俺の戦闘力は53万らしい   作:センチメンタル小室

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第3話

さてあれから一夜明け、外ではチュンチュンと雀とかなんか鳥が鳴いている。

 

昨日は早退したこともあって早く寝たため日の出とともに起きてしまった。

 

これで昨日のことがなければ早寝早起きできて爽やかないい1日になりそうだとか言えるのだが実際はそうはいかない。

 

多分今日登校したら、クラスメートにいろいろと聞かれるだろう。

 

そんなわけで今日は学校サボるかーとか思っていると寮の扉をノックする音が聞こえた。

 

なんとなく嫌な予感がするので居留守を使うが更にノックの音が激しくなり何となくいたたまれない気分になってきたので扉を開ける。

 

この流されやすい性格どうにかしたいんだけどな……とか思いつつ扉の前を見るとやはりと言うかなんというか昨日弟子にした古菲がいた。

 

 

「師父、おはようアル」

 

 

姿を確認するとすぐに扉を閉めた。

 

なんでいる……確かに昨日、また来るって言ってた気がするけどなんで俺の家を知っている……

 

夢であってほしいなと思いつつもまた扉を開ける。

 

 

「師父、おはようアル」

 

 

どうやらこの妄想は消えてくれないらしい。

 

 

「あー、そこで突っ立ってるのもなんだし中入れよ」

 

 

そういうわけで彼女を家の中に入れることにした。

 

美少女突っ立たせて寮の誰かが集まってきたらまずいしな。

 

 

「で、なんでいるんだ?」

 

「師の送り迎えをするのは弟子の勤めアル」

 

 

なんかよくわからんがそういうことらしい。

 

色々と気になることはあるがとりあえず一番気になったことを聞いてみる。

 

 

「えっと、なんで俺の家の住所知ってるんだ?」

 

「担任の高畑先生が知ってたネ。そういえば再戦がどうとか言ってたアル」

 

 

あー、そういうことね。

 

……って高畑なにしてるんだお前。

 

個人情報保護法はどこに行ったんだ。仮にも教師だろ。

 

恨みでもあるのか……ってありそうだな。粉砕骨折したし。

 

しかも再戦ってまた来るのかよ。

 

そういえば風のうわさであれから修行に励んでるとか聞いたな。

 

なんか裏でSランクくらいの強さだとも聞いたような……

 

げ、原作より評価上がってるし。これが原作ブレイクアルか……

 

あ、少し混乱して口調うつったアル。かんべんしてほしいアル。

 

 

「で、師父。学校にいくアル」

 

 

少し現実逃避していると彼女がそう言ってきた。

 

いや、今日はサボるつもりで……

 

え?師父たるものちゃんとしろ?いやあの空気はさすがに……ね?

 

そう思いながらもそのまま彼女に引きずられて学校に行ってしまった。

 

押し弱すぎだろ俺……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、教室まで来たわけだが、彼女は「また放課後来るアルー」とかいって去っていった。

 

おいこの空気どうにかしてからいけよ。いやどうにかしてくださいお願いします。

 

後ろを振り返ると笑顔で、ニコニコしながらクラスメイトの方々が出迎えてくださった。

 

笑顔はもともと威嚇の表情であり云々ってのは本当なんだね……

 

「おいコラ、なんで古菲ちゃんと一緒に登校してやがる」とか「あんな可愛い子を土下座させるなんてこの外道!」とかそういった剣呑な雰囲気を感じる。

 

 

「おいなんで古菲ちゃんと一緒に登校してるのかな?」

 

あ、実際に口に出た。

 

そう言われてそっちを見ると、ポキポキと拳を鳴らしながら今か今かと殴りかかろうとしているリーゼントの学ランをきた男がいた。

 

 

『豪徳寺 薫(ごうとくじ かおる)』クラスメイトで喧嘩三十段とか呼ばれており、表の人間ながら、『気』を習得し、遠当てを使用することができる。

 

なんか男塾にいそうなキャラだよな。序盤から中盤あたりで気の使い手として出てきて後々になると民明書房出して戦闘の解説とかしそうな。

 

そういや原作では格闘大会で解説やってたな。

 

てかもう夏近いのに学ラン熱くないのだろうか?

 

まあ、よく決闘を申し込まれるのでよく絡んでいるやつだ。

 

 

「いや、なんか弟子として師匠を出迎えるのは当然のことだとか行って家まで「ほほう、朝起こしてもらって朝食を作ってもらい、嬉し恥ずかし一緒に仲良く登校、更に下校の約束まで取り付けたと。」いや、起こしてもらっては……」

 

「諸君。このようなことが許されていいと思うか?」

 

「は、話聞けよ……」

 

 

そうして彼はクラスメイトに同意を取る。

 

この麻帆良学園では、男子部と女子部がわかれているため、男女の出会いが少なく、出会いを求めている男は多い。

 

てかこのクラス割とむさくるしいのでモテない奴が多い。

 

え?俺?前世含めて彼女とかいませんがなにか?

 

あと、どちらかと言うと年上が好みです。はい。

 

さてそういったクラスで可愛らしい、しかも武闘四天王と呼ばれ一種のアイドルみたいに君臨している彼女と登下校した場合どうなるか。

 

 

「野郎ども!かかれ!」

 

「「「オー!」」」

 

 

まあ、こうなるわけで。

 

クラスの連中はこちらに向かって飛びかかってくる。

 

いや、手加減大変だからくんなし……

 

とりあえず怪我させると不味いので飛びかかってくるクラスメイト共を簡単に躱す。

 

だが俺が躱している間に豪徳寺は自分の持てる最強の技を準備していた。

 

 

「喧嘩殺法 未羅苦流 究極闘技 "超必殺・漢魂"ァ!!!!」

 

 

そういって豪徳寺は拳を構え、気を貯め波動拳みたいなものを放つ。

 

そして俺に直撃し、土煙が上がる。

 

 

「「「やったか!?」」」」

 

 

クラスの連中はそう言うがそれフラグ、とか思いつつ土煙の中から飛び出し豪徳寺に向かっていく。

 

仮にも戦闘力53万なのだ。魔法の矢と同威力程度の気弾など、どうということはない。

 

拳を握り0.0000000001%、本当にそれくらいなのかは分からないが限界まで手加減してパンチを繰り出す。

 

だがそのパンチは当たらない。いや、当てていない。

 

所謂寸止めというやつだ。こうでもしないと人が死ぬ。

 

限界まで抑えたとはいえ戦闘力53万は伊達じゃない。これくらいであっても風圧で豪徳寺は吹っ飛ぶのだ。

 

そして、そのまま豪徳寺は教室の机を巻き込みながら壁に激突し、気絶した。

 

 

「ご、豪徳寺が一撃で……」

 

「く、これが麻帆良最強……」

 

「俺達が敵う相手じゃ……」

 

 

クラスで一番強い豪徳寺がやられたことでクラスメイトの士気が下がり一種の膠着状態になる。

このままなら手を出さずともいけるか?とか考えるがそうは問屋がおろさない。

 

 

「待て!俺がやる」

 

 

そういって一人の男が前に出てきた。

 

 

「お、お前は隣のクラスの中村!」

 

「ふっ、俺もいるぜ!」

 

「俺も忘れるなよ!」

 

「そういうお前は、山下!大豪院!」

 

 

あ、なんかめっさ出てきた。めんどい。

 

『中村 達也(なかむら たつや)』こいつもまた遠当ての使い手であり表の人間でありながら『気』を使える。

『山下 慶一(やました けいいち)』3D柔道の使い手でビジュアル系のため割とモテる。爆ぜろ!

『大豪院 ポチ(だいごういん ぽち)』拳法家であり、連続攻撃による近接戦闘が得意。

 

ちなみにこれに豪徳寺を含めた4人は、麻帆良武闘四天王に対抗して、男子高等部武闘四天王と呼ばれている。

 

え?俺?なんかチャンピオンは例外らしくハブられてる。

 

 

「さすがに麻帆良最強といえどこの3人なら!」

 

「ああ、やれる!勝てるぞ!」

 

 

そうして3人が加わったことに士気が急激に上昇する。

 

 

「大豪院と俺が前衛に出る!中村は後衛で気弾を当ててくれ!」

 

 

そういって山下が陣形を考える。

 

まあそういうところが妥当だろうな。中村は遠当てできるとはいえ近接は苦手だし。

 

そして彼らが来る瞬間

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

 

 

 

 

チャイムが鳴った。

それと同時に殺伐とした空気は霧散……したわけではないが先程より収まっている。

 

 

「ちっ、授業が始まっちまう。運が良かったな!五三!」

 

「続きは昼休みだ!覚悟しておけ」

 

「首を洗って待っているんだな!」

 

 

そう言って中村、山下、大豪院は去っていった。

 

クラスメイトたちも散らばった机を元に戻す。

 

お前ら割とはっちゃけてるのに真面目だな……

 

てか昼休みもやるの?神経削るし……逃げるか。

 

そう考えつつ席につくと、担任がやってきて授業が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば気絶した豪徳寺はどうなるんですかね?

あ、欠席扱いになった。スマン豪徳寺……


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