『101番目の哿物語』   作:トナカイさん

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原作第三巻の内容、今話にて終了となります。
ここまで長かった……。
第三巻の内容は苦労の連続でした。
金次を負けさせるところとか、今話のラストに繋げる展開を考えるのとか。



第十九話。終わる日常

「なっ……なんだその力は⁉︎」

 

氷澄の驚愕顔を、その意図するものも鮮明に捉える事が出来る。まるで、見えている世界の情報か一気に書き換わったかのような、別の脳がもう一つあるかのようなそんな感じだ。

ただの目で見た情報ではなく、物語を『ロアの視点』で把握するような意識が俺のものとは別に生まれている。ヒステリアモードではない、『ロア』としての俺の力。

そんな新たな脳……『ロアの知識』の中にはあるイメージがある。

それは大きな書物が、幾つにも蝋燭に照らされて大量に浮かんでいるという『書庫』のイメージだ。

その中の一冊。先ほど、俺が選ばなかった物語に手を伸ばすと、それは『月隠のメリーズドール』の物語だった。

俺はその物語を、自身が共に歩む物語として選択する。

その途端、『月隠のメリーズドール』の物語が、俺の中に溢れ始めた。

______そうだ。これが人間ではなくなるという感覚なんだ!

これが『ロア』になるという意識なんだ!

高揚感と共に寂寥感もあるのは、『人間を辞めた人間』になった、というのを受け止めなければならないからだ。理子語でいう『逸般人』に俺はなってしまったのだ。

だけど……。

大事な物語を守る為なら。

大事な人達の笑顔を守る為ならば。

いつも通りの『日常』を過ごせるようにする為ならば。

この力はなくてはならないものだ!

 

「『月隠のメリーズドール』!」

 

俺が一言口にした瞬間、そのイメージで手にしていた本が実体化した。

直後、俺は跳躍していた。

 

『想起跳躍(リンガーベル)』!」

 

言葉を聞いた対象の元に空間を超えて移動する能力。

その能力を使うと、一瞬で視界が切り替わり、そこは氷澄の背後になっていた。

 

「おりゃっ‼︎」

 

手刀をそのがら空きの背中に向けて繰り出す……が。

 

「させるかよ!」

 

その手はキンゾーによって阻まれる。

反対側の手を使って『桜花』気味に手刀を繰り出したが……その手は横からラインに掴まれて止められた。

 

「ぐっ! やりおるな……お主、自身がバケモノになることを認めおったか!」

 

「バケモノじゃない、俺の大切な物語達だ!」

 

そのまま、ラインに向けて、今度は『桜花』気味に蹴りを放つが、彼女は一瞬のうちにその姿を消していた。

キンゾーと氷澄の姿もない、音よりも速く移動してしまったようだ。

だが、今度は見える。今の俺ならラインの動きも、キンゾーの動きも見える!

実際に触れ合って解ったが、ラインは速度は速いが、実際の身体能力や殺傷力はあまりない。

攻撃として警戒しなければいけないのは、『音速境界(ライン・ザ・マッハ)』を始めとしたロアならではの技だけだ。ラインよりも警戒しなければならないのは、やはり。

 

「『俺の首を撥ねたのは、お前か?』」

 

その声が聞こえた瞬間、俺の瞳にはスローな動きながらも俺の首の位置。丁度頚動脈を切る角度にワイヤーが迫るのが見える。俺はすぐ様、首の位置を右下に傾ける。

その直後!

 

ヒューン、と何かが地面に向かって突き刺さる音が聞こえ。

その音の正体を確認すると。

それは、細いピアノ線のようなワイヤーだった。

ピアノ線を自在に操る存在。

……そんなことが出来るロアは、奴しかいない。

 

「剣や銃より、拳の方が強いんじゃなかったか? キンゾー?」

 

「ケッ、兄貴を今ので仕留められるなんて思っちゃいねえよ。ただの準備運動さ。本気になった兄貴と闘る為の、な」

 

氷澄よりも、その相棒(パートナー)であるラインよりも警戒しなければならない相手。

それは俺の弟。遠山金三だ!

このアホ弟は……キンゾーはアホみたいに強い。

ロア化してなくても軽く人間を辞めてるような奴で。むしろ、『逸般人』と呼ぶにふさわしいのはこのアホの弟の方だ。

 

「なんか今……兄貴に思いっきりバカにされた感じがしたな……バカ兄貴の分際で、『人工天才(ジニオン)』をバカにしやがったら許さねえからな!」

 

兄貴の分際ってなんだよ⁉︎

ま、いいけどさ。

 

「で、準備運動はもう終わりか?」

 

俺の問いにキンゾーは頷くと。

ノーモーションで掌打を放ってきた。

それは紛れもない、キンゾーの本気の一撃。

『桜花』や『流星』とは違う、相手を殺す為の正真正銘の『必殺技』。

そう。鬼の一味。『閻』が放って、俺がこの世界に来ることになった原因ともいえる技。

『羅刹』。

相手を確実に心肺停止させる文字通りの必殺技だ。

 

(これは避けらない。なら……『回天』!)

 

バ、シューン。

キンゾーの掌から放たれた衝撃により一度は俺の心臓はその機能を停止させるも。

『桜花』を前後から同時にぶつけて無理矢理自己蘇生させる荒技、『回天』を放った事により、その鼓動は再び開始される。

 

「痛ってえぇぇ……死にかけたじゃねえか!」

 

「兄貴ならこのくらい平気だろ?

次は兄貴が俺に放てよ? 自己蘇生(マッサージ)の練習しようぜ?」

 

まるで、キャッチボールやろうぜ、的なノリで話しかけてくるアホの弟(キンゾー)

ほら見ろ!

お前のその常識外の珍行動のせいで、氷澄やラインが呆然としてるじゃねえかー⁉︎

 

「……ヤバい奴らと関わりあってしまったようじゃな。氷澄、撤退した方が良いかもしれぬぞ」

 

「バカな……死んで生き返った、だと⁉︎

悪い夢でも見てるのか……俺は?」

 

氷澄の顔には焦りや怖れといった感情が浮かんでいた。

今まで数多くの『主人公』に勝ち続けてきた氷澄だが、俺やキンゾーのような『超人』染みた強さを持つ人間とは戦った事はなかったみたいだ。

 

「氷澄、撤退じゃ。今のお主では奴には勝てぬ。

『畏れ』を抱いた、今のお主ではな……」

 

「この俺が怖れているだと?

バカな……俺があいつに負けると言うのか⁉︎」

 

しかし、氷澄のプライドは撤退を認めなかった。

そんな氷澄に対してラインは複雑そうな顔を浮かべながらも「それでも仕方ないか」という見守るような視線を向けていた。

そのラインの顔を見た俺は、あのコンビにもチームワークがきちんと存在しているというのを理解した。

それがどんな絆で繋がっているものなのかは解らないが、強い結びつきなのかは理解できる。

だが、氷澄はそんなラインの視線には気付くことはなく、俺を睨み。

 

「それに、あいつの全身はボロボロだ。いかにロア化したとはいえ、長く動けるはずがない。お前やサードが回避し続ける限り、力尽きるのは時間の問題だ!」

 

氷澄の指摘は冷静で、正しい。

俺はロア化した瞬間から、急速に力が『世界』に奪われていくような……まるで、自分の中の体力が蒸気となって吸い上げられているかのような感覚を感じていた。

このまま、戦闘が長期化すれば、先に倒れてしまうのは俺の方だ。

本当に不利なのは実を言うと俺の方なのだが。

だが、氷澄は一つだけ勘違いをしている。

 

「間違えてるぞ、氷澄」

 

不敵な笑みを浮かべた俺に、氷澄は警戒した顔で聞き返す。

 

「『全身』をボロボロにした。本当にそう思っているのか?」

 

確かに俺の体はボロボロだ。

あちこちの肉は裂け、血は噴き出している。

だが。

俺は『全身』をズタズタにされることはない、と知っている。

さっきから……いや、思い返せば、ずっと。

背中に感じる熱さがある!

 

「お主……」

 

ラインが訝しげな視線を俺に向ける。

彼女は気付いたのだろう。全身を切り裂くはずの、音速を超える技を何度も受けたにもかかわらず。

その部分だけは影響を全く受けていないということに。

 

「何故、その背中には……一切の傷がないのじゃ?」

 

 

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ!

 

 

ラインがそう尋ねたその時だった。

突然、スクラマサクスとモノクルとなったDフォンから、着信音がけたたましく鳴り響き。

 

「「「……っ⁉︎」」」

 

氷澄、ライン、キンゾーが驚いている間に、その音は勝手に鳴り止み……。

 

『もしもし、私よ』

 

俺のDフォンから、そんな電子音っぽい声が響き渡る。

 

『今、貴方の後ろにいるの』

 

 

 

「貴様……‼︎」

 

氷澄がソイツの登場に、戦慄して息を飲むのが解る。

それと同時に、俺の背後に、ピッタリと寄り添う彼女(・・)の感触を感じる。

そう。これが俺が感じていた熱の正体。有利だろうが、不利だろうがどこでも現れる少女。

それは、そう、紛れもなく。

 

「一之江……「ミズエ・ドリル‼︎」痛ダダダダダダダダ⁉︎」

 

久しぶりの登場。そこには感動の再会が……。

 

ガリガリガリガリ! 何かが背中に突き立てられてる⁉︎

 

「アダダダダダダダー⁉︎」

 

感動の再会?

何ソレ?

喰えんのか?

 

「新たな必殺技は成功のようですね……」

 

「いきなり何するんだ⁉︎」

 

「うっわっ、カッコつけ病をこじらせたみたいな格好ですね。うっわ」

 

「うっわ、とか二度も言うな!」

 

「いや、だって。白いロングコートで。黒いスーツに。モノクルに、スクラマサクスって。うわー。しかも私の能力を使うからって金髪までパクッて。このパクリストめ!」

 

「あー……何かいろいろすまん」

 

指摘されると、どんどん恥ずかしくなる。

変身ヒーローは皆んな、こんな羞恥心とかとも戦っていたんだな。これからは変身ヒーロー達に共感しながら、特撮とかも見れそうだ。

 

「まあ、外見の痛さはさておき。ついに『百物語』の『主人公』にもなりやがりましたか。あーあ」

 

「あ、ああ、まあな」

 

あーあ、って。一之江の声は、やや責めるような感じだな。

そういえば、キリカが言っていたな。

『俺が戦う力を求めるのが、一之江も悔しいはず……だ』と。

一之江やキリカが俺に対して求めなかった『百物語』の力。

だけど、やっぱり悔しかったんだ。

守られるだけの存在にはなりたくない。

女に守られるのは……何か違う。

やっぱり、男なら皆んなこう思うはずだ!

何がなんでも……女を守るってな。

それに。

コイツと……皆んなと一緒にやっていく為にはやっぱり必要な力だ!

 

「……じゃあ、もう守らなくてもいいんですね?」

 

「ああ、任せてくれ! 今度は俺が守るよ。君のことをずっと!」

 

「な、なら任せましょう」

 

そう答えた一之江の声は僅かに震えていたが……あれか?

まだ本調子ではないからか?

そんなことを考えていると。

俺の背後から一之江の気配が消えて。

 

「それでも、私を見ないようにしなさい、モンジ。うっかり殺してしまうので」

 

一瞬でラインの背後に現れていた。

 

「なっ⁉︎」

 

ラインは慌ててその場から移動するが、一之江はそんなラインの背後にピッタリとくっついたまま離れない。

 

「アホな格好つけ男を守らなくてよくなったので、ようやく私もちょっとだけ本気を出せます」

 

「本気じゃと……? ふん、ハッタリを!」

 

ラインはさらに加速して一之江から距離を取ろうとするが、一之江の姿はラインの背にくっついたまま、離れる事はなかった。

 

「なぬっ⁉︎ わらわについて来るじゃと⁉︎」

 

「ですから、本気をちょっぴり出すと言ったでしょう?」

 

一之江はピッタリとラインの背後にくっついて、高速移動をしている。

あまりにも速い動きのせいか、俺は一之江の顔を見ないですむ。

 

「どういうことだ……?」

 

ラインの速度にピッタリとくっついている一之江を見て、氷澄は冷や汗を流している。

俺は今、一之江のロア……『月隠のメリーズドール』を自分の物語として宿しているから、一之江がどのような『逸話』を使ってラインを追っているのかか解ってしまった。

 

「一之江のロアは『逃げる対象を絶対に逃がさない』。その逸話を持つ限り、一之江から……月隠のメリーズドールからは逃げらないんだよ。ラインが『いなくなったと思ったら、目の前にいる』ロアなのと同じようにな」

 

ラインは音速で動く為、音を聞いた対象の背後に現れるという『想起跳躍(リンガーベル)』は通じなかったが、本気を出した一之江はそんな技を使わなくても、延々と追いかけ続けることが出来るのだ。

あの日、『ロアの世界』に閉じ込めて、俺を延々と追いかけ回した時のように……。

自分の逸話を、自分の為だけに使うことが出来れば。

一之江は、最強の殺戮都市伝説……『月隠のメリーズドール』なのだから。

 

「貴様……その知識、完全にロアをその身に宿しているというのか……?」

 

「ああ、だから俺もお前達を逃がさない。いいか、……

氷澄、キンゾー______」

 

俺は氷澄とその隣にいるキンゾーに指を向けて。

 

「俺が背後を取ったら、絶対に振り向くなよ?」

 

そう一言告げた。

すると氷澄は逃げ出そうとし、俺はそんな氷澄の背後に現れたが。

突然消えて現れたキンゾーによって道を塞がれる。

『いなくなったと思ったら、目の前にいるロア』……それはキンゾーにも当てはまる。

 

 

「チッ……ついに人間を辞めたか。いや、元から辞めてたな。だが……兄貴の人外っぷりはNASAも驚くほどだな。そうだ兄貴? ちょっと兄貴の髪の毛採らせてくれよ。兄貴の細胞から『人間兵器』造るからよ」

 

そんなことを言ったキンゾーの背後に『想起跳躍』で移動した俺は、『桜花』を放ったやったが……そこはRランクの超人武偵。『橘花』と同じような技で拳を受け流すと。『流星(メテオ)』を放ってきた。

俺はその『流星(メテオ)』を『橘花』で受け流し、『絶牢』で返す、それをキンゾーは『絶花』返す。その一連の流れを15回繰り返したが。決着はつかない。

 

「なら、キンゾー。そろそろ決着(・・)付けようぜ?」

 

仕方ないので、代々遠山家に伝わる『切り札』で勝敗を決めることにした。

キンゾーは「それ(・・)で決着をつけるのが俺達にふさわしい方法だよなー」とノリ気で快諾し。

そして、お互いにそれ(・・)を繰り出した。

俺はキンゾーの背後にピッタリとくっついたまま、前に向かって頭を『桜花』気味に振り放ち。

キンゾーは俺の姿を見ないように視線を逸らしながら……『流星(メテオ)』を振り放った。

拳や脚ではなく。

超音速の……文字通り、全身全霊をかけた《切り札》を放った。

 

ゴスッ‼︎

 

「ぐはっ……⁉︎」

 

ゴスッ、と何か硬いものに当たる感触を感じる。

 

「痛てぇぇぇぇぇ……この石頭野郎ー!」

 

「それはお互い様だろうがー⁉︎」

 

「うぐっ⁉︎ つぅぅぅ……兄貴の石頭はそれだけで都市伝説になるレベルだぜ……」

 

そんな軽口を叩き合いながら気づく。

 

「つうか、キンゾー。お前、首から上ないのにこの勝負受けたのかよー」

 

『首なしライダー』のロアであるにもかかわらず、キンゾーはあたかも頭突きを食らったかのような感じで話す。だが、首がないなら当然、頭突きなんか出来るわけはなく……圧倒的に不利な勝敗の決着なのだが。

 

「……まあ、なんだ。俺としちゃ、兄貴と会えた時点で勝ち負けはワリとどうでもいいんだよ。

兄貴がどんなロアで、どんな能力を持っているか。それを知りたかっただけだしな。

だけど勘違いすんなよ? 俺は負けてねえからな! ……今回の勝負も引き分けだ!」

 

そう言って降参のポーズを取るキンゾー。

どうでもいい、と言いながらも負けは認めないのかよ。

ま、それならそれでキンゾーらしいから、いいんだけどな。

と、そんなやり取りをしていると。

 

「ぐっ!」

 

キンゾーの様子を見守っていた氷澄がその場から離れようと走り出した。

ラインだけではなく、キンゾーまでもがやられてしまった。

氷澄の頭の中は恐怖やパニックでいっぱいなのだろう。

だが、今の俺は『月隠のメリーズドール』を模したロア。

その背を逃すことは______ない。

______俺、という対象を『被害者』として指定する必要がなくなったからか。ここにいるのは一之江が『都市伝説』の逸話通りに殺す『被害者』ではない。彼女の物語を自分の体に宿した、『月隠のメリーズドール』の逸話を纏った『主人公』なのだから。

そう、俺がイメージした『百物語』はそれだ。

『大切な物語』と共に、不可能を可能に変えていく『主人公』。

一緒に、この街を、大切な人達を守る______仲間だ!

 

「くそっ!」

 

氷澄から、苦々しい声が溢れる。

今の俺はそんな氷澄の背を確実に追い詰める、そういった存在。

スクラマサクスではなく、鎌を持っていたら間違いなく死神とかと間違われるような、そんな存在だ。

狙った相手に思考をする時間すら与えずに追い詰め、そして______決着をつける!

それが今の俺の役目だ。

 

「ライン!」

 

「なんじゃの⁉︎ いて、いててっ!」

 

ラインはラインで、ずっと走って逃げ続けていた。

背中に一之江が刃物をツンツンと突き刺している。

 

「俺がコイツらの姿を捉える。お前は無差別に仕掛けろ!」

 

「ふむ。危険性も高いが、やるしかないようじゃな!」

 

氷澄とラインのやり取りで解った。

来るぞ!

『厄災の眼(イーヴルアイ)』と『音速境界(ライン・ザ・マッハ)』の合わせ技が!

氷澄の『見た』対象に厄災を集めてラインの無差別攻撃を対象指定に出来る、という無茶苦茶な能力が。

確かに……俺と一之江の姿を既に見ているアイツなら可能だろう。

だが……それだけならばまだ大丈夫だ!

と、思っていると。

 

「キンゾー! お主も来い!」

 

「ケッ、仕方ねえな……」

 

ラインの呼びかけにキンゾーも参加の意思表明をし出した。

空気読めよ、キンゾーさん⁉︎

さすがは不運に定評のある俺だ。無理ゲー仕様の強制イベントに参加させられるとは。

おいおい、勘弁してくれよ。

こちとらただの高校生なんだからさ。

強制イベントなんか願い下げだ!

だが俺の願い虚しく……キンゾーはなぜだかやる気に満ち溢れている。

マズイぞ。来るぞ!

ラインだけではなく、キンゾーの『流星(メテオ)』を加えた超音速の合わせ技が!

 

『モンジ君、どうするの?』

 

右手の甲が熱くなり、キリカの声が聞こえた。

俺は______少しだけ考えた後。

 

「なんとなく、やりたいことがある。……一之江! こっちに来てくれ!」

 

ラインを追っていた一之江を呼んだ。

 

「む……」

 

俺の意図を読んだのか、それとも普通に従ってくれたのか。

それは解らないが一之江はラインの背中を突き刺すのを止めて、俺の背に一瞬で戻ってきて開口一番に、尋ねてきた。

 

「で、あの技以上のものが来るわけですが、それをどうするんですか?」

 

「撃ち破ろうと思う」

 

「勝算は?」

 

「君の能力を使うんだ。勝てないわけない……だろ?」

 

「はい、素晴らしい勝算です」

 

そんな会話を交わした後、氷澄達を見た。

 

「なんと、あやつら立ち向かうつもりのようじゃぞ」

 

「フンッ、俺達の攻撃を打ち破れるものか」

 

「氷澄……それは打ち破れられるフラグじゃぞ」

 

「うっ……じゃあ、なんて言えばいいんだよ?」

 

「撃ち破られるかもしれんが、愛と友情で勝ってみせる、とかじゃな」

 

「……愛とか友情、あるのか?」

 

「わらわからお主にはこれっぽっちもないな」

 

「そうか……」

 

「なんの話してんだよ? 打ち破れるもんなら、打ち破ってみやがれ!!!

……そのくらいふかせよ」

 

「おおっ! なんか『主人公』っぽいのう」

 

「やれるものなら、やってみやがれ!!!

……こんな感じか?」

 

「……お主には似合わんな」

 

「……さっきの感じでいいんじゃねえか?」

 

「やらせておいてそれかよ⁉︎」

 

向こうは向こうで、仲よさそうな雰囲気だ。

なんだろうな。やっぱり氷澄には親近感が湧く。

 

『モンジ君や瑞江ちゃんに似た関係だからだろうね』

 

「馬鹿な。私ほど博愛精神と友愛の心を持った善良乙女はいませんて」

 

「そうだといいんだけどなあ……」

 

氷澄とは、この戦いが終わった後に仲良くなれそうだ。

相棒に対する扱いについてとかで。

そういった関係を築く為にも……

 

「よし、勝つか!」

 

「ですね」

 

『うん、やっちゃえっ』

 

俺達の心は一つになった。

 

「さて、いくぞ、一文字疾風‼︎」

 

「ああ、こい、氷澄‼︎」

 

氷澄がその青い瞳で俺達を睨みつけてきた。

その瞬間、辺りの景色が一瞬で青と黒のモノトーンカラーに染まり……

 

『厄災の眼(イーヴルアイ)!』」

 

「一之江!」

 

「もしもし私よ……」

 

『音速境界(ライン・ザ・マッハ)』!」

 

「行くぜ、兄貴‼︎ 『流星(メテオ)』!」

 

(散らせるもんなら……散らせてみやがれ!!!)

 

一之江の言葉が終わるよりも速く、ラインは攻撃に移っていて。

一瞬のうちに最高速度に対したラインはキンゾーの背中を押しだしながら加速した。

ラインに押し出されたキンゾーは音速を超える速度で俺達に迫る。

 

だが……その『速度』こそが。

焦ったように、ただひたすら『先に』行動してしまったことが。

彼らの失敗だったんだ。

 

『流星境界(メテオ・ザ・マッハ)』!!!」

 

ズガガガガガ‼︎

 

もの凄い衝撃音が鳴り響く。

『音速境界(ライン・ザ・マッハ)』によって『加速』したラインが、キンゾーを押しだし。

ラインに押し出された瞬間、キンゾーは『流星(メテオ)』を放ちさらに『加速』する。

音速と音速が合わせ合い、より高い撃力を加える超音速技。

それはまるで『人間砲弾』のような荒技。

その荒技によって発生した凄まじい空気の衝撃波が俺と一之江を襲う瞬間。その瞬間を俺の瞳はスローモーションのように捉えていた。超解析度のカメラで見るかのように。鮮明に。

そして、その衝撃波が俺と一之江を襲う……その瞬間。僅かコンマ数秒の刻。

俺達は同時にソレを口にしていた。

 

 

『今、貴方の後ろにいるの』

 

 

「何っ‼︎」

 

ラインは一之江の声を聞いてしまった。

 

「馬鹿な……」

 

氷澄は、俺の声を聞いてしまった。

だから。

 

 

一之江はラインの背後にピッタリ、くっついて彼女を抱き締めて。

俺は氷澄の背後について、彼を羽交い締めにしていた。

キンゾーは何もない。誰もいない場所に一人で突っ込み。

ガッシャーンと何かを壊すような音をあげ、そして静かになった。

多分死んでいないと思うので放置して氷澄とラインに向かって話しかける。

 

「一之江が俺を庇って倒れた時、お前は言ったよな。『二人に降りかかるはずの厄災を一人で肩代わりしたというのか』って。つまり、こうやってその厄災は……」

 

「目の前にいる人に肩代わりさせることが出来るということです」

 

そう言ったその瞬間、まるで台風のような、強力な空気の渦がキンゾーが向かった先から突然発生して、俺達を襲いかかる。

俺達はその渦に飲み込まれて、空中に高く放り出された。

俺は空中に突然投げ出されたにもかかわらず、意外に冷静だった。ヒステリアモードの俺だから、というのもあるが、なぜだかまるで負ける気はしなかった。

俺は投げ出された空中で、体を動かし……おもいっきり氷澄を空中に放り投げた。

まったく同じタイミングで一之江が放り投げたラインに向けて。

直後、ゴチン、と鈍い音が鳴り響き、二人は地面に落下していった。

それを見届けながら、俺と一之江は空中で手を繋いで______。

衝撃の威力を殺すように、何度か回転しながら地面に着地した。

 

「すっごい……」

 

「モンジさん、一之江さん……」

 

着地地点にいた音央、鳴央ちゃん姉妹の呆けたような声を聞きながら、ドサッと地面に落ちたラインと氷澄の姿を確認して。

その姿を見納めてから、俺達は安堵の溜息をついて。

 

「俺達の勝ちだ」

 

「私の勝ちですよ『ターボロリババ』」

 

そう宣言したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

2010年6月19日。午前5時半。夜霞市内路上。

 

 

 

 

しばらくして目を覚ました氷澄にはもう戦闘の意思はなくなっていた。

雨も止み、雲も薄くなっているせいか、朝日は明るく感じる。

そんな朝日を見ながら思う。

 

(今日、学校なくてよかった……)

 

「で、だ、氷澄」

 

「約束は守るさ」

 

「心配せんでも氷澄は約束は守る男じゃよ?」

 

眼鏡をかけ直した氷澄を見ながら、ラインはスカートに付いた汚れを叩きながらそう言う。

 

(ちょ、スカート叩くな⁉︎ 見えたらヒスるだろうが!)

 

ヒステリア性の血流が収まってきた俺はラインから慌てて視線を逸らす。

 

 

「仲間になる、という意味はよく解らないが……この街を守るというのは、まあ気まぐれに手を貸してもいい。俺にとってもお前のような人間を辞めた人間が同じ街にいるだけでもプラスだからな」

 

「なんだよ、人間辞めた人間って……ま、協力してくれるのは嬉しいけどさ」

 

「本当は貴方が勝ったのだから、彼を貴方の物語として取り込んでもいいのですよ?」

 

俺の横で、いつもの蒼青学園の制服姿になった一之江がさらりとそう言ったが。

 

「いや、それは違うだろ?」

 

確かにさっきの勝負には勝ったが、その前の戦いでは負けていたからな。

 

「一勝一敗だろ?」

 

「まあ、そうですが」

 

「うむ。わらわとお主も一勝一敗じゃぞ」

 

「ですから、最初のは本気を出していなかったと言っているでしょう」

 

「わはは、それでも一勝一敗はかわりあるまい!」

 

豪快に笑いながら、ラインは一之江に告げる。

一之江はそんなラインに反論はせずに、ふう、と溜息を吐いた。

そんな彼女らの傍らでは音央や鳴央の姉妹は「お風呂に入りたい」と言っている。

……雨降って地固まる、ってヤツか。

 

『お疲れ様、モンジ君っ』

 

と、手の甲からキリカの声が聞こえた。

 

「ああ、キリカもありがとうな。お前のアドバイスのおかげで助かったぜ」

 

「いいって、いいって。私もモンジ君のお役に立てて嬉しいからね」

 

「そうか? それならいいや」

 

などと呟いた俺だが、ヒステリアモードに軽くかかっていた俺はふと、キリカが先ほどまで弱っていた光景を思い出してしまい。

キリカへの感謝を込めて……自分の手の甲に口づけをしてしまった。

と、その瞬間。

 

『ひゃわああああ⁉︎』

 

 

キリカの声が頭の中で響いた。

 

「え? な、なんだ、どうした?」

 

『も、もも……』

 

「桃?」

 

『も、もも、ももモンジ君、ま、まんで?』

 

「桃……まん?」

 

なんだよ? まさか、キリカ……アリアみたいな桃まん中毒になったとか言わないよな?

 

『い、今、今っ!』

 

「……? 手の甲に口づけしたのがいけなかったのか?

感謝の気持ちを込めてみたんだが……」

 

軽い挨拶みたいなものだったんだが。

 

『か、感謝、か、そ、そうだよね。うん、そうだよねっ! ……モンジ君だし』

 

……うーん、感謝はやっぱり言葉で伝えないと伝わないのかもな。

 

「そうだよなー。すまん。間接キスみたいになっちまったな」

 

『へ? 間接キス? ……あー、うん、そうね、そうだね、それで驚いたんだよ!』

 

「うん?」

 

キリカの声がなんか沈んだのだが、なんかしたか俺?

 

「瑞江・ドリルー」

 

「うっ、ぎゃああああ‼︎」

 

背中に突然激痛が走った。

ガリガリガリガリと、背中になにやら硬いものが突き刺さるような感触を感じる。

 

「何すんだよ、一之江⁉︎」

 

「さっきのはミズエ・ドリル。あれはロアバージョンだったので、回転度をかなり上げたものでした。そして今のは瑞江・ドリル。良い子にも優しい指先の大回転です」

 

右手の人差し指を立てて一之江は説明した。

確かにさっきのに比べたらだいぶ優しいが……って、ちょっと待て!

 

「指先だけで、あの激痛を起こした……だと⁉︎」

 

「困るキリカさんを助ける為でした」

 

『うう、瑞江ちゃんありがとう……』

 

キリカは困っていたのか。なんというか、女心ってやっぱり難しいな。

 

「何やってんのよ」

 

「おそらく、何かの手段でキリカさんと交信しているみたいですね」

 

音央や鳴央ちゃんまでもが加わって賑やかになってきた。

と、そんなこんなで姦しく騒いでいると。

 

「痛ってぇぇ、バカ兄貴の分際でやりやがったな……」

 

キンゾーが起き上がり。

それを合図に、氷澄やラインも立ち上がった。

 

「もう回復したのか?」

 

「歩ける程度にはな。そろそろ戻って完全回復に専念させて貰うさ」

 

「そっか。それじゃ、連絡先交換しようぜ」

 

俺たちは互いの連絡先を交換し合った。

 

『氷澄・エンフィールド』……それが氷澄の本名らしい。

 

「それじゃあの。たまには境山でバイクでも運転するがよい」

 

「免許取ったらな」

 

ラインはラインでマイペースにその姿を消していき。

 

「俺のでよければいつでも乗せてやるよ」

 

キンゾーはキンゾーで派手派手な特攻服を着て、爆音を立ててバイクを走らせ消えていった。

氷澄は、軽く片手を挙げて立ち去っていく。

 

「それじゃ、また、な!」

 

俺は立ち去る氷澄の背にそう呟いた。

 

「ふぅー、終わったな」

 

地面に膝を着きながら、俺はそう呟くと。

 

「ええ、結構疲れましたね……」

 

一之江は溜息交じりに呟き。

 

「よいしょっ」

 

膝をついた俺の背中に、自身の背中を乗せて寄りかかってきた。

 

「うおっと⁉︎」

 

「ちゃんと支えなさい。私は怪我人の身でありながらわざわざ来てやったのですから」

 

「ああ、そう……だな」

 

「そうですよ。それにしても……勝手に『百物語』になりやがりましたね」

 

「……まあ、それは、ほら」

 

「ほら……なんですか?」

 

「……お前が傷付く姿は見たくなかったんだ。

俺はお前らを、みんなを、大切な物語を守れる『主人公』になりたい!」

 

「……ふぅ、貴方も男の子なんですね」

 

一之江のその口調は諦めを含む声色だが、優しい響きも持っていた。

 

「これ以上、足を引っ張ったら許しませんからね」

 

「ああ______解った」

 

「約束しなさい。無茶だけはしないと。力を手に入れたからって、一人で無茶はしないと。私やキリカさん、音央さん、鳴央さんが心配するような事は極力しないようにする、と」

 

「ああ______約束するよ」

 

「指切りです。嘘付いたらナイフ千本______串刺ーす。指切った♪」

 

「針千本じゃないのかよ⁉︎」

 

「サウザンドナイフ。カッコイイでしょう?」

 

「……まあ、確かに」

 

ちょっと男心を刺激する言葉だが。

実際はナイフ千本を背中に突き刺すだけだろう。

俺の背中に、な。

 

 

『ふふっ、じゃあ私は先に休ませて貰うね』

 

「ああ、おやすみキリカ」

 

「ん? キリカちゃんは先に寝るのね。だったらあたしたちもそろそろ帰りましょう」

 

「そうですね、会長さんも起きてしまいますし」

 

「ええ、早くベッドに入って寝るとしましょう」

 

音央と鳴央ちゃん、一之江がそう呟き。

 

「これにて一件落着……と。それじゃ、俺も帰るか。

妹達も心配するしな」

 

そんな言葉をした。

その時だった。

 

 

「その心配は必要ありませんよ、兄さん」

 

「全部見てたよ、お兄ちゃん」

 

聞こえてくるはずのない人物の声が聞こえてきて、一気に血の気が引くのが解った。

『いつから?』見られていたんだ、という恐怖があったが。

 

「一部始終は見させていただきました」

 

「私の能力。『無限隙間空間(インフィニティ・スリット・ゾーン)』ならどんな空間でも入れるんだよ? お兄ちゃん」

 

声の主達は上の方から聞こえてきて。

見上げてみると、そこは三階建てのマンションで。

そこの屋上に、見覚えのあるシルエットがあった。

一つは、馴染み深い従姉妹のもの。

もう一つは、血が半分繋がった妹のもの。

そして、もう一つは______。

 

「見事な戦いぶりだったわね、流石は私のライバルよ、メリーズドール!」

 

昨日、学校で交戦した真紅のマントに身を包んだ、金髪ドリルの少女。

 

スナオ・ミレニアム。

 

今は……『夜霞のロッソ・パルデモントゥム』の格好をしているということは。

 

いや、まさか。そんな……。

 

 

「スナオさん、かなめさん、行きますよ」

 

「はいな、マスター」

 

「うん。いっちゃおー」

 

スナオ達に命令した理亜はマンションの屋上から飛び降りて。

 

「つっっ⁉︎」

 

慌てて落下地点に行きそうになった俺を一之江は止めた。

 

「何を……」

 

「忘れたのですか、あの『赤マント』が仕える『主人公』は」

 

一之江の顔には緊張と……汗が流れる。

次の瞬間、スナオちゃんの赤マントが大きく広がると、飛び降りた理亜達を包み込んで。

スタッ。スナオちゃんが近くのフェンスに着地したのと同時に。

その赤いマントを翻すと理亜とかなめの姿もフェンスの上に出現していた。

 

「か、完全にあの赤マントっ子の力を使いこなしてるわっ!」

 

「も、モンジさんっ、気をつけてください」

 

理亜は音央と鳴央ちゃんを一瞥してから。

静かに尋ねてきた。

 

「兄さん、答えてください」

 

「な、何をだ、理亜」

 

「兄さんが『101番目の百物語(ハンドレッドワン)』……そして、『哿(エネイブル)』なんですね?」

 

心臓が早鐘を打った。答えたくない。返事を返したら決定的に……。

俺の大切な『生活』が、『日常』が終わる。

家に帰って、当たり前のように妹と過ごす、そんな『普通』の生活が終わってしまう。

前世では考えられなかった。普通の学校に行って、普通の高校生のようなひと時を過ごす。

ロア関連以外のこの『日常』は俺の癒しだった。

それなのに。

 

「答えてください、兄さん」

 

理亜は容赦なく、一切のためらいもなく、ただ冷徹な存在として、俺をフェンスの上から見下ろしていた。

 

「答えてください、兄さんは……兄さんは私の本当の兄さんではない……のですね?」

 

彼女の瞳には悲しみや喪失感。あるいは『絶望』といった感情が浮かんでいる。

 

「ああ、そうだ。俺は『101番目の百物語(ハンドレッドワン)』……そして、『哿(エネイブル)』のロア。遠山金次だ!」

 

返事を返すと、理亜は深い溜息を吐いて……。

 

「……兄さんが平和な生活を送れるように、この世界に入ったというのに……」

 

「え、理亜もなのか?」

 

「はい。……ということは兄さんもなのですね。はぅ……」

 

「なあ、理亜……」

 

「一つだけ教えてください。今も貴方の中に兄さんはいるんですね?」

 

「ん? あ、ああ……」

 

「そうですか……なら」

 

理亜は目を伏せて頷き。

そして、その時。

空の雲が切れて。

理亜の姿を夜明けの光がスポットライトのように照らした。

その姿はまさに、女神のように神々しく。

 

「解りました。兄さん。

兄さんがもう戦わなくていいように、兄さんのロア。『101番目の百物語(ハンドレッドワン)』と『哿(エネイブル)』を、この私『終わらない(エンドレス・)千夜一夜(シェラザード)』の一つにします」

 

「はい?」

 

 

理亜は厳かな光に包まれながら、圧倒的な威圧感と共に宣言する。

それは……俺が一之江やキリカ、音央や鳴央ちゃんに言った言葉そのまんまだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私の物語になりなさい、兄さん』

 




おまけ。もし、ラインと戦ったのが金次や一之江じゃなく、『悪の妖精・神隠しボイーンクイーン』だったら……。

ライン「行くぞ、『音速境界』!」

氷澄「『厄災の眼』‼︎」

ボイーンクイーン「『ボイーンバスター(おっぱいミサイル)』」

ちゅど〜〜〜〜〜ん!!!


……ラインと氷澄は9999のダメージを受けた!
ラインと氷澄は戦闘不能となった。
『悪の妖精・神隠しボイーンクイーン』は止まらない!


世界は『ボイーンバスター』で滅びた……!






つまり。
『ボイーンバスター』は最強なんです!

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