退き佐久間   作:ヘッツァー

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UA24000ですってよありがとうございます!
そして、更新遅れてしまいましたすみません。

・・・・・・言い訳をさせてください。
いやぁ、艦これのSSが面白くて自分も書いてみたいって思ってしまったんですよ。
思えばあれが過ちでした。
結局艦これ書き上げられなかったし。
ごめんなさい・・・。




第三十四話

信辰・可成の両名の断末魔の叫びが響き渡る少し前。

俺こと佐久間信盛は旅支度をしていました。

傍には、イライラしながらそれを眺める加藤段蔵、コードネームは風魔小太郎。

やべえなコードネームかっけえ俺も欲しい。

あ、俺はそもそも『佐久間信盛』自体が偽名というか仮名みたいな物でしたよ、テヘッ☆

微塵も嬉しくねえなそれ・・・。

俺は誰やねん。

 

「着替えは取り敢えず多めがいいよな。後は『岩通』に脇差、笠に扇子に路銀を少しばかり多めにっ、と。」

「おい。」

「おっと俺としたことが手ぬぐいを忘れる所だったぜ。後は、おにぎりかな。笹の葉に包むやつがなんかかっこいいよなぁ。」

「おいってば。」

「それとやっぱ携行食として梅干しは外せないな。少しみっともないかもしれんが、これ一つで凌がなくてはならない事もあるだろうしな。」

「おいってばぁぁぁー!」

「うわっしょい!耳元で大声出すなよビックリしちまうだろうが!」

 

突然俺の耳元で叫び倒す段蔵。

鼓膜がイカレるかと思いました。(小並感)

だが、それだけでは段蔵の怒りは収まらなかった。

 

「ビックリしてんのはこっちだ!どれだけ時間かかるんだよお前は乙女か⁉︎」

「いやー、でも備えあれば憂いは無いだろ?」

「そうかも知れんが、それであの二人に勘付かれては本末転倒だろうがぁ!」

「せ、せやな。」

「分かったらとっとと行くぞ!チンタラすんなよ刺し殺すぞ!」

「何それ怖いやめておくれやす!」

 

ドスドスと先に歩いて行ってしまう段蔵。

さっきから我が物顔だけど、一つ言わせて欲しい。

今の彼女の顔は池田恒興の物なので、側から見たら恒興ちゃんがキャラ崩壊をしているようにしか見えない。

あの礼儀正しい恒興が、ねぇ〜。って好奇の目で見られかねん。

 

「お前、尾張から出たら、いや、城から出たらすぐ顔戻せよ。」

「何だ?この顔では不満か?」

 

今私不機嫌なのであなたの意見は取り敢えず否定します。

何故なら、ムカつくから。

そんな感じのニュアンスだった。

超会話しづらいんですけど〜。

 

「いや、さっき恒興ちゃんが清洲城に向かったのを見てる奴もいるだろうし。」

「・・・それもそうだな。」

 

不承不承といった感じで同意する段蔵。

もう一押ししておこう。

 

「それに、お前の素の顔のが好きだしな。」

 

変装してると何こいつ本物の段蔵かって不安になるし。

 

「せ、せやな。・・・・・・今から戻す?」

 

すると段蔵は俯きながら落ち着かない様子でそう尋ねてきた。

さっき城出てからって言ったじゃん。

もう、ダメな子だなぁ。

だがそれが良い、ドジっ子とかいいぞもっとやれ。

って思ってる事知られたら嬲り殺されそう。

 

「いや、城を出てからじゃないと不自然だからいいよ。」

「そ、そうか。分かった。」

「あ、それとお手洗いはあちらになります。」

「・・・・・・は?」

 

先程の落ち着かない様子とは打って変わってまるで生ゴミでも眺めるかの様に睨んでくる段蔵。

え?

こいつトイレ行きたくてそわそわしてたんじゃねえの?

あ、そこは察して黙ってやるべきだったのか?

この城の構造とかすぐに把握してそうだからな。

俺の所にも辿り着けているし。

ここは素直に謝っておくか。

 

「いや、すまん。お手洗いに行きたくてそわそわしてんのかと思ってた。」

「死ね。」

「おおふ、そ、そこまで?」

「はぁ、全く、嬉しい事を言ったと思ったら光速でそれを無に帰すのかお前は。早く行こう、日が暮れちゃうよ。」

 

日が暮れる前に俺の命も尽きそうだね。

てか、この時代に光速って概念あるんだ・・・。

とにかく、ここは話を全力で逸らすの巻。

 

「そうだな。あ、そうだ、旅の日程とかってどうなってるの?いつまでに播磨に到着とかさ。」

「今日中に播磨到着。これは予定ではない、決定だ。」

「・・・・・・HA?」

 

もう今日も12時間を切っているわけなのですが。

それでも段蔵はさも当然といった風に続ける

 

「だから、私も忙しくないと言っただろう。今回は山道どころか、忍びしか使わない様な道まで駆使するからな、覚悟しろ。」

「軍曹!体力気力精神力が持ちません!」

「だから鍛えておけと言っただろう!足りない分は気合で補え!後、軍曹って何だ!」

 

なんという事だ。

鬼軍曹がここに降臨していたとは。

これは到着する前に死ぬかもな。

 

「段蔵。」

「何だ、もたもたしてると死ぬぞ?」

「遺書書いてきて良い?」

「却下。生きて帰れば良いだけの話だ。ほら、急ぐぞ。」

「ひい、鬼だ、鬼がいる・・・。」

「その減らず口を叩けなくなるまで走らせるからな。」

「そんな殺生な!」

 

おまけにもし死んだときの後始末すらさせて貰えない。

これはまずい、ちょっとどころかかなりまずい。

これは短冊に書く願い事決まったな。

生きて帰れますように。

あ、七夕とっくに過ぎてるわ。

てか今って七夕とかあるのかな?

 

いつも通りくだらない事を考えて、俺は尾張を後にした。

この先に地獄が待ち構えていた、というより。

傍に冗談抜きで、本物の鬼軍曹がいたとも知らずに。


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