退き佐久間   作:ヘッツァー

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投稿が遅れてすみません。
また、突然ですが、織田信秀の居城を清洲城から古渡城へと訂正させて頂きます。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。


第八話

祝、左腕回復!いや〜、長かった!

やっと稽古を再開出来る!今度こそ信辰ちゃんに手合わせで勝ってやるさ!

そう意気込んでいた所へ、刀を帯びた信盛さんが一言。

 

「今日は、居合や組討、捕手術といった、まぁ正座などの状況から敵を迎撃する技を習って貰うぞい。」

 

そう言われて、俺は面食らってしまった。

 

「待ってよ、明鏡止水ってやつは?」

「ああいうことがあったからのう。」

 

そう言って、俺の左腕を見る信晴さん。うう、ツライ・・・。

 

「まあ、心配するでない。明鏡止水は奥義とは言っても一度達すれば阿呆でもすぐ出せる。最後にじっくり教えよう。まずは、武士として重要な技を先に教える。」

「ふーん、そういうことなら。じゃあ、まず何をする?」

「待っておれ、よっこいせ。」

 

そうして正座する信晴さん。何するんだろ。

 

「まずは、居合じゃな。よく見ておれ。」

 

そう言って柄に手をかける信晴さん。ああ、居合を実演してくれるんだ。

 

「・・・・・・?」

 

さっきからじぃーっとしてるけど、まだやらないのかな。

いかん、目が乾燥してきた。そうして一回瞬きをして、

俺は目を疑った。もう既に、信晴さんが刀を抜いていたからだ。

 

「⁉︎」

「ほれ、ちゃんと見ておれと言ったろう。」

 

信晴さんが意地悪な笑みを浮かべて言った。

うっぜぇ・・・、絶対俺が瞬きするのを待ってたろうに。

 

「これはコツさえ掴めば後は練習あるのみじゃ。次に、組討じゃ。ほれ、儂の首を取ろうとしてみよ。」

 

そういって刀を隅に置く信晴さん。

 

「怪我しても知らねーからな!」

 

無論俺がな!

 

「ふん、隙だらけじゃな。」

「ぐはぁ!」

 

次の瞬間には俺の喉元には信晴さんの手刀が突きつけられていた。

 

「うっ・・・。」

「ほれ、み印頂戴、じゃな。」

 

・・・なんか、自信無くなってきた。

 

「最後に、捕手術じゃな。」

 

そういって素手で正座する信晴さん。

 

「ほれ、そこにある刀で斬りかかって来てみよ。」

「むう、それは流石に・・・、木刀で良い?」

「仕方ない奴じゃのう。良いじゃろう。」

「おう、じゃあ行くぜ!」

 

一呼吸置いてから、俺は信晴さんめがけて刀を振り下ろした。

 

「ふんっ!」

「え、うわぁ⁉︎」

 

なんと信晴さんは木刀を手で弾いた後、峰の部分を持って俺を引き寄せ、右腕を捻って地面に倒した。ここまで早く鎮圧されると、なんか来るものがあるな・・・。

 

「とまぁ、それぞれ少しずつ見せたが、覚えてしまえば良いだけじゃよ。わしの腕力は今やお主より衰えておるが、それでもあれだけ戦えるのじゃ。期待しておるぞ。」

「は、はい・・・。」

「では早速、稽古に移ろうかのぅ!」

「宜しくお願いします!」

 

その日の朝、俺はまたどっか痛めるんじゃないかと思うほどボコボコにされた。キッツゥ〜・・・。

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その日の昼、俺は信奈ちゃんに呼び出されていた。

 

「遅いわよ、信盛!」

 

そこには既に信奈ちゃん、長秀ちゃん、犬千代ちゃんが集まっていた。

 

「も、申し訳ありません・・・。で、本日は何用で?」

「今日はね、ちょっと遠出をしてみようと思うのよ!」

「へぇ〜、どちらへ?三河や美濃方面は危ないですよ?」

「そんなところじゃないわよ。私達がこれから行くのは、自由貿易都市、堺よ!」

「えぇ〜⁉︎さ、堺⁉︎危なくないですか⁉︎」

「そりゃ、危ないでしょうね。だからこそアンタも呼んだんじゃない。そうじゃなけりゃ呼んでないわ。ちゃんと父上にも許可は取ってあるし。」

 

さいですか・・・。

俺はそっと長秀ちゃんに聞いてみた。

 

「なんだって堺なんかに?なんか有るのか?」

 

すると長秀ちゃんはため息混じりにこう言った。

 

「それが、どうやら南蛮人が堺に来ているようで、それに会いに行くためかと。九点です。」

 

成る程、そういう事か。つかその点数何?

 

「じゃあ、俺はもう一回戻って支度してくるよ。姫様は来いとしか伝えてくれなかったし・・・。」

「分かりました。出来るだけ早めにお願いしますね。姫様が待ちきれなくなって出発してしまうかもしれません。」

 

それじゃ本当になんで俺呼んだのってなっちゃうよ。

それから俺は急ぎ足で家に戻り、信晴さんに遠出の旨を伝え、刀を借りて馬に乗ってまた集合場所へ向かった。

信辰ちゃんも連れて行こうとしたけど、生憎お出掛け中の様だった。

 

「お待たせしました〜。」

「まったく、何をしてたのよ!支度位済ませてから来なさいよ!二度手間じゃない!」

 

あ、これ不機嫌だわ。

 

「でも姫様、この事伝えてないじゃないですか。」

「そうだったかしら。まぁ良いわ。トロトロしてもいられないし、とにかく出発よ!」

「「「はっ!」」」

 

なんか釈然としないけどまぁ良いか。

この旅が無事に終わりますよーに。

 

丁度その頃、古渡城にて織田信奈の実母である土田御前が忍びの者を雇いこの旅の途中で信奈暗殺を企てている事などつゆ知らず。

信奈一行は、堺を目指して尾張領内を後にしました。


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