実はテスト期間に入っていたのですが、頭の中はこの小説の事で一杯でした。
帰ってきたテストの結果?お察しください。
た、楽しんで頂ければ幸いです。
ではどうぞ。
怪我の手当てもして貰ったので、俺は戦後処理の準備でもしようとその場を離れる。
段蔵も暇ではないらしく、俺の手当てをした後直ぐ帰ってしまった。
何故そこまで残ってたし。
まぁでも、きっちり手当てをしてくれる辺り、流石というかなんというか。
つくづく、部下に欲しかったなぁ。
なんで俺勧誘しなかったんだろう。悔やまれる。
しばらく城に向かって歩いていると、やけに騒がしい。
見れば、姫様の部隊が戻って来ていた。
速いな、それになんだか見た限りでは怪我を負っている者が少ない。
まるで戦闘をしていないとか、そんな感じだ。
俺は訝しみながらも、姫様達に駆け寄り大声を張り上げる。
「信辰!姫様!ご無事で!」
「なんで主君よりも先なのよ⁉︎まぁ良いわ、それよりもあなた本当に大丈夫?包帯だらけよ?」
「全く、無礼にも程があるぞ、信盛。ま、まぁ、嬉しいんだけどな・・・。」
「信辰・・・。」
「チッ・・・ねぇ長秀、こいつらも謀反者の中に加えちゃ駄目?」
「・・・・・・流石に駄目じゃないでしょうか、三十五点。」
あっぶねぇ、もう少し点数が低ければ人生から落第だった。
「それにしても、どうしてこんなに無傷、では無いですがあまり戦った様に見えないのですか?」
「どうもこうも、こちらが包囲しただけで向こうが勝手に降伏してきただけよ。私達は山口教継追撃でしか戦ってないから、ここまで被害が少ないのよ。」
「どうやら山口殿は完全に信勝様に従っていた訳では無いらしく、本当に今川方へ寝返った為、こちらが反転しても追撃は少なかったですね。七十点。」
「成る程、そういう訳でしたか。」
そうなると、ますます林さんの行動は謎だ。
一体何が狙いでこんな事を・・・?
「明日、信勝達の処遇を決めるわ。そうねぇ、明日の辰の刻(午前十時頃)辺りににしようかしら。信盛、信辰、各員に伝令をお願い。」
「「はっ!」」
「私はこれから信勝達の処遇を決めてくるわ。長秀、犬千代、行くわよ。」
「仰せのままに。」
「・・・・・・分かった。」
まぁ、集合が少し遅い時間な気もするけど、仕方無いだろうな。
自分が当主になって初めての戦が謀反及び寝返りの始末だとは、流石にくるものがあるのだろう。
これくらいゆっくり考えた方が精神的にも良いだろうし。
そうでなくてもへこみやすい人だからなぁ、姫様。
犬千代ちゃんにはまだそういう細かなケアは出来そうも無いな。
ここは一つ、長秀ちゃんに頑張ってもらおう。
「長秀ちゃん、姫様を頼んだ。あ、それと親衛隊の被害状況の報告書も頼む。」
「ええ、両方承りました。信勝様達の減刑は楽なのですが、報告書は少し時間がかかりますね。」
「あ、信勝様達は割とどうでも良いわ。まあ報告書は出来ればで良いからさ。」
俺の仕事が増えるだけだし。
あ、やっぱ是非お願いしよう。いや、お願いします。
すると、長秀はやれやれ、といった風に肩をすくめる。
俺なんか言ったか?
「・・・貴方には怖いものは無いのですか?」
「は?怖いもの?」
怖いものは、家内かな!腕折られるし。
「信盛ぃ〜、あんた私の弟に向かって何言ってるのよ・・・?」
「えっ⁉︎聞いてたんですか⁉︎待って刀は危ないやつ!」
やめてくださいしんでしまいます。
でも、謀反人だよ、謀反人。
裏切り者なんだぜ?
俺が困惑していると、コソッと長秀が教えてくれた。
「姫様と弟君は、仲良しなんですよ?」
「えっ⁉︎姫様、本当に申し訳ありませんでした!」
「全く、今回だけは許すわ、今回だけは。」
大事な事なので二度言われました。
それでも意外だな、仲が良かったとは。
「では、また明日、ね。しっかり皆に伝えておくのよ?」
「承知いたしました、姫様。行こうか、信辰。」
「ああ。」
そうして姫様御一行と別れた。
姫様達はおそらく天守へでも向かうんだろう。
さて、まずは・・・
「・・・・・・よし、信辰。」
「おう、早速伝令に・・・」
「それと、今回の戦での各部隊の被害状況をある程度でいいからまとめて持って来てもらおう。参戦した各部隊の人数だけでも記帳しておかないと。戦死者は非情だが、確認出来るだけにしよう。それから少ないと思うが農村への被害も調べる。場合によっては税も引き下げなくてはいけないから、しっかり調べるぞ。なるべく不公平のないようにな。さぁ、忙しくなってきた!」
「あ、私ちょっと頭痛くなってきたから・・・。」
「心配するな、仕事はかなり溜まってるぞ!」
「あ、おう・・・。」
仕事の気配を察知した途端これか。
しかし甘いな。
仕事がそれで減る事はないのだぁ!
何それ泣ける。誰か仕事引き継げよ。
こうなりゃ動ける奴は総動員だな。
「まぁ別に急ぎの仕事はは無いと信じているから大丈夫だよ。」
「私は皆への伝令でしか役に立てなさそうだな・・・。」
「おいおい、何逃げようとしてるんだ?」
逃がさん。絶対に逃してなるものか。
俺の生死がかかっていると言っても過言ではない。
いや、かかってるね、確実に。
「あんまり言う事を聞かないと、ご飯抜きよ!」
「じっ、慈悲を!それだけは勘弁!」
「なら仕事を手伝え。」
「そんな殺生な!て、あれ?そういや、料理って当番制だから別に私が作れば害はないような・・・。」
ちっ、バレたか。
「じゃあ、今回はお前の好きな料理を作ってやろう。だからさぁ、ね?頼むよ。」
「・・・・・・・・・・・・いや、それは出来ない。」
かなり迷ったな。
てかなんで偉そうなんだ。ボクイミワカラナイ。
ここは一つ、奥義を使うか。
奥義!押してダメなら・・・・・・
諦める!
逃げるが勝ちよぉ!
「あ、そ。じゃあ良いわ。他を当たるよ。伝令よろしく。」
「あ、え⁉︎ちょ、ちょっと待て!分かった分かったから怒るなって!悪かったよ、だから機嫌を直してくれぇ!」
こうしていきなり淡白な反応を見せる事によって戦況を一気に覆す事の出来る技なのだ!
ただし、使い過ぎると人間関係に溝が出来るリスクが高まるぞ!
しかも一回目で絆が壊れてしまう場合もあるので注意が必要だ!
ご利用は計画的に。
「観念したか。じゃあ取り敢えず皆に伝えて来ようぜ。」
「あっ!騙したな!くっ、孔明の罠か・・・。」
「信辰が諸葛孔明を知ってるとは驚きだな。」
「えっ?誰そ・・・そうそう!確かそんな名前を聞いた気がする!」
「誰からだよ。急がないと置いてくよ?」
「長秀から!待ってよー!まだ怒ってんの?」
まさかの丹羽長秀に歴女疑惑あり。
ハマりすぎて行き遅れなければいいけどな。
おっと誰か来たようだ。
まぁ、皆が皆存在が歴女みたいなもんだけど。
その歴女が歴史そのものになるとは・・・。
詰まる所、歴女はアルファであり、オメガなのだろう。
歴女はこの世界そのものなのだ!
なんだこのくだらない考え方。
だがその考え方、嫌いじゃないぜ。
そう言ってくれる人が居る事を信じている。
「信盛?信盛ってばぁ!」
「うおっ⁉︎耳元でいきなり大声を出すな!何⁉︎」
「さっきから声を掛けているんだけど・・・。悪かったって、手伝うから許して下さい。」
「あぁ、そんな事か。いやいや、こちらこそごめんな。いきなり冷たくして。すまなかった。それと・・・」
「それと?」
「お疲れ様。信辰が援軍を頼んでくれたおかげでそれを心の支えにして頑張れたよ。ありがとう。」
「・・・ふふっ、嘘を吐くなよ、お前はそうでなくても勝ってたさ。なんせ、私の夫だからな。」
「お、おう。そこまで信頼されると、なんか恥ずかしいな・・・。」
「そうだ、信盛。」
「ん?」
「昨日の晩、の事だがな?夜更けに私の顔を揉みしだいたのは何だったの?まさか、お前の性癖か?だとしたら私にはちょっと敷居が高いというか、少しだけ待って欲しいというか・・・。」
「・・・・・・誤解だ。」
そう声を絞り出すのが精一杯だった。
これじゃ俺は性癖さらけ出した変態じゃねぇか。
心当たりはありまくりだった。勿論、俺ではない。
段蔵ェ・・・。
さては、信辰への変身へのサンプル採取の為にやってたな。
何故俺の顔でやった。絶対許さん。
この後、誤解を解くのにかなりの時間を要した。
そして、段蔵が恩人から絶対許さないリストナンバーワンにランクアップした。