『101番目の哿物語』   作:トナカイさん

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続きです。
一応、プロローグは3部構成で、次でプロローグは終わります。


なかなか話が進まないのは作者の仕様です。



次回に、あのキャラやあの子やらあの先輩とか出る……予定です。


プロローグ2。 逃走中⁉︎

呪われてる人形に追いかけ回されたことってあるか?

そんな奴はいない?

まぁ、そうかもな。

だったらメリーズドールの都市伝説って知ってるか?

 

知らない奴の為に簡単に説明すると……

 

ある日、知らない番号から電話がかかってきて、その電話に出たら、最期。

 

メリーさん、と名乗る『呪いの人形』に追いかけ回されるんだ。

 

どこに逃げても、携帯や電話を捨てても、電源を切っても近くに電話があれば延々とかかってきちまうんだ。

 

 

……まぁ、ホラー映画とか、ホラー小説の展開とかだったらいい導入かもな。

 

主人公は、ひたすら逃げ回って、自宅とかの室内に逃げ篭り、あらゆる出入り口を閉じて身を護ろうとするんだ。

だけど、電話の相手は止まらない。

ゆっくり、じっくり、と相手を追い詰め、電話で自身の居場所を知らせてから最期にこう告げるんだ。

 

 

『もしもし、私よ。今、貴方の後ろにいるの……』ってな……。

 

 

 

 

 

何でこんな話をするのかって?

それは、な……俺、遠山金次。

この世界では一文字疾風として生きている俺が、その都市伝説に遭遇しちまったからだ。

 

あれは、この世界に来た日。

一文字疾風に憑依した日の出来事だった。

俺の運命は、とある白い少女との出会いによって大きく変わっちまった。

武偵高生時代に、アリアとの出会いで俺の人生が変わったように……。

 

 

『8番目のセカイ』、『実際にあった都市伝説』を集めたサイトにアクセスしてしまったことにより、俺の日常は粉々に砕かれ、揉まれ、一から新しい日常を作るはめになった。

 

『Dフォン』でのみ繋がる『8番目のセカイ』。

その『案内人』の彼女や『月隠れのメリーズドール』、『魔女喰いの魔女』、『神隠し』、彼女達との出会いによって、俺の人生はまたまた大きく変わってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がこの世界で出会った奴の中でも、特に印象に残ってるのはアイツとの出会いだ。

アイツとの出会いは突然だった。

俺が俺、遠山金次として覚醒した次の日。

 

西暦2010年5月11日。

 

某県。夜霞市。

 

午後17時30分。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……ハァッ!

くそっ、まだ追ってきやがる……」

 

正直な話、何が起きているのかさっぱりわからないまま、俺は走り続けていた。

説明をしようにも今俺が駆け抜けているこの街には、人という人がこぞっていなくなっている。

こんなにも街中を走り回っているのに、登下校に使う心臓破りの坂も、人で賑わう商店街の通りも、そして見慣れた住宅街の公園前でも。

誰ともすれ違わないばかりか、車の音すら聞こえないんだ。

まるで、世界にただ一人俺だけ取り残されたかの、ように……。

何らかの映画とかでこんな状況を見た事がある。

主人公を、誰かを頼る事が出来ない状況に起き、ゆっくりと視聴者を恐怖させる演出。

もし、この状況を作り出している監督や演出家がいるのなら、大成功だ。

超常現象に巻き込まれやすい、ある程度はそんなことに慣れている俺でも、この状況は勘弁してほしい。

いろんな事を反省しているし、助けてほしいとも思っている。

後悔もしている。

ああ、こんなことならあの子から、あの携帯を受け取るんじゃなかった、とか。そもそも一人で覇美の、鬼の一味に挑むんじゃなかった、とかな。

今となってはどうしようもない出来事が、走り続ける俺の頭の中でぐるぐると回転しては、心をマイナス方面に落としていく。

何故なんだ、いったい。どうして俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ。

こんな状況を作り出した奴がいるなら出てこい、今すぐに。

そんな怒りと恐怖が混じった想いを胸に抱いても、一向に事態は良くはならない。

 

「ハァ……ハァ……ハァッ!」

 

走り続けて、そろそろ二十分は経過しているだろう。

俺は住宅街にある公園を突っ切って、大通りに出た。

いつもなら車の通行が激しい通りだが、今は、予想通り、車は1台も走ってないし、人の姿もまるでないゴーストタウンになっていた。

いよいよ本格的に為す術もなくなってきた、と思ったその時。

俺の、制服の胸ポケットに入れていた。最近、学校の正門前で『ヤシロ』と名乗る少女から貰った黒い携帯端末機が鳴りだした。

 

ピピピピピピピピッ

 

「くそッ!」

 

どんなに逃げても、どんなに走っても、この無機質な電気音は定期的に鳴り響く。

 

制服の胸ポケットに手を突っ込み、ハンカチに包んだ黒い携帯電話を取り出した。

それは布地越しにも解るくらい熱を発していて、不気味なモノの接近を告げるかのよつに、うっすらと赤く光っていた。

 

俺が昨日、ヤシロと名乗る少女(幼女)から受け取った携帯電話。(ガラケー)

何故か、同じ端末を二台渡されたがどちらも同じ機種で触った感じ、まったく同じで素人目からでは区別はつかなかった。

『Dフォン』と呼ばれるこの端末は、着信を告げる電子音と共に赤い点滅を繰り返している。

プツッ、と電話が勝手に繋がると、そこから、悪夢のような声が再生された。

 

『もしもし、私よ。今、公園にいるの。……どこに逃げてもムダよ……』

 

そしてプツッ、と一方的に切られる。

同時に、俺の後ろからはコツ、コツ、と地面を歩く足音が聞こえてきた。

本日、何度も起きてるこの現象に、俺は霹靂としていた。

正直勘弁してほしい。こちとら、元武偵とはいえ、今は一般人なただの小市民なんだから。

こんな出来事の当事者になるなんて夢にも思っていなかった。

ちょっと怖い話好きなら、一度くらいは耳にしたがあるかもしれないオカルト。

いわゆる都市伝説と呼ばれる噂話。

俺もこの『電話で追いかけてくる何者か』の話は知っていたが、まさか自分が体験することになるとは思っていなかった。

 

(まるで探偵科で上級生に尾行されてる気分だ……。)

 

一体何が目的なんだ、そもそも、俺なんか追いかけてきてどうするつもりだ?

足音は止むことなく、俺が歩く、あるいは走る速度とまったく同じ速度でついてくる。

 

 

「くそっ、なんだってこんな事に!」

 

肺に残っていた空気を吐き出しながら走り続けた。

俺がどんなに走っても、走っても、走っても。

背後から聞こえる『コツ、コツ』という足音は消えることはない。

むしろ、気を緩めればどんどん近づいているようにさえ響いてくる。

そう、俺がこんなことにあっている理由____ならいくつか心あたりがあった。

 

その始まりは昨日、キリカとの、朝のトークタイムからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイド???

 

 

俺がこの世界にやって来たのはただの偶然だったのだろうか?

今になっても、何故あんな出来事に巻き込まれたのかはよくわかっていない。

本当に、あんな方法でよかったのかと、悔いを残すことだってあった。

だけどたまに、こう思う。

 

全ては『運命』によって、そうなったんだ、と。

 

 

 

運命に導かれたかのように。

運命から身を護る為に。

そして、運命を変える為に……。

 


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