俺の戦闘力は53万らしい   作:センチメンタル小室

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第2話

オッス、オラ悟空ではないけれど転生者だ。

 

名前?ああ、『五三 万(いつみ よろず)』だ。よろしくな!

 

生まれてきた時はまじで、まんまじゃねえかとか思った。

 

まあ親父の名前が『五三 一(いつみ はじめ)』だったり、祖父の名前が『五三 兆次郎(いつみ ちょうじろう)』だったりといろいろあれだったから、代々の伝統らしい。嫌な伝統だな……

 

ちなみにおやじの戦闘力は531でもないし、祖父の戦闘力も53兆とか行ってない。

 

でないと地球がやばい。531はまだしも53兆とかぶっ飛び過ぎだ……

 

さて、あれから数十分は立ちすくんでいるわけだが、彼女が何を言ったか思い出してみよう。

 

確か……弟子にしてください。だったか?

 

Why?なぜ?自分は基本的にスペックゴリ押しで戦うタイプなので彼女のような技とかそういうので戦うタイプとは合わないと思うんだが……

まあ、弱くあるために見稽古もどきでいろんな技使ってるけれど、あれは他人の技の技量以下でしか技を使えないので洗練されているわけでもなく、彼女からしたら凡庸な技にしか見えないはずだし。

 

ちなみに見稽古もどきは強者であればだれでもやっているようなことだ。

 

1度見た技は喰らわないみたいなあんな感じ。

 

技の力の流れとか貯めの動作を見切り相手の隙を読むみたいなことの最終形みたいなものだ。

 

それにより見よう見まねで相手の技の力の流れ、貯めの動作を真似し放つというわけだ。

 

原作においてジャック・ラカンが適正がないにもかかわらず、闇の魔法を真似できたことだし多分あいつもできるんじゃないかな?

 

さて、このまま黙っているのも辛いのでなぜ弟子になりたいのか聞き返してみることにした。

 

「えーっと、古菲さんはなんで俺なんかの弟子になりたいんだ?正直オレは中国拳法とか殆ど知らないし、人に教えたこともないから何かを教えるのは向いてないと思うんだが・・・」

 

「古菲でいいアル。なぜ弟子になりたいかというと、今までみた誰よりも強いから、それ以外にないアル」

 

あー、そういえば彼女脳筋だった……

 

マチズモと言うかなんというか強いものに目がないタイプだったな……

 

でも自分の強さはだいたい生まれ持った戦闘力53万とかいうチートと、強者ならレベルの差はあれど大体のやつが持ってる見稽古もどきなわけで……

 

正直教えるとか無理です……

 

ワンパンマンでただ鍛えればなんとなく強くなったサイタマがジェノスに対して何かを教えることができないように、生まれ持った戦闘力だけで戦う自分が彼女に対して何かを教えることはできない。

 

それに見稽古を教えるとしても見稽古は強くなるための技じゃなくて弱くなるための技であり、強者を目指す彼女には向かないだろう。

 

というか教えたら器用貧乏になりそうだ。

 

「俺は弟子とか取ってないし取る気もないから断らせてもらう」

 

弟子との手合わせとかの際に手加減ミスったら色々とあれだしな……

 

というかさっきまでなんかそれっぽいことを考えてたが実際の理由としてはこっちがメイン。

 

今でさえ手加減でストレス抱えてるっていうのに弟子なんて取った日には……

 

やめよう。考えるだけでハゲそうだ。

 

そしてその場では彼女はおとなしく引き、諦めたのかなと思っていたのだが。

 

俺は彼女の強引さをまだわかっていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弟子にして欲しいアル」

 

次の日の昼休みまたやってきた。

 

しかも高等部の方に、更になんか土下座してるわけで……

 

ここで周りの状況を考えてみよう。

 

高等部の教室。

片方は土下座して頼み込んでる美少女。

もう一方は無言で佇んでいる少年。

ざわめくクラスメート達。

 

気まずい……ものすごい気まずい……

 

だって美少女に土下座されてるんだよ?しかも彼女は麻帆良武闘四天王であり有名人。

 

そんな人に土下座されてる状況。

 

周りからはお前何様だよみたいな目で見られてるわけで……辛い。

 

彼女に頭をあげるように言うも

 

「弟子にしてくれるまでこのまま動かないアル!」

 

といって梃子でも動かない。

 

無視を決めようにも周りのクラスメートの目線がどんどん冷たくなっていく。

 

さてそんな状況で一般人のメンタルしか持たない自分が取れる行動は!

 

「あー、頭を上げてくれないか。弟子にするから」

 

まあこれしかないわけで、結局折れた。

 

それでその後のことはあまり覚えていない。

 

なんか師父と読んでいいアルか!とか明日も来るアル!とか言ってた気がするけど、そんなことは些細な事だ。

 

笑顔で手を振りながら去っていく彼女を見送っていると後ろからとてつもない量の殺気が飛んできている。

 

おそらく、クラスの男どもだろう。

 

彼女の姿が見えなくなると同時にすぐさま逃げる。

 

まあ逃げるのは簡単だった。戦闘力53万で逃げればねえ?

 

さてまだ授業が残ってるわけだがこのまま授業受けるとかなにその拷問とも言える状況なのでそのまま早退することにした。

 

明日から登校拒否していいかな……


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