はまさか...無人機!?」

 

「早く逃げろ!」

 

「う、うん!」

 

鈴は出口へと向かって行ったが、また青い異形がクロックアップし、鈴へと攻撃する。

 

「うっ!キャアッ!」

 

そして甲龍が解除され、鈴の身体が投げ出される。

 

「凰!」

 

カブトが落ちて来た鈴をキャッチする。

 

「少し此処で休んでいろ。俺は奴を倒して来る。」

 

「う、うん...」

 

力の無い声で鈴は頷いた。

 

「勝負だ、ワーム共。」

 

そう言い、カブトはワームと呼ばれる異形の方に走って行った。

先ずは緑色のワームである『サナギ体』をカブトクナイガンにエネルギーを溜め、撃ち出す『アバランチシュート』で一掃して行く。だが突然、二匹のサナギ体の体が赤くなり始め、青いワームーーー『アラクネアワーム ルボア』と形は同じだが配色が違う黄色い個体『アラクネアワーム フラバス』と白い個体『アラクネアワーム 二グリティア』へと『脱皮』した。脱皮とは緑のサナギ体から様々な昆虫を模した姿へと変化し、それと同時にクロックアップが使用可能になることだ。

 

「脱皮か、厄介だな。」

 

そう言い終わるのと同時に天道の身体が吹き飛ばされた。勿論アラクネアワーム達のクロックアップだ。

 

「ック!」

 

そしてルボアが止めを刺そうとするがーーー

 

「お婆ちゃんが言っていた。『俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する!』」

 

天道語録の一つを叫び、カブトクナイガンをアックスモードにし、刃先の『バヨネットアックス』で敵を切り裂く技『アバランチブレイク』で眼前まで迫ったルボアを切り裂いた。するとルボアが爆発し、青い炎に包まれた。

 

「す、凄い...」

 

鈴は驚きの表情を隠せなかった。天道があの青い化け物と互角に戦っているのだから。

そしてカブトはベルトに付いているカブトゼクターへと手を伸ばし、角に当たる部分ーーー『ゼクターホーン』を少し前に倒した。すると、カブトの装甲が少し膨らんだ。そしてまたゼクターホーンを掴みーーー

 

「キャストオフ!」

 

完全に先程と逆の位置に引いた。

 

『Cast Off』

 

電子音声と共にカブトの装甲が弾け飛び、クロックアップしていたワーム達にも当たって吹き飛ばされた。

そして倒れていた頭部にあるカブトムシの角に当たる部分ーーー『カブトホーン』が上がり、

 

『Change Beetle』

 

と言う音声が鳴った。

 

「ここからが本当の戦いだ。」

 

 

その頃、管制室ではーーー

 

「あれは、第二形態移行(セカンドシフト)!?」

 

「いや、違う。」

 

「え?」

 

「あれはカブトの第二の姿。ライダーフォームだ。」

 

千冬の言う通り、先程迄のカブトは『マスクドフォーム』と呼ばれる形態で有り、キャストオフした形態を『ライダーフォーム』と言う。そして先日陽乃が変身したガタックや千冬が変身したザビーも例外では無く、ガタックやザビーにもライダーフォームがある。

 

「天道君のISについて何か知っているんですか?」

 

「何れ話そう。」

 

 

その頃、カブトはワームを圧倒していた。

 

「どうした?その程度か?」

 

「「グルルルルッ!」」

 

ワームは再びクロックアップを使い、一瞬で消えた。それを見ていた陽乃と千冬以外の誰もが先程の二の舞になるだろうと思ったその時、カブトは

 

「クロックアップ!」

 

と叫び、ベルトの横についているスイッチーーー『スラップスイッチ』を弾く様に押した。それと同時にスラップスイッチから

 

『Clock Up』

 

と言う電子音声が鳴り、カブトの周りがスローモーションになった。そう、カブトはワームと同じ、クロックアップを使ったのだ。

 

先程とは違い、天道はクロックアップを使える二体のアラクネアワームは天道の敵では無かった。

先ず天道はカブトクナイガンの銃口の部分を引き抜いた『クナイモード』でアラクネアワームが吐いてくる蜘蛛の糸を切り裂き、クナイモードで敵を頭上から突き刺す『アバランチスラッシュ』でフラバスを突き刺した所で、

 

『Clock Over』

 

クロックアップの終了を知らせる合図、クロックオーバーになり、また時が元通りに動き出した。そしてアバランチスラッシュで突き刺したフラバスが爆発し、黄色い炎に包まれた。

 

「一体何が!?」

 

誰もがそう思った事だろう。これは只の人間から見れば、一瞬の間に起こった事なのだ。

そしてカブトはと言うとーーー

何とワームに背を向けていた。戦いでそれは自殺行為である。

これを絶好のチャンスと見たのか、二グリティアはカブトに向かって行った。

だが実際は違った。カブトはベルトのカブトゼクターに付いている『1』、『2』、『3』と書かれたボタンを順番に押した。

 

『1』

 

『2』

 

『3』

 

そしてカブトゼクターをマスクドフォームに戻し、

 

「ライダー...キック!」

 

更にもう一度ライダーフォームの状態に戻した。

 

『Rider Kick』

 

その電子音声と共に、カブトは回し蹴りを放った。

 

「ハァ!」

 

そして白い炎の爆発が起こり、そこにはカブトだけが立っていた...




と言う訳で第5話でしたが如何でしたか?
遂に書きたかったライダーキックが書けました!
もうライダーに変身する人物は全員決まってますが、
天道の他にもう一人、原作キャラが出ます。
もう分かっていらっしゃる方も多いと思いますが...
後、質問、感想、意見等、どしどしお待ちしています!

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