正確には、これの次からかもですね。
うまく合間を見つけて書きたいものです。
追伸
UA19000突破ですよ、もうすぐ20000なんて、夢のようです!
これからも頑張ります!
負傷した人達を助ける為、医者達が忙しなく動き回っている。
ここが彼らの、彼らなりの戦場なのだろう。
人を救う為に動き回る人達。実に素晴らしい。
祈るだけでは人は救えない。
その人の為に実際に動く者がいなければ。
それを実感させてくれる。
これを見る事ができて俺はもう満足だ。
だから・・・・・・
「だから、やっぱりこんなに忙しそうな中邪魔するのは良くないと思うんだよね。帰ろうよ、信盛。」
「黙れ可成。全く、何一人でブツブツ言ってるんだ気色悪い。ごめんくださーい、お医者さんいますかぁー?」
まぁ、その辺に結構いるけどね。確かに忙しそうだけど。
「あ、負傷者の方ですかってうわぁ⁉︎」
俺が声を掛けると、医者が俺達を見るなり驚いている。
それもそうだろう。
一人は傷だらけの男、一人は右手に真っ赤な包帯をした女の二人組なんて、最悪通報されてもおかしく無い。
特に可成、どんだけ身を削って「静まれ俺の右手」やってんだ。
それには最早尊敬すら感じるわ。
まぁ、原因は俺の顔面殴ったからだけどな。
「佐久間殿、森殿を連れて来てくれたんですね、ありがとうございます!森殿、ダメじゃ無いですか逃げ出して!絶対安静なんですよ!それに佐久間殿まであんなに怪我させて!」
「い、いやぁ、すまない。あと、あれは俺のせいじゃないよ。」
あはは、と可成が申し訳無さそうに笑う。
「急いで包帯を取り外して手当てします!あー、申し訳ありませんが佐久間殿、あなたの傷は見た目程重症では無さそうなのでそこの手伝いに来ている町娘にしてもらいます。ご了承下さい!」
「お、お任せ下さい!その大役、果たして見せます!」
「えっ?それ大丈夫なの?ねぇ、その娘医師免許持ってる?」
「大丈夫です、とても良い子ですから!」
あんたの基準なんか知らんわ。
まぁ、良いけどね。こんな傷の手当てくらい誰でも出来るだろうし。
町娘、ねぇ。普通、戦があったら真っ先に逃げるんじゃ無いか?
そうこう言ってるうちに、俺とその町娘だけが残された。
「不束者ですが、よ、よろしくお願いします!」
「うん、こちらこそよろしく頼むよ。それと、多分その挨拶は間違ってるよ。多分。」
「では、信盛殿、上を脱いでください。」
「ん、了解。よいしょっと。」
「わぁ、意外とガッチリしているのですね・・・。あ、えっと、案外傷は浅そうです、これならすぐ終わりますね。」
あれ?これなんてエロゲ?
というか、いつ俺はこの子に名前を名乗ったっけ?
そう考え込む俺を尻目に、何故か彼女は俺に向かって顔を近づけて来た。
近い近い近い!息がかかってるよ!
そして耳元で小悪魔の様に囁く。
「全く、心配して損したじゃないか、信盛殿♪」
「・・・・・・お前さては、段蔵だな?」
うん、悪魔の間違いだったわ。いや、風魔?
本当にこいつ、やりたい放題だな。自由人さんめ。
弁解をしながら、段蔵は手当てを始める。
「えぇー?このなんの変哲も無い町娘がかの有名な忍者、加藤段蔵という証拠がどこにあるんですかぁ?」
「白々し過ぎるだろ。それに俺加藤なんて一言も言ってねえし。なんだよお前、帰ってなかったのか?」
「いやぁ、お前が頑張って立てた作戦が失敗して窮地に追い込まれるんじゃ無いかと思うと気が気でなくてなぁ。」
「なんだお前、見てたの?戦場にいたの?」
「作戦失敗を否定はしないんだな・・・。あらよっと、ほら、後ろ向いて。」
俺にカマをかけつつ、しっかりと手当てをしてくれる。
有能すぎるだろこいつ。
部下に欲しい。切実に。
「よし、まぁ、包帯を巻いただけだけど、これでいいでしょう。」
「えっ?それ大丈夫?消毒は?」
「ん?心配し過ぎだよ。それとも、熱湯か酢をかけようか?」
「遠慮させて頂きます。」
酢ってお前それクラゲか何かだろ。
なんで知ってるんだよ。
てか、煮沸消毒って概念この時代にあるのか?
あったとしても、人体にやっちゃダメって事くらい分かるだろ。
「冗談だよ。とにかく、無事で良かった。これで・・・」
「これで?」
「私の『佐久間信盛引き抜き大作戦☆』も、継続出来るというものだ。」
「なぁ、その名前もうちょっとどうにかならないかな?」
それ作戦名とか決める意味無いと思う。
「あ、そうだ。お前に聞きたい事が出来たんだ。」
「なんだ?北条家の家臣の給料か?」
「それは人それぞれだしそもそも給料制じゃないだろう。俺が聞きたいのはお前の師匠、芦屋道海の居場所だ。どうか俺に、教えてはくれないだろうか。」
そう言って俺は、頭を下げる。
本日二度目です。誠に遺憾である。
しかしどちらも必要なので仕方ないと思う。
「・・・・・・それは、どうして?」
いつになく真剣な顔で問いかけてくる段蔵。
俺を殺そうとしてた時とは少し違うその顔にたじろぎつつ、俺は次の言葉を紡ぐ。
「今回の戦でよく分かった、俺は力不足だと。そこで、お前の師匠に弟子入りしたいんだ。それに、もうこんな痛い思いとかしたくないしさ。」
要約すると、幻術を学びたい、って所だ。
自分で言っていて気付く。これは方便だと。
確かに、今回の俺の作戦は失敗した。
それでも、普通に相対してたよりは被害を抑えられていると思う。
結局、便利に見える物に頼りたいのだろう。
俺は安い人間だな。全く、反吐が出る。
「嘘はやめて、バレバレだよ。」
「お前に言われたかねぇよ・・・・・・。」
やはり、教えてくれないか・・・・・・。
「私のいた頃は確か播磨辺りに居たよ、あの人は。・・・何て顔をしてるんだよ。」
「・・・あ、いや、その、教えてくれるのか?」
「ふっ、勘違いするな。他ならぬお前だから言うんだ。ま、あの人が協力してくれるとも限らないしな。」
「すまない、ありがとう。恩に着るよ、段蔵。」
「どうせ、道案内も必要だろう。次の休みに来るから、その時に行こう。山道もあるからな、足腰は鍛えておけよ。」
「ああ、分かった。せめてその休みの少し前には知らせてくれよ?」
「分かっているさ。そして、その見返りとして・・・。」
「北条家に寝返ろ、とか?それはちょっと・・・。」
「そんなことは言わないさ。そうだなぁ・・・。」
そうして段蔵はほのかに頬を赤く染め、悪戯っぽく笑いながら言う。
「そうだ、その道中で私に髪飾りでも買ってくれよ。それで手を打とう。」