退き佐久間   作:ヘッツァー

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どうも皆さん、bear中尉です。
今回で長かった信奈小説本編までのプロローグは終わりになるはずです。
メリークリスマスに合わせて投稿しようとした結果がこれです。
いっそのこと笑って下さい…。
自分に出来ることは、この文を読んでくださっている人が良い年を迎えられる事を願うだけです。
では皆さん、良いお年を!
p.s
UA50000&お気に入り340超えありがとうございます!
とても励みになってます!


第四十七話

今回の播磨旅行の結末。

それを簡単に言うならば、「だんぞう が なかま に なった!」だ。

といっても、まぁお約束だろうけど。

むしろそうならない方がおかしい。

そう、仲間になった、俺が召抱えた。

佐久間信盛が加藤段蔵を召抱えるとかさ、大概の人が「は?」っていうような事になっているわけなのさ!

そこ、佐久間信盛とか誰やねんとか言わない。

筆頭家老のくせに影薄いとかゲームでレア度ノーマルキャラとか言うな。

多分ハイノーマル位はあるわ。

頑張ってんだぞこれでも。

つか超頑張ってるわ。

仕事多過ぎて真っ黒だわ。

でも結局名前残るのは「織田信奈」とかビックネーム達だけなんだよなぁ・・・。

あ〜、空はあんなに青いのに・・・。

 

閑話休題。

 

まぁ兎にも角にも、加藤段蔵が仲間になった。

問題は段蔵の部下の2人の少女だ。

段蔵がなんとか忍ではない方法で雇えないか、と帰る途中に懇願して来たので小姓とかで雇うって事にしてたんだが。

これを信辰に話した後、二人と信辰を引き合わせた途端、何があったのか2人を愛で始め意気投合し、終いには「信盛、この2人養子にしよう。」と抜かしてきた。

ちょっと、佐久間の家系養子取る基準緩すぎない?

かく言う俺も養子なわけですが、養子の養子とかマジで赤の他人じゃねーか。

流石にそれは読者に怒られるぞ、とやんわり断ろうとしたら泣かれた。

ガチ泣きである。

いい歳した少女がガチ泣きしていた。

というか俺の妻だった。

なので仕方なく、というより佐久間家の実権はほぼ信辰が握っているので2人は養子となった。

え?名前?ああ、それが聞いてくれよ、段蔵ってば、戦災孤児のあいつらに名前付けてなかったんだって。

てなわけで不肖私の妻が名付ける事になりました。

犬かよ。

というわけで信辰がありがたーい名前を賜った二人。

てってれー、盛重と信栄が娘になった!

この歳で二児の父だ、と?

はぁ、空はあんなに(ry

家族が増えて心機一転、バリバリ頑張ってお仕事しちゃうぞ☆

 

「こういう展開っていうのはさ、一種のお約束の様なものだと私は思うんだよ。いつの世だって人は誰かに間違いを指摘されて反省して成長するものだ。まぁ、一人で勝手に成長していく奴もいるだろうから絶対にそうだと決め付けるわけではないが、大多数の人間はそうだろう。失敗するっていうことは完全に間違ってるって訳ではないのさ、それを成功の糧にすることが出来ればね。言ってる意味が分かる?つまり、反省しなけりゃいつまでも同じ事を繰り返すって事なのさ。てなわけで、反省してる?」

「良いから手を動かしてくれ信辰、まさかここまで手を付けてねぇとは思ってなかったぞ。アレか、お前は夏休みの課題とか最後にやる奴か。」

 

心機一転も何も、絶讃お仕事中である。

しかも信辰の説教喰らいながら。

だから口動かす前に手を動かせってそれ一番言われてる事だから。

あぁ〜、誰か助けてくれぇ〜・・・。

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とっぷりと夜も更けて、俺は今廊下に座りながら空を眺めている。

あぁ〜仕事終わってねぇ・・・。

 

「なぁ、信盛。」

「うおわぁ!・・・なんだ信辰か、驚かすなよ。」

「なんでそこまで驚くんだよ・・・情けない。」

「そりゃお前いきなり現れたら誰でもビックリするじゃねーか。」

 

あぁ〜驚いた。

ていうか、もうぐっすり寝たかと思ってたんだけどな。

俺は視線をずらすことなく空を見続ける。

 

「で、信盛。」

「ん、どうした?」

「どうだった?」

 

その言葉に思わず、信辰の方を振り向く。

信辰はじっとこちらを見つめていた。

 

「・・・・・・これ、前にも聞かれたよなぁ。」

「そうだな、前はお前の初陣か。」

「あん時は訳分からんかったけどな。・・・今回、初めて人を斬ったよ。ばっさりと一刀両断、全員一撃で死んだろうな。忍びも斬った、二人組だったな、男と女でありゃ多分つがいだった。」

「・・・・・・。」

「でさ、何人も斬り殺して来てさ。俺、何も感じてねぇんだ。いや、斬った感覚とかはある。けど、罪悪感とか、拒絶反応とか、人として普通感じるべき物が無かったんだ。」

「・・・・・・。」

「はは、自分でもどうかしてるって思うんだけど、やっぱこういうのは嘘偽り言っても仕方無いからな。あ、死体を嬲りたいとかは無えよ?敬意は払うが、何というか、悪びれないというか。」

 

全くもって、気持ち悪い。

一体、俺は何者だったんだ。

もしかすると俺は、記憶を失う前に、人を斬ってる?

悪い冗談だ、と思いたいが。

否定する材料が無い。

 

「そうか、とにかく今日は疲れたろ?さぁ、存分に私を愛でて癒されるが良い。」

「半分くらいはお前のせいで疲れてんだからな?ていうか、今の話聞いてなかったのか?」

「ん?聞いていたぞ、初首級おめでとう。やっとお前も文官でなく武人らしい事をしたじゃないか。」

「いや、そうじゃなくてだな・・・。」

「あぁ、罪悪感とかの事か。それはお前の武将としての才じゃないか?」

「は?才能?」

「そ。戦場で躊躇してどうする。迷いは人を殺すぞ、時に自分、そして時に仲間を。」

「そりゃそうだがな・・・。」

「罪悪感を感じるのも良いが、それが絡み付いて動けなくなるようでは意味が無い。」

「それは・・・・・・。」

 

まぁ、その通りではあるのだが。

それではあまりにも人としておかしいのではないのか。

いかに仲間の為とはいえ、人を斬ることを躊躇わないのは。

人として、終わっているのではないか?

 

「全てが終わったあとで、しっかりと弔ってやればいい。そもそも、戦などしてる時点で皆気狂いだよ。その事で気が狂えど気に病むことはない。充分、人として間違っているのだから。」

「だったら皆戦わなければ良いのにな。」

「それはそうだが、皆護りたい物があるんだ、色んな物が。命を懸けてでも譲れぬ事だから争うんだ。とても真っ直ぐでとても悲しい世だ、まさに戦国乱世だな。」

「そうだなぁ・・・つーか、今更だけど良かったのか?段蔵とあの2人の事。」

「ん?何が?」

「なんかいきなり連れて来てさ、雇うとかなんとか、さ。」

「サラッと通した方が良いだろ。それに、お前の事を信じてるからな。お前の友人なら大丈夫だろ、最悪側室にでもなったらいい。正室は私だからな、一番は私だ。今更妻の二十人三十人増えようが何の問題も無い。」

「二十人三十人増えたら問題だろ。」

「なぁ、信盛。」

「ん?」

「明日も、晴れると良いな。」

「なんだよいきなり、変な奴。でもまぁ、そうだな、俺もそう思う。」

「お前も変じゃないか。」

「うっせ。」

 

二人で笑い、寄り添い合いながら、同じ空を眺める。

今夜の月は、今まで生きてきた中で一番綺麗な月だった。

俺、記憶喪失だけど。


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