なかなか時間が取れずにこうなってしまいました。
まぁ殆ど艦これのSSをグダグダ消さずに書いてるからですね、はい。
書いてはいるのですが、主人公の名前が決まらない・・・。
この名前どうですかってご意見があれば是非教えて下さい(ゲス顔)
追記
UA25000突破しました、ありがとうございます!
「はぁ、はぁ、も、もうだめ、だめです。」
「情けないなぁ、まだ少ししか走ってないぞ?」
「少しって、意味を、よく考えてから、口にしてくれ。それにしても、よく走れるな、お前。俺の荷物も持っているのにさ。おまけに速いし。」
「お前がひ弱なだけだよ。」
絶対違うと断言できるぞ。
結構走ったし。
「はぁ、仕方無いなぁ。どれ、口を開けてみろ。」
「なんだよ、同情するなら銭をくれ!」
「銭貰ったら走れるのか?」
ふっ、愚問だな、段蔵よ。
「無理。」
「だと思ったよ。ほれ、これを食え。」
段蔵が何かの粒のようなものを俺に渡してくる。
異様に真っ黒な、小さな球状のそれは、形容しがたい独特の香りを醸し出している。
「段蔵、これ何?」
「私特製の兵糧丸だ。腹も減らなくなるし、ある程度なら疲労を無視できる。」
「おぉ、いや、凄いけど絶対これ副作用辛いやつだろ?」
「そんな物を移動に使って、目的地に着いた時動けなかったら意味が無いだろう?」
「それもそうだな。」
ごもっともです。
「それとも、そんなやつがいいか?なら・・・。」
「いやいや段蔵さん。意味無いって言ったばかりやん?その兵糧丸を下さい。」
俺が兵糧丸を受け取ろうと手を伸ばすと、ヒョイと段蔵がそれを躱す。
そして、ニヤニヤしながら聞いてくる。
「これをやる代わりにお前は何をしてくれるの?」
・・・ほう、そうきましたか。
しかし、こんな時の為に用意していた物があるのだよ段蔵くん。
「じゃあ、これをやろう。」
段蔵に細長い紙切れを手渡す。
「何だこれは?」
「それは、肩叩き券と言ってだな・・・。」
「何となく察したよ。取り敢えず殴って良い?」
「あっ、ごめんなさい、調子に乗りました。」
「これは一応貰っておくが、他には無いのか?」
一応と言いながらしっかり懐に入れるあたり、喜んでもらえたようだな。
他に、ねぇ。
「じゃあ、貸し一つ、って事で。」
「よし来た。それで行こう。」
ピンッ、と段蔵が兵糧丸を指で弾いてくる。
飛んでくる黒い粒。
俺は慌てつつも何とかそれを掴む。
危うく掴みそこねて落とすところだった。
「おまっ、落としたらどうすんだ!見つからないぞこんな小さい粒!」
「そしたら貸しが二つになるだけさ。」
「てめぇ・・・。まぁ良いさ、ありがとよ。」
礼を言いながら俺は例の兵糧丸を飲み込む。
すると、みるみる元気が湧いてくるのが実感できた。
「おおっ!これすげえ、すげえぞ段蔵!」
「せやろ?しかも弱いが麻酔効果もあるから痛みとかも感じなくなるよ。」
「すっごいなそれ!じゃあ行こうぜ、播磨が俺たちを待ってるぜ!」
「あ、ああ。そうだな、急ごうか。(それにしてもこんなに効いたかなぁ・・・?)」
信盛が走り出したのを見て、段蔵も後を追う。
しかし、この日の内に播磨に着く事はなかった。
その日の夕方にて。
「・・・段蔵、ごめん。」
「・・・いや、こちらこそ、ごめん。」
俺達は互いに謝りあっていた。
というのも、走っていた最中にいきなり俺がぶっ倒れたからである。
その後は身体の至る所が極度の筋肉痛に襲われた様に痛く、足などは力を込めると込めた所から攣っていく始末。
原因は、段蔵が渡す兵糧丸を間違えたの所為で必要以上に痛覚が麻痺し、限界を超えて肉体を酷使した為であった。
それに加え、今までに無い身体の調子の良さに信盛が無理をしてしまっていた。
その為、信盛は少し休んだ後、段蔵の肩を借りて何とか歩いている感じだった。
「それにしても、ふふっ。あんなに面白く倒れなくても、くく
く・・・。」
「段蔵さん?なんで笑ってんの?てか、半分くらいはお前の所為なんだぜ?額とかいろんなところ擦りむいて痛いしさぁ。」
「だ、だって実害ないし・・・、ぷぷっ。顔面から行くか普通、ぷっ、あはは!」
遂に笑いを堪える事すらしなくなったな。
こいつゲスい。
ゲロ以下のにおいがプンプンするぜぇー!
いや、実際こいつの匂い嗅いだ事は無いけどな。
でもまぁこれだけ走ったんだ、汗の匂いくらいだろ。
よし、仕返しだ。
そっと段蔵の首筋に鼻を近付ける。
そして。
「うひゃあ!ちょ、ちょっと、何してるの!」
「何って、匂いを嗅いでみた。」
「死ねッ!」
「ちょっとまっ、ぐはぁ!」
メンコの様に思いっきり地面に叩きつけられる。
「うあぁ、ひ、酷いぞ段蔵・・・。」
「う、うるさい!こんな時に匂いを嗅ぐ奴が悪いだろう!汗かいて臭いかもしれないに・・・!」
地面にうつ伏せになりながら、感想を述べる。
「あぁ、その事だけど、お前全然汗かいてないのな。何で?めっちゃいい匂いだったわ。」
「・・・・・・。」
「ちょっ、無言で背中蹴るのやめてそこはぎゃあ!」
照れ隠しなのだろうか。
筋肉痛の所だから痛気持ちいい。
そして新たな性癖に目覚めそう。
マゾ的なやつに。
「そんな事を言う奴の背中はこれか?」
「いや、そうだけど背中に当たる奴初めてだぁぁぁ・・・!あ、もうちょい左。そうそうそこそこ。」
「んっ、ここか。確かにここは他に比べて固いなっておい!なに自然に凝りをほぐさせてるんだお前は⁉︎」
「でも踏む時草履脱いでた辺りお前やっぱ優しいわ。」
「そ、そうか?ありがと・・・。」
そしてすぐ機嫌が直る。
これはかなり長所だと思うんだよね。
段蔵が慌てて話を逸らしにかかる。
これ以上いじってボロ雑巾にされるのも本意ではないので、黙って従う事にした。
「こ、これじゃあ今日中には間に合わないなぁ。んー、行けると思ったんだけど。」
「段蔵、それは最初から無理って分かりきっていた事じゃないか。取り敢えず、どうする?」
「旅籠に泊まるか野宿かどっちかだな。どっちが良い?」
「お布団を強く希望するであります隊長殿!」
「甘ったれるな!と仲間になら言っているところだが、今日はゆっくり休んだ方が良いな。旅籠にしよう。」
「やった!ところで、銭はどっちが出す?」
すると段蔵は意外そうに、こう返してきた。
「・・・お前は、女に出させるのか?」
「・・・・・・それは、卑怯だぜ段蔵。」