退き佐久間   作:ヘッツァー

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前書きに書き忘れていました。
森可成の一人称を「私」から「俺」に変更しました。
これでも一応女の子という設定です。念の為。



第二十三話

やぁ皆!山崎城城主の佐久間信盛だよ♪

この度、なんやかんやで主君の弟が謀反を起こすからそれから清洲城を守る事になったんだ。

でも、考えてみて欲しい。

『山崎城城主・佐久間信盛』

・・・・・・。

あ、俺この城に鎧とか無いじゃん?

ついでに『岩通』や愛用の槍も無いじゃん?

刀や脇差はさすがに持ってるが・・・。

流石にそれだけで戦やるとか舐めすぎてる。

縛りプレイも良いとこだ。

これはまさかのレンタルですか?

料金ぼったくられたりしねぇよな・・・。

まず誰から借りるんだよ。

はぁ、次から予備の鎧買って置いておこう。

そういや、買いに行こうとしてたけど仕事が、ね。

 

「対策とか立てるより先にやる事あったわくそう・・・。」

「何だ?独り言か信盛?」

「あ?テメーには関係ねぇよ可成。失せろ。」

「さっきのお前、正直言って本気で気持ち悪い。」

「・・・・・・うるせえよ。」

 

なんか「気持ち悪い」の部分だけ妙に力説されたんだけど。

地味に傷付くわぁ・・・。

でもこいつには頼らない。頼ったら負けと思ってます、はい。

 

「それより信盛。お前の話、本当なんだろうな?」

「ん?どんな話?」

「とぼけるんじゃねぇよ。ほら、あの姫様の弟君が謀反を起こすっていう、さ。」

「あれなぁ、嘘」

「は?」

「・・・であって欲しいよね。」

「・・・・・・。」

「ちょっ、痛!テメー足を無言で蹴るんじゃねぇよ!」

 

痛い痛いそこは弁慶の泣き所!

こいつらの力で蹴られたら足がもげる。

 

「お前のそういう喋り方も腹立つんだよコラァ・・・!」

「おい!蹴り続けるなよ!悪かったから!」

「ふん!全く、じゃあ俺は出撃準備を進めさせてくる。」

「バレないようにな。頼んだ。」

「・・・了解。」

 

「コラ」本当に気に入ってるじゃないですか。

さて、本気でどうしよう。

俺の鎧は俺の筋力に合わせて軽く作ってあるから、他の人の予備の鎧なんか使ったら最悪動けなくなる可能性が高い。

なんか姫武将の中には着物だけで出撃する猛者もいるけどね。

丹羽長秀とか丹羽長秀とか後は丹羽長秀とか。

最初見たときアホかって思った。

まぁそれに見合った実力あるから良いけど。

もういっその事足軽用の鎧と槍一個借りてくか?

でも、武将クラスがその格好してたら指示が通らなくなるんだよな。

アホみたいに目立つ格好も意味はあるのです!

露出狂や痴女では無いのです!狙い撃たれるけどね。

かの本多忠勝も戦場においては軽装だったらしいし。

生き残る奴は生き残るし、死ぬ奴は死ぬ。

俺だってこうして、信晴さんに生かされている。

こんな所で死ぬ訳にはいかない。

 

「っしゃあ、覚悟決めるか。」

 

怖い怖い怖い怖い。後怖い。マジ怖い。

クシャル◯オラになりたい。

毒にならん限り銃弾とか矢とか効かなくなるもん。

 

「信盛様、伝令です。」

 

天守から下に降りると、小姓の一人が伝令を報告して来た。

 

「何?何か動きがあった?」

「平手様より、織田信勝殿・柴田勝家殿の軍に動きあり。また、林秀貞殿の軍にも同様の動き。二つの勢力は総勢およそ千五百。注意されたし。との事です。」

「林秀貞殿もか・・・了解。ありがとう。」

 

どうやって情報集めたんだろ。まぁ良いか。

分かってはいた事だが、筆頭家老の離反はやはり痛い。

動揺がなければ良いが・・・・・・。

 

「後、信辰様より言伝です。」

「え?信辰?来てるの?」

「愛用の鎧と槍、ついでに『岩通』も持って来ている。下にて受け取られたし。との事です。」

 

おお、女神よ!私は救われました!

俺が涙を流しながら嬉しがると、それに若干引きながらも続きを読み上げてくれた。

え?続き?

 

「つ、追伸です。お前また私に知らせずに戦を始めようとしてるのか?帰ったら覚えておけ。・・・以上です。で、では失礼します。」

 

おお、女神よ!私はどこに連れて行かれるのですか・・・。

 

目からは、先程とは違う感情の涙が流れていた。

 

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「お、来たか、信盛。」

「やっと来たか。待ちわびたよ。」

「怖じ気づいたのかぁ?」

「どうも、平手さん。それに信辰ちゃん。」

「おい!俺の事無視かよ!」

「痛え!蹴るんじゃねぇよ可成!・・・で、動きはあった?」

「まだこちらが迎撃準備をしておる事には勘付いておらぬようじゃが、時間の問題じゃろう。」

「そうか、じゃあ気付かれてない今のうちに姫様に向けて援軍要請をしよう。」

「あぁ、それなら森可成に担当してもらったぞい。すでにやってあるじゃろう?」

 

いつ言ってたんだろ?ああ、俺がいない時か。

 

「え・・・あ!」

 

は?

 

「もしや、可成?(言ってなかったかもしれんのぅ・・・。)」

「「テメー死にてえのか?」」

「すっかり忘れてたぁぁぁぁ!」

 

俺と信辰ちゃんが夫婦揃ってドスを効かせるとあっさりと白状してくれました。

案外打たれ弱いのか?

ってそんな場合じゃねぇ!

 

「これはマズイぞ信盛!既に信勝派の妨害によって姫様への合流は困難だ!」

「あぁ、非常にマズイ状況だ。例えるなら失敗した信辰ちゃんの手料理並みにマズイな。」

「テメー後で覚えてやがれ。」

「うぉっ、ごめんなさい!」

「全く、お前という奴は・・・。仕方無い、私が行こう!」

 

文句は森可成さんに言って下さい。

って、何だって⁉︎

 

「無茶だ!どれだけ危険か分かっているのか⁉︎」

「ここの中では、私が適任なのさ。半端な実力では姫様の所へ辿り着けないし、何より兵は割けない。平手殿はこの陣の総大将だし、森可成は失敗を取り返そうとしてさらに失敗しかねない。」

「なら、俺が行こう!」

「それはダメだ。」

「何でだよ!そんなに俺が頼りにならないか⁉︎」

「違う!私は、お前には死んで欲しくないんだ!」

 

おおぅ、俺の嫁俺よりイケメンだわ。

 

「それともお前は、私が信用ならないか?」

「・・・・・・全く、それは卑怯だよ。あーもう分かったよ。頼めるかい、信辰ちゃん。」

「信辰。」

「は?」

「可成の事は呼び捨てなのに、愛する妻の事はよそよそしくちゃん付けで呼ぶのか?」

「今はそれどころじゃねぇだろ・・・・・・。」

「ふん。では行ってくるよ。」

「ああ、絶対死ぬんじゃねぇぞ、信辰。」

「ふっ、私を誰だと思っ、へっ?」

「顔赤いぞ、信辰。」

「・・・お互い様だよ、バカ。」

 

「何してんだ、あの二人。危機が迫ってるっていうのに何惚気てんだよ。」

「まぁまぁ、邪魔したら馬に蹴り殺されるぞい。」

「何だと⁉︎上等だ、馬刺しにしてやるぜ!」

「そういう意味ではないのじゃがのう・・・。」

 


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